虎落笛 2    200句

虎落笛そびゆるごとき零時過ぐ   八田木枯   汗馬羅

作品
作者
掲載誌
掲載年月
子無き妻のふと先のこと虎落笛 岸野常正 草の花 200403
胸に穴つづく幾日もがり笛 梶浦玲良子 六花 200405
虎落笛枕の中をいくたびも 柴田佐知子 200403
虎落笛井戸の中より出てきたり 高倉和子 200403
天上に譜面のあつて虎落笛 金森恭子 築港 200403
虎落笛時には父の子守歌 大曽根育代 遠嶺 200406
十六の阿羅漢数ふ虎落笛 森屋慶基 風土 200411
放心に似たる熟考虎落笛 柴田佐知子 200501
櫓山荘あと昼ながら虎落笛 鷹羽狩行 200502
虎落笛夜のしじまをかけめぐり 上藤八重子 酸漿 200503
竹垣の固き結び目もがり笛 荒木武太郎 対岸 200503
夢の端をかすめかすめて虎落笛 鷹羽狩行 200501
幻覚に怖づ母抱く虎落笛 斉藤由美子 ぐろっけ 199902
ロカ岬亡者のむせぶ虎落笛 品川鈴子 ぐろっけ 200002
酒を酌みつつ深更の虎落笛 武田とも子 ぐろっけ 200004
索道の鉄塔に棲む虎落笛 永野秀峰 ぐろっけ 200105
彼方より虎落笛きく湯浴みかな 北村きみ子 ぐろっけ 200204
病室の窓しのび込む虎落笛 藏本博美 ぐろっけ 200205
最果ての海持ち上げて虎落笛 北村きみ子 ぐろっけ 200205
廃線の駅舎まだある虎落笛 東福寺碧水 万象 200502
虎落笛泡き合うてゐる道祖神 東福寺碧水 万象 200502
虎落笛いつか消えゐし旅枕 稲畑汀子 ホトトギス 200501
紅唇をぐいと拭へり虎落笛 山尾玉藻 火星 200501
虎落笛船板塀に柄の孔 三枝邦光 ぐろっけ 200403
弁慶の鐘のひび割れ虎落笛 藤田かもめ ぐろっけ 200502
叱咤せる父の声とも虎落笛 岩崎靖子 200502
仮設住宅わが家恋しと虎落笛 三浦澄江 ぐろっけ 200504
虎落笛青き地球の悲鳴かも 坂本俊子 200504
虐殺の戦史聴く夜の虎落笛 山本康夫 200503
人を避け人と逢ふ日や虎落笛 白旗いちこ 200504
雪舟の鼠走るや虎落笛 窪田米子 遠嶺 200504
島哭けり寄す潮鳴と虎落笛 新田巣鳩 馬醉木 200504
虎落笛溶岩の深きに島眠る 有島扇水 河鹿 200504
虎落笛眠りの浅き海の宿 寺尾とよ子 築港 200505
虎落笛人閉ぢこめて索々と 秋千晴 200505
もがり笛島の灯りは海に添ふ あさなが捷 200505
地の果の修道院や虎落笛 井上富詩子 200506
旧き家のどこかが哭きて虎落笛 植村よし子 雨月 200506
新聞の声といふ欄もがり笛 山元志津子 八千草 200506
ふすま絵の寅の歯軋り虎落笛 山元志津子 八千草 200507
虎落笛血管ぐると動きけり 内藤ゑつ ゑつ 200411
愚直の木いまも愚直にもがり笛 木村風師 馬醉木 200601
魔笛吹く星はどの星もがり笛 鷹羽狩行 200601
虎落笛あと靴音の乾きゆく 齊藤實 200601
虎落笛神に逢ひたる無音の間 西村純太 200602
虎落笛大口袴畳みけり 中島陽華 200602
虎落笛関東平野の送電線 森理和 あを 200601
哀しみとも歓喜ともこの虎落笛 中島静子 酸漿 200602
激痛に耐ふる闘魂虎落笛 泉田秋硯 200603
