水無月(みなづき)1     256句

水無月や生より濃ゆき人の没後    長谷部朝子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
水無月の雨青々と大窪寺
山田弘子
春節
199503
水無月や昼の煮炊の束の間に
岡本眸
199810
魚棲まぬ青水無月の山上湖
吉田呉天
風土
199812
水無月の夜風と共にピザボーイ
桐木榮子
船団
199812
水無月の日に芳しく願ひ石
平子公一
馬醉木
199908
声あげて山に手を振る青水無月
小野寺節子
風土
199908
妻の忌を修し水無月星潤ふ
能村登四郎
199908
水無月の水嵩あをき梓川
関正夫
酸漿
199908
水無月の水ほとばしる湯殿山
粕谷容子
春耕
199908
屈託の無き水無月の一ト日かな
伊藤一歩
いろり
199908
みづうみに向く水無月の風見鶏
伊藤トキノ
199909
猿島へ青水無月の渡し船
三村禮子
酸漿
199909
父の忌のみなづきは母甘えけり
仲村青彦
199909
水無月のあかり灯せし占師
竹内悦子
199910
水無月のひかり零せる縄文盃
武井清子
199910
青水無月路面電車はロバの揺れ
小枝恵美子
ポケット
199911
木鼠の吠える水無月荷を解く
桐木榮子
船団
199912
水無月の胎内に水多すぎる
津田このみ
月ひとしずく
199912
水無月やピカソの青い絵を壁に
田中藤穂
水瓶座
200002
水無月は鱗うろこの照り返し
岡井省二
200007
水無月のまなこ潤ませ句碑開き
辻前冨美枝
200008
水無月の湯花咲く湯を浴びむとす
村越化石
200009
水無月やブルーに溶けし嗽薬
辻享子
ヒッポ千番地
200009
板の間に青水無月の飯の粒
小山森生
200010
水無月の丹砂の洞を覗きをる
延広禎一
200010
おおい雲よ君還らない水無月
相澤和郎
海程
200010
裸灯や青水無月の休み窯
大竹淑子
風土
200010
水無月や玉砂利の裏湿りをり
柿沼盟子
風土
200010
水無月の湖に向く白い箱
北原武巳
船団
200010
頬杖をつく水無月という谷間
立岩利夫
海程
200011
みなづきの広間に一人寝まりけり
山尾玉藻
火星
200108
みなづきの佳き日へ結ぶ博多帯
熊倉志津
200108
宗祇水入れみなづきの流れかな
吉田島江
火星
200109
母の瞳に青水無月の艀の灯
瀬戸悠
風土
200109
水無月の茶の木つんつんしてをりぬ
奥田節子
火星
200109
水無月の鳩尾へ落つ宗祇水
戸田春月
火星
200109
水無月や塗り替へられし弁天堂
竪ヤヱ子
俳句通信
200109
水無月の珠とも嬰の涙粒
辻美奈子
200109
水無月のはじまり男の児誕生す
石脇みはる
200109
水無月の柱に懸かる潮暦
延広禎一
200109
水無月の水ややかたし渡月橋
柴田久子
風土
200110
李朝水滴青水無月の夢誘ふ
山岸治子
馬醉木
200110
水無月の項に重き喪の真珠
岩崎樹美子
200110
水無月の風をつくりて大かつら
邑橋節夫
遠嶺
200111
水無月の犀乾ぶとも濡るるとも
岡井省二
200112
水無月や今日も気温は上昇中
稲畑廣太郎
ホトトギス
200207
水無月や細い二の腕ほしくなり
鏡山千恵子
帆船
200207
水無月の海渺々と漁船出づ
田中章子
酸漿
200207
水無月や水ひたひたと甕の口
小山梧雨
200208
水無月や万里の長城雲渡る
柏木公江
帆船
200208
水無月の御陵に木々の匂ひ濃し
中川晴美
雲の峰
200209
水無月の朔日餅と誓子が書に
佐藤淑子
雨月
200209
音立てて転がる夕日青水無月
藤岡紫水
京鹿子
200210
水無月や椅子の形に身を添はせ
若菜純子
200210
青水無月とぼしき髪を母晒す
