落花 5       115句

中空にとまらんとする落花かな    中村汀女

作品
作者
掲載誌
掲載年月
似顔絵を落花へ破り散らせけり ことり 六花 200804

 訃報相次ぐ

手に受けて片々あをき落花かな

鷹羽狩行 200805
婚の日待つ君に落花の繽紛と 林翔 200805
走る児に落花も鳩も攫まらず 品川鈴子 ぐろっけ 200805
落花敷きいよいよ瞼し城址道 阿部ひろし 酸漿 200805
止めどなく落花柩の出づるを待つ 冨岡夜詩彦 200806
落花踏む梢は緑いろきざし 柳生千枝子 火星 200806
一本のすでにはげしき落花かな 福澤乙 酸漿 200806
止めどなき落花の中に佇めり 佐竹千代 やぶれ傘 200806
落花追ふ落花ロザリオまさぐれば 石田阿畏子 馬醉木 200807
息凝らし落花無尽の月に座す 松本幹雄 馬醉木 200807
神馬像雨の落花を鎧ひをり 松本幹雄 馬醉木 200807
ひとひらの落花は重し爆心地 上柿照代 馬醉木 200807
小倉遊亀落花しばらく暮れなづむ 大島翠木 200807
落花にてつくる冷たき首飾り 嶋津治夫 200807
暮れぎはの落花鎖骨にひびきけり 田村園子 200807
一の舟入落花に間合ありにけり 田中佐知子 風土 200807
ひそやかな言葉のやうに落花あり 小國佐世子 遠嶺 200807
千仞へゆくへも知らぬ落花かな 片山博介 春燈 200807
落花にも緩急のあり大手門 中原敏雄 雨月 200807
城あとの落花にありて思ふこと 山田天 雨月 200807
靴ひもに落花一片はさみしまま 吉田和子 ぐろっけ 200807
ひとひらの落花となりて旅ゆかむ 小山徳夫 遠嶺 200808
落花の向かうジャングルジムの遺跡めく 近藤紀子 200808
落花踏み浅間に残る雪仰ぎ 村松紅花 ホトトギス 200809
そのあとの落花はまぼろしのままに 長山あや ホトトギス 200809
吹き込みし部屋の落花を喜べる 田中靜龍 ホトトギス 200810
たゆにたゆたに続く落花の谷あそび 伊藤白潮 200812
落花弾みはずみ流るる水迅し 瀧春一 深林 200901
空を恋ふ七八片の落花かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200904
下町の母なる大地落花舞ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200904
序の舞の落花芭蕉か実朝か 稲畑廣太郎 ホトトギス 200904
天泣のごと一片の落花かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200904
華やぎが欲しくて落花の中にあり 加藤克 200904
見晴るかす眼下の街へ落花かな 鈴木礼子 末黒野 201004
閼伽桶に落花ひとひら山の寺 加藤克 201005
落花浴ぶ花の心になりきれず 加藤克 201005
わが齢問はれてゐたる落花かな 本多游子 春燈 201005
庭を掃く母に少しの落花あり 長坂ヤス子 酸漿 201005
たちまちに鯉に吸はるる落花かな ことり 六花 201005
五重塔落花に空の流れ出す ほんだゆき 馬醉木 201006
恍惚と老幹おのが落花浴ぶ ほんだゆき 馬醉木 201006
ティンカーベルになり損ねたる落花かな 森下康子 201006
ひとひらの落花を享けし酒杯かな 岡佳代子 201006
落花踏み鳥の声浴び伊勢参り 中山静枝 201006
落城も落花も一夜燃えに燃え 秋葉雅治 201006
落花ひとつ雨傘にのせ帰りけり 竹内慶子 春燈 201006
篝火の翳に吸はるる落花かな 片山博介 春燈 201006
踏切や通過の貨車に落花急 小山繁子 春燈 201006
落花中慣らし保育の子が帰る 石川元子 酸漿 201006
しきりなる落花の中をリフトゆく 海老名ムツヱ 酸漿 201006
童等は両手ひろげて落花かな 芝宮須磨子 あを 201006
東閑堂落花は風のさざなみに 芝宮須磨子 あを 201006
さす棹に落花まつはる保津下り 窪田粧子 馬醉木 201007
花の息たしかむ落花止むときに 大島翠木 201007
落花後の巣守るものゝ嘴鋭し 服部郁史 京鹿子 201007
落花敷く五重塔の礎石かな 大島英昭 やぶれ傘 201007
心まだ阿修羅にありて落花浴ぶ 望月晴美 201007
怒れるや落花蹴立てて烏骨鶏 泉田秋硯 201007
眉あげて答ふ落花の中にゐて 木船史舟 201007
江ノ電の警笛落花きりもなや 小山繁子 春燈 201007
落花かな市民プールに水満ちて 小林成子 火星 201007
蜜の糸きらりと引きし落花かな 坂口夫佐子 火星 201007
落花吹き寄せて大前彩れる 岸本久栄 雨月 201007
大前の落花を誘ひ鳩翔てり 岸本久栄 雨月 201007
風の出て落花自在に舞ひ上る 本多正子 雨月 201007