サスペンスのラストは岬虎落笛 鈴木照子 200603
人住まぬ隣家に狎れて虎落笛 村上沙央 200603
ハリー・ポッター魔法合戦虎落笛 鈴木撫足 春燈 200603
埴輪の眼夜は虎落笛発すべし 大串章 百鳥 200603
虎落笛埴輪合唱するごとく 井村健一 百鳥 200603
虎落笛星の落ちゆく砂時計 西村純太 200603
山犬の鎮魂歌めき虎落笛 児玉寛幸 馬醉木 200604
虎落笛鏤骨に青さありにけり 九竜庵玄 200604
喪に籠る母の無口や虎落笛 金子知代 万象 200604
赤紙による学徒兵虎落笛 沼口蓬風 河鹿 200605
耳底に湧く玄海の虎落笛 園田その子 河鹿 200605
マンションの慟哭ならむ虎落笛 野村智恵子 八千草 200607
虎落笛抱き抱かれして人は老い 八田木枯 夜さり 200409
余命告げず看取りし日々や虎落笛 久保久子 春燈 200612
硝子屋のひと日聞き飽く虎落笛 定梶じょう あを 200701
去り行きし友の呻きか虎落笛 鈴木壺山 200702
師の句集の虎落笛めく息遣ひ 深見眞弓 200702
眠剤の効くまで現つ虎落笛 泉田秋硯 200703
古武術の智恵もて介護虎落笛 野中啓子 200703
極太のもがり笛聴く廃番屋 久染康子 200703
指先に紙繕延びゆく虎落笛 長屋璃子 火星 200703
虎落笛取り残されし山の宿 明石文子 ぐろっけ 200703
恐ろしき雪の前触れ虎落笛 泉田秋硯 200704
虎落笛真夜に目覚めて得し一句 和田恭子 200704
山姥の呼び来る夜や虎落笛 丸井巴水 京鹿子 200704
存問や胃の真中に虎落笛 鳥羽夕摩 京鹿子 200704
虎落笛ミサ澹々とすすみをり 荒井千佐代 200703
打ち減りし魚板の鳴ける虎落笛 山本ミツ子 六花 200704
俳諧の星加ふ夜の虎落笛 本郷桂子 ホトトギス 200705
たけなはの句座静もれる虎落笛 坪井洋子 200704
虎落笛いよいよ繊きこけしの目 中嶋孝子 200704
磯波の利休鼠に虎落笛 阿部ひろし 二の杉 200710
内視鏡胃を這ひまはる虎落笛 須田紅三郎 200801
耳めぐる血脈の声や虎落笛 四條進 200802
葬り来てへうへうと聞く虎落笛 岡本敬子 万象 200802
拱くは烏の死骸虎落笛 森理和 あを 200801
只管沖見るに胸打つ虎落笛 福井久生 200802
虎落笛さすらひ一路野に消ゆる 植村よし子 雨月 200803
能の出の笛のやうなる虎落笛 中村恭子 200803
電飾のつまづくところ虎落笛 松井倫子 火星 200803
直角のビルの奏づる虎落笛 長沼三津夫 200802
峡の灯のまたたきせつに虎落笛 長沼三津夫 200802
耳鳴りの続きに夜の虎落笛 高倉和子 200803
もがり笛夜を岬吟の枕上 木村風師 馬醉木 200804
空身へと母の呼ぶ声虎落笛 松原智津子 万象 200804
夕富士を描く窓辺や虎落笛 阿部すず枝 万象 200804
般若面の怨念極む虎落笛 おかたかお 200803
もがり笛地球の悲鳴かも知れぬ 藤原はる美 200804
坂上のバレー教室虎落笛 大島英昭 やぶれ傘 200804
虎落笛小泉八雲の闇ひとつ 西村純太 200805
退院の夜や耳馴れし虎落笛 泉田秋硯 二重唱 200806
叱声の混じりてゐたる虎落笛 柴田佐知子 201401
ふるさとを発つ日朝より虎落笛 片岡久美子 201402
