海 鼠 1     100句

前の世もその前の世も海鼠かな   召波

作品
作者
掲載誌
掲載年月
海鼠には半端とてなき好き嫌ひ
山田弘子
春節
199503
大海鼠うごうごといる舟の底
石井哲夫
海程
199810
海鼠舟ふくるゝ潮にさからはず
鈴鹿野風呂
京鹿子
199810
朝桜なまこは直立いたしません
朝目彩湖
船団
199811
海鼠見て歯応へ好きと言へざりし
稲畑汀子
ホトトギス
199812
いそがしいいそがしい海鼠横たはる
小堀寛
京鹿子
199901
背に腹を替へて海鼠を選るとせむ
中原道夫
銀化
199901
海鼠かなものの果てとも祖めとも
岡崎るり子
銀化
199902
煙より高きに住みて海鼠噛む
浜口高子
火星
199903
もののいのちありとも見えぬ海鼠かな
大橋淳一
雨月
199903
海鼠突く赤海鼠をと冀ひ
大橋淳一
雨月
199903
突かれたる海鼠あはれや潮噴ける
大橋淳一
雨月
199903
大海鼠突きし手ごたへ簎つたふ
大橋淳一
雨月
199903
コップ酒海鼠を肴よかりけり
大橋淳一
雨月
199903
本日は海鼠気味にて休業す
大場佳子
銀化
199903
大悪人虚子に私淑の海鼠かな
水内慶太
銀化
199903
寒なまこ没日の化粧櫓かな
延広禎一
199904
高熱や海鼠るいるい殖えゆけり
岡崎るり子
銀化
199904
夜の海鼠つつきて見ても詮のなし
長沼紫紅
199906
歯ごたへのかくもたしかな海鼠食ぶ
金國久子
青葉潮
199907
ひかへめに海を呑み込むなまこかな
柿原全米
船団
199908
藍色の海鼠が昔おりました
稲用飛燕
船団
199912
寝返りを打って海鼠でありしかな
林朋子
船団
199912
五芒星かつ五芒星海鼠の眼
岡井省二
200001
潔白をはらせずにゐる海鼠かな
中原道夫
銀化
200001
水を吐きこめかみ篤き海鼠かな
伊藤格
200002
ゆびさきに海鼠の数をあたりをり
小形さとる
200002
中年や海鼠のうへに海鼠置き
小形さとる
200002
一本となりて海鼠の交みたる
中原道夫
銀化
200002
騒動のありし海鼠の一日かな
彌榮浩樹
銀化
200002
動くとも見えず向き変ふ海鼠舟
川村紫陽
200002
塞ぎの虫とは汝のことか寒海鼠
鷹羽狩行
200002
炎赤し明日も良き日と海鼠かな
西田美智子
200003
千年の貌が売られて海鼠かな
青木直子
200003
俎の海鼠の前とうしろかな
片山由美子
200003
一刀に断ちて海鼠の腹清し
野中ちよこ
馬醉木
200003
骨拔きになるも海鼠と呼ばれざる
中原道夫
銀化
200003
さわがしき汀なりける海鼠かな
小菅佳子
200004
海鼠舟ここに完き潮かな
小形さとる
200004
海鼠突く男の簎の定まらず
志方桜子
六花
200004
まづ腹を探られてをり黒海鼠
市川舞
200005
われの掌にのりし海鼠のちぢみけり
浜口高子
火星
200005
觀念の底のぬけたる海鼠かな
伊藤格
200005
木星や海鼠の腸を洗ひゐて
加藤みき
200005
海鼠から海鼠が生まる光あり
斉木ギニ
海程
200005
潮を噴き生命のみゆる海鼠かな
大橋淳一
雨月
200005
目はどことのぞかれてゐる海鼠かな
大橋淳一
雨月
200005
たんねんに噛みて海鼠の噛み切れず
長田等
200006
赤海鼠柚子一片の黄なりけり
早乙女健
200006
淪落の淵かも青海鼠赤海鼠
武井康隆
船団
200007
急げ急げ月の海鼠にならぬやう
