蛙の目借時 2   181句

目借時デスマスクとはこそばゆき   長谷部朝子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
石膏を溶いてゐたりし目借時 雨村敏子 200606
棚田守る安房の里人目借時 水原春郎 馬醉木 200606
目借時己に克つといふ一事 天野みゆき 風土 200606
黒板の数字見逃す目借時 野田梅月 遠嶺 200607
時かけて時計選べり目借時 大島由子 200607
目借時チューインガムの破裂せる 大東由美子 火星 200607
蕉翁の杖の動きぬ目借時 金子慶子 遠嶺 200608
思う事文字にはならず目借時 中島英子 八千草 200610
文字追うも限界のあり目借時 中島英子 八千草 200610
目借時歯科医の椅子に待たさるる 物江晴子 八千草 200610
鏡中に髪切られをり目借時 水原春郎 馬醉木 200705
鉄材のゆらゆら昇る目借時 吉田島江 火星 200705
目借時大向うより声の無し 松崎鉄之介 200705
シナリオのとほりの会議目借時 濱上こういち 200706
是か非かと問はれてをりぬ目借時 小牧喜美子 遠嶺 200706
半日を笑ひ過ぎたる目借時 竹下昌子 200706
筆記具の寛いでゐる目借時 松嶋一洋 200706
目借時魔法のめがね掛けしより 定梶じょう あを 200706
雨降らしの角の紫目借時 河崎尚子 火星 200707
巻貝のこぞり舌出す目借時 蘭定かず子 火星 200707
空のプールに松の影あり目借時 城孝子 火星 200707
石となる貝や蛙の目借時 川崎光一郎 京鹿子 200707
膝に置く髑髏の数珠や目借時 馬越幸子 ぐろっけ 200707
目借時奥日光に払ふ塵 中島陽華 200707
目借時帳尻合はぬ出納簿 二神節子 200707
友禅を流せし川や目借時 小林和子 風土 200707
幼子に童話読みやる目借時 松嶋一洋 200707
ことばにも遊びのありて目借時 遠藤若狭男 200708
吉良邸の古井覗くも目借時 藤井寿江子 馬醉木 200710
目借時吾が養生の塩加減 天野みゆき 風土 200805
化粧箱抱へ女の目借時 名和政代 万象 200806
字の小さきフリーペーパー目借時 坂上香菜 200806
取り落す皿のひびきや目借時 今井弘雄 春燈 200806
禅杖一閃僧堂の目借時 相田和泉 春燈 200806
膝頭ゆるぶ蛙の目借時 懸林喜代次 春燈 200806
目借時少女の肩を与れる 清水幸治 200806
も一人のおのれがぬつと目借時 鈴掛穂 200807
住職の法話はじまる目借時 杉本明夫 200807
埋草を書いて蛙の目借時 上谷昌憲 200807
西郷の目も細くなる目借時 中島玉五郎 200904
目借時文書く文字の曲がりたる ことり 六花 200904
ティーポット真白蛙の目借時 森ゆみ子 炎環 200905
眼薬の一滴をさし目借時 吉田順子 200905
どうにでもなれと蛙の目借時 平子公一 馬醉木 200906
まだ眠る力のありて目借時 神蔵器 風土 200906
三つ揃ひ着込み蛙の目借時 柿沼盟子 風土 200906
文庫本厠にありぬ目借時 きくちきみえ やぶれ傘 200906
目借時おもちやの赤き蟹奔り 石寒太 炎環 200906
目借時背表紙に見る金の文字 安藤久美子 やぶれ傘 200906
すぐそこの近くて遠き目借時 佐橋敏子 春燈 200907
パソコンの文字のゆらぎや目借時 久保田かなめ ろんど 200907
空港へ向かふ列車も目借時 高田令子 200907
亡夫に声かけてもみたり目借時 浜口高子 火星 200907
目借時ちよつと遠出のかなふかも 豊田都峰 京鹿子 200907
異議なしにあらず蛙の目借時 吉田耕人 ぐろっけ 200908
空を飛ぶ鳥さえ危うき目借時 貝森光洋 六花 200908
鉄橋の長さを耳で目借時 渡部節郎 転舵の渦 200911
ロボットにまかす掃除や目借時 森田節子 風土 201006
新涼の順番を待つ目借時 芝尚子 あを 201006