竿たたみ魚籠ひきあぐる虎落笛 石原健二 やぶれ傘 201402
喪の二つ妻と手分けや虎落笛 田中臥石 末黒野 201402
早々に寝所に入れど虎落笛 土井久美子 201402
虎落笛インドの木偶の肩あらわ 黒住康晴 201402
虎落笛わが口笛は曲なさず 田中貞雄 ろんど 201402
虎落笛仔牛やうやく立ちあがり 豊田高子 万象 201403
もがり笛打明け話あのねのね 桑原逸子 201403
国境の海見える丘虎落笛 山本無蓋 201403
シテの出を促してをり虎落笛 三輪慶子 ぐろっけ 201403
虎落笛カーテンの裾少し揺れ M谷和代 万象 201403
行く風の果てを聞きたり虎落笛 手島伸子 雨月 201403
オカリナの音にはじまる虎落笛 熊川暁子 201403
ことことと煮込むシチューや虎落笛 大内由紀 末黒野 201403
国民と人を括りて虎落笛 亀井紀子 201403
もがり笛太宰生家の玻璃醒ます 江澤弘子 201404
ビル街の耳鳴り疼く虎落笛 清水美子 春燈 201404
北に向く露兵の墓や虎落笛 後藤桂子 万象 201404
虎落笛病の友のメール読む 神田惣介 京鹿子 201404
けものめく波音陸(くが)は虎落笛 野村重子 末黒野 201404
揚浜に寄する荒波虎落笛 柳橋繁子 201405
虎落笛日本海の濤と消ゆ 竹下陶子 ホトトギス 201406
虎落笛世界遣産の叫びとも 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
虎落笛合点のいかぬことばかり 藤井杏愛 京鹿子 201501
各階に並ぶ干し物虎落笛 井上石動 あを 201501
虎落笛寂しさばかり連れてくる 青野安佐子 201502
虎落笛鍋はまもなく食べ頃に 安藤久美子 やぶれ傘 201502
寺田屋に急を告ぐかの虎落笛 吉村幸子 雨月 201503
真闇より父の天馬か虎落笛 野上杏 201503
好きなこと言つて憎まれ虎落笛 時澤藍 201503
虎落笛レクイエムともアリアとも 高橋将夫 201503
虎落笛掩体壕の咆哮か 田中貞雄 ろんど 201503
健さん逝く夜の潮まとふ虎落笛 半田稜 ろんど 201503
虎落笛妣の嫌ひし夜爪切る 西川みほ 末黒野 201503
語り部の黙おそろしや虎落笛 阪本哲弘 201503
虎落笛さらに激しく夜明前 藤波松山 京鹿子 201504
虎落笛太宰治の地の電柱 古川忠利 ろんど 201504
樹には樹の哀しみのありもがり笛 木下夕爾 春燈 201508
吹きあぐるものなきビルの虎落笛 大政睦子 京鹿子 201601
虎落笛原発事故の黒い雨 七郎衛門吉保 あを 201601
虎落笛思考回路をとざされる 呂秀文 春燈 201602
虎落笛序破急をもて吾に蹤く 手島伸子 雨月 201602
自在鉤いぶして聴くや虎落笛 渡部節郎 201603
虎落笛昨日も今日も喪の葉書 高木典子 雨月 201603
虎落笛子に送る荷をかかへゆく 野畑さゆり 201603
気まづさの音となりたる虎落笛 近藤紀子 201603
虎落笛夜は子供の泣き声に 竹中一花 201603
風神ののんど自慢や虎落笛 中島芳郎 201603
ゆるみたる吾に警笛か虎落笛 金田誠子 201604
眠られぬままに日を越す虎落笛 久世孝雄 やぶれ傘 201604
