夏座敷 2  100句

足音のひと現れず夏座敷    桂信子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
川越えて夕日さし込む夏座敷 田中千枝子 対岸 200311
祝ひごと済みて雑魚寝の夏座敷 北原瑞枝 遠嶺 200311
開放ち本堂といふ夏座敷 宮沢千恵子 200311
好きずきにごろ寝のあたま夏座敷 林美智 ぐろっけ 200311
歩行器の跡残しけり夏座敷 阿部敬子 百鳥 200312
どんど橋のつなぐ水屋は夏座敷 山田をがたま 京鹿子 200401
亡夫の齢越えたり広き夏座敷 中村禎子 八千草 200401
大藁屋三つ間つづきの夏座敷 山田翠 八千草 200401
いしぶみの紙型を置き夏座敷 能村研三 滑翔 200402
アンモナイト置きて海とす夏座敷 辻雅子 ぐろっけ 200408
夏座敷軸は亡き師の蛍の句 木下慈子 馬醉木 200409
もう何も置かぬと決めし夏座敷 武井美代子 万象 200409
遠来の友と弾めり夏座敷 吉原理夫 対岸 200409
二胡の音を聴きて微睡まどろむ夏座敷 大場フサ子 京鹿子 200409
八寸の柱の光る夏座敷 下平しづ子 雨月 200409
風鎮の房のゆるやか夏座敷 中家桂子 築港 200409
大の字になれる幸せ夏座敷 国包澄子 築港 200409
夏座敷寝つく子の床定まらず 大杉千津子 築港 200409
夏座敷父の枕が置いてあり 大杉千津子 築港 200409
夏座敷建具外してをりにけり 大杉千津子 築港 200409
この旅を明日に繋げる夏座敷 瀬下るか 200409
眼前に天守を望み夏座敷 伊藤妙 200410
つつぬけに川風過ぐる夏座敷 東芳子 酸漿 200410

