大 年     155句

大年や橋のたもとの屏風賣     笑人

大晦日 大年 大歳

作品
作者
掲載誌
掲載年月
大年の聖天肉のからだかな
岡井省二
199812
大年や花屋の水が道に出て
鷹羽狩行
199902
大年の鴟尾踏まへたる大甍
柏井幸子
円虹
199903
大年の闇の溶けたる海凪げり
朝長美智子
199903
大年の沙弥の抜きをる仕付糸
川澄祐勝
春耕
199903
大年や酌みて呑み干す九十年
中浜菌芽
京鹿子
200001
大年の瓦斯燈灯る男坂
水原春郎
馬醉木
200002
大年の寺に脆拝をつつましく
本城布沙女
雨月
200002

悼 古谷さわ衣さ

大年に連れ去られたる思ひかな

山田弘子
円虹
200003
大年のボートくまなく青ペンキ
岩田諒
春耕
200003
沈む日や大年の今日渡り切り
宮津昭彦
200003
大年の煌々とゆく沖の船
太田寛郎
200004
大年の一匹狼などを思ふ
中原道夫
銀化
200102
大年の駅に会ひしが飲み屋でも
大熊庸介
200103
大年の桟橋に聞く錨あげ
大熊庸介
200103
塩くぢら俺の大年なりしかな
岡井省二
200103
大年の龍神祝詞洞の中
延広禎一
200103
事もあらうに大年の鉄斎忌
岡井省二
200105
大年の橋桁水を梳る
能村登四郎
羽化
200110
大年のわれの顎と犀の角
岡井省二
200111
大年の結界越す身の軽からず
竹市悠紗
京鹿子
200112
大年の己が波だつ鯨かな
岡井省二
200201
大年の清め納めし聴診器
水原春郎
馬醉木
200202
大年やハメの黒焼呑んでみい
中島陽華
200202
大年の潮目の尖る日本海
高橋あゆみ
200202
大年の老眼鏡に日のぬくみ
菅藤良子
銀化
200202
起きて食ぶのみの大年疚しからず
大塚まや
京鹿子
200202
大年の返して足らず砂時計
後藤志づ
あを
200202
大年のをとこもつとも持て余す
嵯峨根鈴子
火星
200203
大年や頭をすれすれに紙つぶて
石脇みはる
200203
大年の霧の深さの羽黒山
阿部月山子
春耕
200203
大年の月盈ち天寿讃へたる
桑田青虎
ホトトギス
200207
大年のチャイルドシートリースかな
市川伊團次
六花
200207
時空ひづみて大年の二枚貝
高橋将夫
200302
大年を掻き立つるもの胸にあり
高橋としを
酸漿
200302
大年の花活け終へし手の匂ふ
水井千鶴子
風土
200303
大年の夜空が何か言うてをる
高橋将夫
200303
半回転さす大年のシンピジウム
高尾豊子
火星
200303
凛として八ヶ岳やつ大年の位置にあり
高橋あゆみ
200303
大年の正午を指せる花時計
松下八重美
200304
大年の闇に修行の柝ひとつ
高柳かつを
百鳥
200304
大年の東京駅にまぎれをり
今井千鶴子
ホトトギス
200305
大年の胸中ふかく大落暉
藤原たかを
馬醉木
200309
大年の魚屋水で土間を掃き
細川知子
ぐろっけ
200312
大年の河遡りくる潮かな
深田雅敏
200402
大年や祝儀袋をしつらへり
石脇みはる
200403
大年の水がいいぞなマドリード
中島陽華
200403
大年の須弥壇にある埃かな
雨村敏子
200403
大年の雨の起せし苔のいろ
加藤君子
火星
200403
大年の皿に残りし目刺の頭
山田美惠子
火星
200403
どか雪も屋根に乗せたる大年や
村越化石
200403
大年や歩き疲れし靴を拭く
浜福恵
風土
200403
大年の路地をふさぎてコンテナ車
中島霞
ぐろっけ
200403
大年や悔いて返らぬものあまた
尾堂Y
