海 鼠 2     137句

沖の石のひそかに産みし海鼠かな   野村喜舟

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書・その他
まなまこのとほりぬけたりおぼろ月
佐藤喜孝
あを
200204
まなまこのうみおとしたるおぼろ月
佐藤喜孝
あを
200204
海の中だけを見てゐる海鼠突
櫻井多恵
200204
魚藍の海鼠蠢いてゐて動かざる
櫻井多恵
200204
槍尖の海鼠突きたる殺気かな
櫻井多恵
200204
魚籃の海鼠蠢いてゐて動かざる
櫻井多恵
200204
縮むだけちぢみて海鼠売られけり
棚山波朗
春耕
200205
海鼠突髪より潮したたらす
木内憲子
六花
200206
眠さうないろして海鼠突かれけり
前田陶代子
六花
200206
そびらより俎出しぬ海鼠売
山尾玉藻
火星
200212
衰殘の歯を嗤ひをる海鼠かな
中原道夫
銀化
200212
古傷は癒えてをらぬか海鼠切る
中原道夫
銀化
200301
潜居せるものに日當る海鼠かな
中原道夫
銀化
200301
酸海鼠の酢は強情を煽るかに
中原道夫
銀化
200301
海鼠買ふまでを一人の主婦として
中原道夫
銀化
200301
どこまでも白を切る氣の海鼠かな
中原道夫
銀化
200301
云ひぶんも聞かず海鼠の腹を切る
大山里
200302
朝市の海鼠の動く雪もよひ
吉田多美
京鹿子
200302
海鼠突よばれて顔を上げにけり
長谷川守可
百鳥
200302
鰭のなき海鼠や神の手抜きかも
高橋道子
200303
ひんがしの海鼠に西のエスカルゴ
大堀鶴侶
雨月
200303
新入りの打たれ強かり海鼠噛む
平田倫子
百鳥
200303
光年といふ暗きもの海鼠噛む
水野恒彦
200303
忘年の海鼠あたまの揃ひたる
栗栖恵通子
200303
暮れどきの真水で洗ふ赤海鼠
雨村敏子
200303
捉へたる海鼠は未だ夢の中
城石美津子
京鹿子
200303
根くらべ桶の海鼠に適はざり
にいざ蚯蚓
銀化
200303
小さん亡く志ん朝も亡く海鼠かな
若林由子
銀化
200303
健康てふ言葉が好きで海鼠噛む
渡辺みどり
200303
俎板の鯉とはなれぬ赤なまこ
笹村政子
六花
200303
長かりし子の反抗期なまこ喰ぶ
笹村政子
六花
200303
かさかさの掌に返したる海鼠かな
浜口高子
火星
200304
建国日海鼠に泪そそがるる
神蔵器
風土
200304
蜑が屋の簷のほつれや海鼠干す
浜明史
風土
200304
故ありて海鼠に生まれ身を切らる
中村崋好
銀化
200304
消えかけし海女の名札や海鼠舟
西岡美代子
百鳥
200304
海鼠喰ふ解つたふりの難解句
笠間圭子
京鹿子
200304
海鼠凍つ世に厄介なテロと核
笠間圭子
京鹿子
200304
酢海鼠や力入らぬ歯のありて
土井三乙
風土
200305
海鼠食ぶ仲間と共に酒酌んで
川瀬信子
築港
200305
本論はさておき海鼠沈みをり
横山智恵子
京鹿子
200306
海の詩聴かで海鼠となりにけり
山元志津香
八千草
200307
古妻と言えど触れぬ海鼠かな
芦川まり
八千草
200307
大海鼠解剖のごと刃を入れし
芦川まり
八千草
200307
俎の海鼠は鎧うかに固し
芦川まり
八千草
200307
みちのくの灯こつこつと海鼠喰ぶ
桑原泰子
八千草
200307
かの激戦知るよしもなし大海鼠
桑原泰子
八千草
200307
俎の上で恐懼す赤海鼠
香釈好以
八千草
200307
刃立てれば白き身見せる赤海鼠
香釈好以
八千草
200307
磯桶にほのと紅さす寒海鼠
渡部義雄
200307
酢海鼠やときを刻まぬ古時計
内田裕夫
200312
内海に朝の日矢さす赤海鼠
沖島孝光
200401
戰爭のはじめはいつも海鼠かな
佐藤喜孝
あを
200401
海の詩聴かで海鼠となりにけり
山元志津香
西の峰
200401
酢海鼠や素顔にもどり驚かす
上野澄江
百鳥
200402
無器用な箸で海鼠をもて余す
酒井ひろ子
200402
海鼠噛む話いつしか振出しに
森本さやか
雲の峰
200402
人逝きてしんかんとある海鼠桶
淵脇護
河鹿
200403
月光の色とどめたる青海鼠
近藤喜子
200403
崑玉の星空を知る海鼠かな
本多俊子
200403
大潮の江にいさぶられ海鼠舟
浜福恵
風土
200403
愛想良き返事を返し海鼠切る
木村てる代
雲の峰
200403
ペンは剣より強しとされど海鼠かな
高千夏子
200403
黒海鼠獲るはひとりの海女なりし
九万田一海
河鹿
200404
まどろみの底の底なる海鼠かな
高橋将夫
200404
指一本で子が突いてゐる海鼠かな
平田紀美子
風土
200404
海鼠食ぶ古代の猛者を称えたし
中田寿子
ぐろっけ
200404
