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梨腹も牡丹餅腹も彼岸かな    正岡子規     

作品
作者
掲載誌
掲載年月
梨出でて果舗の一隅まとまらぬ
岡本眸
199808
梨売の一日や梨のやうに居り
植松安子
199812
皿の梨ひらひら帽にラ・フランス
菊池和子
京鹿子
199901
娘の小旅土産はなしと梨持参
小栗佳批奈
京鹿子
199901
梨狩に加はり杖を手放さず
大西八洲雄
春耕
199901
犒ひの言葉恋めく夜の梨
土田栄
199901
梨園の最後の客となりにけり
別府優
199901
青空に本あまるらし梨を剥く
寺田良治
船団
199903
月のぼり皿に腐乱の梨一個
鳴戸奈菜
船団
199903
梨剥くや夫婦の間に渦の垂れ
神蔵器
199905
梨畑に梨のころがる初嵐
皆川盤水
高幡
199905
梨棚の明り平らに袋掛
雫槍紀代
199909
鳥威し始まるさては梨ふとる
林翔
199910
父の忌の捨て梨つつく朝の鶏
皆川盤水
春耕
199910
梨きのふ葡萄けふ西東より
大橋宵火
雨月
199911
梨の香の睡りの猫となりゐたり
小山森生
199912
猿梨をこづいて君子豹変す
武田伸一
海程
199912
山陰の梨の一個の重さかな
金國久子
遠嶺
199912
梨をもぐ青空一つづつふやし
清水明子
遠嶺
199912
八月の少年梨の香りせり
小黒カツ
酸漿
199912
忘れたきことひとつあり梨をむく
柿沼盟子
風土
199912
台風の目に入り荒尾梨落つる
西山胡鬼
京鹿子
199912
取り放題の梨もぎすぐに食べ飽きぬ
北村香朗
京鹿子
199912
信頼の置けない梨をパック詰め
林朋子
船団
199912
娘の仕草母そのままに梨を剥く
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
二十世紀梨むいていて世紀末
北原武巳
船団
199912
梨ばたけ木を揺する音叱る声
中林明美
船団
199912
しゃっくりをとめて廊下に梨一個
延原ユキエ
船団
199912
労りの嘘もありけり梨をむく
松本恒子
ぐろっけ
199912
握りこぶしほどの洋梨座らざる
大和田鏡子
俳句通信
200001
梨を剥くわが手の確かふしくれて
久保田一豊
いろり
200001
撫でて買ふ新高梨の子の頭ほど
手嶋小夜子
200001
梨を剥く独りの夜の雨気配
柳生千枝子
火星
200002
梨の皮くるくるむきて今日無欲
田中藤穂
水瓶座
200002
梨をむく悲しみ方がわからない
星野早苗
空のさえずる
200002
赤梨や陸より海の闇深し
石脇みはる
200003
梨山に剪定台のビール函
森沢義二
風土
200004
乳房より重き梨剥きメロドラマ
塩路隆子
精鋭選集
200008
梨十五来て手のひらにのる一個
中原幸子
遠くの山
200010
梨剥いて台本どほりのことを言ふ
大場佳子
銀化
200010
梨届く娘等が待ってる御裾分け
松沢久子
いろり
200011
梨むくや月にナイフを近づけて
川井政子
風土
200012
梨むいて深入りしたくないはなし
海輪久子
円虹
200012
妻の手で剥かれし梨の透きにけり
福井久生
200012
遠き激震ひそかに梨の芯傷み
山田三江子
200101
考えあぐねて洋梨の形になる
星野早苗
船団
200103
枳榠梨拾ひ噛みしむ莵田野(うたの)人
品川鈴子
船出
200104
梨狩りのぐいと大きな空つかむ
小島とよ子
遠嶺
200105
洋梨のやうな婦長に二度呼ばる
辻享子
シャガールの女
200108
猿梨や猿のゐさうな森深き
大塚洋子
酸漿
200109
安曇野ははや秋の風小梨熟る
渡辺友七
あを
200109
父の忌の地梨に胸を滴らす
皆川盤水
春耕
200110
梨の皮千切れずに剥けて気分よし
能村登四郎
羽化
200110
梨を食ふひとりの背中暗くあり
小田玲子
百鳥
200111
梨売が人の流れを目で追へる
浜口高子
火星
200111
こもごもに見て赤梨と男山
岡井省二
200111
凸凹の地に坐りをり梨を剥く
竹中一花
