落し文 2     111句

つれづれのこと省きたる落し文    亀田虎童子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
あしびきの吉野の山の落し文
関根洋子
風土
200407
落し文掌にころがせり昼の酒
山尾玉藻
火星
200408
暮坂の牧水歌碑に落し文
北原東洋男
200408
袖移しに渡すひとなき落し文
鷹羽狩行
200408
が拾ふわが滑りし落し文
林翔
200409
落し文八犬伝の山中に
滝口滋子
百鳥
200409
月の出てまだ届かずの落し文
豊田都峰
京鹿子
200409
落し文森のまねきの二つ三つ
豊田都峰
京鹿子
200409
黄泉の母に託せり落し文
大貫和夫
帆船
200409
雨あがりの舗道に拾ふ落し文
市川十二代
ぐろっけ
200409
落し文「金沢文庫」へ径岐れ
中谷葉留
風土
200410
ここよりは入れぬ陵墓落し文
奥田弦鬼
風土
200410
落し文得しときめきを秘めごとに
高木智
京鹿子
200410
落し文吹かれてのちの沙汰知れず
松原ふみ子
200410
抛られて尚こころざす落し文
山口奈代
河鹿
200411
晩年の小町は知らず落し文
笠間圭子
京鹿子
200411
閼伽桶に浮きたるいまの落し文
長沼三津夫
200411
落し文何の消息聞けとこそ
稲岡長
ホトトギス
200412
落し文開けばいのち綿の中
稲岡長
ホトトギス
200412
落し文病まひに捨つる計いくつ
岡本眸
200412
落し文ひらけば文字の消えゆけり
遠野萌
200504
忘れものしさうな日なり落し文
稲畑汀子
ホトトギス
200508
拾ふより開けるさだめの落し文
稲畑汀子
ホトトギス
200508
遠き日の妣の文字かも落し文
神宮きよい
馬醉木
200508
落し文弊衣破帽を恋ひし日も
白神知恵子
春燈
200508
渡されぬまま散り敷ける落し文
菊地恵子
酸漿
200508
誰か待つ木椅子の端の落し文
村越化石
200508
われ宛の落し文かと裏返す
服部早苗
200509
我孫子宿脇本陣跡落し文
志村秀子
風土
200509
落し文三下り半もありぬべし
長野純顕
対岸
200509
かたまつて落してありぬ落し文
辻恵美子
栴檀
200509
落し文天の夫なら拾はねば
松本恒子
ぐろっけ
200509
落し文宇治十帖の径にかな
師岡洋子
ぐろっけ
200510
足元に雨来る径や落し文
山下美絵子
遠嶺
200510
切り株に座して繙く落し文
幡江美智子
百鳥
200510
音信の絶えて久しき落し文
伊藤紫水
風土
200511
次世代に継ぐ遺言を落し文
鎌田篤
雨月
200511
落し文手に片恋を懐かしむ
大島寛治
雨月
200511
落し文一度は拾つてはみるも
有吉桜雲
200512
落し文まこと略儀に侯へど
河内桜人
京鹿子
200512
落し文几帳面なる性と見し
桑田青虎
ホトトギス
200602
深読みは愚の骨頂よ落し文
山元志津香
八千草
200602
落し文野火止塚の草の中
水野加代
万象
200603
琅玗の誠を秘むる落し文
大橋麻沙子
雨月
200607
落し文にも備考欄ありにけり
伊藤白潮
200608
落し文に枕ことばがうかびこぬ
丸山佳子
京鹿子
200608
登り坂ゆるゆる行けば落し文
田中喜久子
酸漿
200608
日光祭すみたる木陰落し文
大信田梢月
万象
200609
幾重にもガラシャの嘆き落し文
山本康夫
200610
ここからが森の始まり落し文
西宮舞
200610
メールでは済まされぬ事落し文
熊谷尚
200610
落し文見つけたる子の大音声
岡本敬子
万象
200610
落し文秘めごとほどの青みもつ
樋口英子
200610
拾ひ来しも開くことなき落し文
吉川与音
200610
仏縁の一会に拾ふ落し文
長沼三津夫
200610
落し文ふいに目隠しされそうで
佐々木紗知
