栗 4     100句

落栗や谷にながるゝ蟹の甲   祐甫

作品
作者
掲載誌
掲載年月
期待して栗弁当を買ふ旅へ 二村蘭秋 雨月 200711
一つ見え三つ四つと見え栗の毬 林翔 200711
栗持つ子鳩に囲まれ泣きゐたる ことり 六花 200711
駅頭に栗売る媼われを見る 田中藤穂 あを 200711
危めてはならぬ指先栗を剥く 須藤トモ子 200712
弁当は栗いつぱいよ部活の子 中山静枝 200712
栗送られつづけて届く渋皮煮 松崎鉄之介 200712
栗を剥く嫁と語りて夕支度 野瀬マツエ 200712
栗一つ拾ひわが手も丸くなる 林翔 200712
毬栗の満を持しゐる日数かな 堀田こう 雨月 200712
一升の栗を剥きたる肩のこり 黒杭良雄 ホトトギス 200801
虚栗を拾ひつづける小町かな 延広禎一 200801
てのひらに生栗あぶく残しをり 栗栖恵通子 200801
栗袋高く盛られし道の駅 西川久美子 遠嶺 200801
秋なれや仏の妻に柿と栗 廣瀬義一 雨月 200801
栗剥くに刻を忘れて夜の更くる 井田幸子 雨月 200801
毬栗や出世頭は餓鬼大将 田畑耕之介 京鹿子 200801
裂け目より天下窺ふ丹波栗 田畑耕之介 京鹿子 200801
栗を干す庭隅金屎積まれをり 廣畑育子 200801
大粒の栗をしばらく握つてみる 秋千晴 200801
ころがつてにこにこ笑ふ栗拾ふ 川崎よしみ 200801
歯固めに栗の三粒をふくみたる 滝沢伊代次 万象 200801
安らぎの栗むく手許見てゐたり 中山純子 万象 200801
全身で枝ゆする猿栗落す 阿部月山子 万象 200801
福招く勝栗食みて奮起せり 石岡祐子 200802
地雷なき国の幸せ栗拾ひ 中山勢都子 200802
笑栗を陳列窓に菓子処 谷越勝司 200802
生きる日のまだしたたかの栗拾ひ 中山純子 万象 200802
栗好きの母へ廿栗ひと七日 本杉千保子 万象 200802
栗を売る方言荒き朝の市 寺島とし重 万象 200802
宿題の子と向き合うて栗を剥く 藤田裕子 万象 200802
生きむかな栗の季節は栗を剥き 佐々木幸 200802
焼き栗をかじると仲間仁寺洞 坪内稔典 船団 200803
栗拾ふいつもの父のへだたりに 岡本高明 船団 200803
同級会栗の落つ音聞きたくて 村田とくみ ぐろっけ 200803
栗落すラジオ大きくしてゐたり 内山花葉 200803
栗拾ふ熊そつくりの四つん這ひ 泉田秋硯 二重唱 200806
川上の水濁りをりみなし栗 白数康弘 火星 200809
雨の日の仏壇にある栗の毬 山尾玉藻 火星 200810
木洩れ陽の中の散策栗拾ひ 森下康子 200811
笑栗を枝ごと飾る釜めし屋 上原重一 200811
神酒に添へ青き毬栗地鎮祭 中村房子 馬醉木 200811
毬栗に吸はれし空の青さかな 三輪初子 炎環 200811
踏みつけて掻き出してをる栗二つ 加藤みき 200811
篠山の豆栗そろふ十三夜 阿部ひろし 酸漿 200811
栗拾ふ大友皇子の墓の前 神蔵器 風土 200811
みちのくの縄文月夜栗の笑み 能村研三 200811
古里のくりんくりんな栗ぎっしり 森理和 あを 200811
栗剥いて指先乾くひとりの夜 徳田千鶴子 馬醉木 200812
杣小屋の軒這ふ湯気や栗を煮て 粕谷澄 馬醉木 200812
不揃ひの栗もひとつや渋皮煮 青木ちづる 200812
チャンネルを替へて栗剥く夫の黙 和田森早苗 200812
