1    225句

蜷の道猿臂の如く曲がりけり   和田魚里   機

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蜷の道流れのなかのながれかな 岡井省二 199805
蜷の道軟骨食してをりにけり 今木偉郎 199806
蜷の道逍遥稔典姓氏論 三神あすか 船団 199811
こころざす日に候へば蜷の道 高崎武義 199903
鑑真の寺にをる蜷大きかり 延広禎一 199905
水牛の轍に遊ぶ海の蜷 上原瑞子 199905
観音にまた会ひたくて蜷の道 山尾玉藻 火星 199905
蜷の水覗きて蜷を殖やしけり 山尾玉藻 火星 199905
海蜷をつつく楊枝の使ひやう 大山文子 火星 199906
芹の水蜷に躓きては流れ 角直指 京鹿子 199906
乱数表たどれば蜷の軌道かな 宮嵜亀 船団 199907
蜷や蜷群れて洛中洛外図 延広禎一 199907
宇宙線射るとき蜷の転倒す 宮嵜亀 船団 199907
袖にする道もありなむ蜷の戀 中原道夫 銀化 200004
どこまでを寄り道といふ蜷の道 辻のぶ子 俳句通信 200004
あはうみの水足されたる蜷の桶 山尾玉藻 火星 200004
海底につづく石段蜷の群 延広禎一 200005
なんどきも急かぬは蜷の志 河合城太 銀化 200005
耳聡くゐて川蜷の水辺なり 西田美智子 200006
目高らのジグソーパズル蜷の道 西山美枝子 酸漿 200006
枝先にころばし遊ぶ蜷のみち 中村祭生 ぐろっけ 200006
月山に入る額烏帽子杭に蜷 延広禎一 200007
木洩れ日の水ナ底蜷の道静止 鵜飼紫生 雨月 200008
田の神をお連れ申して蜷田螺 ふけとしこ 船団 200011
その他は聖地へ蜷の暮れ残る 峯尾文世 銀化 200105
蜷の道気を変へたりし跡まざと 西村和子 知音 200105
蜷の道のつづき小枝で描きけり 夏秋明子 火星 200105
その先は呆けてをりぬ蜷の恋 川名将義 銀化 200106
発破音ありし真昼の蜷の水 浜口高子 火星 200106
蜷の道翳りもありて乾きをり 鈴木勢津子 200107
蜷の道人の道には係はらず 田中矢水 遠嶺 200107
蜷の道気を変へたりし跡まざと 篠田純子 あを 200107
蜷の道ひねもす愛のくづし書き 岸田爾子 200107
雨上るぽつんと石に蜷残る 森理和 あを 200107
蜷のたまご水うごくよにうごくかに 吉弘恭子 あを 200108
蜷の水射ぬくひかりのたまごにも 吉弘恭子 あを 200108
海蜷を眉か唇かと拾ひけり 岡井省二 200111
水漬きたる葉に蜷の子の五、六粒 ふけとしこ 船団 200112
蜷の道戻りし跡のなかりける 高橋将夫 200202
蜷の道かなひし恋の道ならむ 島谷征良 風土 200203
やみくもに進みし蜷の道ならむ 伊藤妙 200203
これは蜷これは田螺の道ならむ 有吉桜雲 200204
雑踏にふみこはされし蜷の道 吉弘恭子 あを 200204
鯉山の裾曲にありし蜷の道 桑田眞佐子 火星 200205
ひひらぎの長屋門より蜷の道 桑田眞佐子 火星 200205
行き合うて黙殺蜷と田螺かな 青山岬 銀化 200205
水底を縛りあげたる蜷の道 堀田恵美子 雨月 200205
昇進のことは希はず蜷の道 八條凛子 銀化 200205
黄泉よりのたまずさなりき蜷の道 天野きく江 200205
鬱勃と蜷の道あり雲に入る 木曽岳風子 六花句集 200205
馭者座への轍ありけり蜷の群 延広禎一 200206
心算のいくばくはあり蜷の道 中原道夫 銀化 200206
蜷の道水路に画く一筆画 七海笑涙 築港 200206
せめて灯を點せよ蜷の殻ひとつ 十見達也 銀化 200206
蜷の恋迷宮入りとなりにけり 梶浦玲良子 六花 200207
流れ行く泡の影に蜷動く 北嶋美都里 200207
外灯の川蜷の道くつきりと 市川伊團次 六花 200207
