桃 6  (水蜜桃・白桃)  122句

病巣のしきりに桃を欲しけり   長谷部朝子   暖流

作品
作者
掲載誌
掲載年月
桃の香の桃の形を超越す 辻美奈子 201611
伝説の初めに桃が流れくる 高橋将夫 201611
国境なき海神の国桃流るる 中田禎子 201611
賜ひたる桃にかげさす小望月 岡田和子 馬酔木 201611
桃の実は少し色づく御所の風 杉本薬王子 風土 201611
白桃の重たく沈むたなごころ 坂場章子 201611
桃重し父のことばの今更に 篠原幸子 春燈 201611
白桃すする指輪ぎらひの指ぬらし 和田絢子 春燈 201611
白桃や仄かに紅の刷くところ 堀井英子 雨月 201612
畏れつつ白桃包む紙を剥ぐ 堀井英子 雨月 201612
桃の実の触れるを拒む色香かな 竹村淳 201612
白桃供へこまごまの事思ひ居り 久保田優子 末黒野 201612
夜の桃に鼻抓まれし猿田彦 柳川晋 201701
掌を桃のまろさに添はし剥く 中村房子 馬醉木 201701
真緑の桃の実の待つ袋掛 赤座典子 あを 201708
白桃の領域へとは踏みこめず 鷺山珀眉 京鹿子 201709
山桃を籠いつぱいに拾ひけり 延川五十昭 六花 201709
白桃や肘まで果汁したたらせ 石森理和 あを 201709
白桃に一点の創あらば捨つ 竪山道助 風土 201710
白桃の紅うつすらと夜の白磁 川崎雅子 春燈 201710
山桃を捥ぐや好漢指染めて 鈴木礼子 末黒野 201710
参道を染むる山桃峰の寺 小川玉泉 末黒野 201710
桃熟れて桃は完円より丸し 辻美奈子 201711
桃買つて帰りし家に誰も居ず 河口仁志 201711
びろーどのうぶ毛は濡れず桃冷やす 大沢美智子 201711
全快と走り書きあり桃真白 齊藤陽子 201711
達者かと一筆従姉妹よりの桃 吉田きみえ 末黒野 201711
白桃を好みし母の忌に集ふ 秋川泉 あを 201711
水蜜桃むいて嫌ひになれずゐる はしもと風里 201712
桃すすり父母なき里を近うせり 原和三 末黒野 201712
渡す手も渡さるる掌も桃香る 甲州千草 201712
白桃を畏み未だ刃を入れず 雨村敏子 201712
待つ人の扉を開く夜の桃 江島照美 201712
白桃おさえ髪の八百屋に睨まれる 後藤マツエ 201712
夫とうに眠りにつきし桃をむく 苑実耶 201801
喪の家の水蜜桃の匂ひかな 山田正子 201802
桃をむく桃のことだけ考へて 高倉和子 201802
桃の実のお尻は歪素直な子 つじあきこ 船団 201805
円卓にだれのももでもない桃を 高橋龍 201807
白桃の匂ひの満ちし夜の仏間 苑実耶 201809
桃の香の育てし薔薇を一輪挿 石森理和 あを 201808
バイエルで挫折のヒミツ桃ゼリー 火箱ひろ 201809
白桃の傷つく闇を愛ほしむ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201810
桃届く熟すを待てば香たつ 須賀敏子 あを 201809
届きたる白桃指に剥く大事 落合絹代 雨月 201810
少年の喉佛美し桃の種 雨村敏子 201811
白桃を剥けばいのちの溢れけり 寺田すず江 201811
鶏小屋に鶏のいなくて桃啜る 東英幸 船団 201812
皮むけば香り豊かや里の桃 伊藤由良 末黒野 201812
呼ぶ声や白桃しかと熟れてをり 中島陽華 201812
白桃や癒ゆるも自分甘やかす 大室恵美子 春燈 201812
白桃や傷つき易き反抗期 平田初音 京鹿子 201901
白桃を剥くや爪跡ひとつ付く 貫'井照子 やぶれ傘 201902
桃食べし躰に蜜の満ちてゆく 天谷翔子 201902
白桃をすするや時も豊満に 能村登四郎 201906
而して源平桃の吐息かな 千田百里 201906
勝山や灼けし袋に太る桃 山田六甲 六花 201906
乳房の句夜の桃の句三鬼の忌 松本三千夫 末黒野 201907
左右の手に受く極楽の早桃かな 岩下芳子 201909
桃を持て京より来る子のありて 川崎雅子 春燈 201909
