おでん 2      205句

飲めるだけのめたるころのおでんかな   久保田万太郎

作品
作者
掲載誌
掲載年月
賑はへる参道に買ふ串おでん 前阪洋子 雲の峰 200502
官軍に物申したきおでんかな 石川英利 百鳥 200502
外も好きおうちも好きよおでん煮る 林裕美子 六花 200502
地下街に四辻ありておでん酒 坂ようこ 200502
おでん屋の繁盛に言ふぼちぼちや 石田きよし 200502
情報の発信地帯おでん酒 塩川雄三 築港 200503
おでん鍋煮詰まつてゐる文学論 石城幸子 百鳥 200503
放つといてくれる店なりおでん酒 石田きよし 200503
詰めるだけつめてもらつておでん酒 飛鳥由紀 200503
看護婦を辞しおでん屋を継ぐとなり 浅井青二 雨月 200504
三代のおでんの稍の渋み愛づ 浅井青二 雨月 200504
おでん鍋言葉少なに主留守 青垣和子 雨月 200504
おでん鍋温し新聞紙にくるみ 高山志げる 築港 200504
計らずもコンビニおでん買いにけり 森一枝 八千草 200506
どこやらの女將の味よ娘のおでん 平野きぬ子 八千草 200507
訃の友と暗き酒場のおでん酒 遠塚青嵐 200507
飛竜頭の端が崩れておでん煮ゆ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200512
おでん鍋かたみにこころ温め合ふ ほんだゆき 馬醉木 200601
町内バザー焼鳥の香とおでんの香 松崎鉄之介 200601
帰国の子待ちてきのふよりおでん 斉藤裕子 あを 200601
IH(アイエツチ)使ふ火加減おでん煮る 楯野正雄 200602
おでん煮る目測り手測り勘どころ 赤木真理 ぐろっけ 200603
厄介なおでんのロールキャベツかな 成井侃 対岸 200603
妻留守の鍋いつぱいのおでんかな 大坪景章 万象 200604
献立の仕上げおでんとなりにけり 若本彰子 酸漿 200604
人生の表裏論ずるおでん酒 乗光雅子 雨月 200604
おでん食べ性悪説を説く女 坊城俊樹 ホトトギス 200605
図々しきがんも居座るおでんかな 坊城俊樹 ホトトギス 200605
おでん屋を出れば火星も酔うてをり 大槻右城 ホトトギス 200607
煮返しておでん家族のごとくあり 吉田陽代 200611
雨の暮れ相手のほしきおでん酒 谷寿枝 酸漿 200701
赤提灯に風の繰り言おでん酒 金子輝 春燈 200702
旅ばなし聞いて欲しくておでん酒 田中眞由美 ぐろっけ 200702
弟に諭されてをりおでん酒 宮村フトミ ぐろっけ 200702
おでん酒つかみどころのなき人と 飛鳥由紀 200703
おでん屋の屋台にはない女性席 前川明子 200703
青春も老いても銀座おでん酒 上田敬 遠嶺 200703
フェリー便待つてをりたるおでん酒 堀志皋 火星 200704
コンビニに湯気の魅力のおでん買ふ 嶋田摩耶子 ホトトギス 200705
絶交と言ひてまた会ふおでん酒 木場田秀俊 200705
夕滝を見つめおでんに箸を割る 山田六甲 六花 200710
傾ける床几におでん盛れる皿 山田六甲 六花 200710
飛竜頭を頼むことよりおでん酒 稲畑康太郎 ホトトギス 200712
おでんの蒟蒻ふとよぎるピタゴラス 楠原幹子 200802
外つ国の客に大受けおでん鍋 池田美佐代 200803
おでん鍋に火と灯の入りし屋台かな 緒方佳子 火星 200803
これぞ吾が三ツ星グルメおでん酒 峰尾秀之 200804
瓦斯の火の小さく揺るるおでん酒 きくちきみえ やぶれ傘 200804
メール打ちは孫の手解きおでん煮え 芝宮須磨子 あを 200804
おでん鍋丸に三角四角ある 秋千晴 200805
相席の意気投合やおでん酒 泉千穂子 200902
おでん鍋家族のやうな顔をせし 村上ひで香 炎環 200902
ちびりぐびりおでんに適ふ地酒かな 布川直幸 200903