父の声混じりてゐたる虎落笛 高倉和子 201604
父の声混じりてゐたる虎落笛 高倉和子 201604
海鳴りを消して吹き抜く虎落笛 蒲田豊彦 雨月 201604
単線の鉄路背に住み虎落笛 升田ヤス子 玫瑰 201604
目瞑ればおのづと祷り虎落笛 栗原公子 銀の笛 201612
虎落笛平常心てふもろきもの 栗原公子 銀の笛 201612
夢にまだ父と会へざり虎落笛 コ田千鶴子 馬醉木 201701
灯を消してよりの激しき虎落笛 石原孝人 京鹿子 201701
虎落笛夢のかけらの二つ三つ 石原孝人 京鹿子 201701
虎落笛眠りの際を忘れをり 能村研三 201701
虎落笛酒飲まぬ夜は膝を抱き 千田百里 201702
海の宿風吹きかはる虎落笛 玉田瑞穗 万象 201702
街空のオリオン暗し虎落笛 大内マキ子 万象 201702
独り言に答は要らず虎落笛 江草礼 春燈 201702
強風の上げる悲鳴の虎落笛 後藤マツエ 201703
虎落笛見えざるものに急かされて 楠原幹子 201703
倒木の霊のおらぶか虎落笛 谷村祐治 雨月 201703
虎落笛森を引きずるやうにかな 加藤峰子 201703
少年に明日の夢あり虎落笛 柴田志津子 201703
虎落笛風のタクトで鳴る和音 大石恵子 201704
虎落笛亡き父からの返事かな 江見巌 六花 201704
虎落笛雪の近づく前触れか 安原葉 ホトトギス 201705
虎落笛夜の帳を貫ける 山田閏子 ホトトギス 201705
愛犬も難聴となり虎落笛 神田惣介 京鹿子 201706
逝きし朋病む友懐ふ虎落笛 神田惣介 京鹿子 201707
肺を病むあなたの寝息虎落笛 吉田悦子 201706
虎落笛聞きつつ夜を一人かな 稲畑汀子 ホトトギス 201712
虎落笛一人暮しを楽しまむ 稲畑汀子 ホトトギス 201712
今夜こそ泣きにゆこうか虎落笛 佐藤哲 万象 201801
夜半より虎落笛来る支度急く 長崎桂子 あを 201801
虎落笛真夜中に開くエレベーター 栗原公子 201802
虎落笛しきりと妻の夢を見き 藤丸誠巴 春燈 201802
野良猫と呼応するかに虎落笛 持田信子 春燈 201802
人柱泣きし城下の虎落笛 丸井巴水 京鹿子 201802
老犬のうろうろタイム虎落笛 笹村恵美子 201803
夫の忌を修せし夜の虎落笛 片岡良子 雨月 201803
竹林のなほ残りゐて虎落笛 大橋晄 雨月 201804
満天の星研ぐ峡の虎落笛 安斎久英 末黒野 201804
敷藁にねまる子牛や虎落笛 土江比蕗 春燈 201805
白波の寄する一湾虎落笛 布施由岐子 末黒野 201805

夫・高熱

再発かと怯えし夜の虎落笛

吉田悦子 201808
通らねばならぬ道なり虎落笛 池谷鹿次 末黒野 201903
法螺貝の吹き残したる虎落笛 森岡正作 201903
決断をうながされたり虎落笛 河崎國代 春燈 201904
虎落笛谷戸の鉄塔揺ぎなし 本間せつ 末黒野 201904
喪の帯を締め合ひし夜の虎落笛 岸洋子 201905
一軒を搦めとりたる虎落笛 高倉和子 201906
虎落笛破船のあばらさらに痩せ 深川淑枝 201907
放哉の書読む夕べの虎落笛 山岸明子 201910
虎落笛 3

 

2020年12月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。