3 (水蜜桃・白桃)    100句

ご霊前桃のうぶ毛のそよそよと    鈴木紀子   現代俳句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
白桃の紅濃きところより剥きぬ 吉田島江 火星 200311
桃洗ふ母似で母と争ひぬ 田中英子 火星 200311
白桃のひかりをまとひ沈みあり 戸栗末廣 火星 200312
白桃は購はずに触れて去る男 荻野千枝 京鹿子 200312
すつと剥け水蜜桃の雫かな 津久井キヌイ 対岸 200312
白桃の包まれてある丸さかな 雨村敏子 200312
桃売のうしろを富士の裾野かな 青山丈 200312
箱詰の桃挨拶は抜きにして 井上菜摘子 京鹿子 200401
白桃の皮の伸縮丸く剥く 山下青坡 200401
皮剥きて白桃のまた重くなる 青山丈 200401
山小屋の盥に冷す桃を買ふ 田中きよ子 酸漿 200403
白桃の毛の水滴のみづみづし 栢森定男 風よ 200407
白桃を灯せり夜の入口に 神蔵器 風土 200408
新鮮な桃を遣影に供へをり 平尾光枝 築港 200408
見下せば桃の流れて来たる川 稲畑廣太郎 ホトトギス 200409
嬰の頭扱ふごとく桃洗ふ 斉藤利枝子 対岸 200409
昼餉のあと冷やせし桃を剥きにけり 松崎鉄之介 200409
空を褒めこの朝を褒め卓の桃 村越化石 200409
桃食へば白雲空を行き来せり 村越化石 200409
到来の桃の大きを佛にも 伊藤白潮 200409
白桃のつるりと剥けし禿かな 竹内悦子 200410
山の神水の神あり桃の仁 谷口佳世子 200410
紙袋破れ白桃熟れにけり 石川とみ子 栴檀 200410
白桃や五指うつとりとしたたらせ 都筑智子 200410
朝採りの桃抱きて来る媼かな 林敬子 酸漿 200410
白桃の声帯にあるナイフ傷 石堂摩夜子 対岸 200410
桃狩の一つで終る食べ放題 石田章子 200410
ミサイルの遠隔操作夜の桃 須佐薫子 帆船 200410
道端に声を涸らして桃を売る 久保田妙 百鳥 200410
隣から白桃二つ香立つ 芝尚子 あを 200410
桃供ふ写真の父は笑むばかり 小林恵子 遠嶺 200411
桃の実の画材となりて四方向く 村瀬八千代 遠嶺 200411
甲斐一の宮どの径も桃熟す 大西八洲雄 万象 200411
恥かしくはづかしく桃熟れにけり 鈴木節子 200411
素顔よき桃売少女売尽す 近藤てるよ 酸漿 200411
桃の箱庭の山積香りけり 山田清香 酸漿 200411
桃食うて夜の気配を見まはしぬ 山尾玉藻 火星 200411
桃ふたつ妻の帰りを待ちにけり 堀正男 春燈 200411
湖畔ホテル白桃スープこんなもの 戸田和子 200411
桃の仁咥へハナヒゲウツボをる 延広禎一 200411
墓守に白桃剥いてもらひけり 延広禎一 200411
娘に残す白桃剥く手みづみづし 落合絹代 風土 200411
桃の実やミーハーのまま年増して 林裕美子 六花 200411
みどり児のごと白桃の荷を解きぬ 鈴木愛子 ぐろっけ 200411
白桃を一剥きにして豊かなる 内藤ゑつ ゑつ 200411
触診は嫌よと桃の熟れにけり 林美水流 河鹿 200412
桃に爪立つる不満のなき日なり 瀬下るか 200412
新生児のごとく白桃洗ひけり 安嶋都峯 対岸 200502
桃の夜の明かりなりけり筆を擱く 雨村敏子 200506
薄紙に包まれていて桃匂ふ 窪寺良子 帆船 200506
桃食ぶる母の口もと幼なくて 鎌倉喜久恵 あを 200506
