海 鼠 3   163句

思ふ事いはぬさまなる生海鼠なまこ哉  蕪村

作品
作者
掲載誌
掲載年月
秘め事の一つや二つ海鼠にも 高橋将夫 200801
進化論の外れに海鼠うづくまる 北川英子 200802
縄文の知恵よ海鼠が食へるとは 泉田秋硯 200803
腸ぬかれ海鼠のかたち損はず 藤井圀彦 200803
俎板に意のままよと赤海鼠 延広禎一 200803
人間に関はつてをる海鼠かな 雨村敏子 200803
赤海鼠真水流してをりにけり 本多俊子 200803
ガラス箱の海鼠の立てり答志島 松崎鉄之介 200803
兄の忌を修す浜宿酢海鼠出る 甲田雅子 200803
べた風に舟傾ける海鼠突き 若松一男 200803
海鼠噛む金塊わづか死蔵して 千田百里 200803
舟かしぐ程に棹突き海鼠漁 岡本由紀子 200804
平成の闇はむらさき海鼠桶 関根洋子 風土 200804
海鼠にも言ひ分はあり辺野古沖 佐藤真次 200804
いつの間に終へていたりぬ海鼠漁 御橋忠一 200804
先輩になまこたまわる十二月 坪内稔典 坪内稔典句集U 200804
宿の膳醜の海鼠にあつといふ 岡有志 ぐろっけ 200805
海の香を残し海鼠の裂かれけり 岡田章子 ぐろっけ 200805
方舟をすべり落ちたる海鼠かな 中田禎子 200808
ゆつくりと海を引き擦る海鼠かな 鈴木直充 素影 200811
大海鼠あたまが痒くなりにけり 鈴木直充 素影 200811
鬼の金棒になりすましたる海鼠かな 小泉貴弘 筑波の道 200811
肝つ玉据つてをりし海鼠かな 近藤公子 200901
酢海鼠を噛む人間に進化論 松本圭司 200901
海鼠噛む原初の顔のありにけり 浅田光代 風土 200901
大海鼠そのグロテスク覗きゆく 小澤菜美 200902
孤となりて独となりたる海鼠かな 西村純太 200903
水吐いてぷると震へし海鼠かな 中村千久 万象 200903
リビングの真ん中通る海鼠かな 陽山道子 船団 200903
腹底に些かの違和海鼠噛む 中島和昭 春燈 200904
海鼠料るダイヤル式の黒電話 小阪律子 ぐろっけ 200904
水仕の手ぬるりと抜けて海鼠かな 岡本直子 雨月 200904
月明の蓋はづしある海鼠桶 戸栗末廣 火星 200904
人間のこころ吸うては赤海鼠 中島陽華 200905
海鼠噛む奥二番目の歯をもちて 山口ひろよ 200905
ピカソにも描かせてみたき海鼠かな 河口仁志 200905
海鼠噛む口歪ませて真顔なり 秋千晴 200905
父の日の海鼠どっしり考へ中 藤野寿子 あを 200908
まじまじとつとふれ海鼠買はれけり 近藤きくえ 201002
櫓を足であやつりながら海鼠突く 山田六甲 六花 201002
マニキュアに抓まれ海鼠縮みをり 阪本哲弘 201003
それぞれに寝首たがへし海鼠かな 瀬戸悠 風土 201003
俎板の押せばちぢまる海鼠かな 根橋宏次 やぶれ傘 201003
俎板の海鼠へ刃先ためらひぬ 田下宮子 201004
老いてゆく不可思議海鼠喰つてをり 瀬戸悠 風土 201004
年々に故郷を遠く海鼠噛む 鈴木浩子 201004
酢海鼠の歯ごたへほどの返事かな 高橋将夫 201004
元旦の海鼠の肌にふれてゐる 栗栖恵通子 201004
思はねば何も見えざり海鼠噛む 寺田すず江 201004
手の内に敵あり海鼠喰つてをり 瀬戸悠 風土 201005
遠津波桶の海鼠の発光す 和田照海 京鹿子 201006
見切値と言はれ海鼠の動きたる 坂本哲弘 山ざくら 201009
けふの次あしたもありぬ海鼠かな 大島翠木 201101
明星にゆつたり海鼠動きだす 犬塚李里子 201101
海鼠噛む口惜しき事胸に秘め 藤見佳楠子 201102
