夏野/夏の野 1     231句

多摩川の河原の内の夏野かな    松本たかし

作品
作者
掲載誌
掲載年月
天馬いづこ朱鳥を慕ひ来し夏野
中杉隆世
ホトトギス
199901
糞まれば東西南北大夏野
宮嵜 亀
船団
199902
わが視野に遠嶺のありて夏野道
小澤克己
遠嶺
199905
雑草も彩りとなる夏野かな
稲畑汀子
ホトトギス
199906
鳥一羽過りしのみの夏野かな
小澤克己
遠嶺
199907
夏野より敗者を一人送り出す
中原道夫
銀化
199907
夏野行く少年母を脱ぎ捨てて
岡崎るり子
銀化
199907
己が身の何と小さき夏野かな
伊藤一歩
いろり
199908
夏野原微熱のなかを彷徨す
佐藤康子
遠嶺
199909
そばかすの少女駆け行く夏野かな
辻享子
六花
199909
点滴のスタンド引いて白い夏野
柳生正名
海程
199910
夏野より活けてくさぐさなりしかな
稲畑汀子
ホトトギス
200006
駆け抜けて雨の夏野でありにけり
稲畑汀子
ホトトギス
200006
雑草を醜草とせず夏野行く
稲畑汀子
ホトトギス
200006
踏み込みて行けば近道なる夏野
稲畑汀子
ホトトギス
200006
面影の歩いて行きし阿蘇夏野
稲畑汀子
ホトトギス
200007
病み付きになりたる三瓶大夏野
稲畑廣太郎
ホトトギス
200007
縮尺の夏野たたみて獨りなり
中原道夫
銀化
200007
大夏野老人ばかり置去りに
保坂さよ
いろり
200008
種付を終ふ牛跳ねし大夏野
畑中とほる
春耕
200008
幾尾根を越えて夏野を近くせり
吉野のぶ子
八重櫻
200008
夏野行く髪の中まで風満たし
千手和子
馬醉木
200009
雲一つはふり上げたる夏野かな
関根洋子
風土
200009
雲を生む夏野の末のはかりごと
豊田都峰
京鹿子
200009
夏野ゆく刻甦り翻り
木内憲子
200009
真先の放鳥夏野を駆けて風
清水節子
馬醉木
200010
大夏野豆粒ほどの牛となり
市橋章子
ぐろっけ
200010
反芻の牛の体内のよう夏野
丹生千賀
海程
200011
ヨーデルの山に夏野にこだませる
落合絹代
雨月
200011
旅果てて洗ひざらしの夏野原
能域檀
船団
200102
真つすぐに伸びる單線大夏野
遠藤和彦
遠嶺
200107
鳥影を眩しみ立てる夏野かな
大串章
百鳥
200108
木の玩具ころがつてゐる夏野かな
辻享子
シャガールの女
200108
寝ころべば地球の親し夏野原
土岐明子
遠嶺
200109
スケッチの五人家族や大夏野
中田尚子
百鳥
200109
岩点々羊点々大夏野
村松紅花
ホトトギス
200110
大夏野より真つ白な駿馬かな
小澤克己
遠嶺
200110
大夏野しなやかにゆく騎馬少女
今井松子
遠嶺
200110
ダフニスとクロエの駆ける夏野かな
山田禮子
遠嶺
200110
ハイカーの影も緑に夏野ゆく
長島惠吉
遠嶺
200110
夏野にて燦と死なばや空蒼き
亀田愚風
銀化
200110
牛歩む夏野の果や海ひかる
藤村美津子
春耕
200110
聲もろともものを言ひたる夏野かな
岡井省二
200110
子のこゑの透る夏野となりにけり
吉田明
200110
はるかなる人の輪郭夏野暮る
柴田いさを
船団
200110
兄の服繕ろう夏野はてしなく
日下敬
船団
200110
如意輪観音夏野さながら歩のような
稲田豊子
海程
200111
風に居る夏野にガラスの椅子置いて
宮嵜亀
船団
200112
戦場を何も知らざり大夏野
柴田いさを
船団
200202
気に入らぬ色捨てに行く夏野かな
池内せつ子
六花句集
200205
馬運車を見送る夏野風生るる
相沢有理子
風土
200208
酸素カート引きて夏野を横切れり
保田英太郎
風土
200208
五つ六つ岩つきいでし夏野かな
石脇みはる
200208
面影の夫は夏野の星となり
菊池育子
遠嶺
200209
観音に耳穴ふたつ夏野かな
近藤きくえ
200209
天邊は缺けねどさう鳴く夏野かな
中原道夫
銀化
200209
大夏野身より白馬の駆け出せり
小澤克己
克己句集
200209
少女らは光る斑となり夏野駈く