一押しのおでんの卵女将の背 佐々木暢 炎環 200903
おでん酒イラク帰りのをとこの眼 石田きよし 200903
角少し取れたる父とおでん鍋 近藤倫子 ぐろっけ 200903
空砲のごとき体やおでん食ふ 藤幹子 炎環 200904
コンビニのおでんの話女子高生 三村八郎 炎環 200904
カラオケも弾む宴席おでん酒 米山喜久子 201001
喜びを受けて喜ぶおでん鍋 高木千鶴子 酸漿 201001
おやぢさんの頑固が好きよおでん酒 塩路五郎 201002
山男送るにおでん囲みけり 堀内五齢 春燈 201002
おでん煮る湯気やはらかき夕厨 山本誠子 201002
大袈裟にほめられてゐるおでんかな 近藤きくえ 201003
おでんの火弱めぬ窓を叩く風 小川玉泉 末黒野 201003
開店日匂ふおでんに人並ぶ 三羽永治 遠嶺 201003
春ながら未だ寒き夜のおでんかな 阿部ひろし 酸漿 201004
娘らの巣立ちて久しおでん酒 島内美佳 ぐろっけ 201005
瀧風におでんの湯気のあふられし 浜囗高子 火星 201008
幾何学模様詰めて澄みをるおでん鍋 柿沼盟子 風土 201101
こんにやくは角失なはずおでん鍋 秋千晴 201101
おでん鍋先づ大根に一の箸 芝尚子 あを 201101
団塊に七人の友おでん酒 加藤峰子 201102
雛の手に見入りたるままおでん酒 中原敏雄 雨月 201102
おでん屋の主変らぬ愛想よし 中原敏雄 雨月 201102
誕生日あれもこれもとおでん種 林美智 ぐろっけ 201102
厨房は我が砦なり炊くおでん 篠原普美子 酸漿 201102
ここだけと話の弾むおでん酒 土田亮 末黒野 201103
細枝しもとより参道に日矢みそおでん 中山皓雪 201103
大鍋で煮込むおでんに遠太鼓 三橋早苗 ぐろっけ 201201
気配りの子は八歳やおでん鍋 森下康子 201202
風なきに揺るるおでんや赤提灯 北岸邸子 春燈 201202
十歩過ぎ踵返せりおでんの灯 岡本一路 京鹿子 201202
をかしくもなきを笑まひつおでん酒 石田きよし 201203
観音に詣でついでのおでんかな 山田春生 万象 201203
日吉神社の茶屋に舌焼くおでん鍋 藤井久仁子 ぐろっけ 201203
猫舌の友集まりておでん鍋 石川裕美 ぐろっけ 201203
おでん煮る私好みの具に味に 久保晴子 雨月 201203
蒟蒻を好きと翁のおでん食ぶ 大久保弘子 雨月 201203
おでん食ふ妻はローマの空の下 塩見治郎 雨月 201203
エプロンの胸に丸窓おでん煮る 中原幸子 船団 201203
ひとり居のおでんことこと沁みし味 辻知代子 201204
おでん屋の数ほど秘法ありにける 柳川晋 201204
温もりを求めて集うおでん鍋 吉田博行 かさね 201204
かみ合はぬおでん屋の扉を力づく 岸千手 201204
大鍋におでんを作り一人なり 塚原洋子 201205
おでん煮る利尻昆布や濤聞こゆ 井上静子 201205
おでん屋の鍋にも一家言ありて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201211
おでん酒堅田の銘酒あればなほ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201211
煮崩れもおでんの味の一つとも 稲畑汀子 ホトトギス 201211
作り置くおでんに留守の二日間 稲畑汀子 ホトトギス 201212
作り置く独り住まひへ湯気おでん 渡部法子 201301
苦言呈して残る虚しさおでん吹く 川崎真樹子 春燈 201301
しみじみとひとりのおでん芥子利く 宮崎紗枝 春燈 201301
おでん屋に入るユニクロの大袋 千田百里 201301
誰彼の安否を友とおでん酒 増田甚平 ろんど 201301
おでん煮て二人兄弟仲のよき 大西八洲雄 万象 201302
差し差され生国語るおでん酒 石井勇 末黒野 201302