河鹿
200404
大年や顔いつぱいに蒸タオル
延広禎一
200404
大年の雨乾坤を鎮めけり
柏本初代
百鳥
200404
大年の残照流る大河かな
清水雅子
栴檀
200405
大年の選りて無料の求人誌
須佐薫子
帆船
200501
大年やだだをこねたる小抽出し
櫻井白扇
春燈
200502
大年を締めくくるごと雪降りぬ
國田ヤエ子
帆船
200503
大年の相照らしあふ灯かな
高橋将夫
200503
大年の常夜燈なり仰ぎ見る
滝川あい子
雨月
200503
大年や楽屋にひびく笑ひ声
堀木基之
百鳥
200503
大年の背中を母とさすり合ふ
信崎和葉
六花
200503
大年や書斎机を二度拭いて
辻恵美子
栴檀
200503
大年や母けんめいの火吹竹
淵脇護
河鹿
200503
大年を興じボレロのオーケストラ
寺島順子
雨月
200504
大年に丸めし背中押されけり
荒川清司
遠嶺
200504
大年の灯の煌々と製パン所
菅原幸子
200504
新宿の灯や大年の玻璃越しに
吉円邦幸
遠嶺
200505
大年の鐘が響きて初詣
小林時夫
200506
大年や紐で結びしうしろ髮
吉弘恭子
あを
200602
大年の電車の中を急ぎたり
坂上香菜
200603
大年の星を競ひて楡欅
丹羽啓子
馬醉木
200603
大年の湯に膝さすり腕さすり
中上照代
火星
200603
大年の掉尾を飾る一句得ぬ
村越化石
200603
大年の別々にある臼と杵
高橋将夫
200603
大年の焚かれてゐたる菊の塵
水野恒彦
200603
大年やこまぎり野菜の五目飯
石脇みはる
200603
沿うて来し大年の沼もて余す
青山丈
200603
大年の糸こんにやくをほぐしをり
木戸渥子
京鹿子
200603
独り居に大年あつてなき如し
後藤比奈夫
ホトトギス
200607
大年の昆虫館に日の斑
大山文子
火星
200609
大年や五右衛門風呂の板を踏む
宇都宮滴水
京鹿子
200702
大年の月に韻ける奈良太郎
長谷川史郊
馬醉木
200703
大年の家中灯し老ふたり
木下ふみ子
馬醉木
200703
大年の剪り倒されし曼陀羅華
石脇みはる
200703
大年の下船のタラップ殿に
浜口高子
火星
200703
安穏の大年点す常夜燈
滝川あい子
雨月
200703
大年のシーツ真白く干されあり
前田忍
火星
200704
大年の思ひたゆたふ湯にひたる
宮崎正
ホトトギス
200705
大年や読経のとよむ永平寺
安原ときこ
遠嶺
200705
大年の車窓に迫る波がしら
長沼三津夫
200803
大年の磨きし玻璃に月のぼる
杉浦典子
火星
200804
影向の榊あり大年の鉄斎忌
竹内悦子
200804
大年の白葱二本を刻むかな
大島翠木
200804
大年の食おごらむと街に出づ
朝倉富次
酸漿
200805
大年の星降りやまず寅彦忌
小泉貴弘
筑波の道
200811
大年の天満天神寄席太鼓
中田禎子
白猪
200901
大年の繭倉に日の当りけり
石寒太
炎環
200902
大年や鳶したたかなこゑ落とし
石寒太
炎環
200903
大年の古着屋夫婦しづかなり
渡辺数子
火星
200903
大年や足腰常と変はらざる
石脇みはる
201003
大年の願人坊主の塒かな
瀬川公馨
201003
大年の赤き夕暮黒き富士
岩下芳子
201003
大年の火の道を行く山頭火
関根洋子
風土
201003
大年の散歩ついでの小買物
中村春宵子
春燈
201003
大年の須磨寺に望上りけり
戸栗末廣
火星
201004
大年のソユーズの空晴れてをり
井上静子
201004
大年の月円かなり東山
四條進
201004
