長 閑 1     231句

長閑さや障子の穴に海見えて   正岡子規   寒山落木

作品
作者
掲載誌
掲載年月
のどかさや纜張りて漁夫仮寝 藤原輝子 春耕 199807
長閑さや風がねじ巻く花時計 望月和子 船団 199902
人疎ら七里の渡し長閑なる 稲畑廣太郎 ホトトギス 199904
徳川の世を偲びゐて苑長閑 稲畑廣太郎 ホトトギス 199904
猫丸く犬長々と寝て長閑 黒川南無観 円虹 199906
長閑なり湖に待機の消防艇 河村泰子 ぐろっけ 199908
休日の午後はマーラー長閑なり 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
工事場の音まで長閑なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200004
長閑なり朝に夕べに神祭る 藤和子 円虹 200004
喧噪の街どことなく長閑なり 藤和子 円虹 200004
黒薩摩の大甕店のどか 上原瑞子 200005
のどかなる日は白旗を掲ぐべし 渡辺鮎太 銀化 200005
手搾りの乳の匂や牧のどか 木村仁美 馬醉木 200006
豆電車まあるく走り園長閑 木内美保子 六花 200006
長閑さを来て虚子館に引き締る 福井鳳水 円虹 200007
老衰といふ死のありて路地のどか 遠藤若狭男 200008
長閑さや猫にも利き手あるらしく 中川二毫子 夏木立 200008
橋青黄船赤白茶川長閑 稲畑廣太郎 ホトトギス 200104
長閑けさの杖持て石を小突くなり 村越化石 200106
父八十路のどかに黄檗煎じをり 渡辺美知子 200106
掃除婦のハミングのどか大聖堂 刈米育子 200107
蛸壺のころがりてゐる浜のどか 鰍澤真佐子 春耕 200107
鳥影を追ふのどかさの緋毛氈 今井松子 遠嶺 200107
藤房のどかんどかんとまつぴるま 内田美紗 船団 200110
東京の大仏といふ長閑かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200203
長閑さに暮らしの音を探しをり 岩崎皓子 雲の峰 200205
一面といふのどかさの単位かな 横尾桂子 銀化 200205
異人館のどかチェス駒並ぶまま 木田千女 200207
長閑さや煉瓦倉庫のティールーム 相沢有理子 風土 200207
絵手紙展出て荒川の長閑なり 大村真佐子 遠嶺 200209
十五分停車ほくほく線長閑 稲畑廣太郎 ホトトギス 200302
風音に水音に船音長閑 稲畑廣太郎 ホトトギス 200303
平日の長閑過ぎたる都心かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200304
長閑さや元祖本舗と向かひ合ひ 長谷川閑乙 馬醉木 200305
友のどか讃岐訛をどっぷりと 阪口美枝子 雨月 200305
一斗入の陶樽ならぶ長閑さよ 戸田春月 火星 200306
光琳の蹴鞠布袋図のどかなり 林日圓 京鹿子 200306
虚子やがて長閑に語り出しさうな 蔦三郎 ホトトギス 200307
緬羊のこゑをのどかに山が容れ 島谷征良 風土 200307
長閑さや茶菓をいただく寺の縁 岡田房子 酸漿 200405
長閑さの間のびしてゐる昼下り 蔵澄茂 築港 200405
蘭学の傑物掲ぐ館のどか 久保晴子 雨月 200406
炭酸の泡湯に浸りのどかなる 鵜飼紫生 雨月 200406
門跡を迎へて華展のどかなり 竹内喜代子 雨月 200406
のどかさやかういふ時代だからこそ 出口誠 六花 200406
音はづすブラスバンドや長閑なり 三好守 風土 200406
奥志摩の長閑な波に真珠棚 小山漂葉 酸漿 200406
のどかさや水尾ひく鳥の眼の青き 大久保恵美子 遠嶺 200406
時告げる鐘の長閑に駅広場 長石肇 築港 200407
のどかさの風力発電西を向く 小田元 六花 200407
長閑なり到来ハムの縛を解き 泉田秋硯 200407
長閑かな檻に「ただ今準備中」 山田暢子 風土 200407
長き貨車のどかに影を率きつれて 橘澄男 山景 200408
ひとりなら退屈二人なら長閑 長山あや ホトトギス 200409
稚児が淵に芭蕉句碑あり海長閑 物江晴子 八千草 200410
忘れものしてものどかでありしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200503
会済めば忽ち長閑なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200504
旅長閑仕事は家に置いて来し 稲畑汀子 ホトトギス 200504
何もかも今は忘れて旅長閑 稲畑汀子 ホトトギス 200504
のどかさや堰守として鷺一羽 鷹羽狩行 200504
電車待つ人ののどかに間を置きて 宮津昭彦 200505
用ふたつありし多忙の長閑けしや 加藤君子 火星 200506
長閑さよD51に乗る晴れ男 戸田春月 火星 200506
足湯してのどかに席を詰め合ひぬ 細川知子 ぐろっけ 200506
長閑なるデパ地下二階握り飯 泉田秋硯 200507
長閑しや又聞かさるる同じ愚痴 三浦如水 ぐろっけ 200507
のどかさやしきりに動く馬の耳 三枝邦光 ぐろっけ 200507
長閑けさや庭に朝夕兎来る 河原昭子 万象 200508
開幕を長閑に待てるドームかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200509
のどかさや小便小僧服まとひ 三好かほる 万象 200509
かうはしてをれぬ刻々とて長閑 稲畑汀子 ホトトギス 200604
椰子林をのどかに洗ふメクロン河 大口憧遊 春燈 200605
島主を乗せて渡しの波のどか 佐藤いね子 馬醉木 200606