桃を買ふ包丁たたぬ未熟桃 大日向幸江 あを 201910
考妣になき齢賜はり桃すする 阪上多恵子 雨月 201911
大雨の警報解除桃をむく 阪上多恵子 雨月 201911
山桃を散らかし鳥の群れ立ちぬ 時田義勝 やぶれ傘 201911
桃剥きし指もて一句書きとむる 中田みなみ 201911
白桃の故地の香放ち届きけり 後藤眞由美 春燈 201911
白桃に委ぬる時の流れかな 近藤真啓 春燈 201911
眼福や大白桃に触れずゐる 雨村敏子 201911
白桃や齢はんなり重ねたき 阪倉孝子 201911
桃もぐや三つ目までとガイドより 堺昌子 末黒野 201911
手に取りてやはらかすぎる桃にほふ 藤井美晴 やぶれ傘 201911
白桃を嬰児抱くように両の手で 伊藤昌枝 201912
柔らかき脳細胞や桃を剥く 渡部恭子 201912
剥けるまでそつとしておく夜の桃 江島照美 201912
もも色ははにかみのいろ桃冷やす 亀田虎童子 201912
白桃の銀の産毛や筧水 石田厚子 馬醉木 201912
白桃の匂へる夜の仏間かな 貫井照子 やぶれ傘 201912
桃載せてみて手の老いを哀しめり 中村嵐楓子 春燈 202001
白桃に委ぬる時の流れかな 近藤真啓 春燈 202001
桃を切るとき息つめてをりにけり 山田佳乃 ホトトギス 202002
まなうらに昏き樹海や桃啜る 深川淑枝 202003
白桃のしづかな夜となりにけり 山本則男 202005
桃は実に夫は彼岸に行きしかな 重実ひとみ 京鹿子 202008
白桃を啜る真顔は何惟ふ 能村研三 202009
白桃も夜汽車の窓も皆むかし 小嶋恵美 春燈 202009
到来の桃の香ほのと畳の間 須賀敏子 あを 202009
犬と犬気の合ふ店の桃貰ふ 中田みなみ 202010
桃届く桃の一つの腐るかな 篠田大佳 あを 202010
コロナ禍や食べに行けない桃のパフェ 瀬戸美文 202011
水蜜桃沈黙といふ不発弾 奥田筆子 京鹿子 202011
白桃の水のかたちを毀しけり 兵藤惠 202011
桃畷る顎つきだして齧り付く 門伝史会 風土 202011
桃ひとつ剥いて朝餉の豊かなる 石黒興平 末黒野 202011
白桃の胸や尻なる産毛撫 小笠原妙子 202011
桃啜るいち日の難払ふかに 住田千代子 六花 202012
ふた晩を寝かせし桃を剥きにけり 住田千代子 六花 202012
感情線濡らし白桃啜りけり 関根揺華 202109
さっと来て桃一箱を置いて行き 須賀敏子 あを 202109
腹の虫健在なりし桃を剥く 亀田虎童子 202110
遠慮なく音たて桃をすする仲 武田未有 202110
白桃は水をはじきて夜のジャズ 能村研三 202110
ふるさとに友あり桃の熟れてをり 田中佐知子 風土 202110
薄紙に甘き桃の香残りゐる 守屋久江 202110
桃は種人は命を深く抱き 栗原公子 202111
金曜の残業帰り桃を買ふ 福島茂 202111
馥郁と桃の香の朝餉かな 今村千年 末黒野 202111
人を差す指で白桃触りけり きくちきみえ やぶれ傘 202111
白桃にどこが好きかと聞かれたる 高橋将夫 202111
遠き日の片恋ひとつ桃啜る 栗原完爾 春燈 202111
駄句三つまあまあ二つ桃一つ 菊池和子 京鹿子 202111
桃剥くや家族の時間柔らかし 辻量子 京鹿子 202111
白桃は故郷の香や物語 渡部恭子 202112
白桃のつるりと剥けて晩年なり 土井ゆう子 風土 202112
甘かりき仏の食みしあとの桃 志方章子 六花 202112
美しき爪に破らる桃の皮 住田千代子 六花 202112
熟桃が好きと唇拭ひけり 住田千代子 六花 202112
白桃のコンポートのる江戸切子 吉田幸恵 やぶれ傘 202112
母の忌や白桃密々と香り 大川ゆかり 202201
たましひに白桃ほどの重さ欲し 亀田虎童子 あを 202206
桃→1

 

2022年8月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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