200111
梨畑に深ぶかひびく寺の鐘
皆川盤水
春耕
200111
旧世紀名とする梨を賜ひけり
泉田秋硯
200112
浄め塩使いし後の梨うまし
相原左義長
海程
200112
梨を剥くわが指遠き雷であり
守谷茂泰
海程
200112
赭梨を剥いてくれたる肥後守
小山森生
200112
梨をむくマニキュアの指しなやかに
家塚洋子
酸漿
200112
梨噛んでさくさく寂し一人の夜
中島徳子
酸漿
200112
父のまえ剥きたる梨の乾き初む
小田さやか
船団
200112
枯れてゆく色をしながら梨実り
渡辺ケイル
船団
200112
梨をむく子に研ぎてやる肥後守
小林螢二
春耕
200112
新しき橋の灯とどく梨畑
高村洋子
遠嶺
200112
梨ぶだう林檎画布をはみだせり
竹内弘子
あを
200112
梨狩りの夢を見て梨無重力
達山丁字
200201
梨狩の札立て畑に誰もゐず
朝井きよ子
200201
夕風と過分の梨と届くなり
林裕子
風土
200211
洋梨のてんでに坐るかたちかな
柿沼盟子
風土
200211
渦巻のいつぽん繋ぎ梨をむく
秋葉雅治
200211
台風の逸れし安堵や梨の里
河中透水
雨月
200211
そのことにふれず見舞の梨をむく
後藤志づ
あを
200211
梨剥きて夫婦の会話はじまれり
山荘慶子
あを
200211
休日をいろいろ食べて梨食うぶ
宮津昭彦
200212
梨の里発ちて林檎の国に来し
大串章
百鳥
200212
耳鳴りのやうな潮騒梨をむく
谷上佳那
百鳥
200212
特産の梨売出さる道の駅
河中透水
雨月
200212
梨十個食うべし子規の忌なりけり
竹内弘子
あを
200212
聊かは辛酸も知り梨の芯
武田菜美
銀化
200212
眼帯の身で梨剥くは危なかし
坂口三保子
ぐろっけ
200212
猿梨の木とぞ印の実のひとつ
西山美枝子
酸漿
200305
ぼくたちの九割は水梨をむく
山田六甲
六花
200309
落梨をしかと抱きてきりぎりす
中村輝子
酸漿
200311
梨狩に先づはもぎ方教はつて
小澤友江
築港
200311
ざらざらの梨の感触果汁満つ
小澤友江
築港
200311
梨一個夫と分かちて火星見る
金森恭子
築港
200311
甘き汁ぽたぽたこぼし梨を食ぶ
金森恭子
築港
200311
不細工に梨の皮剥く左利き
五十嵐道夫
築港
200311
弟より手紙代りの梨届く
藤井良子
200311
梨食みて眼息づくここちかな
故公山礼子
200311
小豆梨くれなゐ尽す十二月
阿部ひろし
酸漿
200312
雨あがり梨丸々と育ちけり
小島三恵
酸漿
200312
かんかん照りの日に萎え施餓鬼棚の梨
玉置かよ子
雨月
200312
梨をもぐ実をもち上げて大切に
大畠政子
雨月
200312
因州人梨を作りて和紙を漉き
大畠政子
雨月
200312
ずしと手に梨の感触梨をもぐ
大畠政子
雨月
200312
梨を食み砂丘の果つる海眺め
大畠政子
雨月
200312
志野焼の鱗絵皿に梨をむく
延川五十昭
六花
200312
大山を遥かに梨の袋掛
中道愛子
200312
肘つきて梨むく母や癌告げられ
木村美猫
ぐろっけ
200312
知事公館梨を育ててをりにけり
佐々木幸
200401
道ふさぐほどに石梨散りて雨
田中藤穂
あを
200403
けんぽ梨卍巴と生りにけり
安達風越
雨月
200403
山梨のいくつか沈みいくつも流る
竹内弘子
あを
200406
梨を売る峠いくつも北薩摩
淵脇護
河鹿
200411
梨を食ぶ思想たがへて夫婦なる
鈴木節子
200411
梨買ふ肩ちよんとたたいて行く息子
斉藤裕子
あを
200411
梨をむく目だけで物を言ふ子供
斉藤裕子
あを
200411
練兵場跡で採れたる梨甘し
大西八洲雄
万象
200412
来し方や酸つぱきものに梨の芯
齊藤實
200412
浅間嶺の噴火の朝梨を剥く
三関浩舟
200412
不器用な手より螺旋に梨の皮
長屋璃子
火星
200412
長屋門出荷の梨の積まれある
斉藤利男
百鳥
200412
二十世紀てふ梨もはやレトロめく
山中宏子
200501
忘れ名を思い出したり梨噛んで
松本恒子
ぐろっけ