京鹿子
200611
遠き方ふいにとどきし落し文
柴田靖子
200611
切支丹坂にひろへり落し文
築城百々平
馬醉木
200611
開くことふとためらへり落し文
飯田角子
酸漿
200611
落し文あとはお委せ運次第
中野英歩
八千草
200612
落し文あり虚子俳話かも知れず
竹下陶子
ホトトギス
200701
病床へ句を作れよと落し文
桑田青虎
ホトトギス
200701
深読みをしないでおくれ落し文
陳錫恭
春燈
200702
遺書めいて置かれ机上に落し文
伊藤白潮
200707
落し文山のかなしみかも知れず
大島翠木
200708
訴状めく二つ捻りの落し文
松崎鉄之介
200708
木を押すに一つころりと落し文
松崎鉄之介
200708
美しき姫の面影落し文
小澤克己
遠嶺
200708
郵便受け無住寺に有り落し文
市川十二代
ぐろっけ
200708
文豪の生地の落し文拾ふ
西村しげ子
雨月
200709
大寺の上り框の落し文
服部幸
200709
落し文一度拾うて見たかりし
近藤豊子
雨月
200710
いましめの封幾重にも落し文
足立幸信
200711
参道のどの羅漢より落し文
長沼三津夫
200710
抜け径に勧進帳の落し文
佐治奈津
雨月
200711
二十六基の句碑は語り部落し文
小野寺節子
風土
200712
むかし男ありけり披く落し文
伊藤白潮
200806
遁れ来し主従の道か落し文
岡本まち子
馬醉木
200808
これよりはずうつと一人落し文
坂本俊子
200808
きざはしに落し文あり一周忌
田野力
万象
200808
去り状めく三つ捩れる落し文
松崎鉄之介
200808
みな遠し風が置き去る落し文
渡邊千枝子
馬醉木
200809
落し文拾ひ贅沢言ふまじく
東良子
遠嶺
200809
密書めく固さや城の落し文
田村祐巳子
200810
落し文拾ふ探偵事務所前
高橋秋子
200811
風音の棲む城址や落し文
高村令子
風土
200811
落し文結ひ目固きは恋文ラヴレター
久保田由布
ぐろっけ
200812
人待ちの樹下に拾ひて落し文
丸尾和子
雨月
200901
若き日の情熱恋へり落し文
宮田香
200907
落し文父の存問かも知れぬ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200907
落し文手種に拾ひ旅愁なほ
渡辺昭
200907
落し文阿国ゆかりの地はここよ
安達実生子
200908
お薬師のみ手に預けむ落し文
田山彰子
遠嶺
200908
防人の道に拾へり落し文
大信田梢月
万象
200908
校倉へ通ずる道の落し文
八染藍子
200908
落し文つぎつぎにあり捨てにけり
蘭定かず子
火星
200908
しばらくは掌にあり落し文
神蔵器
風土
200908
父の忌や筆圧強き落し文
宮崎裕子
春燈
200908
落し文防人の碑のあたりかな
荒井書子
馬醉木
200909
落し文掌に置く解けぬまま
和田郁子
200909
古希すぎて手渡されたる落し文
柴田靖子
200909
風の声かたく巻かれし落し文
伊藤季実
炎環
200909
かの頃は赤紙もありき落し文
廖運藩
春燈
200909
拝啓にはじまる風の落し文
福永光子
京鹿子
200909
落し文のころがつてゐる天保山
加藤みき
200910
行き過ぎて歩を返したり落し文
佐藤淑子
雨月
200910
旅立ちの言伝てかとも落し文
北川光子
ぐろっけ
200910
波音や平家官女の落し文
青山悠
200910
みすずかるシナノの木てふ落し文
神蔵器
風土
200911
落し文地球亡びる話やも
大山妙子
酸漿
200912
落し文拾へば雨をこぼしけり
山田弘子
ホトトギス
201001
落し文→3      

 

2021年7月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。