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餅焼く火さまざまの恩にそだちたり   中村草田男   来し方行方

作品
作者
掲載誌
掲載年月
餅焼くや更けて風音つのり来し 鷹羽狩行 199812
吉報やかるた散らしに餅を干し 樋口英子 朝桜 199904
あたたかき息のごとくに餅置かる 中根美保 風土 199904
餅焼いて背のことは忘れましよ 吉田多美 京鹿子 199905
不揃ひの切餅を買ふ草の市 石原八重子 春耕 199905
三角の角から食べる豆の餅 荻野美佐子 船団 199908
揉む餅の大きさを父怒るなり 岡本高明 200001
あの世この世餅焼けば膨れるよ 立岩利夫 海程 200002
口中に餅あり怒れぬではないか 梅田津 銀化 200003
神の井の臼取水や餅を搗く 中村翠湖 馬醉木 200003
初産の娘へ焼く餅のよくにほふ 甲田雅子 200003
二千年期待の餅を搗き上ぐる 二村蘭秋 雨月 200004
ふるさとの記憶たとへば餅の罅 上谷昌憲 200004
日記はや餅の固さをしるすのみ 彌榮浩樹 銀化 200004
幼な子に見つめられゐる餅搗機 二瓶洋子 六花 200004
世に悪のはびこる証餅の黴 山口速 200005
天と地の間に生きて餅を焼く 桂信子 200005
餅腹の饑くなりし独り住み 吉田多美 京鹿子 200005
親戚が母屋に集ふ餅筵 近藤憙治 船団 200007
餅搗のかけ聲にして笑ひごゑ 小山森生 200008
十二月の音かぶさって餅を搗く 堀内一郎 あを 200101
保育所と老人ホーム餅を搗く 竹内弘子 あを 200101
飛騨の炉に焼餅自慢嫁自慢 久保山満末 遠嶺 200102
餅搗や天狗の山がそこにあり 加藤いろは 200103
寺に臼持ち寄り檀家餅を搗く 永野秀峰 ぐろっけ 200103
作料の切餅届き夜の緊る 吉野トシ子 馬醉木 200104
餅筵座敷に拡げ日暮れけり 林田加杜子 いろり 200104
戦争の飢ゑを語りて餅を焼く 泉田秋硯 200104
高空を鳥ゆく餅を搗く音や 浜口高子 火星 200104
飼猫を搗き餅のごと持ち上ぐる 佐藤真次 200104
恋もなき長子やいつも餅焦す 和田あきを 風土 200104
若人らよく伸びる餅搗きくれし 大堀鶴侶 雨月 200104
波津女思ほゆ餅の水替ふる度 品川鈴子 船出 200104
今世紀最後の餅を丸めおり 内野聖子 船団 200105
石鎚の大権現の餅拾ふ 星加克己 ぐろっけ 200106
餅搗の臼座りよき三和土かな 佐々木踏青子 200112
紅白の餅撒きて終ふ里神楽 植木緑愁 春耕 200112
切口の吸ひつく餅を切り重ね 斎藤棹歌 200201
いつの間に迎へし傘寿ふくれ餅 石田章子 200201
餅搗きの湯気香ばしき講の宿 皆川盤水 春耕 200202
餅搗きの終りて庭木まぶしめる 皆川盤水 春耕 200202
餅つきの合ひの手を僧つとめをり 白瀬露石 春耕 200202
餅を搗く元気まだまだありにけり 保坂加津夫 いろり 200202
紅白の餅を背に負ひ四歩あゆむ 江倉京子 あを 200202
焼餅の我慢どころに海苔を貼る 新井竜才 銀化 200202
餅焼いてつくづく独り暮しとは 萩原記代 200202
餅ひびの走り父なき山の子よ 渡辺俊子 京鹿子 200202
母とゐて百編返し餅を焼く 河合笑子 あを 200202
ほだはらの塩吹いてゐる重ね餅 桑田眞佐子 火星 200203
母の掌の餅ぽつてりと仕上がりぬ 大東由美子 火星 200203
死後のことなぜかよぎりて餅を焼く 大牧広 200203