松村富子
200210
歌声が炎を囲む夏野かな
田中聡子
遠嶺
200210
ハーレーダビットソン夏野の茜曳いてきし
吉田島江
火星
200210
油絵のやうな夏野へ下り立ちぬ
藤原絹子
百鳥
200211
この夏野よすがとしたる句碑ならん
桑田青虎
ホトトギス
200302
赤牛の前脚を折る大夏野
伊藤白潮
200307
真黒く機関車過ぎし夏野かな
内藤玲二
200308
いさぎよく雨の過ぎゆく大夏野
下平しづ子
雨月
200309
夏の野に分け入る四肢でありしかな
天野きく江
200309
句碑を抱く夏野光に包まるる
稲畑汀子
ホトトギス
200406
俯瞰して夏野の広さ余りけり
稲畑汀子
ホトトギス
200406
ひそやかに草食む羊夏野かな
田澤初枝
遠嶺
200408
靴底の片減りしたる大夏野
加藤峰子
200408
渡し舟着きしところも夏野原
恒川絢子
対岸
200409
吹かれ立つ嵐ヶ丘の夏野かな
中里カヨ
酸漿
200409
平凡は不易に通ず大夏野
永田歌子
遠嶺
200410
一本の大樹を据ゑし夏野かな
遠野萌
200411
頂上といふ明るさに夏野行く
稲畑廣太郎
ホトトギス
200506
きしきしと夏野の草を踏んでをり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200506
どこまでも夏野の果のなき如く
稲畑汀子
ホトトギス
200506
落日の音なく染める夏野かな
黒澤千世
帆船
200507
夏野の川跳び越したしや跳べよと声
大高芭瑠子
炎夏
200507
還暦を過ぎて開けし夏野かな
高橋将夫
200508
たつぷりと食べそれからの夏野かな
近藤喜子
200508
放牧の夏野貫く絹の道
神田美穂子
万象
200508
蒼茫の夏野わが影濃く長し
川口襄
遠嶺
200508
しらじらと夏野や迷ふ隈も無く
渡邊千枝子
馬醉木
200509
風車あるゲーテ街道大夏野
丸山勝利
遠嶺
200509
宮跡に宮柱立つ夏野かな
河合佳代子
栴檀
200509
鼻唄に水車も和する夏野かな
松井洋子
ぐろっけ
200510
フルートが誘ひし風や夕夏野
穴澤光江
遠嶺
200510
夏野みなゆれて田園交響楽
大石たか
遠嶺
200510
鼻先を貘の通りし夏野かな
田中藤穂
あを
200510
夏野行くアンデスの笛腰に下げ
田中敬子
百鳥
200511
シベリアへ長き鉄路の夏野かな
山本喜朗
雨月
200511
紙皿のクロワッサンや夏野原
吉野のぶ子
遠嶺
200608
夏の野に塩舐める牛口忙し
野澤光代
ぐろっけ
200609
大夏野駆くる牧夫の長き鞭
寺沢千都子
万象
200610
人をみな優しくさせる夏野かな
島元文
遠嶺
200610
トロイアの夏野遙かに海光る
大西裕
酸漿
200610
飛ぶものも靡けるものも夏野かな
稲畑汀子
ホトトギス
200706
愛称で孫に呼ばるる夏野かな
中島玉五郎
200707
放しある牛は夏野の点となる
藤井佐和子
200708
はるか来て風車の群れの夏野かな
稲嶺法子
遠嶺
200708
夏野中父の匂ひをたどりけり
山尾玉藻
火星
200708
鳶に鳶おそひかかりし夏野かな
大東由美子
火星
200708
ジェット機の音絶え間なき夏野かな
熊岡俊子
雨月
200708
行く雲と旅してゐたり大夏野
平田すみ子
風土
200709
大空へ両手ひろぐる大夏野
柳澤道子
万象
200710
ラベンダー夏野を染めて紫に
安陪青人
雨月
200710
夏野原締め直したる靴のひも
生井慶子
万象
200711
さきたまや夏野に浮かぶ古墳群
金井充
百日紅
200711
夏野へとボール抱へて走り込む
三井孝子
六花
200711
糸杉の道の起き伏し大夏野
藤本章子
200712
いにしへの火の匂ひせり大夏野
丸山照了
火星
200801
陸軍の歩きつくせる夏野かな
谷山花猿
頂点
200806
帰り来し子を夏野ごと抱きしむる
小澤克己
遠嶺
200807
会者定離共に夏野を駆けしとも
小澤克己
遠嶺
200808
気がつけば草の香まとひゐて夏野
近藤きくえ
200808
死に近きたましひ淋しがる夏野
