胡 桃 2      200句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
断崖に枝を伸ばしたる青胡桃 大橋敦子 雨月 200807
杣谷の晴れゆく気配青胡桃 国永靖子 ぐろっけ 200808
青胡桃水屋の龍は水を吐き 安藤久美子 やぶれ傘 200809
大瑠璃は渓のテノール青胡桃 衣川砂生 馬醉木 200810
割る前の襞を深めて夜の胡桃 鷹羽狩行 200810
かつぱ淵燐光はなつ鬼胡桃 小泉貴弘 筑波の道 200811
びいどろの中の胡桃や人日影 森川彩火 炎環 200901
まろびたる胡桃の声を聞く夜かな 熊岡俊子 雨月 200901
胡桃割る音や遺品のくるみわり 熊岡俊子 雨月 200901
青胡桃タイムキーパーゐなくなり 折島光江 炎環 200908
すり切れし絵本の表紙青胡桃 伊藤航 炎環 200910
どつどどう風吹く岸の青胡桃 近藤紀子 200911
青胡桃重なり合うて育ちをり 網野茂子 酸漿 200912
青胡桃詩魂に添ひしはるかな日 伊藤敬子 200912
みすずかる青き胡桃に双体神 神蔵器 風土 200912
もの想うヒトの胡桃の鳴り止まず 貝森光洋 六花 200912
胡桃落つ落ちては深む森の黙 森清堯 末黒野 201001
胡桃割る旅にしあれば愁ひなく 安立公彦 春燈 201001
鬼胡桃ポケット多き服が好き 杉浦典子 火星 201001
蟠り解けずに別れ胡桃割る 中嶋麿澄 201001
胡桃割れ熊野古道の錫杖音 伊藤紀子 ろんど 201001
鬼胡桃遅刻出勤うす笑ひ 田中文治 火星 201002
鬼胡桃置きゆく肥料袋ごと 大畑善昭 201002
いつかはの遂にそのとき胡桃落つ 藤原照子 201002
ゆるやかに下る杣道沢胡桃 相沢有理子 風土 201002
人日や胡桃好みし西太后 木村みどり 春燈 201003
胡桃焼けば灯ともるごとく中が見ゆ 加藤楸邨 ぐろっけ 201005
胡桃割る聖書に万の字をとざし 平畑静塔 ぐろっけ 201005
己が炊煙まとふ民宿花胡桃 塙義子 ぐろっけ 201005
鬼胡桃咲く姫川に張り出して 塩出眞一 ぐろっけ 201005
岩魚の瀬明けつつ風の花胡桃 太田葵樹 ぐろっけ 201005
旅疲れ胡桃にぎりて寝言かな 池田久恵 ぐろっけ 201005
仔牛まだ親を離れず花胡桃 古賀まり子 ぐろっけ 201005
樺太を遙かにのぞみ青胡桃 佐田昭子 ぐろっけ 201005
のぼり来て富士失ひぬ花胡桃 角川源義 ぐろっけ 201005
春潮や藻くづに混じる胡桃殻 佐野和子 万象 201006
頼もしき芽立見せたり鬼胡桃 渡辺玄子 酸漿 201007
絶ゆることなき渓音や青胡桃 黒滝志麻子 末黒野 201008
落石を根元に溜めて花胡桃 松田泰子 末黒野 201009
豪邸の門に隆々青胡桃 大橋晄 雨月 201009
抽斗の中であばれて鬼胡桃 杉良介 201010
くるくるが転訛したりし胡桃の名 能村研三 201010
青胡桃踏めば芯まで潰れけり 木村コウ 酸漿 201010
水流の力んでをりぬ青胡桃 甲州千草 201010
木曾川の風定まらず青胡桃 徳井節子 馬醉木 201010
奔流に枝川乗れず青胡桃 久染康子 201010
胡桃には鬼と姫の名手に包む 能村研三 201010
真心は胡桃の仁に似たるかな 高橋将夫 201011
流さるる子等の歓声青胡桃 森理和 あを 201011