おでん鍋蒟蒻箸に逃げ易し 安田とし子 ぐろっけ 201302
明日食すおでん今日より煮込む我 山本久美子 ぐろっけ 201302
昔美女長命かこつおでん鍋 田中藤穂 あを 201302
隣席の話聞き入りおでん酒 江島照美 201303
教へ子に奢られてゐるおでん酒 西郷慶子 201304
夕さればおでん屋台の定位置に 橋本くに彦 ホトトギス 201304
明日もまた西高東低おでん鍋 佐瀬晶子 ろんど 201204
おでん皿の端にたつぷり練芥子 久世孝雄 やぶれ傘 201304
度忘れを互ひに笑ひおでん鍋 増田甚平 ろんど 201305
梅の苑おでんの湯気のちぎれつつ 浜口高子 火星 201305
おでん食ぶ辛子はいつも皿の角 大橋弘子 末黒野 201305
おでんの端で辛子が乾く藤の花 佐藤喜孝 あを 201307
酒田駅おでん蒟蒻振舞はれ 坂根宏子 201401
夜はおでんらしき匂ひに靴を脱ぐ 小倉正穂 末黒野 201402
毛氈におでん待ちをり十二月 蘭定かず子 火星 201402
熱燗が良いねとおでん頬張れる 土井久美子 201402
おでん鍋盛り沢山のクラス会 呂秀文 春燈 201402
おでん出汁よく浸みてゐる如意宝珠 柳川晋 201402
おでんの夜湯気に集まる子供かな 土井久美子 201402
大根に根気があるぞおでん鍋 坪内稔典 船団 201403
留守居する夫におでんを作り置く 仁平則子 201403
黄身ホロと崩れおでんの茹たまご きくちきみえ やぶれ傘 201403
おでん鍋あの日あの時あの仲間 村田岳洋 ろんど 201403
おでん屋のおでんの文字の太々と 坪内稔典 船団 201403
悪キャラがゆるキャラになるおでん鍋 波戸辺のばら 201403
ピンコロと逝く談論やおでん酒 石川寿夫 ろんど 201403
妣在らばおでんの味に何足さ 三村純也 ホトトギス 201404
縄のれん頭で割りておでん酒 金田けいし 末黒野 201404
頃合いのおでん一串負麻雀 金田けいし ろんど 201405
おでん屋に客送り込む風となる 湖東紀子 ホトトギス 201405
駅前の引力強しおでん酒 河野美奇 ホトトギス 201405
二億円動かすおでん屋の隅で 稲畑廣太郎句帳 ホトトギス 201412
おでん酒やつと本音がぽつりぽつり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201412
濁りたるおでんの出汁にある歴史 稲畑廣太郎 ホトトギス 201412
見えてきしおでんの底にあるなにか きくちきみえ やぶれ傘 201501
おでん酒母妻娘その他略 佐藤喜孝 あを 201501
斜に並む中洲屋台のおでん酒 小西和子 201502
おでん屋に郷土玩具のありにけり 宮崎高根 201502
幸せのかたちいろいろおでん鍋 栗原公子 201502
ミロの絵の赤い太陽おでん煮る 杉浦典子 火星 201502
子は天使と思うたる日々おでん酒 森下康子 201502
半間のおでん屋出汁の匂ひして 廣畑育子 六花 201503
おでん鍋箸の動きを子に添ひて 安永圭子 風土 201503
おでん酒先づ蒟蒻を食ふ男 荒木甫 201503
浅草のとつぷり暮れておでん酒 山田春生 万象 201503
妻留守の夕餉はおでん独り酌む 中野久雄 末黒野 201503
三日目のおでんの始末吾ひとり 内田梢 末黒野 201503
おでん屋の町のサンプル反りゐたる 廣畑育子 六花 201503
話合ひ終へて漸くおでんかな 唐澤春城 ホトトギス 201504
さまざまな具との対話のおでん鍋 山中サク子 201504
妹とおでんの種を取り合へる 土井穂乃佳(小六) 201504
おでんには並々注ぎてコップ酒 久世孝雄 やぶれ傘 201504
君のその気骨おでんの玉子にも 坪内稔典 船団 201505
論客にすこし離れておでん酒 岩岡中正 ホトトギス 201506
