ものの芽 2   193句 (物の芽・物芽)

土塊を一つ動かし物芽出づ   高浜虚子   六百句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ものの芽や吾子の細胞増えつづけ 沼田桂子 春燈 200604
ものの芽の道にせり出て気にかかる 長崎桂子 あを 200604
ものの芽や眠りて知恵を授からむ 荒井千佐代 200605
ものの芽のチューリップすぐ見分けられ 宮津昭彦 200605
ものの芽の飛び出す構へ無人駅 鈴鹿仁 京鹿子 200605
物の芽の一つ離れてみどり濃し 柳生千枝子 火星 200605
物の芽の動く気配の湿りかな 増田久子 酸漿 200605
ものの芽や対人恐怖症癒えず 篠田純子 あを 200605
ものの芽や杭打つ音の空にある 宇田喜美栄 200606
ものの芽に吾が晩年を信じけり 佐藤なか 遠嶺 200606
ものの芽やロープの図面引かれをり 高橋芳子 火星 200606
ものの芽や出城に岩の軍議台 近藤幸三郎 風土 200606
物の芽や相続手続終へぬまま 奥田弦鬼 風土 200606
園児熟睡すものの芽に包囲され 荒井千佐代 200606
無造作にものの芽を踏む放ち鶏 金子知代 万象 200606
暁を香の押しくるはものの芽か 市場基巳 200606
ものの芽の風にかがやくいのちかな 若林花枝 200606
ものの芽の一大合唱聞えけり 稲岡長 ホトトギス 200607
行く人やものの芽たちの笑ひ声 高安勝三 遠嶺 200607
ものの芽の溢れて風の色となる 山村修 酸漿 200607
ものの芽をたしかめに来し庭の隅 阿部ひろし 酸漿 200703
ものの芽の太きが土を割つて出づ 滝沢伊代次 万象句集 200703
ものの芽を踏みて裾野の息吹かな 中島玉五郎 200704
そよと吹く風ものの芽の息吹かな 鈴木撫足 春燈 200705
ものの芽の風流れくる仏間かな 久保田嘉郎 酸漿 200705
ものの芽や口を開きて歩きをり 篠田純子 あを 200705
物芽萌ゆ上田古城の石垣に 岡野ひろ子 200706
ものの芽に跼むうれしさ手をついて 西口万佐子 200706
ものの芽に足裏疼いてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200803
物芽出づ世界遺産となりし野に 稲畑廣太郎 ホトトギス 200803
ものの芽や廃れ畑とは思はれず 小林呼溪 200803
ものの芽のゆるみだしたる今朝の雨 羽賀恭子 200805
ものの芽のものの影もつ佛みち 鈴鹿仁 京鹿子 200805
ものの芽と競へる心老にあり 野原春醪 馬醉木 200806
ものの芽や無限の空と身の卑小 小國佐世子 遠嶺 200806
洋館に和風庭園物芽立つ 林いづみ 風土 200806
ものの芽の朝の光りの中にをり 布施まさ子 風土 200806
起き抜けの庭ものの芽のまくれなゐ 岡和絵 火星 200806
ものの芽を尋ぬるわれの鳥に似て 邑橋節夫 菊揃へ 200806
ものの芽の油ぎつたるごときあり 島谷征良 風土 200807
ふと庭に出てものの芽を探しけり 阿部ひろし 酸漿 200903
物の芽や席ゆずられしバスの中 中山静枝 200904
囲ひ置く鉢に物芽の育ちをり 青野安佐子 200904
地に降りし日差し物芽となりゆけり 布川直幸 200905
ものの芽のたのしき数をかぞへけり 小形さとる 200905
大地より春のことづて物芽出づ 山田天 雨月 200905
またも礼庭のものの芽見る同士 石岡祐子 200906
ものの芽の濡れてあしたの眩しめり 井上静子 200906
ものの芽に水のぼりきて青むかな 布川直幸 200906
師の庭に会ひしものの芽多かりき 谷合青洋 酸漿 200906
ものの芽にあまねく雨の注ぎをり 赤司美智子 酸漿 200906
ものの芽のおぼつかなさに独り言 鴨下昭 200907
ものの芽や地から天へと駆け上がり 久保田かなめ ろんど 200907
ものの芽や庭の時間の過ぎ易く 今橋眞理子 ホトトギス 200908
手荒しと思ふものの芽打てる風 高崎武義 201003
ものの芽や溢るる光揺れやまず ことり 六花 201003
ものの芽や細き川波日を返す 吉沢陽子 201004
ものの芽の萌え出でにけり爆心地 遠藤逍遙子 風土 201005
物の芽の日毎ほぐるる山の姿なり 久保東海司 201006
ものの芽の朝日に影をとどむ程 久保東海司 201006
ものの芽にふれて確かむ胎蔵界 西村純太 201006
ものの芽や一画の誤字おそるべし 滝沢幸助 春燈 201006
ものの芽の影のかさなる火薬蔵 岡和絵 火星 201006
すあま歯に粘し物の芽ととのはず 竹内弘子 あを 201006
ごたごたのものの芽庵主逝きてより 和田照海 京鹿子 201007
ものの芽の未来を解く風のあり 涌羅由美 ホトトギス 201008
ものの芽とこころ一つにしてゐたる 阿部ひろし 酸漿 201008
ものの芽の大きが土を割つて出づ 河野千恵子 酸漿 201009
腰痛の足下ものの芽びつしりと 山尾玉藻 火星 201103
ものの芽の地を裂く力吾に欲し 宮崎左智子 201105
ものの芽のほぐるる雨となりにけり 神蔵器 風土 201105
天災に憑かれものの芽の影見えず 四條進 201105
ものの芽やいつもの珈琲店にゐる 中山静枝 201105
ものの芽のおのれ信じて揃ひ立つ 宮崎きみ枝 201105
ものの芽の夜更けの月と尖り合ふ 上田玲子 201105
ものの芽に思案の頭寄せにけり 飯田角子 酸漿 201105
ものの芽や鎌倉五山一の寺 堀田こう 雨月 201105
その勢は炎のごとき物芽かな 五十嵐勉 201106
ものの芽に素直な風が渡りゆく 吉村光子 万象 201106
幾万のものの芽に城守られて 奈辺慶子 雨月 201106
白毫やものの芽ほぐす雨となり 神蔵器 風土 201106
土をよけ土を被りて物芽出づ 多田まさ子 ホトトギス 201108
ものの芽の未来へ伸びてゆくつくば 稲畑廣太郎 ホトトギス 201202
物芽出づ日本列島揺さぶりて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201203
ものの芽を見付けしよりの未来かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201203
水流れ地球は回り物芽出づ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201203