木山杏理
京鹿子
200211
水に沿ひ木蔭に沿ひて青水無月
大堀柊花
200211
水無月や子規の一書に対峙せん
水田むつみ
ホトトギス
200211
水無月の水や棚田を溢れをり
稲岡長
ホトトギス
200211
水無月の浜に揚がりし桜えび
吉田康子
青山椒
200303
水無月の流木に子の跨つて
山尾玉藻
火星
200306
まなうらに水無月の舞ひをさめられ
稲畑汀子
ホトトギス
200307
水無月の見なれぬ鳥の来たる芝
稲畑汀子
ホトトギス
200307
水無月や三瓶の旅の近づきし
稲畑汀子
ホトトギス
200307
水無月や原稿依頼今日も来る
稲畑汀子
ホトトギス
200307
水無月のみづを欲して鳥となる
鈴鹿仁
京鹿子
200308
無職今水無月の日の昔恋ふ
岩崎憲二
京鹿子
200308
祝の歌青水無月の扉を開く
川端和子
遠嶺
200309
水無月の池に孤独の鳰もぐる
内藤順子
酸漿
200309
水音の中まで没り日青水無月
藤岡紫水
京鹿子
200309
水無月の笑む花嫁の片ゑくぼ
金子慶子
遠嶺
200310
水無月の嶺の天まで牧の圏
岡田貞峰
馬醉木
200310
男山青水無月の雨意孕む
葛馬房夫
雨月
200310
水無月の終りの鉦を鳴らしけり
森賀まり
百鳥
200310
水無月や大原女いまに雲母坂
徳田干鶴子
馬醉木
200401
水無月や白にも不穏ありたるを
高倉和子
200406
水無月や庫裡見通しに庭牡丹
水原秋櫻子
馬醉木
200407
水無月は高ノ徹すカメレオン
佐藤喜孝
あを
200407
水無月の底ひのあをき雲浮かぶ
堀内一郎
あを
200407
水無月や体内時計研究室
中村葉子
帆船
200408
水無月の磯へ伸ぶ径仄明し
山田美恵子
火星
200408
水無月の木の間をとべり赤楝蛇
山尾玉藻
火星
200408
水無月の狸穴鼠植木坂
東亜未
あを
200408
何も映さず水無月の神田川
斉藤利枝子
対岸
200408
水無月の大渦潮に肝冷やす
永井孔雀
200409
戻りきし青水無月の蓮如みち
武田巨子
春燈
200409
水無月のハープの弦のやうな雨
工藤進
200409
水無月の鷺行く空でありにけり
村上留美子
火星
200409
水無月や鈴鹿間近き関の山
大場フサ子
京鹿子
200409
水無月や注連をわたせる夫婦樟
小澤規子
草の花
200409
水無月の祝杯はロゼワインなる
史あかり
ぐろっけ
200409
水無月の岩窟くぐる霊気かな
谷村幸子
200410
水無月の葉灼けひろごる花壇かな
相沢有理子
風土
200410
水無月の砂丘かすかに星湿り
中尾公彦
200410
青水無月声明風のごとおこる
芝川百合子
京鹿子
200410
水無月の日陰の工事進みゆく
増田祐三
帆船
200410
隠れ住む青水無月の鍵の束
里中章子
200410
水門を閉ぢて水無月了りけり
酒井十八歩
草の花
200410
犬のゐる青水無月の無人駅
内藤ゑつ
ゑつ
200411
水無月や雨あるところ無きところ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200507
水無月や太陽寿命百億年
稲畑廣太郎
ホトトギス
200507
丸の内OL水無月の歩幅
稲畑廣太郎
ホトトギス
200507
水無月や有松絞り藍深し
松波とよ子
春燈
200508
青水無月沢の奥へと来て釣りぬ
河合大拙
百鳥
200508
水無月のホテルの前の占師
岡和絵
火星
200509
飛鳥の蘇食して水無月過ぎにけり
石脇みはる
200509
水無月の人を吊して大きな木
栗栖恵通子
200509
水無月のもつとも似合ふ漢なり
加藤みき
200509
水無月や瑞穂の国の水匂ふ
谷岡尚美
200509
水無月やひとに会ふため躾抜く
森早和世
ぐろっけ
200509
