夏蜜柑    94句

夏蜜柑一つうしろ手に行く支那人    京極杞陽

夏蜜柑   甘夏

作品
作者
掲載誌
掲載年月
頑固なる顔で並べり夏蜜柑 大塚美孝 199809
ゴットンと汽車は出ていく夏蜜柑 寺田良治 船団 199811
甘夏柑無農薬とて送り来し 長野碧水 199907
口に熱夏柑ころり餓鬼食べる 瀧新珠 京鹿子 199907
夏柑の葉照や土塀くづれたる 加瀬美代子 199909
まろきこのどこに重さや夏蜜柑 鷹羽狩行 200006
葉の付くを載せ一と山の夏蜜柑 藤田宏 200007
外国の庭広々と夏蜜柑 中里カヨ 酸漿 200010
父の死に会へぬ車中の夏蜜柑 阿部寒林 「夢」 200010
夏蜜柑剥く母の手の震へをり 今井忍 ぐろっけ 200109
永らへてまたこの頃や夏蜜柑 林朋子 船団 200109
甘くない夏蜜柑なり雨上がり 桐木榮子 船団 200110
夏蜜柑剥くゆつくりと過去消しつつ 能城檀 船団 200202
夏柑の冬を抱いて香りたつ 鎌倉喜久恵 あを 200208
袖にかくして夏柑を呉れしひと 鈴木喜三郎 ぐろっけ 200209
鴉めに夏柑一山やられしと 杉山瑞恵 雨月 200209
皆んな死んで夏蜜柑になつてゆく 堀内一郎 あを 200305
段畑の夏柑自転車もう漕げぬ 西山美枝子 酸漿 200307
口窄む味なつかしき夏蜜柑 早崎泰江 あを 200307
夏蜜柑転げ中央分離帯 高田令子 200308
掌で選ばれてゐる夏蜜柑 加賀富美江 遠嶺 200308
夏蜜柑採りつくしたる宵の月 公山礼子 200309
夏蜜柑サイクリングの列行けり 片岡静子 200405
男の手二つに割りし夏蜜柑 赤星惠子 あを 200407
夏蜜柑むく親指に力入れ 志水千代子 雲の峰 200407
夏柑の撓むや癒えしかと思ふ 鈴木沙万沙 草の花 200407
姑の五十回忌の夏蜜柑 田中藤穂 あを 200407
夏蜜柑むく母の声高うなる 大山文子 火星 200408
ぽつかりと空に穴あり夏蜜柑 雨村敏子 200409
夏柑の一樹まかされ寒の栗鼠 西山美枝子 酸漿 200504
海光の散乱したる夏蜜柑 須佐薫子 帆船 200505
遠来の友に藁つき夏蜜柑 高倉恵美子 200508
夏蜜柑買ひにぶらりと島へ行く 秋千晴 200601
夏蜜柑剥きつつ諭す子に一語 河口仁志 200607
口中を騒がせて剥く夏蜜柑 風間史子 200608
夏柑を剥く全開の唾液腺 隅田享子 200610
同じ事くり返し言ひ夏蜜柑 池崎るり子 六花 200704
夏蜜柑椿の御所にたわわなり 宮津昭彦 200706
夏蜜柑土石崩れに踏ん張りぬ 品川鈴子 ぐろっけ 200708
夏蜜柑大きさ見せるTV電話 伊吹之博 京鹿子 200806
諍ひて一日無言夏蜜柑 上田幸夫 ぐろっけ 200807
衒ひなき友の来てをり夏蜜柑 勝見玲子 200807
をんな旅しゃべり疲れの夏蜜柑 前川ユキ子 200807
夏蜜柑むくちちははの山の景 数長藤代 200808
夏蜜柑の覗く山里垣低き 山本孝夫 200808
それぞれに抛りて配る夏蜜柑 丁野弘 200905
夏柑や分校裏に猫棲めり 中村外紀子 万象 200908
遠山や夏蜜柑の木ざわざわと 古林阿也子 200910
夏蜜柑鈴生り根元に石蛙 藤野寿子 あを 201002