蜷の道ちよつと一服しやうかな 田中洋子 200207
蜷まろびまろび行方の定まらず 塚本務人 京鹿子 200208
蜷の道晩年が来る日暮来る 安達実生子 200209
蜷の道無断駐車の蜷もをり 野中亮介 馬醉木 200304
ゆるゆるといふ字のさまに蜷の道 片山タケ子 200305
ことごとく迷ひ道なり蜷の道 矢島久栄 200306
蜷の列そのどんじりに哭女 栗栖恵通子 200306
夢覚めてをらぬやうにも蜷歩む 橋本佐智 円虹 200306
水底も晴をたのしみ蜷の道 島谷征良 風土 200307
乾きゆく蜷のつぶつぶ忘れ潮 仙田孝子 風土 200307
熟考の歩みたしかに蜷の道 邑橋節夫 遠嶺 200308
この蜷は帰り新参まぶた伏せ 折橋綾子 200309
蜷でさへしかと印せり己が道 関口ゆき あを 200311
をととひのつづきの冬の蜷の道 佐藤喜孝 あを 200311
竹細工編んで無口や蜷の道 永井博光 200312
流れゆく泡の影に蜷動く 北嶋美都里 西の峰 200401
冴返るかすかに蜷の動きしか 田中佐知子 風土 200404
蜷の道ゴシック体でありにけり 近藤喜子 200405
蜷の道たどりし指の錯乱す 小林正史 200406
蜷の道流れに乗りし塵ひとつ 内藤紀子 遠嶺 200407
蜷の道とうに迷いは消えました 岸田爾子 200407
天つ日の蜷群れ壽限無じゆげむかな 延広禎一 200407
晩学の急くな急ぐな蜷の道 北圃愛子 帆船 200503
川蜷や押し競饅頭弾き出る 森理和 あを 200505
川底の蜷を拾ひてみそ汁に 渡邉友七 あを 200505
どれほどの迷ひありしか蜷の道 赤座典子 あを 200505
旧友の行方は知れず蜷の道 堀内一郎 あを 200505
蜷増ゆる天変地異の起こるやも 篠田純子 あを 200505
蜷の道捩ぢれ捩ぢれて主居らず 村梛子 築港 200505
学校に蛍小屋あり蜷の宿 早崎泰江 あを 200505
和平とは蜷の歩みの如きかな 須賀敏子 あを 200505
密密と蜷のあゆみし道いつぽん 吉弘恭子 あを 200505
亡き母とおかつぱ頭蜷の道 東亜未 あを 200505
蜷にそれぞれの筋あり水温む 浜福恵 風土 200505
蜷の道よろよろ続き蜷を見ず 定梶じょう あを 200505
蜷産る蠢く水蠆のその水に 森理和 あを 200505
細ぼそと八十路にも似て蜷の道 芝尚子 あを 200505
合併の村の小川に蜷の道 須賀敏子 あを 200505
田の中の蜷ゆつくりと日ざし浴ぶ 渡邉友七 あを 200505
天職を目指す男の子や蜷の道 斉藤裕子 あを 200505
引潮に蜷ころげ出で渚かな 長崎桂子 あを 200505
雨雲の広がりつつや蜷急ぐ 定梶じょう あを 200505
蜷に日の差し半分は夢の中 藤田輝枝 対岸 200506
蜷の道仏足石へ向かひをり 柿澤喜三郎 百鳥 200506
穴に入り穴を出でたる蜷の道 高橋将夫 星の渦 200507
蜷の道ぶぶ一杯で椀浄め 森理和 あを 200507
海蜷も川蜷も来よ槐の辺 加藤みき 200507
蜷の道戻りし跡のなかりけり 高橋将夫 星の渦 200507
天道のまだ半ばにて蜷の道 高橋将夫 星の渦 200507
蜷持ちて来たる男の無口なり 高倉恵美子 200508
蜷の道何かいはくのありさうな 塩川雄三 築港 200508
しばらくは蜷と歩むか阿修羅道 西村純 200508
蜷の水東籬の菊は分くるなし 瀧春一 菜園 200509
わがくらし規々たるは愚なり蜷の道 瀧春一 菜園 200509
陶先生田園の居に蜷を煮る 瀧春一 菜園 200509
わが前に六朝の世の蜷あそぶ 瀧春一 菜園 200509
川蜷と海蜷交ざり合ふところ 中村昭義 百鳥 200602
冬うららだるま絵を描く蜷であり 黒田咲子 200602
レオナルドダビンチめきて蜷の道 稲畑廣太郎 ホトトギス 200603