鳥居真里子
船団
200007
児にまたも海鼠の生死問はれけり
塩路隆子
精鋭選集
200008
隣席はエイリアンかも海鼠食ふ
塩路隆子
精鋭選集
200008
聖堂の存在として赤海鼠
林唯夫
海程
200009
吾と海鼠とくれなゐの闇なりき
岡井省二
200011
解せぬこと多し酢海鼠噛みに噛み
小川匠太郎
200012
歯応へを楽しむことも海鼠かな
稲畑汀子
ホトトギス
200012
前生(さきしょう)に不貞いくどか酢の海鼠
中原道夫
銀化
200101
海鼠噛む女の離婚適齢期
山尾玉藻
火星
200102
我儘を許さざる気の海鼠噛む
保田英太郎
風土
200103
望郷のしたたつてゐる海鼠かな
彌榮浩樹
銀化
200103
赤海鼠踵返せば祇園かな
各務耐子
200103
くれなゐの海鼠に千手ありにける
栗栖恵通子
200103
無器用に見えてしたたか海鼠噛む
井上比呂夫
200104
寒海鼠手が来てむずと掴みけり
武井美代子
風土
200104
朧かな一と夜かぎりの海鼠飼ふ
神蔵器
風土
200105
留学生海鼠苦手と申しけり
藤田かもめ
200105
口開けの客となりけり海鼠食ぶ
花島陽子
遠嶺
200105
酢海鼠を食べたるのちの花占ひ
鳥居真里子
船団
200106
偽りの海鼠なるかな海暮るる
西村純
200107
ダイインの口少し開け寒海鼠
桐木榮子
船団
200108
なまここりこりりんこりり膝頭
朝倉晴美
船団
200108
波かぶる海鼠の筏あいの風
棚山波朗
春耕
200110
俎に置き直されし海鼠かな
山尾玉藻
火星
200112
定型を拒みつ海鼠でもなるか
中原道夫
銀化
200201
寝息違へて青海鼠赤海鼠
春川暖慕
銀化
200201
古代よりそこに沈める海鼠かな
島崎晃
遠嶺
200201
海鼠噛みお説一々ごもつとも
森下清子
200201
口下手の海鼠すすりて話し出す
木場田秀俊
200201
我侭を許さざる気の海鼠噛む
保田英太郎
風土
200201
魅力にもピンキリありぬ大なまこ
渡辺純
京鹿子
200202
なまこ食ひ黙つて闇へ出てゆけり
吉田汀史
200202
海鼠噛むなまこのことを考へる
佐藤喜孝
あを
200202
かたむきて一と塊りとなる海鼠
竹内弘子
あを
200202
呂律はやあやしく海鼠所望せる
中原道夫
銀化
200202
手掴みで呉るる海鼠を如何にせむ
友田直文
200203
本性は見せぬと海鼠ちぢみけり
利根川妙子
200203
水槽の海鼠を指せば年詰る
堀義志郎
火星
200203
大海鼠海の暗さをまとひけり
渡辺みどり
200203
見るうちに海鼠からびてしまひけり
栗栖恵通子
200203
つゝかれて海鼠形をととのへり
城尾れい子
200203
逢瀬にて海鼠つついてをれぬなり
中原道夫
銀化
200203
夕星や桶のなまこは愚連てをる
松本康司
銀化
200203
崖氷柱よぎりて海鼠舟もどる
大串章
百鳥
200203
生くることつらしと言ひて海鼠食ふ
半澤佐緒里
百鳥
200203
海鼠舟竿もて舫ひゐたりけり
古里蝶次
200204
禅寺へ桶で届ける寒海鼠
古里蝶次
200204
長崎への俵物たり干海鼠
古里蝶次
200204
海鼠裂き海鼠腸啜り余得なる
古里蝶次
200204
引く波を追ひてつまづく海鼠かな
小山香月
酸漿
200204
海鼠→ 2      

 

2020年12月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。