夏座敷 3   208句

はるかより這うて来る子や夏座敷   岸本尚毅

作品
作者
掲載誌
掲載年月
近松の女をとほす夏座敷 小堀寛 京鹿子 200908
腕白の側転決まる夏座敷 笠井清佑 200909
対面の本堂横の夏座敷 数長藤代 200909
午後からの声の良く出る夏座敷 加藤峰子 200909
幼子の安らぎ眠る夏座敷 平照子 酸漿 200909
故郷の風を入れをり夏座敷 田中浅子 200910
哺乳瓶抱へごろんと夏座敷 金井香ル 200910
風鎮の微かに揺れる夏座敷 加藤克 200910
風圧を感ずる大人(うし)と夏座敷 延広禎一 200910
山を背に男の正座夏座敷 折橋綾子 200910
亡き夫の碁盤黙せり夏座敷 西出俊子 酸漿 200910
すつぴんの向かひ合ひたる夏座敷 新井みゆき 炎環 200910
無為ひと日風と遊べる夏座敷 島ひろし 末黒野 200911
夏座敷魑魅魍魎の来てをりぬ 近藤紀子 200911
子の声の転がり合ふや夏座敷 黒澤登美枝 200911
碁敵を填め手で負かす夏座敷 高橋泰子 200911
父祖よりの衝立外し夏座敷 松下信子 万象 200911
京都かな昼なお灯す夏座敷 貝森光洋 六花 200911
海越しに望む立山夏座敷 石原光徳 酸漿 200911
つつがなき友垣集ふ夏座敷 大澤洋子 酸漿 200911
子と客の杓子定規や夏座敷 三谷ゑい 末黒野 200912
山よりの風美しき夏座敷 伊藤敬子 200912
添削指導建具はづして夏座敷 品川鈴子 ぐろっけ 201006
誰もまだ膝をくづさず夏座敷 片山由美子 201007
赤ん坊とり囲みたる夏座敷 田中藤穂 あを 201007
山の宿女ばかりの夏座敷 三川美代子 201009
背開きの魚は加賀ぶり夏座敷 宮内とし子 201009
少女にも箸置ありて夏座敷 松田泰子 末黒野 201009
百幹の竹の匂ひや夏座敷 中島ひろし 末黒野 201009
補聴器を付けて勤行夏座敷 畑田増江 春燈 201009
夏座敷広げる鉾の設計図 西村雪園 風土 201009
夏座敷家族のごとき古ミシン 鳳蛮華 201009
竹林に風の来て居る夏座敷 廣瀬雅男 やぶれ傘 201009
御真影長押に掲ぐ夏座敷 白石善子 雨月 201009
通されて水音ひびく夏座敷 片野美代子 酸奬 201009
戦記物読み返しゐる夏座敷 青山正英 201010
夏座敷写真の母になりゐたり 加藤みき 201010
一輪を生けてもてなす夏座敷 中野京子 201010
夏座敷白寿ヘハッピーバースデイ 笠井敦子 201010
父も母も看取りしはこの夏座敷 谷田部栄 万象 201010
夏座敷大樹の風の音通す 天野梅花 ろんど 201010
沢よりの風先づ褒めて夏座敷 名取袿子 201011
海風に山風も来て夏座敷 嶋田一歩 ホトトギス 201012
一人ゐることの広さや夏座敷 嶋田一歩 ホトトギス 201012
夏座敷のこして富士を見に庭に 嶋田一歩 ホトトギス 201012
風の通り道ここにも夏座敷 足立幸信 201012
生ぬるきバナナいただく夏座敷 白石正躬 やぶれ傘 201012
駒形のどぜう屋奥の夏座敷 稲垣佳子 末黒野 201104
招かざる客の羽音も夏座敷 稲畑廣太郎 ホトトギス 201105
夏座敷戸の手当たりに爪の痕 山田六甲 六花 201105
襖絵の鯉が跳ねたる夏座敷 岩木茂 風土 201108
生き延びて庭を見てゐる夏座敷 松嶋一洋 201108
海見える上座を夫に夏座敷 高橋泰子 201108
仰臥する腹上を風夏座敷 年森恭子 ぐろっけ 201108
鮎菓子の三十二匹夏座敷 すずき巴里 ろんど 201108
筆太の一字一幅夏座敷 岸本久栄 雨月 201108