栗剥きてお疲れさんのティータイム 森下康子 200812
栗ひろふ育ちざかりの声三人 丸山佳子 京鹿子 200812
栗届く父郷の山の日とともに 豊田都峰 京鹿子 200812
誰が知るや森の奥処の栗大樹 瀬川公馨 200812
縄文の野に大ぶりの出落栗 能村研三 200812
落栗や庭に栗の木なきものを 林翔 200812
青栗の風に揺られて重くなる 安居正浩 200812
毬栗や官邸近し財務省 市村義夫 風土 200812
栗届き挑んでをりぬ渋皮煮 片野光子 ぐろっけ 200812
家族より気の合ふ二人栗をむく 小松美保子 ぐろっけ 200812
ぬかるみに大き足跡みなし栗 大山文子 火星 200812
毬栗の落つる音あり夜の机 高橋芳子 火星 200812
真向ひは大文字山みなし栗 村上留美子 火星 200812
賜ひたる栗を供ふる遺影かな 花岡豊香 酸漿 200812
栗拾う森に童話のような家 熊崎昭子 200812
栗拾ひ予期せぬ量の両ポッケ 宮田香 200901
栗を剥く爪の先まで考に似し 緑川啓子 馬醉木 200901
ほろ酔や栗名月に金のへり 小形さとる 200901
山栗のはぢけし夜明け水の音 竹中一花 200901
毬栗のすとんと懺悔急かさるる 岩月優美子 200901
栗拾ふイーハトーブの片隅で 本橋葉月 遠嶺 200901
てのひらにコイン揃へて栗を買ふ 泉田秋硯 200901
丹波路の落日速し栗笑めば 渡邊由江 200901
夜に入り民話のやうな籠の栗 戸田和子 200901
青きまま落ちし毬栗手の平に 北川とも子 ぐろっけ 200901
昨日今日毬栗落ちる鈍い音 濱田ヒチヱ ぐろっけ 200901
栗ひらう京都市民でありがたし 丸山佳子 京鹿子 200901
入念てふ生来の性栗をむく 北川孝子 京鹿子 200901
毬割れて太った栗と痩せた栗 貝森光洋 六花 200901
栗を剥く母の昭和を思ひつつ 向井由利子 200902
小さき子一番大きな栗もらふ 秋千晴 200902
栗の秋水こぼしつつ山墓へ 井上菜摘子 京鹿子 200902
焼栗も焼銀杏も試食せり 中条さゆり 200903
焼栗の爆ぜ滝道の淑気かな 浜口高子 火星 200904
栗咲いて思はぬ景の村の口 戸栗末廣 火星 200908
つやつやとかがやきてをり山の栗 滝沢伊代次 万象 200909
笑み栗の中に隠れてゐし平和 石寒太 炎環 200910
良寛の文字を好みの栗の菓子 伊藤敬子 200910
人の世のめぐり合はせの栗の菓子 伊藤敬子 200910
焼栗の少し固めは四つ切りに 羽生きよみ はらから 200911
ぱらぱらと屋根に栗の実落ちゐたり 室谷幸子 万象 200911
山つ神の筋書どほり栗はじけ 丸山佳子 京鹿子 200911
卓の上盛られし栗は隣家より 神田一瓢 雨月 200911
運不運あるは世の常虚栗 久保田雪枝 雨月 200911
毬栗へ火挟みの先差し込みぬ 山田六甲 六花 200911
毬栗の青さよ痛きほどのあを 谷中弘子 200911
柔らかきあをき毬栗拾ひけり 奥田温子 やぶれ傘 200911
栗を剥く医師を離れし不器用さ 水原春郎 馬醉木 200912
栗 →5      

 

2021年10月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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