200501
落梨のごろごろ風は知らん顔
笠間圭子
京鹿子
200501
洋梨の据りのよろしうすみどり
植木戴子
200502
風の禍や梨の実落下おちこちに
遠塚青嵐
200503
剪定の梨棚にほふ野川べり
関まさを
酸漿
200505
梨売りのおまけに添えし地下言葉
廣戸次郎
200505
スーパーの試食の梨に異邦人
遠塚青嵐
200505
梨をむく母より皮を子の持ちて
滝沢伊代次
万象
200510
車椅子猿梨の実の揺るる下
古田余寧
栴檀
200510
梨冷やす子供のころは皮もたべ
山田六甲
六花
200510
いくつもの新種味見す梨は梨
亀井幸子
築港
200510
完熟の梨は螺旋に剥くべかり
長屋璃子
火星
200511
梨剥いて風説追はぬ路地ぐらし
安藤しおん
200511
そろそろとふと思ひたる梨届く
村田さだ子
酸漿
200511
梨を食み口中すがすがしき懐古
武藤嘉子
200512
ポスターのモデルとなつて梨をもぐ
田中敬子
百鳥
200212
信士信女大きな梨を供へけり
岡崎桂子
対岸
200212
瑠璃いろの梨を太らせ樹下五尺
高木晶子
京鹿子
200512
梨むきて刃先に刺して貰ひけり
向江醇子
ぐろっけ
200512
梨噛むやつぎつぎ出づるオノマトペ
延広禎一
200601
梨の芯酸つぱかりしと君に言ふ
大島翠木
200601
婚近し指しなやかに梨を剥く
海野みち子
万象
200601
アトリエにある洋梨の貌かたち
小山陽子
200601
梨剥けば窓に雨降る一人かな
伊関美智子
200601
地下の明るさころがる影の孤児の梨
八田木枯
晩紅
200606
緑雨なか梨は宝珠か豆粒か
林翔
200607
稿想のまた転じつつ梨を剥く
品川鈴子
ぐろっけ
200609
梨を拭く首にかけたるタオルもて
山田六甲
六花
200609
梨むきし手のべたべたを持て余す
稲畑汀子
ホトトギス
200610
梨を剥きながら甘さを確かめて
稲畑汀子
ホトトギス
200610
梨をむく一人に食べる人多し
稲畑汀子
ホトトギス
200610
赤梨や無口なをとこ集まりぬ
佐渡谷秀一
春燈
200610
山車引いて小さき梨を配らるる
竹生田勝次
風土
200610
梨を捥ぐ手にずつしりと日のぬくみ
中村翠湖
馬醉木
200612
梨狩や自分の食みし梨の数
松下八重美
200612
陶潜の子等梨・栗を廬山に得し
松崎鉄之介
200612
梨園の四角の中に梨を剥く
青山丈
200612
梨むくや明日のことはまだ余白
生方ふよう
200612
梨をむく少しざらつく音のして
高倉和子
200612
梨かじりまだ生きたしと百寿翁
一瀬昭子
馬醉木
200701
高々と抱かれ両手で梨を捥ぐ
尼嵜太一郎
ぐろっけ
200701
もてなしの梨に話の止めどなし
荒木治代
ぐろっけ
200701
猿梨の蔓渡りせる谷深し
岡田貞峰
馬醉木
200702
丹後より届きし文と冬の梨
石山民谷
遠嶺
200702
健やかに享くる詩心や冬の梨
坂本丹荘
遠嶺
200703
渡舟小屋多摩川梨も賣りゐたる
瀧春一
200706
梨畑人影もなき剪定音
中野英歩
八千草
200709
滴れる梨剥く父祖の地を讃へ
辻直美
200710
梨捥ぐや明けのひかりの流れだす
中村翠湖
馬醉木
200710
山梨の古木のもとの五輪塔
滝沢伊代次
万象
200711
梨むくや今生廻り道ばかり
折橋綾子
200711
無骨さが甘しと梨園の爺言へり
手嶋小夜子
200711
わが町の玉太りよき梨を剥く
望月晴美
200711
けいたいを持たぬが誇り梨をむく
堀内一郎
あを
200711
クール便赤梨青梨つめ合せ
二宮きみ枝
200712
大仏へ供へる梨をへぎに盛る
安井和子
200712
高層の窓一口の真夜の梨
いしだゆか
遠嶺
200712
赭梨の皮長々と生身魂
深澤鱶
火星
200712
梨むいて姉と疎開の話など
山本康
200712
ふくふくと八幡梨の実食しにけり
中島陽華
200801
梨三つ買つて道聞く峡日和
伊藤トキノ
200801
梨の名の廿世紀のいまだ旧りず
浅井青二
雨月
200801
赤ん坊の頭ほどある梨おそろし
あさなが捷