鳥避けの網張られけり夏蜜柑 井上真江 酸漿 201004
夏蜜柑あんたがどこさ唄ひし頃 定梶じょう あを 201007
夏蜜柑売り声の吸はるる石畳 鈴木多枝子 あを 201008
夏蜜柑たわわに生りて空家なり 柳田和子 酸漿 201008
屋敷町手入れよろしき夏蜜柑 久世孝雄 やぶれ傘 201008
甘いとは言へどやっぱり夏蜜柑 芝尚子 あを 201009
おちてなほ酸っぱいままの夏蜜柑 須賀敏子 あを 201009
答などとうに出てゐる夏蜜柑 高倉和子 夜のプール 201203
夏蜜柑火を噴く島に來て〓(手劣)げる 大西八洲雄 万象 201207
夏蜜柑の根方に灰をまいてをり 谷村幸子 201208
夏柑の熟れて〓(手宛)がれず山の畑 岡井マスミ 末黒野 201210
風だよりあの日は遠く夏蜜柑 鈴鹿仁 京鹿子 201306
夏柑の苦味この世のこととして 鈴鹿仁 京鹿子 201306
雲ひとつゆきて日向に夏蜜柑 藤井美晴 やぶれ傘 201405
トンネル出るたび夏柑の花咲ける 杉浦典子 火星 201405
卓の上の威張つてゐたる夏蜜柑 今井充子 201408
少年の意気弾けゐて夏蜜柑 松木ひろ ろんど 201408
夏蜜柑の飛沫に空気膨らみぬ 山本耀子 火星 201408
海を見る夏柑二つ足元に 野上杳 201409
ちぎりても減らぬとくれし夏蜜柑 栗原京子 201411
夏柑採るクルスきらりと胸の谷 益本三知子 馬醉木 201506
夏蜜柑たわわな町の陶器市 長谷川翠 馬醉木 201507
意を通すひとのゑくぼや夏蜜柑 堀田順子 馬醉木 201507
夏蜜柑はらからゆゑに言へぬこと 堀田順子 馬醉木 201508
でこぼこにリュック膨らむ夏蜜柑 岩下芳子 201508
夏蜜柑たうたう落ちてをりにけり きくちきみえ やぶれ傘 201605
昼過ぎの風変りけり夏蜜柑 瀬島洒望 やぶれ傘 201606
原発の伊予の里から夏蜜柑 秋川泉 あを 201607
転勤挨拶土佐の夏柑提げて来ぬ埼玉 滝澤千枝 春燈 201608
指に残る夏柑の香のほろ苦き 田代民子 201608
夏柑売りずり落ちさうに子を背負ひ 岸洋子 201610
夏蜜柑洗はれキズの現はるる きくちきみえ やぶれ傘 201703
日向夏蜜柑金柑虫眼鏡 石森理和 あを 201704
命日や夏蜜柑見ぬ世となりぬ 田中藤穂 あを 201807
古里の夏蜜柑着く見端悪し 石森理和 あを 201808
母の手で剥いてもらひし夏蜜柑 赤松赤彦 六花 201810
夏蜜柑届く無骨な漢文字 持田信子 春燈 201905
夏蜜柑たわわに成つてゐる平和 岩月優美子 201908
売れさうで売れなささうで夏蜜柑 亀田虎童子 201908
安房の宿夏蜜柑風呂にもてなされ 小林共代 風土 202009
夏蜜柑広がる酸味昭和かな 田中信行 202009
エプロンに甘夏柑の重さかな 須賀敏子 あを 202105
皆若き維新の志士や夏蜜柑 木村傘休 春燈 202107
古き実も残されてをり夏蜜柑 小池一司 やぶれ傘 202108
島よりの無農薬なる夏蜜柑 貫井照子 やぶれ傘 202210

 

2023年5月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。