胡桃落つ己が水輪を撞いて浮く 石崎@浄 風土 201012
座右にす若き音もつ山胡桃 山崎@靖子 201101
渡し場をはなるる船や胡桃の実 天野美登里 やぶれ傘 201101
胡桃餅旧街道は山へ入る 丸井巴水 京鹿子 201102
胡桃割り脳の図鑑を捲らうか 丸井巴水 京鹿子 201103
踝を濡らす流れや花胡桃 亀卦川菊枝 末黒野 201104
胡桃割る信濃の人は話好き 大久保白村 ホトトギス 201104
真冬日にして立春の胡桃の木 野沢しの武 風土 201107
青胡桃小指がほどに栗鼠の森 小林輝子 風土 201110
宇治川の激つ流れや青胡桃 島田和枝 万象 201111
減らさず増やさず胡桃十ほど死蔵せり 伊藤白潮 201112
鬼胡桃はて累累のされかうべ 有本南陵 ろんど 201112
みづうみに光る波寄す沢胡桃 有本惠美子 ろんど 201112
胡桃落つ音に目覚めて山の宿 川崎利子 201201
胡桃の実握り川添ウォーキング 大日向幸江 あを 201201
胡桃の実ひとりよがよの快楽かな 日下部亞こ ろんど 201201
山胡桃老いても減らぬ負けをしみ 細川知子 ぐろっけ 201201
縄文の地層に胡桃昼ちちろ 石川裕子 万象 201201
やはらかき濡れ縁の日に胡桃割る 相沢有理子 風土 201201
源流は岩にかこまれ胡桃の実 天野美登里 やぶれ傘 201202
手風琴の音吹き溜まる青胡桃 岩永はるみ 白雨 201203
春潮に打ち寄せられし胡桃かな 田中佐知子 風土 201207
川波の簗に寄せたり青胡桃 森岡恵子 万象 201209
青胡桃スパンコールのやうな雨 佐々木紗知 京鹿子 201209
眼前に転がりきたる青胡桃 大信田梢月 万象 201209
鴨去りて池は静かに青胡桃 田島昭人 かさね 201209
傘傾げ胡桃の花の雫浴ぶ 加藤みき 201209
胡桃の実拾ふ鳥獣保護地域 古川夏子 201210
山国の胡桃香ばしばつけ味噌 三好かほる 万象 201211
ポケットに胡桃の実ジャズ聴きにゆく 木村和也 船団 201212
胡桃割り掌にもてあそぶ祖父の音 村田岳洋 ろんど 201301
掌中に胡桃怒りを抑へをり 石川笙児 201302
一山の黙裂き胡桃落ちにけり 神田恵琳 跫音 201303
野胡桃を見上げる空の明けてゆく 陽山道子 おーい雲 201304
鬣を吹き分く風や花胡桃 山本無蓋 201311
墓参りのびのびひろぐ姫胡桃 森理和 あを 201311
民宿の足踏みミシン青胡桃 割田容子 春燈 201311
鬼胡桃収穫二個に嗤ひけり 笠井清佑 201312
鬼胡桃細き流れのしろじろと 後藤桂子 万象 201312
掌の中に胡桃書き順辿りをり 能村研三 201312
火の酒に残る木の香や胡桃割る 橋本榮治 馬醉木 201312
手すさびの胡桃の艶や秋深し 土屋啓 馬醉木 201312
胡桃割る小鳥ほどの脳右左 新江たか ろんど 201401
胡桃割つて水割ことり鳴りにけり 藤沢秀永 201401
姫胡桃ひとに言へないこと多く 山本孝子 ろんど 201401
胡桃買ふ奥羽の山の道の端 工藤ミネ子 風土 201403
胡桃と耳どこか似てゐる部屋がある 直江裕子 京鹿子 201403
蝋梅や胡桃のパンの焼きあがり 須賀敏子 あを 201404
花胡桃大阪城の風の中 加藤みき 201409

 悼熊切修氏

妻恋ひの径の寧かれ青胡桃

小川玉泉 末黒野 201410
胡桃落つ夕べの雨の強さかな 大木清美子 201411