東照宮唐門に舞ふ落花あり 古川さかえ 酸漿 201007
聞くショパン窓に落花のしきりなり 工藤美和子 酸漿 201007
風立ちて散り敷く落花攫ひけり 天田美保子 酸漿 201007
落花受け水面生き生きしてをりぬ 平届澪子 六花 201007
冷ゆる夜の落花一片とてあらず 安原葉 ホトトギス 201008
満開となれば落花といふ期待 山下美典 ホトトギス 201008
ひとひらも我には触れぬ落花かな 伊藤妙 201008
西行庵落花の雪はうすべに色 丹生をだまき 京鹿子 201008
一片の落花に故郷あるごとく 岩岡中正 ホトトギス 201009
一水に落花の遠き別れかな 湯川雅 ホトトギス 201009
風そつと枝間くぐらせ落花避く 稲岡長 ホトトギス 201009
落花浴ぶぼんぼりの灯のこぬところ 布川直幸 201103
落花舞ふみよし野の大舞台かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201104
地に還ることを拒みし落花かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201104
一片の落花に重ね偲ばるる 稲畑汀子 ホトトギス 201104
山の日は落花いざなふためのもの 稲畑汀子 ホトトギス 201104
雪ならず落花が吾が庭ふぶき来る 大橋敦子 雨月 201105
トルソーの切り口湿る落花かな 大島翠木 201106
瀞下り落花吹雪に呑まれけり 久染康子 201106
落花あり五重塔の影よぎり 佐藤喜孝 あを 201106
結ひ了へし合はせ鏡に落花かな 荒井千佐代 201107
踏むまじき沙羅の落花の踏絵めく 荒井書子 馬醉木 201107
ほろほろと真弓落花の夕べかな 鈴木セツ 201107
豆腐屋は落花の方へ曲りけり 高木嘉久 201107
落花急余震を迎へ撃つごとく 高木嘉久 201107
飛花落花セコムのシールそこここに 五十嵐章子 201107
佇むも歩むも落花しきりなる 竪山道助 風土 201107
敗走のここにはじまる城址落花 豊田都峰 京鹿子 201107
夢殿の空にとどまる落花かな 山田春生 万象 201107
落花舞ふ袖振山の静かさよ 山本とく江 万象 201107
風荒び乱舞となるや飛花落花 服部珠子 雨月 201107
堰音に落花しんばうしてゐたる 山本耀子 火星 201107
階を登れるほどに落花敷く 山田孝枝 酸漿 201107
強風の空に吹きあぐる落花かな 池田いつ子 酸漿 201107
白髪のぶちあたるまで飛花落花 中野京子 201107
一片の落花日に映え水に映ゆ 橋本順子 201107
ひとひらの落花の乱す静止像 鳳蛮華 201108
満天星の落花を踏みて園巡り 松木清川 ぐろっけ 201108
蒼天に点睛そして落花かな 石田きよし 201108
時薬とふことばある落花かな 近藤紀子 201108
連れ舞うてさらに連れ呼び飛花落花 杉山瑞恵 雨月 201108
あるときは音たてて降る落花かな 岩岡中正 ホトトギス 201109
落花浴び恍惚として独りかな 和田照子 201109
さるすべり落花一片白線引き 大橋敦子 雨月 201109
今日一日咲き極めしか沙羅落花 宮原悦子 雨月 201109
天水を貯ふ沙羅の落花かな 小林輝子 風土 201110
海底にさきまはりして落花まつ 佐藤喜孝 あを柳 201110
眠くなるぽとりぽつりと沙羅落花 久世孝雄 やぶれ傘 201110
吾に来る落花と川へ飛ぶ落花 蔦三郎 ホトトギス 201111
落花飛ぶ飛ぶ飛ぶ吹かれ吹かれては 蔦三郎 ホトトギス 201111
焙烙と気長に遊ぶ落花生 長谷川歌子 春燈 201111
落花生のはざ組まれゆく開拓地 池田光子 201112
家苞に買ふや掘りたて落花生 鈴木一三 末黒野 201201
茹で落花生マチュピチュの塩甘し 平野みち代 201201
落花生引くや鼠の走り出づ 長島操 万象 201202
枝垂れたるその先よりの落花かな 布川直幸 201203
海の面鴇色に染む落花かな 広瀬美佐子 末黒野句集 201203
飛花落花野武士と言はれし師の恋し 松本三千夫 末黒野句集 201203
一片の落花を肩に忌日人 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
落花舞ふふとあの人のことなどを 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
蝶飛んでゐるや落花の舞ひゐるや 稻畑汀子 ホトトギス 201204
落花→ 6      

 

2021年4月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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