竪琴に水無月の風遊ばせて
徳田千鶴子
馬醉木
200510
渡船着く青水無月の浮雁木
伊藤稔代
200510
訪ひ得たる青水無月の思ひ川
竹内喜代子
雨月
200510
水無月のロートレツクのをんなかな
中村洋子
風土
200510
霧霽れて青水無月の山を据き
伊藤希眸
京鹿子
200511
水無月のと白紙相和せり
加藤みき
200606
青水無月汚さぬやうにポストまで
井上信子
200608
水無月の極楽坊の摺佛
中島陽華
200609
水無月の広々となる村の内
片岡静子
200609
巡り来し青水無月の別れかな
熊岡俊子
雨月
200609
水無月のレール錆びつく舟揚げ場
佐々木よし子
200610
魚梛や青水無月と告げわたる
豊田都峰
京鹿子
200610
青水無月よちよちの歩の翻り
北川孝子
京鹿子
200610
壊えすすむ青水無月の博多塀
青山悠
200611
稲荷社へ青水無月の願ひごと
真保喜代子
200611
魚骨めく傷と横たふ水無月尽
藤田宣子
ぐろっけ
200702
美しきもの水無月の葉つぱかな
谷渡末枝
万象句集
200703
水無月の水位大川譲らざる
稲畑廣太郎
ホトトギス
200707
麻沙子はやも水無月二日一周忌
大橋敦子
雨月
200707
青水無月風の帽子を追ひかけて
加藤みき
200708
水無月の櫻ふくらむ月夜かな
高橋あさの
200708
水無月の眉に陰ある歓喜天
高橋将夫
200709
青水無月ブーメランを飛ばしをり
近藤公子
200709
水無月の花描いてきくショパンかな
遠山みち子
200709
流れゆく真水の使命青水無月
小野寺節子
風土
200709
水無月の大門でバス降りにけり
生田高子
春燈
200709
水無月や写経欠かさぬ日々ありて
高橋照子
雨月
200709
マニキュアの重さう青水無月の指
千田百里
200709
水無月の橅の吸ひ上ぐ水の音
伊藤稔代
200710
水無月の闇の廊下に誰かゐる
瀬戸悠
風土
200710
水無月の戒壇めぐり真の闇
奥田妙子
ぐろっけ
200710
水無月の潮入の池潮を待つ
網野茂子
酸漿
200710
老犬の死や水無月の曼陀羅華
竹内悦子
200711
水無月や結界しるす竹細く
徳田千鶴子
馬醉木
200806
水無月の豪雨を溜めし水の嵩
稲畑廣太郎
ホトトギス
200807
水無月のはかりごとめく山家かな
稲畑汀子
ホトトギス
200807
水無月や姑の忌日のめぐり来し
稲畑汀子
ホトトギス
200807
水無月や測量技師の棒の空
庄司久美子
200807
水無月の夜雨のリズム鼓動かな
宮田香
200808
水無月の鏡にうつるものの影
雨村敏子
200808
水無月尽減る一方の体重も
伊藤白潮
200808
青水無月橋の向かうの村起し
鈴鹿仁
京鹿子
200808
水無月や湖底の村の立木透く
近藤敏子
200809
小水の量も計らる水無月尽
伊藤白潮
200809
みなづきの銀座に托鉢尼僧かな
内藤静
風土
200809
「お使い下さい」水無月の車椅子
森ゆみ子
炎環
200809
水無月の誕生日なり事もなし
清水淑子
炎環
200809
水無月の庭滝の辺にかそけく居
稲岡長
ホトトギス
200810
梅町の木戸に猫をる水無月会
竹内悦子
200810
水無月のいろ移りゆく棚田かな
竹中一花
200810
聖母像仰ぐや青水無月の空
原秀三
春燈
200810
逝き給ふ水無月青き風の中
中嶋昌子
春燈
200810
水無月や胸に秘めたる旅心
斉藤小夜
風土
200810
われ愛す青水無月の森のみち
斉藤小夜
風土
200810
水無月や風に倒るる波頭
徳丸峻二
風土
200810
山寺へ青水無月の道しるべ
水田壽子
雨月
200810
水無月の日の爛漫としてそそぐ
阿部悦子
酸漿
200810
水無月のみ空みづいろなる不安
千田百里
200901