家具の向き変へて風呼ぶ夏座敷 吉田美智子 末黒野 201108
風抜ける京の町家の夏座敷 塩路五郎 201109
グラビアを風のなぶれり夏座敷 松本三千夫 末黒野 201109
婚礼の遠き昔や夏座敷 大橋伊佐子 末黒野 201109
風通ること何よりの夏座敷 上原恒子 雨月 201109
句の色紙紺地金粉夏座敷 松本三千夫 末黒野 201110
夏座敷に入るやいきなり光る海 七田文子 201110
夏座敷足をくづして人を待つ 吉村さよ子 春燈 201110
茅葺のくらしのちらと夏座敷 吉田節子 ホトトギス 201111
裏山の風吹き入るる夏座敷 柴田志津子 201111
一刻を水音とあり夏座敷 間島あきら 風土 201111
掛軸は日々是好日夏座敷 栗原京子 201112
分針は動かぬ時計夏座敷 小堀寛 京鹿子 201112
青墨の匂うてゐたる夏座敷 志方章子 蟋蟀 201203
水音に畳青みぬ夏座敷 志方章子 蟋蟀 201203
忍野泊の真向ひに富士夏座敷 三川美代子 201208
言葉つくして食べる兜煮夏座敷 黒澤登美枝 201208
夏座敷自問自戒をする正座 中島玉五郎 201208
借景も女将の自慢夏座敷 高瀬博子 六花 201208
柿渋の臭気のぬけぬ夏座敷 福本すみ子 201209
リフォームに仮物置の夏座敷 笠井清佑 201209
墨客の庭を見てをり夏座敷 松本信子 かさね 201209
寝ころべば山と空のみ夏座敷 秋千晴 201209
上席の僧待つばかり夏座敷 北川英子 201209
木の間経て海へ筒抜け夏座敷 千田百里 201209
箒持つ亡母の姿夏座敷 松木清川 ぐろっけ 201209
山菜の九品盛りや夏座敷 降幡加津 ろんど 201209
畳屋の物指は尺夏座敷 笠井清佑 201210
蔓のもの這はせ青風夏座敷 国包澄子 201210
手をついて迎へられたる夏座敷 樋口みのぶ 201210
百年の調度の据る夏座敷 宮井知英 201210
夏座敷今日には今日の風入れて 関根瑤華 201210
真向ひに石鎚据ゑし夏座敷 松本恒子 ぐろっけ 201210
襖取り夏座敷より裏庭も 江木紀子 雨月 201210
渚まで樹海見下ろす夏座敷 森理和 あを 201210
好きなだけどう転んでも夏座敷 松田都青 京鹿子 201211
お茶を乞ふ声太き客夏座敷 栗原京子 201210
眼福に真帆片帆あり夏座敷 酒井秀郎 返り花 201211
大の字になれば昭和の夏座敷 白水良子 201211
鹿の角掛けて山家の夏座敷 松田明子 201211
弁慶の睨みの押し絵夏座敷 有賀昌子 やぶれ傘 201301
通夜の闇浜風とほる夏座敷 長島清山 かさね 201307
夏座敷釈迦も仕給ふ肘枕 熊川暁子 201310
花生けの竹筒青し夏座敷 松本周二 かさね 201310
仏弟子が帯持て余す夏座敷 福島せいぎ 万象 201310
山水の軸も適ひて夏座敷 服部珠子 雨月 201310
風通るところ夫の座夏座敷 村上悦子 雨月 201310
川音の微かに聞こゆ夏座敷 石橋萬里 ぐろっけ 201310
片づけて夫大の字や夏座敷 辻井ミナミ 末黒野 201311
奥の間の鏡台ちらと夏座敷 山田六甲 六花 201309
大入りの鯉の掛軸夏座敷 松木清川 ぐろっけ 201311
母に真似踊つてくれる夏座敷 今井忍 ぐろっけ 201311
いぐねより青き風入れ夏座敷 佐藤いづみ ろんど 201311
夕風の気配となりぬ夏座敷 すずき巴里 ろんど 201311
君逝きて蔵書蔵書の夏座敷 竹内喜代子 雨月 201311
仙台平の給仕は凛と夏座敷 篠田純子 あを 201406
乳飲子の万歳寝する夏座敷 上林富子 やぶれ傘 201407
柱時計鳴りて窮りし夏座敷 藤田素子 火星 201408