青胡桃自惚れ鏡の川覗く 村田岳洋 ろんど 201411
自動車に胡桃割らせる鴉かな 森屋慶基 風土 201412
ラジオから昭和の歌や胡桃割る 山田正子 201412
高みより鳶笛胡桃ひとつ落つ 小林輝子 風土 201412
故郷は遠くの孤独胡桃割る 七種年男 201501
新蕎麦に胡桃のたれとくればもう 根橋宏次 やぶれ傘 201501
胡桃割る今日の一日仕舞ふ間に 円城寺清 201502
野鼠の歯跡ばかりや落ち胡桃 正谷民夫 末黒野 201502
旅の荷に割る手立てなき鬼胡桃 谷岡尚美 201502
開拓の息吹きを聞かな青胡桃 上家弘子 ろんど 201502
寒鴉落せし胡桃はずれかな 山荘慶子 あを 201503
結願寺ひとつ在りたり青胡桃 徳田千鶴子 馬醉木 201509
安曇野の風の色澄む青胡桃 久布白文子 馬醉木 201509
また雨の音の高まる青胡桃 藤井美晴 やぶれ傘 201509
川音の四時にそだつ青胡桃 高橋道子 201509
青胡桃忽ち闇となる光 高野春子 京鹿子 201510
渓流に木洩れ日揺るる青胡桃 有賀昌子 やぶれ傘 201512
胡桃落つる峠古りたる翁の碑 長尾タイ 末黒野 201512
青胡桃峠の空が動き出す 片山煕子 京鹿子 201601
ベジタリアンの曽祖母「門」や胡桃味噌 篠田純子 あを 201602
胡桃割る昨日の事は置いといて 藤波松山 京鹿子 201603
鬼胡桃乗せ手のひらの山河とす 深川淑枝 201604
甲高き鳥のこゑ聞く青胡桃 廣瀬雅男 やぶれ傘 201607
胡桃・胡麻・黄粉・餡餅老いどちに 野沢しの武 風土 201607
青胡桃いづれ恋するときも来る 大口堂遊 春燈 201609
胡桃咲きみちのく昔語りかな 山田夏子 雨月 201609
人とゐて真実遠し青胡桃 栗山よし子 馬醉木 201610
明るきに雨の降りをり青胡桃 黒滝志麻子 末黒野 201610
川音へ音なく落つる青胡桃 紅露恵子 万象 201611
翔師の忌近し胡桃を割らず置く 千田百里 201612
草に音たてて雨来る鬼胡桃 鎌田八重子 馬醉木 201612
投網打つ男寡黙や沢胡桃 鎌田八重子 馬醉木 201612
青胡桃伊代次師詠みし山と川 原田しずえ 万象 201612
立ち止まり僧に会釈を新胡桃 天野美登里 やぶれ傘 201612
照りかげり白壁の端の青胡桃 吉田きみえ 末黒野 201612
人形の力を借りて胡桃割る 三輪温子 雨月 201701
胡桃割る眼病みに奇蹟起こらんか 鈴木直充 春燈 201701
規則とは破るものなり青胡桃 横田敬子 201612
バーボンの香りを待たせ胡桃割る 峰崎成規 201701
無聊なりうす目の猫に鬼胡桃 平井奇散人 船団 201701
偏照りのあとの偏降り青胡桃 能村研三 201707
潮入の風の育む青胡桃 山崎靖子 201708
山荘は雲湧きやすし青胡桃 中野あぐり 春燈 201708
信濃では選択科目は青胡桃 つじあきこ 201709
青胡桃出てくる出てくる二年生 つじあきこ 201709
その奥に水の声あり青胡桃 大村峰子 万象 201709
枝撓る己が重みや青胡桃 小倉純 末黒野 201710
ほとばしる渓の水音花胡桃 森清信子 末黒野 201711
濁流のたぎる岩場や青胡桃 森清信子 末黒野 201711
真夜中をこつんとひとつ鬼胡桃 おーたえつこ 201712
鬼胡桃転げて現在過去未来 おーたえつこ 201712
胡桃割る捨てられぬ物どうしやう 五十嵐章子 201712
