4       200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
泥葱をさげて夕日の中通る 本多俊子 200902
到来の大名葱に風通す 鈴木とおる 風土 200902
風音の聾学校の葱畑 河崎尚子 火星 200902
葱大根育つ赤塚散歩圏 久米憲子 春燈 200902
葱負ふて男が行くよ日暮どき 折橋綾子 200902
葱刻む軽ろき音せり今朝は晴 上田幸夫 ぐろっけ 200902
ビルの影斜めにかかる葱畑 廣瀬雅男 やぶれ傘 200902
葱焼いてとつくんとくとく酒日和 布川直幸 200903
葱蕪大根揃ひ去年今年 石脇みはる 200903
初霜や囲ひし葱の上の土 遠藤逍遙子 風土 200903
葱畝の深さに日差届きけり 荒井和昭 200903
産地の名掲げて葱の白八分 久本久美子 春燈 200903
葱引くや三山むかし争ひぬ 南恵子 万象 200903
根深葱掘られし跡も陽の中に 大島英昭 やぶれ傘 200903
長靴に葱打ちつけて泥落す 吉村摂護 200903
難題は山積み葱は小刻みに 長谷川青雅 春燈 200904
税務署の封書届けり葱刻む 平野みち代 200904
足早に付けず嵯峨野の葱畑 小林玲子 ぐろっけ 200904
大名葱火山灰の黒土囲ひけり 生田恵美子 風土 200904
葱畑の畝の深さに日の射せり 長谷川幸恵 酸漿 200904
土寄せし畝黒々と葱畑 青木民子 酸漿 200904
介護とは葱の匂ひになじむこと 久米なるを 200905
葱埋めて用のなき日と思ひけり 齋藤厚子 200905
たましひの水底にゐて葱きざむ 直江裕子 京鹿子 200905
農協の葱を背負ひて梅見かな 中里信司 酸漿 200905
会釈して葱を束ぬる手を止めず 藤井美晴 やぶれ傘 200905
雨粒を払ひて葱を買ひにけり 萩原すみ 春燈 200905
先頭もしんがりも無き葱畑 森さち子 200906
十年のここやかしこに葱人参 陽山道子 船団 200906
葱抜けば畝の切り立ち砦とも 坂本節子 200908
葱活けて土の初めのつやつやす 辻美奈子 200912
さやさやと揺れ並びある葱畑 ことり 六花 200912
葱提げて大仏の前通りけり 鷹羽狩行 201001
裏側に近道のある葱畑 あさなが捷 201002
日々草食婚記念日に葱焼いて 山中宏子 201002
葱の芽の糸のやうなり藁の下 藤澤陽子 201002
荷造や子に酒饅と葱と菜と 城戸愛子 酸漿 201002
風邪薬とてたつぷりと葱刻む 設楽唱子 酸漿 201002
葱の根に泥鰌の口が付いてゐる 佐藤喜孝 あを 201002
葱を買ふ無人販売棚田道 山口キミコ 201003
葱その他盛られ整然鍋用意 北尾章郎 201003
何事も初心者にして葱洗ふ 田中涼平 201003
庖丁にさつと気の抜け葱の剣 中田みなみ 201003
持ち畠守る町なか葱太る 小野寺節子 風土 201003
ぶつ切りの葱に映りてゐる炎 根橋宏次 やぶれ傘 201003
人の世や葱刻む音と味噌の香と 佐々木良玄 春燈 201003
鍋囲み深谷九条と葱談議 内藤呈念 ホトトギス 201005
葱抜くに力あまれり鳥の恋 城孝子 火星 201005
葱を買ふ浅間を指呼の道の駅 土田亮 末黒野 201005
霜げたる秀のみな折れて畝の葱 石垣幸子 雨月 201005
文殊寺の裏は長葱畑かな 瀬島洒望 やぶれ傘 201006
もんべはき葱売りの来てゐたりけり 萩原すみ 春燈 201006
深葱や裏山を撃つ発破音 間島あきら 風土 201011
葱割いて厨は妻の玉手箱 布川直幸 201012
長城に触れて来し掌よ葱きざむ 小澤利子 201101
花束のごと葱一束を貰ひけり 國保八江 やぶれ傘 201101
葱一本買ひ足す用をふやしけり 佐藤信子 春燈 201102
不意打ちの葱鉄砲や漱石忌 神蔵器 風土 201102