200801
梨子剥くと第六感が濡れている
池田澄子
200801
長安の夢の一滴この梨は
坪内稔典
稔典句集
200804
梨受粉うすべに刷毛のこそばゆし
北川英子
200807
梨剥けば皮も二人のイニシャルに
品川鈴子
ぐろっけ
200807
梨畑抜ければ句碑といふ出会ひ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200808
梨ひとつあげる身代り地蔵さま
山田庫夫
炎環
200810
梨を剥く水の地球を想ひつつ
荒井千佐代
200810
梨剥くや話ひととき置きしまま
松田千枝
春燈
200811
梨剥けば一転大雨注意報
池田光子
200811
思ひ出す歯茎の腫れや梨たわわ
金原亭馬生
炎環
200811
赤梨をするする剥いて月の客
石脇みはる
200811
逗留の伯耆山麓梨の秋
博多永楽
雨月
200811
大梨の皮ぞりぞりと実は真白
秋千晴
200811
故郷の形よき梨の届きけり
川島澄子
酸漿
200811
見るほどに数の増えけり小豆梨
青木陽子
酸漿
200811
庭内の猿梨夫に供へけり
渡邉紅華
酸漿
200811
物思へば洋梨も「考へる人」のさま
林翔
200811
喪ごころの少し澄みゆく梨一果
辻直美
200811
梨に刃を入れて思ひ出滴らす
平野伸子
馬醉木
200812
梨狩りや食べ放題と云はれても
山口キミコ
200812
梨むくや集まつてくる笑ひ声
杉本貞
炎環
200812
今は亡き人と二人の梨をむく
藤岡紫水
京鹿子
200812
てのひらに滴らせ梨剥きにけり
筒井八重子
六花
200812
顔ほどの梨を乗せられ置手紙
野崎タミ子
炎環
200901
猿梨や日和の山の観世音
浜福恵
風土
200901
細く長く梨剥ける間のもの思ひ
大泉美千代
雨月
200901
空の碧より青梨をぎにけり
三輪満子
ホトトギス
200903
わが指をしたたる蜜や郷の梨
和田郁子
200911
さりさりと剥かれし梨の雫かな
小田里己
200911
りん棒の持ち手の艶や梨供ふ
竹島勝代
200911
フルートの風梨園ごとつつみけり
長谷川いづみ
炎環
200912
梨かじる幼子白き音たてて
本多俊子
200912
鴨梨は作家旧居の庭棚に
能村研三
200912
洋梨にヴィーナスの線ありにけり
篠田純子
あを
200912
梨売のぽつりと立ちし日の昏れる
山荘慶子
あを
200912
赤梨の家空けられぬ事情かな
瀬川公馨
201001
自家の梨届き翌日訃報来る
高木智
京鹿子
201001
ひよろひよろと出で来る二人梨の園
浅井青陽子
ホトトギス
201002
テーブルに洋梨ふたつオブジェめく
西村純代
201002
洋梨を好みし妣にまづ供へ
佐藤静子
やぶれ傘
201002
一望の砂丘の起伏梨を狩る
邑橋節夫
遠嶺
201003
梨の芯一擲昼の森覚ます
伊藤白潮
201003
晩き梨晩三吉は佳き名かな
鈴木榮子
春燈
201004
梨の皿前に姉妹の似てをらず
吉田希望
201011
雲積みに積んで梨畑動かざる
高橋道子
201011
梨食ふやおほかた水を噛むごとく
市村健夫
馬醉木
201012
風音や灯して暗き梨番屋
松井志津子
201012
帰る子に持たする梨のふたつほど
豊谷ゆき江
春燈
201012
梨食うて恋の微熱を冷ますといふ
南うみを
風土
201012
げに大き新高梨の豪勢な
大橋敦子
雨月
201012
新高の名の大梨も初見参
大橋敦子
雨月
201012
薄さよりスピード重視梨をむく
島本知子
ぐろっけ
201012
甘き梨嫁ごの母の贈り物
中里カヨ
酸漿
201012
梨剥くやけふ一日を語りつつ
渋谷ひろ子
酸漿
201012
不揃ひの梨も大事に捥ぎにけり
高村和子
春燈
201101
今もって二十世紀を継げる梨
井田実代子
雨月
201101
梨むくや指の針跡すこし沁み
武田ともこ
ぐろっけ
201101
ひとり居のすなはち梨を白く剥く
奥井あき
201102
友よりの快気祝よ洋梨ラ・フランス
恒成久美子
ぐろっけ
201103
梨売の声に稲城野開けゆく
稲畑廣太郎
ホトトギス
201108