鎮魂歌桃林に来てをりにけり 高橋将夫 星の渦 200507
夏桃の皮ためらはず剥けにけり 高橋将夫 星の渦 200507
白桃の瑞の力をたなごころ 鷹羽狩行 200508
白桃の一皮へだてたる重み 細野恵久 ぐろっけ 200508
叱るべき子も家にゐず桃熟るる 淵脇護 河鹿 200509
ともかくも桃むきし手を洗はねば 稲畑汀子 ホトトギス 200509
師の墓に白桃ひとつ供へけり 中島陽華 200509
かぶりつく桃老い盛りありぬべし 伊藤白潮 200509
白桃や嬰児の爪の伸び易き 長坂ヤス子 酸漿 200509
清風裡水蜜桃の枝しなやか 瀧春一 菜園 200509
桃啜る後ろめたさの少しあり 高倉和子 200509
同じ手で骨壼も白桃も 近藤公子 200510
白桃に無駄の一指は触れまじく 鈴木榮子 春燈 200510
川中島白桃の名がよくて買ふ 伊藤白潮 200510
沈黙はさからふ心桃をむく 三浦澄江 ぐろっけ 200510
白桃の香のただよへり選果場 小松渓水 酸漿 200510
佐保古道行けば桃売るよしず小屋 河合佳代子 栴檀 200510
絶食の脳裡マンゴと白桃と 指尾直子 雨月 200510
ひい祖母ばばとなりてしまひし桃すする 安齋峰子 200510
桃剥いてだんだん夜の濃くなりぬ 犬塚芳子 200511
聖母マリアに抱かるるやうに箱の桃 片山タケ子 200511
バザールで売れる蟠桃横櫃に 宇田紀代 200511
白桃三つもろうてきたる夜道かな 浜口高子 火星 200511
桃の浮く桶に雨粒嵯峨野茶屋 山田美恵子 火星 200511
白桃のかたさの程に子の拗ねる 柴田雪路 200511
畑桃を啜る大地にしたたらせ 藤井みち子 200511
抱き上げし子の捥ぐ桃や旅の朝 大上保子 六花 200511
箱の桃触るるは穢すここちして 落合絹代 雨月 200511
桃を売る父娘が暇の腕相撲 佐藤嗣二 築港 200511
気のやさしき嫁と二人で桃啜る 石田嘉江 200512
はばからぬ老いの健啖桃すする 清水公治 200512
かんなぎの掌に白桃や五芒星 延広禎一 200512
白桃もにはとり小屋も傷みけり 吉田明子 200512
富士山の裾に白桃したたらす 吉田島江 火星 200512
しばらくは水になじまぬ桃であり 西畑敦子 火星 200512
冷し桃平家滅びし海見遣り 小谷延子 栴檀 200512
食卓の桃に大小指のあと 村田とくみ ぐろっけ 200512
桃を剥く果汁まみれの老の指 佐脇葭紅 築港 200512
微醺も白桃に紅さしたるは 楠原幹子 200601
白桃や話したいけど話さない 倉持梨恵 200601
供へたる桃に遺影の隠れがち 坪井洋子 200601
外水栓に洗いし桃を歩き食む 真木早苗 八千草 200602
桃の実は甲斐路の峠いくつ越え 桂妙子 八千草 200602
熟れ桃を噛めば二の腕したたるよ 桂妙子 八千草 200602
洗ひ場に顔差し入れて桃食べる 高倉恵美子 200602
われに心動かさぬ子よ桃食へる 瀧春一 常念 200606
白桃や論客にして感傷派 吉村たけを 海市蝶 200606
冷し桃男はきれいに皮を剥く 東亜未 あを 200607
米櫃の上の白桃匂ひけり 岩月優美子 200608
桃 4→      

 

2021年8月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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