桃 4 (水蜜桃・白桃)    111句

桃の実やあらあらかしこあらかしこ    林桂  現代俳句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
桃洗ふやうに病人湯浴みさす
田中藤穂
あを
200608
甲斐駒に梯子立て掛け桃を捥ぐ
須田紅三郎
200609
桃を食べともども至福分けあへり
村越化石
200609
見落しゐし白桃どさと落ちてゐし
谷榮子
雨月
200609
桃食ぶるふるさとの風吹いてくる
芝宮須磨子
あを
200609
余生とは拾ひものかも桃を捥ぐ
林和子
200610
みどりごの口のまあるく桃熟るる
本多俊子
200610
桃の核ほどの愁を吹き飛ばし
近藤公子
200610
指先に桃の香残る眠るまへ
田原陽子
200610
白桃の掌に納まらぬ丸さかな
小林朱夏
200610
白桃の傷つきやすき若さかな
加瀬美代子
200610
ミサイルに狙はれてゐるこの白桃
佐藤喜孝
あを
200610
皮剥いて桃の秘密を解き放す
松田都青
京鹿子
200611
白桃の産毛を指に遊びをり
伊藤早苗
200611
やまぐにの星空近き水蜜桃
代田幸子
200611
生まれ日の夫に早桃をそつと剥く
米須あや子
遠嶺
200611
白桃のうぶ毛に気触れゐたりけり
加藤みき
200611
桃ひとつ啜りをへたる山の色
小形さとる
200611
故郷のむせ返る香の桃届く
大塚美孝
200611
肉筆の棟方志功美人図水蜜桃
安永圭子
風土
200611
太陽の子とて福島の桃届く
中緒和子
酸漿
200611
妙齢の白桃として包まるる
長沼三津夫
200611
白桃の何処に切先入れようか
和田照子
200612
白桃の濡れて心の乾きかな
高橋将夫
200612
白桃を剥けば聴ゆる父のこゑ
磯野たか
風土
200612
かまつかや墓地に変りし桃畑
林いづみ
風土
200612
嬰の歯の上下四本水蜜桃
根本眞知子
200701
指先に白桃の香の滴れる
河内桜人
京鹿子
200701
歌垣の筑波は遠し桃を剥く
河内桜人
京鹿子
200701
桃すこし近づく里の婆ひとり
丸井巴水
京鹿子
200704
白桃の生毛比ぶるすべもなし
八田木枯
晩紅
200706
白骨のかよひ路よろし桃畠
松崎豊
200706
富士はるか目の前にある緋桃かな
唐澤春城
ホトトギス
200707
迷ひ人の村の放送桃の昼
森茂子
火星
200707
播州のふふみて大き桃の種
水野恒彦
200707
このあたりははの故郷桃畑
望月晴美
200707
葉籠りのかたち整ふ桃二つ
黒澤登美枝
200709
白桃のぱかりと割るる種の芯
森理和
あを
200709
白桃の峡の日差にはにかめり
中村房子
馬醉木
200709
桃ふたつ食べくらべたり旅に出づ
竹下昌子
200710
強面の器用に桃を剥き呉れし
上谷昌憲
200710
できるだけ桃に触らず桃を剥く
上谷昌憲
200710
桃食ひしあと吹く風に身をまかす
村越化石
200710
白桃をつるりと剥いて癒え近し
鎌倉喜久恵
あを
200710
手つかずまま熟れてゆく桃あまた
土井田晩聖
万事
200711
世を去るに心のこりの桃ひとつ
土井田晩聖
万事
200711
蠍座に近く白桃したたらす
瀬戸悠
風土
200711
見目姿匂ひ等しい桃届く
禰寝瓶史
京鹿子
200711
白桃を賽の河原で剥いてをり
南一雄
200711
桃をむく爪長うしてゐはせぬか
秋葉雅治
200711
白桃を剥きたる夜の指うづく
青野れい子
200711
指濡らし掌ぬらし桃を剥く
山下青坡
200712
優しさを十指に集め桃洗ふ
北川キヨ子
200712
夕明りガラスの河馬と白桃と
延広禎一
200712
夜の桃や遊戯の器に塩振つて
延広禎一
200712
白桃の媚にはあらずほてりかな
延広禎一
200712