 折口父子墓

砂畑をのどかに巡り父子の墓所

北川英子 200606
公案を解かんとのどかな端に座し 豊田都峰 京鹿子 200606
島のどか大敷網を俯瞰して 竹内喜代子 雨月 200606
ショパン聴きのどかに胎の子とすごす 村上和子 ぐろっけ 200606
草の名を知るも知らずも長閑けしや 佐藤よしい 風土 200606
陸奥の桜と過ごし長閑なり 牧原佳代子 酸漿 200606
長閑さや森の中より四重奏 佐野静子 遠嶺 200608
長閑なり北向観音の朝参り 小滝奈津江 酸漿 200608
かつこ鳥のどかならざる山の跡 木下もと子 200610
老楽のレッスンのどかフラダンス 尼嵜太一郎 ぐろっけ 200610
風雨去り人の往来又長閑 稲畑汀子 ホトトギス 200703
助手席は愛犬の座や長閑なる 坂上香菜 時流 200703
長閑けさの財布拾つて貰ひけり 野路斉子 200705
二の丸のがらんと広く長閑なり 森理和 あを 200705
長閑さや歯医者に鎮と招き猫 大西淘子 遠嶺 200706
長閑けしや変わりばえせぬ口喧嘩 石川裕美 ぐろっけ 200706
龍之介仏恋文白日に安房のどか 鈴木榮子 春燈 200707
雲崗仏長閑に在し賜ひけり 松崎鉄之介 200707
長閑なり死に装束に着替へては 品川鈴子 200708
遊船の交はす汽笛の長閑なる 夏目満子 酸漿 200710
長閑さに寝てしまひけりバスの中 仁平則子 200804
茶柱が傾きかけてゐる長閑 芝尚子 あを 200805
奏でゐるピアノ旋律のどかなり 新実貞子 200806
寺のどか大人二人を迷子とし 布川直幸 200806
身代り猿郵便局にゐて長閑 田中芳夫 200807
裏富士を映して湖の長閑なる 和田一 雨月 200807
よそ者を少し迷はせ路地のどか 大久保白村 ホトトギス 200808
うをんたな長閑に鰈跳ねてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200903
のどかなる旅路となりぬ峠越え 稲畑汀子 ホトトギス 200903
長閑なる診察台でラジオ聞く 吉成美代子 あを 200903
朝刊の棋譜のどかなり逆さ文字 北尾章郎 200905
のどかなり雲影負うて野良の人 増田一代 200905
長閑なり瀟洒な午後のハーブテイー 三川美代子 200905
思ひ出のどか弁いづこ卒業期 宮田香 200905
墓前にて「初恋」唱和のどかなり 坂上香菜 200905
杉戸絵の応挙の子犬長閑なる 藤見佳楠子 200905
イヤホーンの流れのどかや美術館 中川すみ子 200905
単純を心掛ければ長閑なり 須賀敏子 あを 200905
老犬に六畳の部屋のどかなる 和田郁子 200906
江ノ電の快き揺れ長閑なる 藤見佳楠子 200906
駅名をずれて放送バスのどか 伊庭玲子 200906
長閑なり水辺に戯るる鴨親子 池田加寿子 200906
拍子木を打てば鳴き龍長閑なり 森下康子 200906
漫画館となりし廃校のどかなる 和田郁子 200906
のどかさに一つ崩れし目玉焼き 上田幸夫 ぐろっけ 200906
水牛車行く遠渚のどかなり 高谷栄一 200907
のどかなる太公望や琵琶の湖 山口キミコ 200907
かみしもと呼び合ふ村の長閑けしや 中谷葉留 風土 200907
小竿にて長閑に釣つてゐる漢 小山徳夫 遠嶺 200907
老木の洞へ長閑なひかりかな 川口襄 遠嶺 200907
赤げらの飛びたちてよりのどかな木 柳生千枝子 火星 200907
長閑けしや城を出できし人力車 戸田春月 火星 200907
のどかなり斎王代の禊の儀 高木智 京鹿子 200907
分校の児童健診長閑なり 米田正弘 200907
長閑さや花交換を垣越に 冨田君代 酸漿 200907
のどかさにある一抹の不安かな 高橋将夫 真髄 200907
生徒ほど長閑ならざり新教師 吉田耕人 ぐろっけ 200908
