涅 槃 4    100句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
涅槃図や吾も嘆きの一人にて 辻直美 200605
涅槃図に突く赤い顔青い顔 斎藤くめお 対岸 200605
涅槃寺酌婦の墓も詣でけり 横田初美 春燈 200605
涅槃会の支度木魚を引き出だす 蓮井崇男 対岸 200605
涅槃会の細木に羽毛ついてをり 中島陽華 200605
寝足らへるここち涅槃図拝しけり 服部早苗 200605
新墾の草に影生る涅槃の日 松井志津子 200605
補聴器に涅槃の嘆き聞きもらす 八田マサ子 馬醉木 200605
涅槃図に夜半の波音近づき来 荒井千佐代 200605
涅槃図のどこか動いてゐる気配 安田青葉 対岸 200605
涅槃図の中すくすくと木の育つ 斎藤くめお 対岸 200605
一巻の涅槃図かかげ守る僧 野口みどり 酸漿 200605
大杉の注連縒り強し涅槃寺 岡崎桂子 対岸 200606
許されて猫も画中に涅槃寺 有働亨 馬醉木 200606
涅槃絵図髪逆立てて鬼泣ける 綿谷美那 雨月 200606
涅槃会の和讃唱和の鈴澄めり 山本康夫 200606
涅槃会の潮に透けたる礁かな 荒井千佐代 200606
涅槃図に影といふものなかりけり 一尾久子 200606
風上に金屏風あり涅槃像 岡崎桂子 対岸 200606
海見えて波の音なき涅槃かな 竹内悦子 200606
涅槃図や肋あらはに僧侍る 綱徳女 春燈 200606
畦塗つて一村涅槃月夜かな 神蔵器 風土 200607
涅槃図に母の坐れる場所さがす 服部郁史 京鹿子 200607
涅槃図の向うに来世ありにけり 塙告冬 ホトトギス 200608
階段に濡れあと涅槃月夜かな 南一雄 200609
石像の涅槃にふれて灯の涼し 谷村幸子 200610
涅槃図のなげく涙は描かざる 竹下陶子 ホトトギス 200610
涅槃図に描かれぬものの嘆きあり 竹下陶子 ホトトギス 200610
くすぶれる一柱胸に涅槃の夜 浅田光代 風土 200611
楠の葉のやはらかな照り涅槃寺 浅田光代 風土 200611
青白き僧の守りゐる涅槃絵図 大橋麻沙子 雨月 200612
小春めくステンドグラスに涅槃像 木村茂登子 あを 200701
口ぐちに寒さ労はり涅槃寺 鈴木政子 200702
涅槃図の最も実ける己が干支 鈴木政子 200702
仏教高校涅槃図拡ぐ体育館 鈴木榮子 春燈 200703
山上に稲荷山下に涅槃寺 須出紅三郎 200703
喉仏涅槃会の餅いただけり 村越化石 200704
涅槃図へ鹿の鳴きたる寒月夜 小林成子 200704
涅槃図の余白に月の出でにける 栗栖恵通子 200704
空腹のさやかなるとき涅槃かな 近藤喜子 200704
地獄絵とまがふ古びし涅槃変 あさなが捷 200705
丹田に気をため見つむ涅槃絵図 安達実生子 200705
空酒や涅槃のこゑを雪に聴く 小宮山勇 遠嶺 200705
金盥に蝋燭浮かす涅槃寺 斎藤紀子 200705
生野菜ばりばりと食す涅槃の日 岩月優美子 200705
涅槃図を包みし布といふを見る 百瀬七生子 海光 200705
涅槃図を大きく回し担ぎゆく 百瀬七生子 海光 200705
涅槃図の末座最も慈悲深し 中嶋昌子 春燈 200705
涅槃寺古き町にて行き合はず 鈴木榮子 春燈 200705
涅槃会や居眠る姿に銅鑼の音 古田考鵬 雨月 200705
涅槃図へもうよそゆきの足はこび 戸田和子 200705