 東日本大震災励まし

磯城島に未来は確と物芽出づ

稲畑廣太郎 ホトトギス 201203
知らぬ間にここだものの芽なりしかな 伊藤とほ歩 ホトトギス 201203
ものの芽や二部合唱の乙女たち 松下八重美 夢見の鐘 201203
ものの芽の庭石さけし歪みかな 谷田部栄 万象 201205
ものの芽のほぐるる気配わかちあふ 赤座典子 あを 201205
ものの芽の一つに佐保の朱唇仏 雨宮桂子 風土 201205
ものの芽の息吹に押されすべり台 中島久子 馬醉木 201206
ものの芽の名を確かめつ眺めつつ 榎本桂子 万象 201207
物の芽の新たな思ひ秘めてをり 川南隆 ろんど 201208
物芽出づ明治の薫る公園に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
ものの芽や夢ふくらます川の音 鈴鹿百合子 猫贔屓 201305
旧道に入ればものの芽盛んなる 中川すみ子 201305
ものの芽や雲梯を子がわたりゆき 田村嘉章 ぐろっけ 201305
ものの芽や小石起こして笑顔出す 赤松赤彦 六花 201305
ものの芽のひとつひとつの気迫満ち 和田政子 201305
ものの芽や赤子は拳解かず寝ね 松本三千夫 末黒野 201305
ものの芽の原つぱ人ら身横たふ 川南隆 ろんど 201306
物の芽の膨らむ園の日和かな 嵐弥生 末黒野 201306
ものの芽の力授かる我が齢 林八重子 馬醉木 201307
黒き土より音立て物芽出づ 岩岡中正 ホトトギス 201307
物芽出づ大地震へしあの日はも 稲畑廣太郎 ホトトギス 201403
ものの芽のあまた天指す日和かな 国包澄子 201403
物の芽のむらさき匂ふ太さかな 篠原幸子 春燈 201405
ものの芽の光る小雨となりにけり 前田美恵子 201405
ものの芽の放つひかりや風集ふ 黒滝志麻子 末黒野 201405
つらつらの風ものの芽を鞣しをり 細川洋子 201406
名もなくてただものの芽といふべかり 辻美奈子 201406
ものの芽に力をつけて雨上る 片山喜久子 雨月 201406
ものの芽の土より出でて汚れなし 今井春生 201406
ものの芽の動く気配や子らの声 林八重子 馬醉木 201406
ものの芽を棒で囲うてたのしめる 井島郷雲 万象 201406
街路樹の根方ものの芽つんつんと 上家弘子 ろんど 201407
ものの芽に触れては土に消ゆる雨 川口利夫 ホトトギス 201408
ものの芽の色信州に入りけり 根岸善行 風土 201411
那須五峰仰ぎものの芽育ちけり 近昌夫 春燈 201412
つんつんとものの芽立のある辺り 稲畑汀子 ホトトギス 201503
人悼みつつものの芽に膝を折る 稲畑汀子 ホトトギス 201503
ものの芽の揃ひて尖り空に向く 鈴木阿久 201504
ものの芽の屈めば風の通り道 生田恵美子 風土 201505
ものの芽や首塚の風堂塚へ 柴田佐知子 201505
物の芽の覚束無きを囲ひけり 中田のぶ子 ろんど 201505
仄と紅さして物芽の兆し初む 大橋晄 雨月 201505
ものの芽の影もたしかな野のひと日 豊田都峰 京鹿子 201505
ものの芽やゆつくり動く乳母車 菊池洋子 やぶれ傘 201506
日照雨やみ庭のものの芽光りけり 佐々木永子 末黒野 201506
倍速の眼で物芽見てをりぬ 相良牧人 201507
ものの芽や薄紙に透く京土産 田代貞枝 201508
ものの芽や社に対の獅子頭 和田慈子 末黒野 201604
ものの芽や石塊多き島の畑 元和木恵美子 馬醉木 201605
もの芽出てゆとり羅漢の悟りかな 鈴鹿仁 京鹿子 201605
ものの芽の動き始むる小庭かな 高橋正江 末黒野 201605
ものの芽のクエスチョンマークの形をして 中島昌子 201605
チューリップらしきもの芽の二つ三つ 加藤北天 雨月 201605
ものの芽や日々新しき朝来る 大橋伊佐子 末黒野 201606
ものの芽や波立ちさわぐ池の面 岡田史女 末黒野 201606