モナリザに見つめられをり目借時 宮崎左智子 201007
包丁で手招きされし目借時 高橋将夫 201007
神水で点てる一服目借時 青森公子 201007
前略のあとが続かぬ目借時 久保田遊民 ろんど 201007
立て掛けて弾かぬギターや目借時 鈴木一三 末黒野 201008
先生が窓へ蛙の目借時 大崎紀夫 やぶれ傘 201009
図書館に日差し入りくる目借時 天野美登里 やぶれ傘 201009
目借時長き手紙のままならず 吉原一暁 201010
ほつかりと口あけ河馬も目借時 溝口健也 201105
止みさうな雨を見てをり目借時 中田みなみ 201105
目借時朝刊未だ手離さず 阪本哲弘 201106
はっとして駅をたしかめ目借時 坂上香菜 201106
並走の電車寄り来る目借時 千田百里 201106
沸く前の空気の粒や目借時 柴田佐知子 201107
目借時張り子の虎の首動き 中田みなみ 201107
不覚にも王手かけらる目借時 大室恵美子 春燈 201107
目借時画鋲のあとに画鋲留め 細川洋子 201107
酒断つて夜の長さや目借時 鈴木とおる 風土 201107
目借時太極拳の曲流れ 鈴木 石花 風土 201107
身にいつもある揺れ蛙の目借時 山路紀子 風土 201107
熊笹に音無き雨や目借時 神田美穂子 万象 201107
露天温泉に溺れかけをり目借時 北尾章郎 201108
風そつとぺージをめくる目借時 大木清美子 201205
目借時善人ぶりを嫌ひけり 能村研三 201205
犀の角帽子掛によし目借時 竹生田勝次 風土 201205
塾講師然としてをり目借時 常田創 201206
祝宴をひかへ蛙の目借時 竹内悦子 201207
膝に置く釜飯二つ目借時 林いづみ 風土 201207
埠頭にて祝辞諳んず目借時 田中貞雄 ろんど 201207
文庫本膝より滑り目借時 山本漾子 雨月 201207
べつかふの耳かきつかふ目借時 根橋宏次 やぶれ傘 201207
晩学の眼鏡拭ふや目借時 河合とき 末黒野 201208
午後からは再放送や目借時 天野美登里 やぶれ傘 201209
目借時芭蕉≠フ話蜿蜒と 林哲夫 ぐろっけ 201209
呼びかけに親指動く目借時 頓所友枝 冬の金魚 201209
止みさうな雨を見てゐる目借時 中田みなみ 201304
一も二も俳句蛙の目借時 鈴鹿百合子 猫贔屓 201305
目借時赤子の欠伸移りけり 亀田やす子 ははのこゑ 201306
鬚剃らせをり蛙の目借時 松本周二 かさね 201306
目借時こんな所に塗り薬 安居正浩 201306
長寿眉剃られ不覚の目借時 水原春郎 馬醉木 201307
さなきだに雅楽の音色目借時 懸林喜代次 春燈 201307
一斉に水田まぶしや目借時 瀧春一 花石榴 201312
検眼の椅子に農婦や目借時 瀧春一 花石榴 201312
消費税小銭で払ひ目借時 山本孝子 ろんど 201405
切り髪の床に散らばる目借時 山田美恵子 火星 201405
一老樹にはじまる棚田の目借時 豊田都峰 京鹿子 201406
目借時山むらさきにまづそまる 豊田都峰 京鹿子 201406
恋つづるペンをおきたる目借時 犬塚李里子 201406
通院の助手席蛙の目借時 仁平則子 201406
独り居のこれも又よし目借時 粟倉昌子 201407
鉛筆をぽとりと膝へ目借時 岡淑子 雨月 201407
解け切れぬ問題多く目借時 藤波松山 京鹿子 201407
角砂糖溶けずに沈む目借時 中山静枝 201407
喜の字踊りて蛙の目借時 雨村敏子 201407
空き多き車両へ移る目借時 藤沢秀永 201407
鈴懸の古きまり揺れ目借時 前原マチ 末黒野 201408
根廻しの効きたる会議目借時 塙誠一郎 201408
いびきかく犬もゐてをり目借時 江島照美 201408
畳皺多き古地図や目借時 石黒興平 末黒野 201408
七人の敵何処にゐる目借時 森岡正作 201505
水色の扉を開く目借時 辻水音 201506
目借時本の散らばる万年床 足立良雄 201506