初霜に甘くなりたる大名葱 鈴木とおる 風土 201102
巡礼宿塀に太葱立てかけて 浅田光代 風土 201102
太りつつ日が山に没る葱畑 杉浦典子 火星 201102
葱の畦向かふところに赤城山 白石正躬 やぶれ傘 201102
灯台守二タ畝の葱育てけり 松橋利雄 春燈 201103
貸農園小葱と換ふる根深かな 永島雅子 春燈 201103
葱提げて煩悩の歩の前のめり 清海信子 末黒野 201103
葱抜けば明日の香り怒濤なす 神蔵器 風土 201103
近道を下れば大名葱の里 鈴木とおる 風土 201103
色のなき村に際立つ葱畑 原田達夫 201103
明け渡す名残の畑や葱を抜く 井上幸子 酸漿 201103
久びさに葱ぬたの味祖母偲ぶ 富田ヒナ江 201104
食卓の伏せし頁に葱一片 吉田希望 201104
葱を膝に小さく座るバスの席 國保八江 やぶれ傘 201104
下仁田の葱を土産に提げて来る 上林富子 やぶれ傘 201104
レジ袋に葱をつつ立て男かな 西村節子 火星 201104
葱畑に届く日差しのやはらかし 山口裕子 万象 201105
葱屑の小さき山に日と風と 大崎紀夫 やぶれ傘 201105
明け渡す名残の畑や葱を抜く 井上幸子 酸漿 201107
薬では治らぬことや葱刻む コ田千鶴子 花の翼 201111
謝つてしまへば葱の甘かりし 細川洋子 201202
上州の冷えもつつみて葱届く 林昭太郎 201202
葱一把立て掛けてあり試着室 林昭太郎 201202
葱青く浮かぶ舟塚山古墳 鈴木阿久 201202
おだてにはすぐに乗る性質(たち)葱刻む 古井公代 ぐろっけ 201202
離宮苑葱の畑も借景に 三輪慶子 ぐろっけ 201202
ゴム長の逆さに干され葱畑 杉浦典子 火星 201202
フルートの音のごとく葱白かりき 山田六甲 六花 201202
傷負はぬほどに愛して葱刻む 柴田佐知子 201203
開戦の日のしみじみと葱青し 片山博介 春燈 201203
一行詩仄めき欲しき葱を引く 水野恒彦 201203
葱刻む今朝の光となりにける 中貞子 201203
葱畑と言ふほどもなき葱に雨 清海信子 末黒野 201203
いつせいに葱の高さを渡る風 松田泰子 末黒野 201203
一人鍋の葱の甘さや夫の留守 小田嶋野笛 末黒野 201203
葱の香に郷想ひをりビル酒場 安田一郎 京鹿子 201203
風に耐え下仁田葱やいよ太し 中田寿子 ぐろっけ 201203
立ちばなし葱の匂ひし作業服 林哲夫 ぐろっけ 201203
畝高く葱を囲うて大和かな 中道愛子 201204
泥葱を呉るる男のぶつきらぼう 濱上こういち 201204
妻きらふ葱こそうまし鍋料理 中原俊之 201204
湯豆腐に深谷の葱の色加ふ 清海信子 末黒野 201204
野火止堀真中に菜畑葱畑 田中礼子 万象 201204
尾根風のきのふとちがふ葱囲ふ 仲井タミ江 京鹿子 201204
深谷葱九条葱とて京市場 安原葉 ホトトギス 201205
オムレツやたつぷり青き葱入れて 橘正義 春燈 201205
九条葱添へ兜煮の出来上がる 品川鈴子 ぐろっけ 201205
流れゆく水より青し葱一本 神蔵器 風土 201205
起きなさい葱は葱です白いです 中原幸子 船団 201206
青葱に蛍を入れて遊びしと 仙石君子 雨月 201209
葱きざみ置きつつ何にでも使ふ 稲畑汀子 ホトトギス 201212
味噌汁へ今日満足の刻み葱 竹貫示虹 京鹿子 201212
葱雑炊なんぞに涙することも 山尾玉藻 火星 201212
土積みて土つみて葱育てをり 坂根宏子 201302
到来の下仁田葱の泥拭ふ 笠井清佑 201302
黙々と葱を刻みて返事せず 石川かおり 201302
隣り合ふ大根の畝葱の畝 丑久保勲 やぶれ傘 201301
泥付きの葱・蕪置ける舟屋口 山本耀子 火星 201302