穏やかに暮るる大年月まどか
岸野美知子
酸漿
201004
大年の円かな月に置く心
檀原さち子
酸漿
201004
大年の月のうてなにゐて一人
間島あきら
風土
201011
古地図手に大年の街歩きけり
能村研三
201102
大年の盥の鯉の匂ひけり
山口美貴子
火星
201103
大年の山々暮れて富士も暮る
掛江淳司
酸漿
201103
大年やワインと旅の写真集
松澤美惠子
201104
大年の旅の荷を解く薬師の湯
水谷芳子
雨月
201104
何するでなく大年に寝転がり
須藤常央
ホトトギス
201107
大年の水掃きゐたる消防署
山尾玉藻
火星
201112
何といふことなく大年越えしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201201
大年の暮るる長崎山囲ひ 荒井千佐代 201203
大年へ大磐石の奈良太郎 川井秀夫 ろんど 201203
大年や吐く息しろきこと嬉し 伊勢きみこ 火星 201203
大年の獄卒出たり入つたり 瀬川公馨 201203
大年を掛流したる旅の出湯 西川みほ 末黒野 201204
大年の奥の間に座す旅鞄 西畑敦子 火星 201303
大年の狐の穴といふを見る 大西八洲雄 万象 201303
大年やがうがうと刻過ぎゆきて 田所節子 201303
大年や背くらべをする母と子と 石脇みはる 201303
大年の玄関に干す鱶の鰭 竹内悦子 201303
大年のさざ波立てる忘れ潮 浜口高子 火星 201304
大年の雲鴇色に日の沈む 中野久雄 末黒野 201304
大年の円卓につく星明り 井上信子 201402
大年の勢ひ鎮めの炎とならむ 能村研三 201402
大年の雨や油紋の船溜り 荒井千佐代 201403
大年の水の音する粟田口 雨村敏子 201403
大年の夜となるよりの床柱 土屋草子 末黒野 201404
大年の風の収まる朝かな 湖東紀子 ホトトギス 201405
大年の駅舎を登る昇降機 大島英昭 やぶれ傘 201503
大年の鮫の背中の江戸小紋 瀬川公馨 201503
大年の月を見上げて風の中 飛山隆夫 万象 201504
大年の縁に日当る社寺縁起 矢崎すみ子 201603
大年の般若湯なり先祖 加藤みき 201603
大年の雨の六波羅密寺かな 竹内悦子 201603
大年の蕎麦屋の湯気に葱匂ふ 生田作 風土 201603
大年も灯点し頃や湾に船 土井三乙 風土 201604
大年のすとんと落ちし物の影 岩月優美子 201703
大年の空に九字切る水烟 竹中一花 201703
大年をピンクに落とす砂時計 高野昌代 201704
大年の声を重ねて魚市場 門伝史会 風土 201704
大年のありがとうで閉づ日記 布川孝子 京鹿子 201705
大年のごみ捨て三昧てふ愉悦 能村研三 201802
大年の気息に敵ふ歩幅かな 能村研三 201803
大年や母港に帰る心地せり 細川洋子 201803
大年や赤き閻魔の塵払ふ 眞田忠雄 やぶれ傘 201804
大年や我に未完の貌一つ 平野多聞 201903
大年に蓮買ひ忘れ戻りけり 柴崎和夫 やぶれ傘 201904
大年の白湯飲んでをる喉かな 雨村敏子 202003
大年の川底見せて被爆川 荒井千佐代 202104
大年の空はやぶさの還る音 大山夏子 202105
風強き大年歩幅確めて 大山夏子 202105
大年の鍬よ鎌よと磨くなり 南うみを 風土 202203
大年の鶏が国道渡りをり 荒井千佐代 202205

 

2022年12月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。