全身を耳にしてゐる海鼠かな 近藤喜子 201102
さもありぬかくもありぬと海鼠食む 西村純太 201102
酢海鼠の長さは知らず盃交す 上田玲子 201102
掌に海鼠腸垂らす上戸かな 山﨑青史 ろんど 201102
海鼠掌に重し沖まで晴れわたり 大崎紀夫 やぶれ傘 201102
もと恩師会へば辛口海鼠好き 林哲夫 ぐろっけ 201102
引き寄せて酢海鼠に箸そつと添へ 林美智 ぐろっけ 201102
一突きす海鼠か岩か見定めて 泉田秋硯 201103
江に帰る夕日の色の海鼠舟 浜福恵 風土 201103
海鼠喰む湖北の風に吹かれ来て 山本浪子 風土 201103
一呼吸して箸を出す海鼠かな 長崎桂子 あを 201103
海鼠噛むひと筆達磨の眇かな 西村純太 201104
昼酒に酔うてをとこの海鼠突 和田照海 京鹿子 201104
断崖の真下に傾ぐなまこ舟 浅沼久男 201104
裸電球海鼠の影を揺らしけり きくちきみえ やぶれ傘 201105
息深く掌に掴みたる海鼠かな 安藤久美子 やぶれ傘 201106
ドイツ系男子であるかこの海鼠 坪内稔典 船団 201107
酢なまこに地震速報流れけり 火箱游歩 船団 201107
進化とはかうなることよ大海鼠 柳川晋 201203
酢海鼠の切り口の藍青邨忌 小林輝子 風土 201203
蒼々の星空を知る金海鼠きんこかな 本多俊子 201204
海鼠噛む笑ひ上戸とわらひけり 藤澤陽子 201204
店頭の怠けものなり黒なまこ 金田けいし ろんど 201204
海鼠突く遠は濃かりき海の色 田村愛子 万象 201204
清盛を呼び捨て海鼠突く男 和田照海 京鹿子 201204
思案して買ひし海鼠の青光り 水野範子 ぐろっけ 201204
きざまれし海鼠にもある故郷は 向江醇子 ぐろっけ 201204
凪の日は滅多に無しと海鼠突 寺岡ひろし 雨月 201204
ビックバンの音聞いてゐる海鼠かな 吉田葎 201205
海鼠噛む老いは歯よりと思ひつつ 土井三乙 風土 201205
酒飲めぬ父の好みし金海鼠かな 須賀充子 パミール越え 201206
酒を酌むあては淡州赤なまこ 西田史郎 201301
能登淡路なまこ談義に酒すすむ 西田史郎 201301
酢海鼠を噛みて寂びゆくいのちかな 平野伸子 馬醉木 201302
腕まくりして覗き込む海鼠かな 岩下芳子 201302
海鼠噛むこめかみの音確かむる 常田創 201303
岩礁の浪より低く海鼠突く 小田司 馬醉木 201303
選り好みするまでのなき海鼠なり 深澤鱶 火星 201303
今年また海鼠届きぬ夫呼びぬ 井上淳子 火星 201303
海鼠言ふ開闢せしはこの前と 吉田葎 201302
貝よりも海鼠になると決めてをり 柳川晋 201303
この辺で意地張りは止め海鼠噛む 藤井久仁子 ぐろっけ 201303
亡き夫の好み受けつぐ酢海鼠 松本恒子 ぐろっけ 201303
電球のあかりの届く海鼠の背 きくちきみえ やぶれ傘 201303
胎児もう海鼠の時期は過ぎにけり 高橋将夫 210304
白海鼠突然変異の縁起よし 鎌田慶子 ろんど 201204
魚屋の海鼠を掴む太き指 史あかり ぐろっけ 201304
魚の棚海鼠眠るや客溢れ 小菅美代子 ぐろっけ 201304
ともづなは渦巻むすび海鼠舟 和田照海 京鹿子 201304
愚にあらず鈍にもあらず海鼠食ふ 辻佳子 馬醉木 201305
初恋のはなし曖昧海鼠噛む 吉田カイ 万象 201305
くらがりに置かれてありし海鼠桶 水野恒彦 夢寐 201306
幡り解けず海鼠を噛んでゐる 関根瑶華 201401
生きてゐる証を見せず海鼠かな 宮内とし子 201401
とびきりの真海鼠を選る市はじめ 竹内弘子 あを 201402
明るさに海鼠の唄ふ夜のあり 有松洋子 201402