桃の果の埋み尽せり甲斐の山
島田山流
春燈
200712
桃を食み声滑らかになつてをり
半澤正子
馬醉木
200712
野馬追をいつか見に来よ桃届く
勝見玲子
200712
老いゆくに不足なかりし桃啜る
勝見玲子
200712
白桃を持つ手あくまで力抜き
山口ひろよ
200712
桃匂ふそろそろ赤子生れさうな
辻美奈子
200712
白桃の傷白桃を傾くる
林昭太郎
200712
無造作に男爪立て桃を剥く
鎌田篤
雨月
200712
桃もたぐ幼両手に深えくぼ
大井邦子
ぐろっけ
200712
桃すすり身ぬち若やぐ思ひかな
小島みつ代
200712
水中に桃を沈めし午後のひま
真保喜代子
200712
仏壇の桃の匂へる山の宿
初瀬啓子
200712
天地や白桃にひと捌けの光ゲ
雨村敏子
200801
白雲や桃むく肩のやはらかに
中野京子
200801
白桃受く赤子授りたるやうに
柴田佐知子
200801
不器用の泣き虫が桃食つてゐる
竹下昌子
200801
桃の木に陽のゆきわたる降誕祭
水野恒彦
200803
同じ手で骨壺も白桃も
近藤公子
200808
桃の皮爪の先もて剥きにけり
ことり
六花
200808
昼の月桃を包むに良ささうな
甲州千草
200809
白桃の刃を入るるところなし
山尾玉藻
火星
200809
桃の実の下に落ちある蝉の殻
山田六甲
六花
200809
部活動少年のゆめ桃を食ぶ
池田光子
200810
白桃の香の傷つきしところより
辻美奈子
200810
桃の実の熟しはじめてゐる重み
小林奈穂
200810
選果場白桃の香の満ち満ちて
小松渓水
酸漿
200810
箱詰の桃の匂へる納屋に入る
松本蓉子
六花
200810
山桃煮る水を一切注さず煮る
田村園子
200810
白桃のうす皮吾も持ちてをり
大槻きみ
200810
故郷の香をのせ届く水蜜桃
和田郁子
200811
白桃や瑕瑾多き身の掌に重る
木村風師
馬醉木
200811
山晴れて白桃の眉目菩薩かな
延広禎一
200811
白桃は仄聞のごと水に浮く
八田木枯
晩紅
200811
天上に見えかくれする冷し桃
八田木枯
晩紅
200811
水蜜桃舌がとろけるこれは初
有馬克代
200811
白桃むく妻の小爪に紅さして
秋葉雅治
200811
桃冷す忍野の水の透きとほる
宮島宏子
200811
触るること拒む白桃たれのもの
大坪景章
万象
200811
白桃のこぼせし汁をいただきぬ
大坪景章
万象
200811
柔肌の桃はつるりと剥かれけり
黒杭良雄
ホトトギス
200812
語り合ふ人なく啜る夜の桃
杉本綾
200812
白桃やリビング・ウィルの宣言書
山口紹子
炎環
200812
眼病み桃の甘さを確かめり
伊藤希眸
京鹿子
200812
山晴や白桃の眉目菩薩なる
延広禎一
200812
白桃の重さルノアールの女
岩月優美子
200812
桃むいて夕映の空やはらかし
宮島宏子
200812
白桃を剥く指先に刻流れ
外川玲子
風土
200812
掌に適ふ重さの桃を買ひ
柿沼盟子
風土
200812
硝子器の白桃に錆まはりけり
蘭定かず子
火星
200812
桃のなか母の言葉のぎつしりと
近藤喜子
200901
白桃をすする安達太良雲の湧き
鈴木とおる
風土
200901
七十のこれから桃がやはらかい
直江裕子
京鹿子
200901
玄関に緋桃くぐりし靴ばかり
山尾玉藻
火星
200905
桃の家の奥に一荘イーチャン果てし声
山尾玉藻
火星
200905
赤子生る白桃の香の満つる中
須賀允子
万象
200907
桃 →5      

 

2021年8月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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