ものの芽の淡く光りて雨上がる 福武幸子 万象 201606
ものの芽やひこの言の葉日々に増え 辻田玲子 雨月 201606
天地のひかりやはらぎもの芽出づ 辻田玲子 雨月 201606
大小の大も小さく物芽出づ熱海 島田一歩 ホトトギス 201608
ものの芽の緑を秘めてゐる真紅 今橋眞理子 ホトトギス 201608
ものの芽やハローワークに十二使徒 伊藤五六歩 船団 201612
ものの芽の空にふれむとする辺り 今井肖子 ホトトギス 201704
谷深くものの芽探す藁の籠 竹中一花 201705
ものの芽や隠れ家めきて住みにける 前田美恵子 201705
ものの芽に囲まれてゐて独りなり 大川ゆかり 201705
ものの芽のふくらむ風となりにけり 水谷文謝子 雨月 201706
ものの芽やいつもの日暮やって来し 山荘慶子 あを 201705
ものの芽の十色百態雑木山 森清堯 末黒野 201706
ものの芽や昭和の森に昭和なく 千田敬 201706
ものの芽や武士の影ありにけり 竹内悦子 201706
ものの芽やコロポツクルの動き出す 中田禎子 201706
闇にいてものの芽の声どこそこに 柴田靖子 201706
ものの芽や作家の机上虫眼鏡 宮内とし子 201707
ものの芽の頃もののけが動き出す 江島照美 201707
池底にものの芽一つ二つ三つ 内海良太 万象 201707
物芽出づ匿名で書くミステリー 竪山道助 風土 201706
ひしめきて夫の遺せし物芽出づ 柴田昭子 雨月 201801
ものの芽のその後忘れて旅がちに 稲畑汀子 ホトトギス 201803
ものの芽にかがみて語りかくるもの 稲畑汀子 ホトトギス 201803
ものの芽の何か分らぬ二三日 稲畑汀子 ホトトギス 201803
仕事の手止めて出てみるものの芽に 稲畑汀子 ホトトギス 201803
木と化せるベンチに芽吹くもののあり 平居澪子 六花 201805
内角の低目高目と物芽吹く 鷺山珀眉 京鹿子 201805
林苑の土にものの芽寸二寸 浅井青二 雨月 201806
雨一夜光掲げて物芽出づ 水谷保子 雨月 201806
物の芽に音なき雨の雫かな 土江比露 春燈 201807
鳥ごゑのふれたるところより物芽 岩岡中正 ホトトギス 201807
大奥の跡のものの芽芳しき 大久保白村 ホトトギス 201808
法螺貝に山のものの芽動きだす 今井康子 201808
己が影引つ張り出して物芽出づ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
ものの芽の何か分りしよりの日々 稲畑汀子 ホトトギス 201903
足し算の答まぎれなきものの芽 鷺山珀眉 京鹿子 201904
ものの芽のひとつひとつに天のあり 菊池和子 京鹿子 201905
ものの芽のほぐれてきたり伎芸天 赤峰ひろし 201905
ものの芽や角ハイボール濃いめに 篠田純子 あを 201905
ものの芽の奔流となる明るさよ 島田万紀子 馬醉木 201906
ものの芽の朝日待ちゐし息づかひ 中貞子 201906
ものの芽に元気をもらふほとけみち 山崎英子 京鹿子 201906
ものの芽の出かかりし頃疼きたる 山田健太 風土 201906
土砂降りの空をめざしてものの芽は おーたえつこ 201906
ものの芽を促す雨や実朝忌 岡田史女 末黒野 201906
ものの芽やひと雨ごとに名乗り上ぐ 門伝史会 風土 201907
ものの芽に大樹の未来彩られ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202003
ものの芽やうれしきことは口に出て 諸岡和子 202004
其所此所にものの芽紅き主張かな 岩下芳子 202004
潤うて光りほぐるる物芽かな 臼居澄子 末黒野 202006
ものの芽や稚児の前歯の生え初むる 高井修一 春燈 202007
ものの芽→ 1

 

2021年2月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。