我家の具てふもありたるおでんかな 小川龍雄 ホトトギス 201508
一家に一台原子力おでん鍋 知念哲庵 船団 201508
鍋底の蒟蒻隠れておでんかな 八木健 八木健俳句集 201509
串の字は象形文字よおでん食ぶ 八木健 八木健俳句集 201509
おでん屋の決まつた席の君偲ぶ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201512
おでんの具あなたの好み当てませう 稲畑廣太郎 ホトトギス 201512
おでんの具関西風出汁関東風 稲畑廣太郎 ホトトギス 201512
おでん酒風に歪みし汽笛かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201512
おでん煮てありし安堵の遠出かな 稲畑汀子 ホトトギス 201512
おでん煮てをれば出掛けるかと問はれ 稲畑汀子 ホトトギス 201512
おでん好き銀座の路地を知りつくし 生田高子 春燈 201601
おでん屋ののれん写楽の顔でわけ 長田秀行 万象 201602
はるかなる時を縮めておでん鍋 高橋道子 201602
老いらくの悪友同志おでん酒 中島芳郎 201602
おでん煮てまた煮返して夫を待つ 臼井珊瑚 201602
たはやすく友は死ににきおでん酒 大畑善昭 201603
老境のせまる家居におでん煮る 中原吟子 雨月 201603
肋軟骨骨折おでん種十種 木戸渥子 京鹿子 201603
電飾の町の片隅おでん酒 柳橋繁子 201603
湯気たつるコンビニおでんほほばりぬ 山咲和雄 末黒野 201603
おでん煮てひと日の暇(いとま)乞ひにけり 升田ヤス子 六花 201603
雑言の憎めぬあいつおでん酒 梅村すみを 201604
優しさは人に憂ふとおでん酒 坂本徹 201604
来し方に蹉跌いく度おでん酒 懸林喜代次 春燈 201604
次の日の朝な夕なのおでんかな 森直子 あを 201604
駅裏へ小走りにしておでん酒 溝渕弘志 六花 201604
遅き子に労ふ言葉おでん鍋 高村令子 風土 201604
二次会と言うて独りやおでん酒 佐藤雄二 万象 201605
おでんの具選ぶ理由のありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201611
怪我の身におでんを炊いてくれしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201611
分身のわが影と酌むおでん酒 沼田巴字 京鹿子 201612
切りだせぬままにおでんのがんもどき 梅田千種 船団 201612
大家族でありし日のことおでん鍋 金森信子 雨月 201701
大家族でありし日のことおでん鍋 金森信子 雨月 201701
割勘の頃の懐かしおでん酒 小松誠一 201701
おでん喰ふプレスリーなど聞きながら 藤井美晴 やぶれ傘 201701
おでん酒書類カバンを股挟み 青谷小枝 やぶれ傘 201701
本心を掴めぬままにおでん煮る 木村公子 201702
ゐて欲しきひとは居らずにおでん酒 阿部眞佐朗 201702
大根のべつぴん選びおでん鍋 田原陽子 201702
おてんばの子のすまし顔七五三 峰幸子 末黒野 201702
二日目のおでんに芥子皿の縁 安藤久美子 やぶれ傘 201702
おでん食ぶ具材豊富に一人の餉 大橋晄 雨月 201703
おでん屋は老いて味よし気風よし 堀岡せつこ 201703
おでん屋へ一度は通り過ぎし歩が 藤浦昭代 ホトトギス 201704
居ぬ人を奴さんと呼ぶおでん酒 相良牧人 201704
後輩に自慢話とおでん酒 溝渕弘志 六花 201704
おでん煮て又出掛けるを問はれけり 稲畑汀子 ホトトギス 201712
おでん →3      

 

2021年1月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。