水澄む 3       100句

水澄みて四方に関ある甲斐の国   飯田龍太

作品
作者
掲載誌
掲載年月
天よりの声を待つかに水澄めり 鷹羽狩行 200511
水澄みて江戸の音色の水琴窟 稲垣光子 200511
水澄むや母の淀みをひと掬ひ 吉武美子 200511
万葉の世より湧く水澄みにけり 石川敬子 対岸 200511
水澄みて雲のうらがは見てゐたり 豊田都峰 京鹿子 200511
今年子の彩鯉美しく水澄める 福盛悦子 雨月 200511
板の上を流るるやうに水澄めり 冨田正吉 200511
水澄むや古物商から反故紙くる 吉弘恭子 あを 200511
水澄むや仏彫りたしと友の言ふ 赤座典子 あを 200511
伊皿子の貝塚遺跡水澄める 東亜未 あを 200511
藻のゆらぎ水ありてこそ水澄める 早崎泰江 あを 200511
里山の流れもいつか水澄めり 森山のりこ あを 200511
自転車のよろよろ通り水澄める 定梶じょう あを 200511
水澄めり田螺も人もゐぬ田圃 佐藤喜孝 あを 200511
流るるを忘るるまでに水澄めり 鷹羽狩行 200512
水澄むや影の真上の雲の影 太田佳代子 春燈 200512
水澄むやまつすぐ落ちる砂時計 代田幸子 200512
大木の倒るるままに水澄めり 小山漂葉 酸漿 200512
つくばひに知足と刻し水澄めり 大畠政子 雨月 200512
鯉ひとつ影ひとつ曳き水澄める 乗光雅子 雨月 200512
水澄んで筧を落つる水の音 榎本みや 築港 200512
水澄めり澄みて絶えざる保証なし 岡本眸 200512
水澄んで鮫のジンベエ悠然と 沼口蓬風 河鹿 200601
水澄むや太き万年筆遺り 福井隆子 対岸 200601
五箇山の大字小字水澄めり 牧長幸子 対岸 200601
水澄むや遺品の碁石洗ひゐて 佐藤淑江 対岸 200601
血液はさらさらですよ水澄めり 佐藤淑江 対岸 200601
ふくらはぎ硬く塩田の水澄めり 杉浦典子 火星 200601
沈みたる葉も日を返し水澄めり 土屋酔月 火星 200601
水澄むにまだ間のありて心字池 鷹羽狩行 200601
金粉の鯉のうろこに水澄めり 岬雪夫 200601
水澄みて「飛騨の七里」は奇岩の列 山田をがたま 京鹿子 200601
叶ふならここに住みたし水澄める 伊藤康子 ぐろっけ 200601
水分の薬の井とぞ水澄める 加地芳女 雨月 200601
水澄むやみよしに星のくだけ散り 山口天木 雨月 200601
白鷺の夕日に翔けて水澄めり 大西裕 酸漿 200601
靡く藻の色あざやかに水澄める 山村修 酸漿 200601
水澄むや病みてつくづく我がいのち 生方ふよう 200601
古稀といふ吾が影映し水澄めり 中谷信子 百鳥 200602
水澄むや田畑も土に先づ還る 瀧春一 瓦礫 200606
二重橋水澄む濠に膨らみて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200608