観音に会ひたくて蜷すすみをり 山尾玉藻 火星 200604
生誕の意味の一つに蜷のみち 宇都宮滴水 京鹿子 200605
呟きの聞こえてきさう蜷の道 岡崎真子 百鳥 200605
また同じところに出でし蜷の道 寺田すず江 200605
蜷の道ゆるゆる老いてゆくごとし 藤井昌治 200606
蜷あるくあひだも地球回りけり 定梶じよう あを 200606
踏み出してあとは委ねる蜷の道 冨松寛子 200606
一徹に生くる水底蜷の道 佐藤なか 遠嶺 200606
水温むクリークにある蜷の道 高倉恵美子 200607
蜷の道辿れば父郷見えてきし 笠井敦子 200607
青空を映し静もる蜷の道 大内佐奈枝 万象 200704
水底の進みやすしと蜷の道 安部和子 雨月 200705
来し方も行方も遅々と蜷の道 山口順子 馬醉木 200705
動かざる蜷囲みゐる蜷の道 笹村政子 六花 200705
完治とは云へぬ退院蜷のみち 山崎靖子 200706
浮葉影大きくうつり蜷の道 瀧春一 200706
蜷動く研究室の水槽に 田村すゝむ 風土 200707
明きらかにト音記号の蜷の道 馬越幸子 ぐろっけ 200707
観音の池に迷走蜷の道 吉年虹二 ホトトギス 200708
蜷大集合烏の落す熟れ枇杷に 森理和 あを 200708
おづおづと道を付けゐる恋の蜷 宇都宮滴水 京鹿子 200708
哲学の如くに蜷の道曲る 水谷芳子 雨月 200709
友だちを送って帰る蜷の道 火箱游歩 船団 200710
蜷の道石の回りを一ト廻り 滝沢伊代次 万象 200805
迷ひつつ蜷は己の道さぐる 中村翠湖 馬醉木 200805
蜷見んと坐せば囁く春の水 博多永楽 雨月 200806
時計塔映りて蜷の水しづか 田所洋子 雨月 200806
山祇にちよつと退れる蜷の道 浜口高子 火星 200806
道のこし蜷にもあらむ謀りごと 戸栗末廣 火星 200806
鞘当の因果と因果の蜷の道 西村純太 200807
その末のぷつりと絶えし蜷の道 長谷英夫 馬醉木 200807
落書を殖やせふやせと蜷親子 久保田美智子 200807
オカリナや幾度も蜷の潜り出て 中山純子 万象 200807
アンドロメダの涙となれる蜷の群 近藤紀子 200807
雨の日は外へ外へと池の蜷 森理和 あを 200808
蜷の道さだかに見えて秋の沼 阿部ひろし 酸漿 200812
川蜷のひそむ名水冬ぬくし 石井邦子 酸漿 200903
蜷の道二十世紀を残しゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 200903
蜷の道あとはかつてに畦越えむ 豊田都峰 京鹿子 200905
蜷の径わが句作りの日々に似て 乗光雅子 雨月 200905
蜷の道真竹の影の揺れてをり 谷村幸子 200906
寺の堀澄みて三筋の蜷の道 小原登志春 雨月 200906
ぴくりとも動かぬ蜷と根くらべ 仙石君子 雨月 200906
好きにしろと言はれてよりの蜷の道 内田美紗 船団 200906
この蜷のどこがはじまり蜷の道 田口紅子 200907
引き返すことも大事や蜷のみち 伊東恵美子 馬醉木 200907
旧道に沿ひ新しき蜷の道 有吉桜雲 200909
蜷蜂の足を残して喰はれけり 常田創 200911
晩節の試行錯誤や蜷の道 塩見治郎 雨月 201001
小春日の浅瀬に見えて蜷の角 渡邉紅華 酸漿 201003
蜷の道二十世紀を引き摺れり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201003
昨日より五糎二粍蜷の道 稲畑廣太郎 ホトトギス 201003
直ぐなるは一本もなし蜷の道 神谷さうび 末黒野 201006
川蜷を入れ蛍へ夢つなぐ 稲畑汀子 ホトトギス 201006
蜷の上に蜷ついてをり昼の月 加藤みき 201006
国東や梵字くづしに蜷の道 上谷昌憲 201006