 丸山佳子追悼

夏座敷灯ともすころの愁ひかな

鈴鹿仁 京鹿子 201408
夏座敷どうぞお平にと云はれ 瀬島洒望 やぶれ傘 201408
飛行機王知久平偲ぶ夏座敷 鈴木石花 風土 201408
語らひの祖霊に触れて夏座敷 北川孝子 京鹿子 201409
九十四歳祝ひ集ふや夏座敷 小島と志 春燈 201409
機智に富む法話に拍手夏座敷 渡部法子 201409
阿武隈の川音通る夏座敷 吉田克美 ろんど 201409
夏座敷に世界遺産の和食かな 阪本哲弘 201409
陶片の箸置ひとつ夏座敷 藤井彰二 馬醉木 201409
国原の風を馳走に夏座敷 市村健夫 馬醉木 201409
庭よりの風正面や夏座敷 豊田都峰 京鹿子 201409
結納の請書代筆夏座敷 津田富司 201410
先師の句葛布にかけて夏座敷 伊藤由良 末黒野 201410
木の札のろの三なりし夏座敷 竹中一花 201410
寺紋入りの茶菓のもてなし夏座敷 山本漾子 雨月 201410
篁の風のねぎらひ夏座敷 和田幸江 春燈 201410
あぢさゐは和菓子の名前夏座敷 志方章子 六花 201410
大皿の万里の波濤夏座敷 辻本俊子 京鹿子 201410
ひとしきり心を放ち夏座敷 岡野里子 末黒野 201411
竹林のさやぎにとろむ夏座敷 根本公子 末黒野 201411
金色の東山なり夏座敷 中田禎子 201411
夏座敷今生いきいき語り次ぐ 北川孝子 京鹿子 201411
夏座敷畳をすべる月の影 河島坦 京鹿子 201411
夏座敷コツプ二つで足りる午後 小山和男 京鹿子 201501
四角にも丸にも使ふ夏座敷 稲畑汀子 ホトトギス 201507
何一つ置かぬ贅沢夏座敷 白神知恵子 女坂 201508
ひとすぢの香煙揺らぐ夏座敷 丸山美奈子 馬醉木 201509
夫婦して子ねずみを追ふ夏座敷 白石正躬 やぶれ傘 201509
夏座敷ポツリと置かる黒電話 秋川泉 あを 201509
兄弟は大勢がよし夏座敷 宮川みね子 風土 201510
浜風に誘はれてをり夏座敷 前田美恵子 201510
地ビールや紬の町の夏座敷 田中たつを 雨月 201510
老犬の寝る小屋見ゆる夏座敷 吉村さよ子 春燈 201510
夏座敷目だけ動いていたりけり 火箱ひろ wep俳句通信 201510
ちちははに見守られゐし夏座敷 野村鞆枝 京鹿子 201511
何となく只二人居る夏座敷 藤波松山 京鹿子 201511
碁仇の白寿祝へり夏座敷 小野弘正 末黒野 201511
松風の縁より上がる夏座敷 山田佳乃 ホトトギス 201512
夏座敷部屋かけぬけし幼き日 野村鞆枝 京鹿子 201512
整然とグラス伏せられ夏座敷 栗原京子 201512
スカートで胡坐をかいて夏座敷 小山陽子 やぶれ傘 201607
居眠りも元気の証し夏座敷 細島孝子 末黒野 201608
膝少し崩して待てり夏座敷 渡辺やや 風土 201609
紐をひき灯す生家の夏座敷 斉藤マキ子 末黒野 201610
琴の音に風抜けてゆく夏座敷 小山ほ子 末黒野 201610
もてなしの玉露味はふ夏座敷 延川五十昭 六花 201610
氷裂文の小皿の並ぶ夏座敷 瀬川公馨 201611
夏座敷無我にはなれぬ俄か趺坐 元橋孝之 京鹿子 201611
見ゆるものみな季語京の夏座敷 森なほ子 あを 201610
膝少し崩して待てり夏座敷 渡辺やや 風土 201701
夏座敷犬は平たくなつてゐる 秋月祐一 船団 201702
ひとりごと嵐が持ち去る夏座敷 黒滝志麻子 末黒野 201708
シャンデリア吊り古民家の夏座敷 柴山久子 風土 201708
筆太の沙門の大書夏座敷 岩下芳子 201708
夏座敷壁に溥傑の愛の詩(うた) 内海良太 万象 201708
母卒寿琴さらふ夏座敷かな 小林のり人 春燈 201708
裏山の風のもてなす夏座敷 茂呂昇平 201709
将棋盤かかへてくる子夏座敷 菊池洋子 やぶれ傘 201709
夏座敷一陣の風吹きぬけて 安齋正蔵 やぶれ傘 201709
迷ひ来る蝶を目で追ふ夏座敷 岡田香緒里 やぶれ傘 201709
双方の親子一礼夏座敷 あさなが捷 201709
遠海の潮風寄する夏座敷 茂呂昇平 201710
朝粥の木匙の軽さ夏座敷 市ケ谷洋子 馬醉木 201710
空間と時間しかない夏座敷 高橋将夫 201710
女子会の笑ひあふるる夏座敷 持田信子 春燈 201710
建増しの風よく通る夏座敷 大内佐奈枝 万象 201710
灯を消して風を招きて夏座敷 服部珠子 雨月 201710
坊守の和顔したしき夏座敷 川村欽子 雨月 201710
世迷言風の畳めり夏座敷 佐藤喬風 末黒野 201710
去りがたし古民家園の夏座敷 原和三 末黒野 201710
筒抜けに風を遊ばす夏座敷 伍島繁 201711
夏座敷鯉の跳ねたる音耳に 土井三乙 風土 201711
あの答へやはりあれでは夏座敷 藤波松山 京鹿子 201711
屏風絵は深山幽谷夏座敷 青木朋子 201802
その中に猫の定位置夏座敷 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
夏座敷虚子の座りし凹みかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
夏座敷大きな卓のあるばかり 柴田佐知子 201807
まず正座そしてあぐらや夏座敷 榎本ふじえ 風土 201808
掛軸に無の字の大書夏座敷 大矢恒彦 201809
東山連山借景夏座敷 本池美佐子 201809
技絶えし老舗に広き夏座敷 森村江風 201809
青邨の掛時計打つ夏座敷 市村明代 馬醉木 201809
薄墨の一書を掲げ夏座敷 田中藤穂 あを 201808
あすなろの地を這ふ下枝夏座敷 黒澤次郎 六花 201810
弔ひの客絶えにけり夏座敷 竹内文夫 六花 201810
ただひとりねころぶままや夏座敷 小林文良 春燈 201810
夏座敷→ 4      

 

2021年8月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。