辻美奈子
200808
果てしなき夢の中なる大夏野
大口憧遊
春燈
200808
夏の野に山岳警備のログハウス
能村研三
200809
灯を消して夏野八方わが胸に
安立公彦
春燈
200809
山刀が先頭行きし夏野かな
飯塚恵美子
炎環
200809
ちちの声知らず入りゆく夏野かな
栗栖恵通子
200810
角笛の聞こえてくるか大夏野
近藤喜子
200810
師の弓に金鶏よ来れ大夏野
小山徳夫
遠嶺
200810
直言に道ひらけゆく夏野かな
大曽根育代
遠嶺
200810
童心のはためきゆけり夏野原
佐藤午後
炎環
200810
放たれて吾も亦風となる夏野
水田むつみ
ホトトギス
200811
凸凹の夏野足元より暮れし
石脇みはる
200907
杖と言はずステッキと言ひ夏野かな
延広禎一
200908
口笛のをりふし近く夏野かな
近藤きくえ
200908
天と地の風の饗筵夏野かな
小林宙太
炎環
200908
ブーメラン発止と受くる夏野かな
相良牧人
200908
ローマヘと向かふ夏野の続きをり
内藤秀子
200908
夏野原鬼のなりてが居らぬらし
川南隆
ろんど
200908
句境得て五十路の果ての夏野行く
小澤克己
遠嶺
200909
大夏野白たしかなる一騎駆く
小山徳夫
遠嶺
200909
うぶすなの夏野の端の葬かな
荒井千佐代
200909
こごまれば見えてくるもの夏野かな
櫨木優子
200910
夏野来て抱くこの嶺この宇宙
小澤克己
遠嶺
200910
牧舎へと黒牛つづく大夏野
今井松子
遠嶺
200910
明暗と陰陽の濃き夏野かな
高橋将夫
200910
夏野来て次の夏野へ踏み入りぬ
平居澪子
六花
200910
夏野駆け少年鳥となりゐたり
東良子
遠嶺
200911
大夏野地球の丸さ見失ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201007
夏野原影曳きずって熱気球 田中藤穂 あを 201007
放たれて夏野に牛の喜声かな 仁平則子 201008
繋がれて犬が夢見る夏野かな 大木清美子 201008
落日や夏野に長き葬の列 高橋泰子 201008
夏の野のどこをどう来し出逢ひかな 和田政子 201008
靴脱いで夏野の端つぽ踏んでみる 村上倫子 201008
棘を持つものにも花や夏野原 伊藤トキノ 201009
雨後の道ゆくてにわかに夏野めく 渡邉友七 あを 201008
佇つ人の老子に似たり夏野原 片山博介 春燈 201009
痩せすぎの児に食欲や大夏野 白髭美佐子 201010
月上げて平城宮址といふ夏野 川村文英 ろんど 201010
大夏野葉裏返しの風渡る 久染康子 201010
今日の宿マッチ箱ほど大夏野 鈴木浩子 201010
夏野ゆく恨みに似たる想ひあり 木村茂登子 あを 201010
三ツ峠指呼に夏野の芭蕉句碑 岡野里子 末黒野 201012
戻るには歩きすぎたる夏野かな 布川直幸 201108
雑草という名の畠夏野原 鎌田悟朗 ろんど 201009
貸馬に二人乗りして大夏野 柴田良二 雨月 201109
行雲の音なき縺れ大夏野 成田美代 201110
まつ白く雲の湧き継ぐ夏野かな 苑実耶 201110
思ひきり歌ふ童謡大夏野 菅澤陽子 春燈 201111
放牛の尻輝けり大夏野 岡崎伸 遠眼鏡 201203
木の幹に赤げら見えて大夏野 小林愛子 辻楽師 201206
どこからか夏野に人の現るる 佐藤喜孝 あを 201207
棒のごと一級河川置く夏野 高橋あさの 201208
ただ青き夏野となりて人を呼ぶ 安立公彦 春燈 201208
わが声の四囲に消えゆく夏野かな 安立公彦 春燈 201208
日の匂ひ草の匂ひの夏野かな 鈴木セツ 201209
夏野きて夜は舟すべるやうに寝る 近藤喜子 201209
特牛なだめて夏の野に入りし 竹中一花 201209
雨雲のたなびきてゐる夏野かな 鈴木一広 201209
牛の嫌ふ花々誇る夏野かな 谷口俊郎 201210
喪ごころにあまりに青き夏野かな 川端俊雄 火星 201210
一方へ雲のうごける夏野かな 白石正躬 やぶれ傘 201211