川岸に児らの探せる蜷蛙の紐 舩越美喜 京鹿子 201007
蜷の道はじめおはりの真直なり 城孝子 火星 201007
もつれゐる我が影ぬちの蜷の道 川中佐知子 風土 201007
とび越ゆる蜷の小川の細にごり 安藤久美子 やぶれ傘 201008
考へのまたはじめから蜷の道 山尾玉藻 火星 201104
この道を行くほかはなし蜷歩む 寺田すず江 201105
太陽を一つとりこに蜷の道 神蔵器 風土 201105
干潮の船蔵跡や蜷の道 坂上香菜 201105
蜷の道上り下りのあるのやも 松田明子 201105
一本の白根走れり蜷の道 山田六甲 六花 201105
孫は就活吾は終活蜷の道 蓮尾みどり ぐろっけ 201106
一族に理系の出でて蜷蛛の紐 生田恵美子 風土 201106
大寺の溝にもつれし蜷の道 藤澤陽子 201107
略歴は三行で足る蜷の道 竪山道助 風土 201107
野を渡る学校放送蜷の道 門伝史会 風土 201107
道草の限りを尽す蜷の道 伊藤平八 末黒野 201108
堰落つる水奔らせて蜷の道 松本三千夫 末黒野 201108
秋は蜷見えず道のみ八方に 神蔵器 風土 201112
水平ら水底平ら蜷の道 稲畑廣太郎 ホトトギス 201203
蜷の道明日へ伸びてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201203
またもとにもどつてをりぬ蜷の道 豊田都峰 京鹿子 201204
はらからと覗けば昔蜷の道 井上淳子 火星 201205
巡礼の旅の始めの蜷の道 田中佐知子 風土 201205
蜷の子が日傘の影をすすみけり 山尾玉藻 火星 201205
指揮棒の先の奔放蜷の道 松本周二 かさね 201205
蜷の路開かずの門はなかりけり 松岡利秋 かさね 201206
父の忌や迷路のごとき蜷の道 熊切修 末黒野 201206
角出して蠢く蜷や放哉忌 宮口文泰 万象 201207
落合ひの川のいづれも蜷の道 岩下芳子 201207
日当りてあみだくじなる蜷の道 松山直美 火星 201207
干網にからまる蜷の空ろかな 前田恵美子 青鷹 201210
蜷の道消しこの辺り流れ急 稲畑汀子 ホトトギス 201303
田芋田に迷ひあらはや蜷の道 渡真利真澄 万象 201304
蜷道のうねりの続く細小川 辻井ミナミ 末黒野 201305
寄るべなく曲がって蜷が道つくる 定梶じょう あを 201306
蜷の道紫女の描きし恋幾許 塩見英子 雨月 201306
戛々と歩きしあとか蜷の道 水野恒彦 夢寐 201306
蜷の道身をひきずりし跡ばかり 藤丸誠旨 春燈 201312
蜷の道行きつくまでの右顧左眄 竹貰示虹 京鹿子 201403
遠回りしてもええやん蜷の道 稲畑廣太郎 ホトトギス 201403
蜷の道とは羅馬へも続けるか 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
蜷の道混み合うてゐて交はらず 南うみを 風土 201405
交はるも交はらざるも蜷の道 松本三千夫 末黒野 201406
川幅を使ひ余せり蜷の道 松本三千夫 末黒野 201406
絵画展にふるさとを見る蜷の道 井上静子 201406
戻ることなき道つけて蜷進む 片山喜久子 雨月 201406
遍照金剛水底に蜷這ひしあと 浜福惠 風土 201406
幅同じ謎の地図めく蜷の道 上原重一 201406
ひた歩む蜷に問ひたしいづこへと 長沼冨久子 馬醉木 201407
蜷の道パズル組み立てゐたるかな 廣畑育子 六花 201407
ふる里の空は群青蜷さがす 森理和 あを 201407
蜷の道馬頭観音へと続く 田中佐知子 風土 201411
鉛筆の片減りたどる蜷の道 小山和男 京鹿子 201501
蜷 →2      

 

2021年2月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。