野 分 6       100句

野分してしづかにも熱いでにけり   芝不器男   定本芝不器男句集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
一輛が硝酸積んで野分の貨車 定梶じょう あを 200901
延暦寺野分の上に野分来る 鳥居おさむ ろんど 200909
マスターキー次々開けし夕野分 能村研三 200909
木屋瀬こやのせは川筋気質野分立つ 能村研三 200909
野分中よろけては鶏走りけり 山田六甲 六花 200910
仰向けの石仏微笑野分晴 坂上香菜 200911
空翔べる烏賊のはなしや夕野分 石寒太 炎環 200911
古里は町まで過疎に野分かな 小俣剛哉 春燈 200911
野分波背がへしの潮けむり 能村研三 200911
野分中炮烙焼の鯛つつく 山本耀子 火星 200911
風圧に抗ひ渡る野分橋 坂上香菜 200912
真夜灯し独り住みなる野分かな 小澤菜美 200912
野分して人間笑ふ葦である 寺半畳子 炎環 200912
海獣の打たれて潜く野分かな 寺半畳子 炎環 200912
夕野分プールにゆるるビルの影 波田野雪女 炎環 200912
九十九里われより高き野分波 菅谷たけし 200912
挑戦に耐へて野分の風力計 秋葉雅治 200912
筒切りの鯉の甘煮や野分晴 宮内とし子 200912
野分雲約束果たすためのバス 矢田部なほ子 200912
河底のトンネルを出で野分かな 廣瀬義一 雨月 200912
川も雲もひとすぢとして野分晴 豊田都峰 京鹿子 200912
人形座縛られ野分来たりけり 杉浦典子 火星 200912
まんばうの水暗みたる野分中 杉浦典子 火星 200912
野分来るたくあん噛んでゐてひとり 浜口高子 火星 200912
野分晴トーテムポールの先に鳶 松井倫子 火星 200912
草原を白く撫で行く野分かな 大西まりゑ 酸漿 200912
校庭に木々を拾ひし野分あと 黒部祐子 200912
乱れたる野を整ふる野分晴 宮木忠夫 200912
野分あと陽は光芒を草に引き 久津見風牛 201001
真田紐の湿りてをりぬ野分あと 近藤紀子 201001
真向ひに嶺画然と野分晴 木村美智穂 遠嶺 201001
地靄濃くのぼる大樹や野分あと 佐藤いね子 馬醉木 201001
入相の鐘のせかせる野分空 小宮淳子 春燈 201001
早鐘打つ胸を残して野分過ぐ 長谷川友子 春燈 201001
老い猫の遠目してをり野分あと 竹内慶子 春燈 201001
野分立つモノクロの海烈しかり 山口裕子 万象 201001
野分中力尽きたる御神木 山口裕子 万象 201001
窓の外の人に野分の来てゐたり 浜口高子 火星 201001
印南野や野分うねりし澳のあり 深澤鱶 火星 201001
全身を預け眠る子野分晴 西村節子 火星 201001
進路など決めぬ性分野分過ぐ 近藤倫子 ぐろっけ 201001
野分まつ心得しかと事はこぶ 島純子 ぐろっけ 201001
野分晴絵島沖行く高速艇 大西和子 ぐろっけ 201001
靹の津の雁木を洗ふ野分波 半田順子 馬醉木 201002
眉山より臨む大河の野分後 山口ひろよ 201002
昏れ残る西空野分過ぎにけり 齋藤朋子 やぶれ傘 201002
山河みな神に祷れる野分かな 池田華甲 201002
山際の庇のうなる野分かな 滝沢伊代次 万象 201009
野分来る予報ばかりに終りけり 稲畑汀子 ホトトギス 201009
青空を残してゆきし野分かな 稲畑汀子 ホトトギス 201009
田地蔵の頭巾飛ばせる野分かな 山内節子 201011
野分あと両手広げて深呼吸 和田森早苗 201011
縞枯の由来の山に野分来る 坂根宏子 201011
玄猿の虚空を掴む野分かな 延広禎一 201011
空洗ふやうに雲行く夕野分 安居正浩 201011
黒松が崖に突つ立つ野分浪 遠藤真砂明 201011
岬打つ力盛りの野分浪 遠藤真砂明 201011
砂肝に串打つてゐる野分あと 蘭定かず子 火星 201011
野分中夫に爪切る仕度あり 城孝子 火星 201011
麻紐がもつれてならぬ野分雲 南うみを 風土 201011
野分後も去りかねてゐる怒濤かな 濱上こういち 201011
庵の戸を叩き通して野分過ぐ 大橋晄 雨月 201011
大阪湾一気呵成に野分くる 古田考鵬 雨月 201011
さかな偏づくしの湯呑夕野分 定梶じょう あを 201011
ポケットに詰め込む小銭野分中 鶴見遊太 201012
豆腐屋の声よく透る野分あと 鶴見遊太 201012
漱石の顔の向かうの野分晴 雨村敏子 201012
野分して加藤楸邨過ぎりゆく 西村純太 201012
ジョギングの帽子目深に野分かな 佐渡谷秀一 春燈 201012
押し返す草木のうねり野分かな 秋場貞枝 春燈 201012
野分だつ醤の匂ふ木の駅舎 加藤峰子 201012
野分あと水の音するの芯 山本耀子 火星 201012
野分立つ豚のしつぽの巻きぐあひ 城孝子 火星 201012
野分跡地球の秘密隠しけり 入江節子 ろんど 201012
玻璃を打つ野分の雨の序破急に 池内結 ろんど 201012
野分来る皇帝ダリヤ折れないで 三川美代子 201101
韋駄天の一つ走りや野分晴 山根征子 201101
野分過ぐ大きな星の一つ出て 宮川みね子 風土 201101
野分晴小楢鬼の子零さざる 三谷道子 万象 201101
蜘蛛の囲の真なか細しき野分晴 城孝子 火星 201101
聖鐘のひびく港や野分晴 能美昌二郎 201101
橋の上に白き鳥ゐる野分晴 丸山照子 火星 201102
犬吠の野分の怒濤沖暗し 森清信子 末黒野 201102
雄叫びの犬吠埼や野分立つ 外山節子 末黒野 201102
野分立つ父は寝床へ早々と 石川裕美 ぐろっけ 201102
弟を偲ぶ逆髪の野分雲 山口天木 雨月 201105
流れ去る雲の迅さや野分晴 柳澤宗正 万象 201108
UFOの出たてふ空の野分雲 田下宮子 201110
ととととと鴉の歩く野分晴 涼野海音 火星 201110
野分去りうなづきあへる草と土 大坪景章 万象 201110
野分晴サーファー波を横走り コ田千鶴子 花の翼 201111
天平の螺髪仰げり野分過ぎ 塩路隆子 201111
江の島をひと日噛みつく野分波 村上倫子 201111
島唄は何にこだはり遠野分 鳳蛮華 201112
盆栽を棚より下ろす野分雲 久世孝雄 やぶれ傘 201112
持ち色を促しそめて過ぐ野分 豊田都峰 京鹿子 201112
野分雲シートベルトを喪の服に 坂場章子 201112
つやつやの糞飛火野の野分晴 山本耀子 火星 201112
野分だつ巷にひとの生き死にし 深澤鱶 火星 201112
濃き淡き鶏冠の紅や野分晴 松井倫子 火星 201112
野分→7      

 

2021年9月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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