餅を切る手力にまだ頼るもの 松島不二夫 200203
玉の緒や酒饅頭ときな粉餅 石脇みはる 200203
被爆手帳と共に生き来て餅を焼く 政木紫野 馬醉木 200203
餅搗くや四代を経し臼と杵 鈴木夢亭 春耕 200203
餅を搗く富士より雲のとぶことよ 柏木去孔 200203
餅搗の湯気の上れる軒に富士 柏木去孔 200203
餅搗の臼の中まで日当れる 柏木去孔 200203
餅を搗く裏山に日の当りをり 柏木去孔 200203
餅搗き終へ家財道具を戻しけり 横山茂子 200204
馬もゐて餅を搗く土間賑はへり 米屋道子 200204
留守居して昼餉の餅を二つ焼く 大山志津 雨月 200204
校庭の餅搗湯気と人垣と 木津左耶子 ぐろっけ 200204
小餅とり漸く慣れて六〇K 木津左耶子 ぐろっけ 200204
膨らんでぷつと破れる餅の味 孝子・フォン・ツェルセン 円虹 200205
拾ひたる餅を見せ合ふ兄弟 金田美恵子 ぐろっけ 200205
遠き子も寄りて吾が家に餅を搗く 永田あき 酸漿 200302
餅搗きや声の似かよふ山の子ら 熊丸淑子 馬醉木 200303
黙といふ言葉ありけり餅を焼く 多田節子 雨月 200303
露坐仏に供へし餅に罅が入る 打田みえ 築港 200303
餅搗いて竹箆返しを浴びにけり 託正夫 200303
年の餅数を覚えし子が数ふ 水井千鶴子 風土 200303
山家にて煙立ちゐる餅の音 山本田津子 200303
レンヂかな炭火焼餅なつかしみ 林翔 200303
年の餅密封されて山積に 竹下昭子 ぐろっけ 200303
故里の情が膨るる炙り餅 高島鷄子 馬醉木 200304
餅焦がすたびに奥より母の声 長田等 200304
山々に餅搗の音ひびきけり 清水和子 酸漿 200304
論爭の論外に餅干涸びる 西村藻頭児 銀化 200304
餅搗器身震ひしばし搗きあがる 阿部一彦 築港 200304
町会長肩書外し餅搗けり 阿部一彦 築港 200304
餅つきや母は手返しうまかりし 大井昌 京鹿子 200304
マンションの餅搗き胸に名札つけ 藤森万里子 百鳥 200305
かき餅を焦がし磯の香あふれけり 常澤淑子 200305
餅搗きの腰にこたえる杵重し 中島英子 八千草 200306
隣家より餅を焼く香や旗掲ぐ 香釈好以 八千草 200307
初鴉餅を銜へて逃げゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200311
餅焙る母より生きて母恋し 岡本眸 200401
風音や軽くこがせし餅一つ 水原春郎 馬醉木 200402
切餅の膨らむほどに哀しかり 菅原健一 200402
夜神楽に賜ばる餅の手に温し 堀田清江 雨月 200402
餅好きな里人の住む里の餅 村越化石 200402
五升炊きの釜で米蒸し餅を掲く 佐々木春子 200402
筵の跡残る伸し餅なつかしや 大田たまえ 200403
餅掲機の餅の踊れば子も踊る 池水雅子 200403
餅配付合ひ良き父母やりしといふ 池水雅子 200403
シャッターの音小気味良くお餅つき 林裕美子 六花 200403
こんがりと余生の餅を焼いてゐる 田中藤穂 あを 200403
鼬出て施行の餅を啣へゆく 北吉裕子 雲の峰 200403
園児らの父渾身の餅を搗く 大森春子 200403
餅→ 2      

 

2020年12月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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