 頭の中で白い夏野となつてゐる 窓秋

頭の中が白い夏野になつてゐる

高橋龍 201212

 頭の中で白い夏野となつてゐる 窓秋

頭の中は白い夏野でなつてゐる

高橋龍 201212

 頭の中で白い夏野となつてゐる 窓秋

頭の中で白い夏野はなつてゐる

高橋龍 201212

 頭の中で白い夏野となつてゐる 窓秋

頭の中に白い夏野となつてゐる

高橋龍 201212

 頭の中で白い夏野となつてゐる 窓秋

頭の中と白い夏野がなつてゐる

高橋龍 201212
夏野原ふと圏外に出てしまう 火箱ひろ 船団 201301
夏野から去年の返事を待ちわびる 北川美美 201304
光茫の夏野に誰も入るまじ 北川美美 201304
夏の野に赤い眼をした犬をみた 北川美美 201304
濁流や夏野の脇をとほりけり 北川美美 201304
割れたての石の息吸ふ夏野かな 北川美美 201304
父に似た夏野に寝転ぶ日暮まで 北川美美 201304
夏野にて空の淋しさ見てゐたり 北川美美 201304
やはらかき夏野に鎖あづけおく 北川美美 201304
夏の野のうねりにおろす櫂ひとつ 北川美美 201304
水のある星が生まれて夏野あり 北川美美 201304
我などとひとりよがりや夏野原 高橋龍 201304
順礼の夏野の風をはらみゆく 田中文治 火星 201309
農一人大樹に憩ふ夏野かな 松本三千夫 末黒野 201310
単線の今日も遅れて待つ夏野 松田都青 京鹿子 201310
夏の野を帽子かむりて犬来たる 松村光典 やぶれ傘 201310
夏の野に杖振りまはす男居て 松村光典 やぶれ傘 201310
夏の野をとどのつまりへ行く電車 松田都青 京鹿子 201311
白木いつぽん立つてゐるだけの夏野 直江裕子 京鹿子 201311
帽脱ぎて視界広ごる夏野かな 田中佐知子 風土 201311
放牧の牛の百態大夏野 石黒興平 末黒野 201311
こまぎれに人に購はれて夏野原 瀧春一 花石榴 201312
洗いたてのジーンズきゅっと夏野原 山田まさ子 船団 201406
飛ぶものに跳ぶものに大夏野かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
一と色の風駈け抜ける大夏野 高村令子 風土 201408
目標は妻と夏野を駆けること 山本無蓋 201408
夏野ゆく句帳とペンと愛杖と 鈴鹿仁 京鹿子 201408
手中より声はなれゆく大夏野 近藤喜子 201409
棒切れを捨てて夏野を終らせる 菊川俊朗 201409
夏野原ここに分れて徑と路 佐藤喜孝 あを 201409
川音の途絶え広ごる夏野かな 西川みほ 末黒野 201410
眞高ノ鐵を塗り夏野原 佐藤喜孝 あを 201410
大夏野小さきふぐりを晒しけり 忽那みさ子 やぶれ傘 201410
安達多良の夏野に妻と遊びけり 河口仁志 201410
捨畑のすでに夏野となりにけり 石黒興平 末黒野 201411
牧牛の水場に群るる夏野かな 石黒興平 末黒野 201411
弧を描く親子のボール夏野原 川南隆 ろんど 201411
百頭の牛に馬柵なき大夏野 大内マキ子 万象 201411
七分の空中散歩大夏野 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
咲くものに風の存問大夏野 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
ポケットがぶるぶるぶるぶる夏野原 佐藤喜孝 あを 201509
少年と同じ道ゆく夏野かな 高橋将夫 201510
大夏野羽音ひびかせサタン翔つ 有松洋子 201510
溶岩のどんとありたる夏野かな 橋本順子 201510
前うしろなき大夏野草千里 安立公彦 春燈 201510
夏野いままつさかりなり生命燃ゆ 上原重一 201510
牛を置く夏野の起伏果てしなく 山内碧 201512
百人の往けば道出来大夏野 千原叡子 ホトトギス 201601
御岳は頂上見せぬ夏野かな 池田友之 夏雲 201603
夏野 →2      

 

 

2021年6月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。