店先の葱の芯まで冷えてをり 赤座典子 あを 201302
焼葱の甘さ覚えぬ俄か主夫 小川玉泉 末黒野 201303
葱届く四半世紀の絆にて 山本茂子 末黒野 201303
如意棒のごとくに葱を鷲掴み 石崎浄 風土 201303
太葱を刻みゐて世を遠くせり 浅田光代 風土 201303
寄せ鍋や小走り買ひの葱一把 久保東海司 201303
葱刻む生れ育ちも下町で 東野鈴子 雨月 201303
葉葱てふ水をひかりに洗ひけり 小幡喜世子 ろんど 201303
白無垢の葱をはぐくむ畝の闇 石川寿夫 ろんど 201303
土手道を下り日暮れの葱畑 大崎紀夫 やぶれ傘 201303
観音堂へ道問うて葱給はりぬ 浜福惠 風土 201304
葱の泥十指をまとふ祖母の昼 伊藤希眸 京鹿子 201304
葱育つ里に蛇綱の杜ありて 大竹淑子 風土 201305
暁闇や葱白々と横たはる 大湾宗弘 万象 201305
トロ箱に泥葱埋けて寮母住む 原友子 201304
葱刻むことに慣れたり朝厨 小川玉泉 末黒野 201305
母の忌を済ませ葱苗植ゑにけり 亀田やす子 ははのこゑ 201306
堆肥積む葱直角に折れしまま 川井雪乃 万象 201306
葱切って葱の話を終わらせる 原ゆき 船団 201306
葱の香を嗅ぎをりホモサピエンス 水野恒彦 夢寐 201306
菜園の端は折れ伏す葱の場所 古林田鶴子 ぐろっけ 201307
葱の葉の買ひ物籠に曲がりをり きくちきみえ やぶれ傘 201401
焼き葱の舌焼く程に甘さ増す 小菅美代子 ぐろっけ 201401
思ひ返して葱畑を遠まはり 風間史子 201402
俎板を楽器のごとく葱刻む 堀上一成 馬醉木 201402
赤葱を売る深川のお縁日 田中藤穂 あを 201402
つんつんと天差すここな葱畑 中島昌子 201402
地軸より生きる証の葱を抜く 鴨下昭 201402
ぶつ小口斜め細切め葱楽し 荒井慈 春燈 201402
葱刻む無骨な夫の厨かな 鰭崎洋一 末黒野 201403
葱汁や浄土は心の中にあり 後藤マツエ 201403
葱畑にシャベル真つすぐ立つてゐる 大島英昭 やぶれ傘 201403
すくすくと葱伸びあがる通学路 羽賀恭子 201403
赤城の泥纏ひて届く葱の束 山本茂子 末黒野 201403
九条葱畑に影すガスタンク 大山文子 火星 201403
遥かなるスカイツリーや葱育つ 田原陽子 201403
不意うちの葱鉄砲や桂郎忌 神蔵器 風土 201403
葱と傘立てかけてある勝手口 吉川隆 春燈 201403
葱洗ふ郵便受けに子の手紙 工藤ミネ子 風土 201404
葱抜くや人の生死にかかはらず 神蔵器 風土 201404
切れ味の鈍き包丁葱の白 久世孝雄 やぶれ傘 201404
男の背リュックに葱の直立す 佐々木秀子 201404
歯科医院の庭に一坪葱畑 神山市実 やぶれ傘 201406
葱ひと皮ふた皮剥きて旅ごころ 上野紫泉 京鹿子 201407
風評の葱に寄り添ふ卒寿かな 鴨下昭 201405
泥葱を買ひ泥葱として埋む 齋藤厚子 201405
いつよりか母に代りて葱刻む 水谷文謝子 雨月 201501
桂郎に葱鉄砲をふい打ちす 神蔵器 風土 201501
手庇に見る土手下の葱畑 藤井美晴 やぶれ傘 201501
雨の夜の葱の甘さや独り鍋 中村紀美子 春燈 201502
葱の香のわれの立派な鼻を打つ 藤丸誠旨 春燈 201502
葱買ひに急ぐ道沿ひ葱畑 懸林喜代次 春燈 201502
武蔵野や切先揃ふ葱畑 森岡恵子 万象 201502
葱洗ふ天領の水荒使ひ 奥井あき 201502
堰止めて膨るる水に葱洗ふ 奥井あき 201502
葱刻む俎板碧く染まりけり 秋田典子 六花 201503
返事してまだ振り向かず葱刻む 柴田佐知子 201503
九条葱香りと音の朝餉かな 岸上道也 京鹿子 201503
自転車の前後に子供籠に葱 山本無蓋 201503