責任を果たし得しこと長閑かな 稲畑汀子 ホトトギス 201004
晶子歌碑ヘチンチン電車長閑なる 竹内悦子 201006
念入りに舟の手入れや沼のどか 横川良子 万象 201006
誰もかものどかな顔の良寛忌 高橋将夫 201006
石像の豚微笑みて長閑なり 佐方敏明 ぐろっけ 201006
島影や沖の白帆の長閑なる 倭文ヒサ子 酸漿 201006
波音の長閑なりける昼下り 小滝奈津江 酸漿 201006
明日香村流るる時の長閑なり 小滝奈津江 酸漿 201006
長閑なり甘えも犬の処世術 能勢栄子 201007
墨うすき魚拓や島の宿のどか 黒滝志麻子 末黒野 201007
長閑しやまたも失せ物捜し中 瀬口ゆみ子 ぐろっけ 201007
長閑さについ立寄りし手芸店 先山実子 ぐろっけ 201007
のどかなる鳥居の真中船通る 山本久美子 ぐろっけ 201008
長閑けしやときに小道の石を蹴り 有賀昌子 やぶれ傘 201008
長閑なり電波時計の狂ふほど 大沼遊魚 倭彩 201009
猫鳴いて長閑さ少し取り戻す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201103
新東京タワー長閑に工事中 稲畑廣太郎 ホトトギス 201103
降り出してのどかな雨ともういへず 稲畑汀子 ホトトギス 201104
のどかなり今も健在陀羅尼助 藤見佳楠子 201105
門柱の石像武官長閑なり 長濱順子 201105
近江野に農夫の昼餉のどかなり 前川ユキ子 201106
のどかなり猫と語らふけふのこと 能勢栄子 201106
目礼の距離にのどかさありにけり 芝尚子 あを 201106
長閑さや人来て出づる渡し舟 乙坂きみ子 末黒野 201107
溝川の流れに泡の浮く長閑 天野美登里 やぶれ傘 201107
耳遠き犬のねまりてのどかなり 松本正生 やぶれ傘 201107
長閑さにひそめる愁ひ地震の後 溝内健乃 雨月 201107
町角のカレーの匂ひのどかなり 中道愛子 201107
のどかなる音弾みゐる水車かな 五十嵐勉 201108
風止みて小鳥とび交ふ長閑なり 武智恭子 ぐろっけ 201108
スカイツリー長閑に世界一となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201203
長閑さや合格の子を送り出し 亀卦川菊枝 末黒野句集 201203
すべやかに水尾引く鳥ののどかなり 本郷宗祥 かさね 201205
標的のやうな鳥居の長閑なる 黒澤登美枝 201205
長閑けしや庭に朝夕兎来る 河原昭子 万象選集 201205
のどかさや大和屋敷の板目壁 能村研三 201205
長閑さやバリアフリーに助けられ 田下宮子 201206
長閑なる潮さす浦の小波かな 高谷栄一 201206
旅をしてもどれば琵琶湖のどかなり 原口頌子 万華鏡 201206
待つといふ長閑さにあり奈良茶粥 長谷川翠 馬醉木 201207
降り立てばさくら夙川のどかなり 蓮尾みどり ぐろっけ 201207
砲口に蓋せし三笠のどかなり 石黒興平 末黒野 201207
のどかなり欠伸している競走馬 仲田眞輔 ぐろっけ 201208
のどかさの伊勢の裏道歩きたし 中山純子 万象 201208
日溜まりにうつらうつらと長閑なり 安藤虎酔 かさね 201302
長閑とは稿債たまるばかりかな 稲畑汀子 ホトトギス 201304
旅二日長閑に過ぎてしまひけり 稲畑汀子 ホトトギス 201304
こんなにも長閑な家居なかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 201304
のどかなり筬音杼音楽をなし 塩路隆子 201306
観鳥に賑はふひと日里のどか 松田洋子 201306
生野より銀の馬車道のどかなり 松岡和子 201306
長閑けしや鼾かく犬飼いており 貝森光洋 六花 201306