ささめけりチークの卓の胡桃達 定梶じょう あを 201801
避難所の幼友達青胡桃 石田康明 春燈 201810
青胡桃青空見せて抜くる風 小倉純 末黒野 201810
手に遊ぶ二つの胡桃三鈷めく 有松洋子 201811
見つくれば次々見つけ青胡桃 今井康子 201812
鬼胡桃がき大将に夢ふたつ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201812
胡桃割るふとAIの世を思ひ 千田百里 201812
青胡桃こつんと肩に日暮路 小林紫乃 春燈 201812
甲斐駒の孤高の尖り青胡桃 山下健治 春燈 201812
胡桃割る色の異なる闇ふたつ 岡部名保子 馬醉木 201901
追憶をぬくめゐる掌の胡桃かな 田辺博充 201901
姫胡桃割ればたちまち人見知り 村田あを衣 京鹿子 201901
胡桃村騒がせ風の又三郎 山中志津子 京鹿子 201901
胡桃割れしかめつ面を返上す 井尻妙子 京鹿子 201901
手の平の胡桃を振れば山の音 西村白杼 京鹿子 201901
ぱくりぱく胡桃饅頭柚子のお茶 石森理和 あを 201901
悔しさにギシギシ鳴らす胡桃二個 贄田俊之 やぶれ傘 201902
胡桃割るどちらにも肩入れはせず 井上菜摘子 京鹿子 201902
しあはせの番外にゐて胡桃割る 井尻妙子 京鹿子 201902
若者の未来明るき青胡桃 田中美恵子 201906
花胡桃流れひとつになるところ 廣瀬雅男 やぶれ傘 201907
石走る水の白さや青胡桃 斉藤マキ子 末黒野 201911
青胡桃雲湧く山の風を呼び 森清信子 末黒野 201911
わが秋思胡桃に皺のあることも 定梶じょう あを 201912
正論にいちゃもんつける胡桃割る 火箱ひろ 201912
鬼胡桃青くて雨はやみそうで 谷さやん 船団 201912
掌中の胡桃鳴らして一事了ふ 能村研三 201912
胡桃割る忘れ難きは人の恩 河口仁志 201912
手に二つ胡桃あそばせ詰将棋 長谷川閑乙 馬醉木 201912
鬼胡桃いま縄文のパワー欲し 浅田光代 風土 201912
賜りし新作和菓子胡桃の香 鈴木石花 風土 202001
胡桃割る烏の知恵の車道かな 小林のり人 春燈 202001
胡桃落つ信濃に小さき異人墓地 岩永みはる 追伸 202003
知恵の輪のうんともすんとも青胡桃 たかはしすなお 202009
薄暗き大樹に垂るる青胡桃 赤座典子 あを 202009
青胡桃かの人左利きと知り 能村研三 202010
無聊の夜机辺の胡桃艶を増す 能村研三 202011
掌中の胡桃鳴らして一事了ふ 能村研三 201911
胡桃割る忘れ難きは人の恩 河口仁志 201911
胡桃落つ父の音とも母かとも 雨宮桂子 風土 202012
鬼胡桃廃村へ向く深轍 瀬尾千鶴枝 京鹿子 202101
未来とは如何に胡桃を割つてみる 千田百里 202101
夕暮の川音たかし青胡桃 菊地光子 202108
青胡桃葉守りの神も在すらむ 栗坪和子 202108
青胡桃ビニール傘に日が透けて 藤井美晴 やぶれ傘 202109
何するとなく手の胡桃艶を増す 能村研三 202112
掌中に愛づる胡桃は山の息 五十畑悦雄 202112
百年余の木造教会鬼胡桃 吉川隆 春燈 202201
胡桃 →3

 

2023年9月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。