 「曲水」九十周年を祝して

曲るたび水澄みわたり千曲川

鷹羽狩行 200610
水切りを競ふ老若水澄めり 岡本敬子 万象 200611
水澄みてだるま匠の目見深め 成宮紀代子 200611
水澄むや川砂色の蛙ゐて 岡本敬子 万象 200612
水澄むや大津京都は風の距離 安居正浩 200612
永らへし命と思ふ水澄めり 高橋照子 雨月 200612
見つかりし子規の遺墨や水澄めり 島田和子 風土 200612
水澄むや釣船舫ふ神田川 青木政江 酸漿 200612
立枯の木々を映して水澄めり 矢崎暉文 酸漿 200612
水澄めり山荘の楽流れ来て 籾山和子 酸漿 200612
川あれば川のかたちに水澄めり 生方ふよう 200612
水澄むや埴輪の馬に火の匂ひ 岩崎真理子 遠嶺 200701
水位高きオランダ井戸の水澄めり 松崎鉄之介 200701
百年の槙を映して水澄めり 笠井育子 200701
水澄みて流れの速き乃木用水 須藤美智子 風土 200701
水澄めり清水橋てふ橋渡る 鈴木幾子 酸漿 200701
閂の錆も水澄むころのもの 井上信子 200702
哀しみを通り過ぎれば水澄めり 高橋将夫 200702
二十里を流れて淀の水澄めり 尼嵜太一郎 ぐろっけ 200703
洞川の水澄むほとり行者宿 森山八重子 ぐろっけ 200703
むさし野のふるき用水澄みにけり 瀧春一 200706
小町再生曰くの池の水澄めり 勝原文夫 春燈 200707
代田水澄みパラグライダー日和 布川直幸 200708
水澄みて魚越えられぬ堰いくつ 品川鈴子 200708
地下よりの水天よりの水澄めり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200709
池の水澄みて鳥影過りけり 稲畑汀子 ホトトギス 200709
これよりの地球を救ふ水澄めり 稲畑汀子 ホトトギス 200709
高さうな鯉を沈めて水澄めり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
水澄むやにはかに杭をかこむ風 山田六甲 六花 200710
考へのまだまとまらず水澄めり 中山純子 万象 200711
いくたびも星を映して水澄めり 神蔵器 風土 200711
美しき城囲む水澄めりけり 二村蘭秋 雨月 200711
遠き日の訓点の知恵水澄みて 千田敬 200711
水澄むや遺したきもの何もなし 水野恒彦 200712
杉どころ日田は水澄む酒どころ 穐好樹菟男 馬醉木 200712
灯の消えて山の厨房水澄めり 代田青鳥 風土 200712
芦の湖に逆富士現れ水澄みぬ 遠藤逍遙子 風土 200712
水澄みて山河大きくなりにけり 根岸善行 風土 200712
水澄みてステンドグラス天に聳つ 竹生田勝次 風土 200712
水澄みてあなた筑波の二峰かな 竹生田勝次 風土 200712
モルダウもかく日にまみれ水澄めり 片山タケ子 200712
水澄むやつるんと剥けるゆで卵 石田きよし 200712
四阿の卓に頬杖水澄めり 田村園子 200712
影落す社家の白壁水澄めり 藤岡紫水 京鹿子 200712
一の堰二の堰盆の水澄めり 高橋さえ子 200712
睡蓮の水澄む甕の目高かな 阿部ひろし 酸漿 200712
名にし負ふ四万十川の水澄めり 山本康夫 200801
黙し行くにいよよ水澄む梓川 金森信子 雨月 200801
水澄めり鷺に自慢の首ありて 松本鷹根 京鹿子 200801
水澄むや翁の句碑を拭いて去る 斉藤敬子 万象 200801
水澄んで泥鰌は泥の色のまま 大木茂 万象 200801
水澄んでをり水深を失くすまで 湯川雅 ホトトギス 200802
エンジンを停めたる湖心水澄めり 安原葉 ホトトギス 200802
水澄みて石のこころも澄みゆける 長山あや ホトトギス 200802
神田上水澄みつつ流れゆたかなり 渡辺立男 馬醉木 200802
このあたり線路がありて水澄めり 吉原一暁 200802
水澄みてつぎつぎ風の生れにけり 水野あき子 遠嶺 200802
電力になる前の水澄みゐたり 甲州千草 200802
水底に水面が映り水澄める 後藤比奈夫 ホトトギス 200803
水澄む→ 4      

 

2021年9月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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