仮の世を生きる海鼠もわたくしも 荒井千佐代 201403
海鼠噛み応用問題解けずをり 相良牧人 201403
酢海鼠の妖しき色を喰ひにけり 片山博介 春燈 201403
酢海鼠や歳かさねても尖つて 楠原幹子 201403
水母なす国のいしずゑ海鼠かな 柳川晋 201403
「足のツボ」看板抱いてゆく海鼠 辻水音 201403
海鼠腸の高値をよそに海鼠食む 先山実子 ぐろっけ 201403
手の届く場所に事足り海鼠突 小田司 馬醉木 201403
思ひには分け入り出来ず海鼠かな 森理和 あを 201403
ひとつとや片つ端から赤海鼠 瀬川公馨 201404
I・Tの世界と無縁海鼠喰ふ 西村敏子 201404
仮の世を生きる海鼠もわたくしも 荒井千佐代 201404
海鼠突く鈷寝かせあり舫ひ舟 田村愛子 万象 201404
噛み切れぬ人の心や寒海鼠 石坂比呂子 末黒野 201404
酢海鼠をこりこりと食み上戸なり 三輪温子 雨月 201404
勇敢な先人たちよ海鼠喰ふ 吉田宏之 201405
かたまるや海鼠もわれも孤独にて 荒井千佐代 201405
腹の水飛ばす海鼠を切りにけり 須恵長節子 201406
海鼠噛む忙中閑の好奇心 能村研三 201501
南国の夢を見てゐる海鼠かな 神山節子 201501
寝不足の貌が海鼠の水覗く 山尾玉藻 火星 201501
左手の車窓に湾の海鼠舟 根橋宏次 やぶれ傘 201501
硬き骨もちて生きたく海鼠かな 藤丸誠旨 春燈 201502
うかうかとこの齢なり海鼠かむ 本多俊子 201502
ぬきさしのならぬ海鼠とおもひけり 竹内弘子 あを 201503
一切れと言へど海鼠の貌を持つ 森岡正作 201503
死してなほ箸を逃るる海鼠かな 金子正道 京鹿子 201504
海鼠食ひ連立方程式解けず 和田照海 京鹿子 201504
何もかも喋りすぎたり海鼠噛む 佐渡谷秀一 対座 201505
伊予の嶺に雲たむろして海鼠突 和田照海 京鹿子 201505
半端海鼠捨て値にされて糶をはる 和田照海 京鹿子 201505
伊予の嶺に屯す雲や海鼠突 和田照海 京鹿子 201506
港内はスロー航行海鼠突 福島せいぎ 万象 201506
思はねば何も見えざり海鼠噛む 寺田すず江 明日葉 201505
あちらも立てずこちらも立てず海鼠噛む 白神知恵子 女坂 201508
海鼠の日石川くんの歯が披けた 赤石忍 船団 201508
海鼠掌に重し沖まで海晴れて 大崎紀夫 虻の昼 201510
はらわたのあたりで夢をみる海鼠 大崎紀夫 虻の昼 201510
俎板の海鼠かすかに吐息して 平野加代子 春燈 201601
不可解の一塊となる海鼠かな 近藤喜子 201602
いまでこそ海鼠なれども元は星 有松洋子 201602
世を遠くして海鼠噛むうまかりき コ田千鶴子 馬醉木 201603
あの世まで黙しゆく気の大海鼠 田所節子 201603
心底の見えぬ海鼠の腹喰らふ 峰崎成規 201603
酢なまこに甘えさせすぎ甘えすぎ 辻水音 201603
貌とても省略したる海鼠かな 山本則男 201603
決断のとき逃したる海鼠かな 佐々木よし子 201604
海鼠に酢効かせ誰にも言へぬこと 中川句寿夫 あを 201604
見たきもの地球最後の日の海鼠 竪山道助 風土 201605
往来の声やり過ごす海鼠桶 戸栗末廣 201605
水槽の底の元旦大海鼠 田中とし江 201606
海鼠噛み顎が大きくなりにけり 石橋幾代 201606
      海鼠→ 1

 

2021年11月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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