朝市や手秤で売る葱の束 石川倜子 馬醉木 201503
ある日真砂女葱の高値を嘆じけり 安住敦 春燈 201503
裏山に日のあたり初む葱畑 太田良一 末黒野 201503
自転車の荷台とび出す葱の束 豊谷ゆき江 春燈 201503
葱の味母のしつけの懐かしき 丹羽武正 京鹿子 201504
人死んで葱の切り口ひそと伸ぶ 直江裕子 京鹿子 201504
一畝の分葱そよそよ春近し 鳥居美智子 ろんど 201504
あの頃と云へば戦中葱雑炊 佐川三枝子 201504
恋人の去りて残りし葱二本 津田このみ 船団 201505
葱買ってこれや五分の渡し船 神蔵器 風土 201505
下仁田の葱のあまさや舌焼いて 菅野日出子 末黒野 201505
川沿ひの真上好みの千寿葱 赤岡茂子 春燈 201505
葱刻む娘と妻の和解音 村田岳洋 ろんど 201505
畝に敷く新藁の香や葱作り 関桂二 201504
歩行者天国泥葱背負つて歩きけり 児玉有希 京鹿子 201506
葱畑の先にごみ焼く煙かな 渡邉孝彦 やぶれ傘 201506
葱屑の小さき山に日と風と 大崎紀夫 虻の昼 201510
葱刻む厨より朝明けて来し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201512
をととひはすでに遠き日葱洗ふ 田中藤穂 あを 201601
照り翳る山の畑の葱太し 加藤季代 万象 201602
厨守りて終世葱の香とありぬ 窪田佳津子 雨月 201602
葱刻む前に後に猫の声 亀井紀子 201602
俎板にしむる青さの葉葱かな 山田六甲 六花 201602
九条葱包むや葉先折れぬやう 柿沼盟子 風土 201603
葱育つ錨星よりしづくして 林いづみ 風土 201603
日課なる母への電話葱刻む 中嶋陽子 風土 201603
大年の蕎麦屋の湯気に葱匂ふ 生田作 風土 201603
赤葱を買ふ深川のお縁日 田中藤穂 あを 201603
自転車の葱の匂ひとすれ違ふ 松田泰子 末黒野 201603
これやこの神在り葱を買ひて吉 塩貝朱千 京鹿子 201604
朝まだき葱束降す神楽坂 古川夏子 201604
行くたびに余白の増ゆる葱畑 山本無蓋 201604
嫌ひな葱みじんに叩く夕明り 田部井幸枝 201604
泥ふるひ葱五六本括りけり 鎌田光恵 201604
夕間暮れ人待ち顔に葱刻む 風間史子 201605
分葱つつみきし故郷の新聞紙 松田泰子 末黒野 201606
葱の花の帽子のボンボンにする 森理和 あを 201607
食卓に酢の匂ひけり分葱饅 田中臥石 末黒野 201607
不揃ひのそのままが好き葱の花 近藤喜子 201607
自転車の荷台にゆれる葱の束 佐藤まさ子 春燈 201702
現し世の長葱一本買ひにけり 青柳雅子 春燈 201702
葱育て不平不満は聞き流す 松本鷹根 京鹿子 201702
葱刻むリズムありけり四季の歌 中貞子 201702
葱すこし畝に残れる夕鴉 秋山信行 やぶれ傘 201703
葱を買ふ午後の散歩のかへりみち 藤井美晴 やぶれ傘 201703
一刀流道場前は葱畑 大崎紀夫 やぶれ傘 201703
一と畝を余し山家の葱畑 谷村祐治 雨月 201703
葱を掘る久那斗の神に背を向けて 谷村祐治 雨月 201703
葱の泥しごく間に入る夕日かな 黒滝志麻子 末黒野 201703
自家用のひと畝のこる葱畑 菊池洋子 やぶれ傘 201703
ぶつ切りの葱どつさりと葱鮪鍋 菊池洋子 やぶれ傘 201703
ナップザックに葱突つ立てて男過ぐ 木村美翠 201703
葱深く伏せて世情に疎くをり 林昭太郎 201703
九条葱豊かに盛られ京の旅 松本胡桃 風土 201704
葱→5      

 

2021年11月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。