長閑さや間延びのしたるちんどん屋 北尾章郎 201307
鳩降りて来るおりてくる川長閑 稲畑廣太郎 ホトトギス 201403
博多より陸奥へ嫁す旅長閑 稲畑廣太郎 ホトトギス 201403
鳩降りて来るおりてくる川長閑 稲畑廣太郎 ホトトギス 201403
ベッドの嬰の万歳あくび長閑かなり 橋本靖子 201405
白板は全てが余白のどかなり 高橋将夫 201405
とくとくと樽の醤油の長閑かな 鳥居美智子 ろんど 201405
のどかさやポッポと三つ鳩時計 コ田千鶴子 馬醉木 201405
のどかなり坊ちゃん電車行き交うて 松田洋子 201405
太陽光パネル広がる里のどか 片岡久美子 201405
長閑なる乳房のかずの子豚かな 木村稔 ろんど 201405
三月の半鐘のどか演習日 鎌田悟朗 ろんど 201406
無事終る町内総会のどかなる 粟倉昌子 201406
玻璃越しのじんべい鮫や長閑なり 鈴木礼子 末黒野 201406
どれもみな寺の飼猫のどかなり 佐用圭子 201406
のどかさや足湯に遊ぶペディキュア 二宮一知 万象 201406
のどかなりプラットホーム歩く鳩 塩路五郎 201406
のどかなり灸の看板大振りに 伊東和子 201406
細波がさざなみ誘ふ湖のどか 武生喜玖乃 雨月 201407
のどかなり町家遺構の外厠 塩路隆子 201407
長閑さの極み校庭子等見えず 溝内健乃 雨月 201407
バスのどか軒の三人村の昼 鎌田慶子 ろんど 201408
長閑しや僧は私服も黒づくめ 田代貞枝 201505
神生みし島のどかなり鳥交る 原田達夫 201505
浜名湖にサーファー紛ひ居てのどか 大橋晄 雨月 201506
枷とかれ水車のこぼす水のどか 東野鈴子 雨月 201506
長閑さに探鳥会の里巡り 安永圭子 風土 201506
のどかさや魔術師の消す鳩と美女 コ田千鶴子 馬醉木 201506
牛啼いて高麗郷ごそと長閑なり 酒本八重 201506
のどかなるもののひとつに鳶の笛 梅村すみを 201506
白雲やのどかに我が血流れたり 岩月優美子 201507
長閑なる岩塩のほろ苦きかな 前田美恵子 201507
長閑しや叩きかけをる音のして 小渕二美江 春燈 201507
長閑けしや円周率のピアノ曲 村高卯 201507
珈琲にマシュマロ浮かべ長閑けしや 有賀昌子 やぶれ傘 201508
s神池の亀の背にのる亀のどか 菊池洋子 やぶれ傘 201508
長閑かな水面に揺るる桜影 志方章子 六花 201508
古池の緋鯉の口よりのどかな詩 有松洋子 201508
長閑しやペンギンのする白き糞 津田このみ 船団 201508
朝風呂の湯を抜く音ののどかなる 大崎紀夫 虻の昼 201510
引き算に尻取りに飽きのどかなり 原田達夫 箱火鉢 201511
平日の教会といふ長閑かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
列島に鉄路伸びゆく長閑かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
しなければならぬ長閑になり過ぎて 稲畑汀子 ホトトギス 201604
何といふことはなけれど長閑かな 稲畑汀子 ホトトギス 201604
「とめ・はね」の指針多様になりのどか 成宮紀代子 201605
のどかなり常着のままの遠吟歩 能村研三 201606
菅浦よりのどかに浮かぶ竹生島 大橋晄 雨月 201607
長閑けしやくるりと曲る象の鼻 及川照子 末黒野 201607
猿芸に笑はせられて長閑なり 本郷美代子 やぶれ傘 201608
誰よりも長閑に生きてゐるつもり 木村享史 ホトトギス 201611
死に仕度一度は済ませ母のどか 高橋将夫 蜷の道 201703
のどか→ 2      

 

2021年4月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。