水無月の沙にささる青松葉
山尾玉藻
火星
200906
水無月のはじまる朝の会一つ
稲畑汀子
ホトトギス
200907
水無月の磧にタカラジェンヌかな
山尾玉藻
火星
200907
水無月や一味効かする鞍馬蕎麦
徳田千鶴子
馬醉木
200908
水無月やこんちきちんの稽古鉦
鷲見多依子
200908
てのひらで拭ふ手鏡青水無月
小野寺節子
風土
200908
水無月のお七の小袖祀らんか
栗栖恵通子
200909
水無月の芒持つ草の茂りかな
海村禮子
春燈
200909
飛騨路かな青水無月の分水嶺
北川英子
200909
水無月の昼を明るくして過ごし
野澤あき
火星
200909
水無月や御廟の前の竹箒
岩井ひろこ
火星
200909
青水無月いよよいのちの艶めきし
北川孝子
京鹿子
200909
水無月の中洲を隠す木曽三川
長崎桂子
あを
200909
浮島に青水無月のひかりあり
山路紀子
風土
200910
雨荒し青水無月の夜の更けて
白石正躬
やぶれ傘
200910
水無月の水の明るき棚田かな
大平和男
200910
水無月やいつもどこかに水匂ひ
長山あや
ホトトギス
200911
水無月の庭に夜待つはかりごと
水田むつみ
ホトトギス
200911
水無月やくぢらの如き雲に月
高柳正幸
やぶれ傘
200911
水無月の旅北国となりしこと
稲畑汀子
ホトトギス
201007
水無月の日食の晴疑はず
稲畑汀子
ホトトギス
201007
水無月や木偶のお鶴は玻璃の内
山尾玉藻
火星
201007
奥伊勢や青水無月も望の頃
冨山俊雄
山居抄
201008
水無月や胸につかへるものありて
前田美恵子
201008
水無月や杉板のせ来ライトバン
松井倫子
火星
201008
水無月や湖に大きな赤き月
三川美代子
201009
盛り塩の菓舗に「水無月」売られけり
森下康子
201009
水無月や松も名残りの姫街道
徳田千鶴子
馬醉木
201009
唇舐めて青水無月の雨の味
北川英子
201009
青水無月をしへらるもの風と聴く
鈴鹿仁
京鹿子
201009
水無月の香会の書状和良紙
割田容子
春燈
201009
水無月の磨崖仏なり風招く
秋葉貞子
やぶれ傘
201009
水無月の石灯籠の濡れてをり
出口誠
六花
201009
耳奥に青水無月の水音する
雨村敏子
201010
ナプキンを膝一ぱいに青水無月
浜口高子
火星
201010
水無月の茶蕎麦茶団子みなみどり
玉置かよ子
雨月
201010
水無月や遠のくは師のうしろ影
都丸美陽子
春燈
201012
水無月や昨日と違ふ草の色
稲畑廣太郎
ホトトギス
201107
水無月の濠の騒きでありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201107
水無月の旅の予定のなほ二三
稲畑汀子
ホトトギス
201107
水無月の星と語りし旅終へて
稲畑汀子
ホトトギス
201107
水無月の風が手荒に閉めるドア 千田百里 201108
水無月の雨土塊のひかりかな 加藤みき 201108
水無月や独身会の菓子作り 難波篤直 201109
水無月の水をたっぷり手向け花 大松一枝 201109
水無月や風ある路地の夕明り 小山繁子 春燈 201109
源流へ青水無月の峠越ゆ 林いづみ 風土 201109
登山電車青水無月の底方そこい 久染康子 201109
水無月やぶだうの蔓のみなおよぐ 竹内弘子 あを 201109
みなづきの耳成山は田の中に 雨宮桂子 風土 201110
水無月の朝茶ことさら渋く汲む 風間史子 201110
水無月の山脈碧き甲斐路かな 大島寛治 雨月 201110

水無月→ 2

     

 

2021年7月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。