ふさがってゆく両瞼目借時 佐藤淑子 雨月 201507
救急車駆け抜けて行く目借時 大石よし子 雨月 201507
回送の電車見送る目借時 大崎紀夫 虻の昼 201510
給湯器より声が出る目借時 箕輪カオル 201607
赤信号つづく蛙の目借時 菊池洋子 やぶれ傘 201607
無重力になりし蛙の目借時 寺田すず江 201607
本棚のこけし飴色目借時 細島孝子 末黒野 201608
目借時開眼を待つだるまかな 久保東海司 201608
釣り人も竿も動かず目借時 小林朱夏 201705
目借時夢見心地の暫しかな 大口堂遊 春燈 201705
老僧の絵解きに正座目借時 大石よし子 雨月 201706
あめ玉がなかなか溶けぬ目借時 木戸渥子 京鹿子 201706
原稿用紙一字も書かぬ目借時 落合絹子 雨月 201707
掛軸の女ほほゑむ目借時 宮崎洋 春燈 201707
説法の佳境に入りぬ目借時 今村千年 末黒野 201708
掌のスマホの滑る目借時 今村千年 末黒野 201708
渋滞の飴玉ふふむ目借時 龍町子 末黒野 201708
背中にも眼のある教師目借時 山内碧 201707
説法の佳境に入りぬ目借時 今村千年 末黒野 201804
掌のスマホの滑る目借時 今村千年 末黒野 201804
そよ風の捲る頁や目借時 山口郁子 末黒野 201804
目借時乗合バスの最後尾 福島茂 201806
ぺージ繰る指のありけり目借時 中村洋子 風土 201806
舌のばし口の体操目借時 平田きみこ 風土 201807
水音のひときは高き目借時 赤松赤彦 六花 201807
目借時拾ってしまう捨て台詞 網野月を 201807
仏頭のぐらり蛙の目借時 石田阿畏子 馬醉木 201807
タクシーの出払つてゐる目借時 大崎紀夫 やぶれ傘 201807
赤べこの頭のゆるる目借時 根橋宏次 やぶれ傘 201807
水槽の水入れ替へる目借時 秋山信行 やぶれ傘 201807
耕運機休む田中や目借時 宮本俊子 雨月 201808
二の腕の力衰ふ目借時 大日向幸江 あを 201904
「痒いところ」美容師の問ふ目借時 宮内とし子 201906
目借時床屋親父に生返事 道端齊 201906
悩み事なくて蛙の目借時 林田麻裕 201906
目借時カタコトカタとファックス機 須賀敏子 あを 201906
杉の子の目覚めの辺り目借時 長崎桂子 あを 201906
山の名は大黒天山目借時 つじあきこ 201907
沓脱いで珈琲を飲む目借時 大崎紀夫 やぶれ傘 201907
そのことは解決済みよ目借時 岩崎藍 末黒野 201907
ゴスペルの練習の音が目借時 佐藤慧美子 201908
図書館の満席にして目借時 武藤節子 やぶれ傘 201908
サスペンスドラマ見てゐる目借時 浅嶋肇 やぶれ傘 201908
青き照る鉄路蛙の目借時 安食哲朗 201910
御勤の木魚蛙の目借時 永淵惠子 201911
立ちてすぐ忘れ蛙の目借時 辻美奈子 202004
助手席でぬひぐるみ抱き目借時 篠田大佳 あを 202006
新聞手にソファーに向かふ目借時 湯本実 やぶれ傘 202006
ポケベルに呼ばる診察目借時 林いづみ 風土 202007
目の語る真実ありし目借時 江島照美 202007
ビル影から機影がヌッと目借時 岩藤礼子 やぶれ傘 202007
夢の旅探す古地図や目借時 長尾タイ 末黒野 202008
ただいまの声隣家より目借時 小山よる やぶれ傘 202105
思はざる変換の誤字目借時 栗原公子 202106
重くなる地球の自転目借時 里村梨邨 202106
栄転てふ別れのありて目借時 渡辺やや 風土 202106
返信がのびのびになる目借時 秋川泉 あを 202106
文机のオバマの著作目借時 七郎衛門吉保 あを 202106
目借時うつらうつらと乗り過ごし 塚原紀代子 風土 202201
蛙の目借時→ 1

 

2016年4月9日 ">2016年4月9日 >

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。