涅槃図に燭一本の立てるなり 浅野惠美子 酸漿 200705
涅槃図の象の大きな涙かな 松本勢津子 万象 200705
地嶽の圖美しかりし涅槃かな 瀧春一 200706
大涅槃図に大雲竜の対す堂 植村よし子 雨月 200706
詣でねば一年の悔涅槃仏 植村よし子 雨月 200706
涅槃哭く象は鼻先高く揚げ 山口速 200706
匍ふものに河童も居たり涅槃像 瀧春一 200706
旅先の御堂にありし涅槃の図 今井松子 遠嶺 200706
涅槃図に重ぬる面輪夕ざるる 植村よし子 雨月 200706
耳鳴りのして涅槃図を離れけり 柳生千枝子 火星 200706
影といふもの涅槃図に描かれず 山口速 200706
山里へ涅槃の風の海よりす 窪田佳津子 雨月 200707
涅槃会や釈迦の鼻くそ巾着に 木田千女 200707
よよと泣き地を打ちて哭き涅槃像 木田千女 200707
涅槃図の月は巻かれて隠れけり 中条さゆり 200709
貝殻の山につままづく涅槃かな 浅田光代 風土 200711
寝ころべば涅槃の思ひ大花野 塩出博久 風土 200712
涅槃会の明かりの中にゐたりけり 雨村敏子 200801
涅槃石落葉散華を享けてをり 南奉栄蓮 風土 200802
川上へ舟流さるる涅槃かな 山田六甲 六花 200803
大鯉のぶつかり合へる涅槃かな 伊藤白潮 200804
涅槃図に居ずまひ正す佛学徒 塩路隆子 200804
怒る眼も混じつてゐたる涅槃絵図 柴田佐知子 200804
涅槃図の蹠をさする一人あり 品川鈴子 自選句集 200805
涅槃図の見えぬところに火焔あり 小澤克己 遠嶺 200805
涅槃寺御近所衆に無沙汰詫ぶ 宮城菊子 200805
涅槃会の鳶が大きく空つかふ 杉浦典子 火星 200805
籾殼の水面を走る涅槃かな 南うみを 風土 200805
さくと足雪に沈みし涅槃かな 石脇みはる 200805
賽銭を固握りして涅槃経 岡野峯代 ぐろっけ 200806
墨の香のどことはなくてお涅槃会 島谷征良 風土 200806
春はあけぼの肘枕して涅槃像 林いづみ 風土 200806
眼を閉ぢしまま見そなはす涅槃像 山口速 200807
慟哭の絵図に婆泣く涅槃寺 木田千女 200807
涅槃絵の前に立ちたる尿意かな 斎藤弘行 遠嶺 200807

 悼小倉恵都子

万緑の真つ只中に涅槃かな

神蔵器 風土 200807
戯画抜けし鳥獣参ずや涅槃絵図 柴崎甲武信 月日 200811
から拭きの雑巾白し涅槃寺 柴崎甲武信 月日 200811
雪洲より五代と書けり涅槃絵図 林日圓 京鹿子 200901
等伯の涅槃図滑車にて吊す 林日圓 京鹿子 200901
石鎚山を仰げる雨の涅槃かな 山田六甲 六花 200903
涅槃図の百足虫の足の百嘆く 竹貫示虹 京鹿子 200903
擂鉢に床鳴りゐたる涅槃寺 山田六甲 六花 200903
涅槃図の揺るるを釈迦の寝息とも 鷹羽狩行 200905
哭くものを哭かしめ涅槃し給へり 天野みゆき 風土 200905
坐して仰ぐ十二畳敷涅槃絵図 鷹羽狩行 200905
大灘の雲の重たき涅槃の日 佐久間由子 200905
噴煙の雲に入りたる涅槃かな 若井新一 200906
涅槃図を拝する若き足の裏 大山文子 火星 200906
涅槃 →5      

 

2021年3月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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