稲城野に梨の気品を買ひにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201108
それぞれに吃水線や梨洗ふ 吉田希望 201111
広告の梨買ひに行く薄化粧 村上倫子 201111
梨を捥ぐ握る力の戻りけり 鴨下昭 201112
「につこり」といふ名にひかれ梨を買ふ 青野安佐子 201112
悲しきは子規健啖の梨二つ 内藤静 風土 201112
掌に壺あり梨に笑窪あり 相澤和子 ろんど 201112
帰りぎわ手さげにそっと梨二つ 中尾廣美 ぐろっけ 201201
さくさくと食む新種梨名は「秋月」 松木清川 ぐろっけ 201201
梨を剥く皮の螺旋の自づから 安藤久美子 やぶれ傘 201202
利酒も梨の新種も次次と 村田とくみ ぐろっけ 201203
鉦一打仏間より梨おろしくる 苑実耶 大河 201203
仏前の梨に歯型のくっきりと 村田とくみ ぐろっけ 201204
草萌に枝を広ぐる梨畑 大村かし子 万象 201206
てのひらに水の惑星梨をむく 山田六甲 六花 201209
到来の梨とて剥いて供さばや 稲畑汀子 ホトトギス 201210
大山を手に取るやうに梨をもぐ 山田六甲 六花 201210
癌友にポジティブな夫梨が好き 橋本靖子 201211
やうやくに梨棚を出で腰伸ばす 安藤虎酔 かさね 201211
梨売りが来てラップ曲流しをり 黒澤登美枝 201211
頬張れば腕に滴る梨の汁 高柳ゆき子 201211
ふる里は梨畑の中兄待てる 根本ひろ子 火星 201211
仏頭に赤梨剥いて供へけり 中島陽華 201211
手ざはりを楽しんで剥く梨ひとつ 荻野嘉代子 春燈 201212
とりとめも無く独居の梨を剥く 丹後みゆき ぐろっけ 201212
風立つやさりさりと梨食みをれば 栗原公子 201212
梨畑枯れて森めく匂ひかな 中根美保 風土 201301
濡れ睫の乾ききつたる梨の芯 佐藤凉宇子 ろんど 201301
母の忌の梨畑に梨ぬくもつて 杉浦典子 火星 201301
噛み合はぬ孫との会話梨を剥く 菅野日出子 末黒野 201301
解り合ふ言葉探して梨を剥く 長節子 201302
もはやこれまでと梨の皮落ちる 星野早苗 船団 201304
退院の夫に剥きたる小さき梨 江見悦子 朴の青空 201307
梅雨晴れや梨の実小さく空を向き 庵原敏典 末黒野 201310
亡き妻の笑顔へ供へ梨葡萄 小川玉泉 末黒野 201311
天地の育む梨の艶々と 板橋昭子 201311
梨かむや身のすみずみの潤ひぬ ことり 六花 201311
梨の皮ぷつぷつ切れて話しおり 池田久恵 ぐろっけ 201312
梨むいて母の忌日をひとりゐる 杉浦典子 火星 201312
梨畑撫でて荒して野分かな 市板橋昭子 201312
お下がりの錆朱の梨の果報かな 鳥居美智子 ろんど 201312
姫様の化粧水ほど梨滴る 田中一美 ろんど 201312
震災の母の故郷や梨とどく 吉田きみえ 末黒野 201312
住み馴れしここがふるさと梨を剥く 望月晴美 201401
青い梨熟して吉永小百合かな 梨地ことこ 船団 201403
ユニセックス梨の香りがいたします 梨地ことこ 船団 201403
梨をむく虎視眈々と市原悦子 梨地ことこ 船団 201403
白雲に鋏入れたる梨摘果 鎌田光恵 201408
梨むきし盆を洗うてをりにけり 山田六甲 六花 201409
薄切りの梨を僅かに臥す母は 山内碧 201411
幸せな人と言はれて梨を剥く 齊藤哲子 201411
薄切りの梨を僅かに臥す母は 山内碧 201412
逆上がり手伝ふやうに梨を捥ぐ 村高卯 201412
梨下無帽かがんで空の涯を見る 堀内一郎 堀内一郎集 201412
市川に梨あり梨の検見をらむ 千田百里 201501
指先の衰へかばひ梨を剥く 立野千鶴子 末黒野 201501
梨 →2      

 

2021年8月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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