 細見綾子生家

弘法茶なるをいただく夏座敷

中川晴美 雲の峰 200410
朝刊を大きくひろげ夏座敷 藤原時子 雨月 200410
人の来し声筒抜けの夏座敷 吉田眞弓 雨月 200410
もてなしの山風入れて夏座敷 前田陽子 200411
潮の香の嬰を迎へる夏座敷 大槻球子 遠嶺 200411
開山の真筆の軸夏座敷 佐野和子 栴檀 200411
何も置かぬ机が一つ夏座敷 内藤ゑつ ゑつ 200411
中国檀香をくゆらす夏座敷 伊藤白潮 200506
夏座敷サヨナラ劇に燃えてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200507
ちちははの二枚の写真夏座敷 木下野生 200507
夏座敷山野草展開け放ち 南静子 築港 200508
前菜の酢に喧びけり夏座敷 岡谷栄子 200509
夏座敷出でし料理は烟のやう 小澤克己 遠嶺 200509
アルバムを開きしままや夏座敷 早水秀久 河鹿 200510
父の背にはいどうどうと夏座敷 今中道子 200510
掛軸に大きな余白夏座敷 江川和彦 200510
蕉翁の小机一つ夏座敷 木暮剛平 万象 200510
夏座敷隣りの猫の足の跡 水野範子 ぐろっけ 200510
茣蓙枕一つ転がる夏座敷 橋本貞二 酸漿 200510
おのづから風の道あり夏座敷 出口賀律子 雨月 200510
竹林に風の生まるる夏座敷 山下とし子 万象 200511
ありなしの風に真向ふ夏座敷 清水ミツコ 200511
恰幅を褒められてをり夏座敷 近藤真夫 遠嶺 200511
拭き掃除広しと思ふ夏座敷 北島上巳 酸漿 200511
雨情今も住むかに夏座敷 西島みね子 八千草 200601
山の雨となりつつ宵の夏座敷 瀧春一 常念 200606
夏座敷時計の音の大きかる 滝沢伊代次 万象 200606
立つたびに波頭見え夏座敷 関口道代 200607
夏座敷親子の絆碁石いし囲み 内田エミコ 四葩 200609
夏座敷竹籠に生く夕霧草 安井和子 200609
夏座敷戦車のごとく嬰が這ふ 吉村摂護 200609
風新た拭き清めたる夏座敷 刈米育子 200610
弾痕の残る本陣夏座敷 木暮剛平 万象 200610
松籟の身を透けてゆく夏座敷 小山徳夫 遠嶺 200610
板前の剃りあと青き夏座敷 横松しげる 遠嶺 200610
父母の忌や話の尽きぬ夏座敷 金山千鳥 酸漿 200610
早く来てひとり占めたる夏座敷 あさなが捷 200611
日本間は何も置かざる夏座敷 稲畑汀子 ホトトギス 200707
招き入るる風の賓客まらうど夏座敷 秋葉雅治 200708
夏座敷夫の鼾にリズムあり 斉藤裕子 あを 200708
ど真ん中大の字に寝る夏座敷 川越昭子 万象 200709
夏座敷抜けしお軽の酔ひざまし 石田康明 春燈 200709
畏まる膝の並びて夏座敷 高倉和子 200709
呪文よみ失せものいでし夏座敷 的場うめ子 ぐろっけ 200710
点茶盤設へ茶家の夏座敷 木村茂登子 あを 200710
襖絵の雁を閉ぢ込む夏座敷 田村すゝむ 風土 200711
懐かしきこと語り合ふ夏座敷 三宅照一 遠嶺 200711
丸見えの男体山や夏座敷 阿久津勝利 万象 200712
白楽天の軸掛かりたる夏座敷 西川操 200802
正面に里山据ゑし夏座敷 豊田都峰 草の唄 200805
置かざるを旨としてより夏座敷 豊田都峰 草の唄 200805
夏座敷虚子在せしはこの辺り 稲畑廣太郎 ホトトギス 200807
茶撫でひとり座れる夏座敷 ことり 六花 200807
饒舌となりし主や夏座敷 金田美恵子 ぐろっけ 200807
大の字で天下取る夢夏座敷 上田幸夫 ぐろっけ 200807
沢音の縁より上る夏座敷 林いづみ 風土 200808
反物を波打たせ巻く夏座敷 田下宮子 200809
金杯を飾る処なし夏座敷 澤田緑生 馬醉木 200809
記憶より狭き生家の夏座敷 高橋ちよ子 200809
詩の一書あれば好しとす夏座敷 平野伸子 馬醉木 200810
山水の音の中なる夏座敷 山田万里子 200810
十年の時空の話題夏座敷 渡辺安酔 200810
くろがねの茶釜の座る夏座敷 加藤克 200810
六尺の大時計鳴る夏座敷 井島郷雲 万象 200810
ふるさとや母のみ足りぬ夏座敷 太田佳代子 春燈 200810
信濃路や風ふきぬけし夏座敷 高村和子 春燈 200810
外客は礼儀正しき夏座敷 伊吹之博 京鹿子 200810
百歳の背骨垂直夏座敷 木村佳寿江 炎環 200810
畳拭き風通りゆく夏座敷 鈴木良子 酸漿 200810
正面に鹿の角据ゑ夏座敷 神谷耕輔 200811
間仕切を取払ふのみ夏座敷 網野茂子 酸漿 200811
僧語る戊辰のいくさ夏座敷 國保八江 やぶれ傘 200811
夏座敷家紋を彫りし釘隠し 渡邉孝彦 やぶれ傘 200811
檸檬汁垂らして水を夏座敷 ことり 六花 200907
竹林の掻きまぜし風夏座敷 北尾章郎 200908
夏座敷正客甘きものを断つ 久保田由布 ぐろっけ 200908
夏座敷→3      

 

2021年8月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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