落し文 3       100句

落し文密書となって拾はるる   阿部寒林

作品
作者
掲載誌
掲載年月
落し文拾へばことと音立てし 稲畑汀子 ホトトギス 201007
山道の風の素通り落し文 稲畑汀子 ホトトギス 201007
蕉翁の草鞋の跡や落し文 加藤良子 春燈 201007
亡き夫の便りと思ふ落し文 中山静枝 201007
落し文一つ拾へば風の音 稲畑汀子 ホトトギス 201008
八幡宮舞殿前に落し文 林いづみ 風土 201008
言ひたきを言はずはずるし落し文 布川直幸 201008
水音に巻きたしかなる落し文 山尾玉藻 火星 201008
巻き様の几帳面なり落し文 神田小夜子 ろんど 201008
姨捨山の落し文なり固結び 今井妙子 雨月 201008
手から手へゆるく巻きたる落し文 山崎祐子 万象 201009
ちちははの墓に拾ひし落し文 飛高隆夫 万象 201009
落し文拾ひしまゝに解かざりし 舩越美喜 京鹿子 201009
拾はずば日の斑に動く落し文 永井惠子 春燈 201009
おしめりや高野の口の落し文 橋添やよひ 風土 201009
文机に一筆箋と落し文 宮平静子 雨月 201009
観音の落し文かも拾ひけり 中条さゆり 201010
落し文また訃報かも知れぬ 森下賢一 春燈 201010
落し文開けば大凶むかしより 豊田都峰 京鹿子 201010
殿のわたしの前の落し文 竹内悦子 201011
落し文拾うてみたし師の忌なり 都丸美陽子 春燈 201012
句をなせと貰ひ受けたる落し文 村上悦子 雨月 201102
落し文正俊さんの便りとも 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
妙案のふと浮かびけり落し文 小澤菜美 201108
法の庭亡き夫よりの落し文 中山静枝 201108
君ほどの秘めたる恋や落し文 宮崎左智子 201109
花魁の起請文かも落し文 臼杵游児 春燈 201109
秘めごとも包まれてゐむ落し文 柴田志津子 201109
落し文手に載せて観る虫嫌ひ 浅岡麻實 末黒野 201110
落し文二つ三つなら読みませう 酒本八重 201110
落し文うかと拾うて恋に落ち 石田康明 春燈 201110
禪刹やはらり放下の落し文 藤岡紫水 京鹿子 201110
畝ひとつ跨ぎて拾ふ落し文 桜三奈子 201112
落し文開封途次で切れにけり 布川直幸 201208
原発へ二里のふるさと落し文 中川すみ子 201209
開かざる命終もあり落し文 和田郁子 粥の味 201209
落し文見付けしと言ひ土産とは 大橋敦子 雨月 201209
山ガール落し文には目もくれず 史あかり ぐろっけ 201209
きつちりと巻き戻しけり落し文 杉浦典子 火星 201209
御空より秋櫻子の忌の落し文 岡田貞峰 馬醉木 201210
誰が懸想武人埴輪の落し文 鎌田篤 雨月 201210
説法は横道へそれ落し文 木戸渥子 京鹿子 201211
腕白に拾はれてをり落し文 辻井ミナミ 末黒野 201311
落し文手抜かりのなき畳みやう 松林依子 201311
艶書かも国分尼寺の落し文 服部早苗 201311
落し文なんて幻かと恍け 松本アイ ぐろっけ 201311
結界に落としてありし落し文 原田達夫 201408
神官の去りし奥宮落し文 横田晶子 風土 201408
落し文天保山は目標ぞ 加藤みき 201408
巻き固くあれば手児奈の落し文 内海良太 万象 201409
落し文林の奥の風のこゑ 豊田都峰 京鹿子 201409
落し文実に緻密に巻かれをり 堀田清江 雨月 201409
落し文見つけて草に返しけり 伊藤和子 201409
寂撓弓手に堆く落し文 柳本渓光 ろんど 201409
「恋の橋」二つ渡るや落し文 森田節子 風土 201409
文机に和紙の便箋落し文 宮川みね子 風土 201409
一行の二行もなくて落し文 布施まさ子 風土 201409
宇治橋のたもとに拾ふ落し文 中村洋子 風土 201409
判じ物伏せ字ばかりや落し文 辻本俊子 京鹿子 201410
亡妻が巻きしか綻び見えて落し文 野沢しの武 風土 201502
鞆の津やハングル文字の落し文 鈴木鳳来 故山 201505
夕映えや文殊菩薩の落し文 寺田すず江 明日葉 201505
巻き美しき右近の里の落し文 安部和子 雨月 201507
交番に光源氏の落し文 高橋将夫 201508
落し文を見つけちやつたよかくれんぼ 江島照美 201508
落し文やはり引き返して拾ふ 林晴雄 201508
読み漁る輪廻転生落し文 前田美恵子 201509
いつ落ちし落し文とは言挙げせず 松本峰春 春燈 201509
落し文縦書ばかりかと思ふ 松本峰春 春燈 201509
落し文これは恋文かも知れず 松本峰春 春燈 201509
三行半か駆込寺の落し文 鈴木静恵 春燈 201509
秘密めくクルスの村の落し文 金森教子 雨月 201509
拾はねば踏まれてしまふ落し文 金森教子 雨月 201509
おどろいた時に出すこゑ落し文 佐藤喜孝 あを 201509
律儀なる母の文かも落し文 佐藤貞子 雨月 201510
落し文ひもとけば文字なかりけり 久保東海司 201511
落し文ひらけば去り状かも知れぬ 柴田志津子 201511
いま置きしごと濡れ縁の落し文 平野みち代 201602
死角無き城壁掠め落し文 稲畑廣太郎 ホトトギス 201607
落し文人が拾へば気にもして 野沢しの武 風土 201609
引き際のそびらより音落し文 鈴木石花 風土 201609
水の辺の夕映ながし落し文 深川淑枝 201609
参道の木橋の上の落し文 岡淑子 雨月 201609
葉柄を巻き残しあり落し文 大崎ナツミ 雨月 201609
落し文律儀なるその結びやう 大崎ナツミ 雨月 201609
冥途への飛脚の落し文かとも 高橋将夫 201609
女人高野の落し文なら拾ふ 永淵惠子 201610
几帳面に折り畳まれし落し文 大橋晄 雨月 201610
子の未来預けて巻けり落し文 足立良雄 201610
誤配とな管轄外の落し文 鈴鹿呂仁 京鹿子 201705
落し文神の啓示はそつと来る 有松洋子 201708
落し文謀議の委細つらつらと 大西逸子 京鹿子 201709
手のひらに命の重み落し文 林八重子 馬醉木 201709
息詰まるほどに巻きたる落し文 山本則男 201709
無住寺の賽銭箱の落し文 山口登 末黒野 201710
平安宮の名残りに拾ふ落し文 村田あを衣 京鹿子 201711
落し文胸ざわめきて引き返す 西村滋子 京鹿子 201801
拾はねば知覧の丘の落し文 角野良生 201712
天界の声なき便り落し文 阪倉孝子 201808
幼子の持つて来たるや落し文 江見巌 六花 201810
城山はデートスポット落し文 岩田公次 ホトトギス 201901
落し文 →4      

 

2021年7月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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