しけの後渚にみてり藻と海鼠
佐々木ミツヱ
200405
酢海鼠を親の仇のやうに噛む
阪本哲弘
200405
やると言ふ海鼠こはごは覗きけり
長沼紫紅
200405
青海鼠拗ねてこの世の爲ならず
八田木枯
夜さり
200409
世の平安海鼠はふかく考へる
定梶じょう
あを
200501
遠巻きに海鼠と判るほどの距離
稲畑廣太郎
ホトトギス
200501
生きをるか否かもわかぬ海鼠かな
植竹美代子
雨月
200501
海鼠うごきてハンドルの遊びほど
高橋将夫
200502
酢海鼠の堅さに胃の腑音を上ぐる
落合由季女
雨月
200502
海鼠噛む老残の呂律くくみつつ
呉文宗
春燈
200502
このごろのおのれに飽きてゐる海鼠
宮倉浅子
遠嶺
200502
前後ろわからぬ海鼠捌きけり
長野純顕
対岸
200503
ふぐなまこ喰はずに生きて卆寿かな
加藤君子
火星
200503
賜りし凪を出でゆく海鼠舟
酒井康正
百鳥
200503
蘊蓄を延々述べて海鼠噛む
伊藤稔代
200503
この海鼠楸邨ならばいかに詠む
伊藤白潮
200503
臓物の長きを出して海鼠切る
廣畑育子
200504
このままがいいと言ひたる海鼠かな
高橋将夫
200504
神鏡になにを呟く寒海鼠
延広禎一
200504
呟きを聞かされてゐる海鼠かな
近藤喜子
200504
色かたち字面も怖き海鼠かな
栗原公子
200504
故郷の波高からむ海鼠食ぶ
高木嘉久
200504
億年の遺伝子守る海鼠かな
佐々木よし子
200504
海鼠噛み身ぬちを走る弱気かな
藤井寿江子
馬醉木
200504
もの好きに掴まれ海鼠いよよ赤
山崎靖子
200504
生き甲斐の話に及ぶ海鼠かな
中村恭子
200504
男にも二つの乳首なまこ喰ふ
淵脇護
河鹿
200504
海鼠切る嫁して長しといまさらに
行安知子
200504
海鼠突く島の高みに狼煙跡
岡本崇
200505
大海鼠水もて揉めば毬となる
石丸恭子
馬醉木
200505
酢海鼠や確かむ夫の生返事
長谷川子
馬醉木
200505
家系には酒乱がゐたり赤海鼠
小林朱夏
200505
写楽貌海鼠を噛んでをりにけり
高橋将夫
星の渦
200507
円卓の海鼠同士でありにけり
高橋将夫
星の渦
200507
数へ日の海鼠の水に顔映る
山尾玉藻
火星
200512
向き変へてをりたる桶の海鼠かな
山尾玉藻
火星
200601
一貫して進化を拒みきし海鼠
伊藤白潮
200601
大海鼠買物籠の底に居る
井村健一
百鳥
200602
億年を戦はずしていま海鼠
佐々木よし子
200602
海鼠割く男の手なり滴れる
渡邉美保
火星
200603
無量光にうんともすつともなき海鼠
延広禎一
200603
酢海鼠やこのごろ踵ざらざらす
黒田咲子
200603
一生涯海鼠嫌ひで通しけり
柴田久子
風土
200603
指先でつつき選ぶよ寒海鼠
清水明子
遠嶺
200604
詩心と戀知つてゐる海鼠かな
水野恒彦
200604
形のよき大欅なり海鼠かむ
谷村幸子
200604
逃げ口上特技の夫の海鼠食む
鈴木ひろ子
200604
一炊の一幕一場海鼠なり
片山タケ子
200604
大阪風に海鼠を値切り旅好日
本城布沙女
雨月
200604
かたまつて海鼠腹が空いたといふ
秋岡朝子
200605
酢海鼠に酔へばすぐ寝る父であり
赤木真理
ぐろっけ
200605
無頼ぶる男の箸を海鼠逸れ
里見紀子
四葩
200605
碧玉の星空を知る海鼠かな
本多俊子
さくらの音
200605
だまされてわれは凍てたる海鼠かな
中田みなみ
200612
転生とならば海鼠と即答す
伊藤白潮
200701
海鼠敵はをれど討たずをり
佐藤喜孝
あを
200701
大海鼠くねりて貌の定まらず
藤野智弘
200702
エイリアン海鼠を食つて人間に
延広禎一
200702
金輪際切つて血の出ぬ海鼠かな
和田照子
200703
おほらかに海鼠のやうにねむりたる
篠藤千佳子
200703
無愛想とは海鼠を売れる親爺にて
鎌田篤
雨月
200703
盆にころがし海鼠の値札裏見する
鎌田篤
雨月
200703
海鼠突く波靜もれる出雲崎
森重夫
万象合同句集
200703
西方へ三尺沈む海鼠かな
大島翠木
200705
石投げて春の海鼠にあたりけり
百瀬七生子
海光
200705
冬の雨海鼠眠らせ貝眠らせ
百瀬七生子
海光
200705
海鼠突きゐたりし顔のまま笑ふ
百瀬七生子
海光
200705
海鼠舟大きく回る芯のあり
百瀬七生子
海光
200705
海鼠桶人をしづかにやり過ごす
戸栗末廣
火星
200705
七尋の竿寝かせあり海鼠舟
田村愛子
万象
200706

 

2015年12月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。