薫 風 5       200句

薫風や地下足袋でくるわさび売   飯島清子   獐

作品
作者
掲載誌
掲載年月
薫風や鯔待ち櫓も能登の奥 山田春好 201009
薫風のさわさわ誘ふ旅ごころ 川崎光一郎 京鹿子 201009
薫風や水草なびき鯉むるる 小泉貴弘 春燈 201009
薫風に裳裾返して飛鳥仏 秋葉貞子 やぶれ傘 201009
薫風にいま焼きたてのメロンパン 秋葉貞子 やぶれ傘 201009
薫風や国宝天主堂拝し 森幸 雨月 201009
薫風がなでをり園の百花の譜 浅井靑陽子 ホトトギス 201010
薫風や総身のほぐれ覚えをり 谷貝美世 末黒野 201104
薫風と猫鰹節取り合へり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201105
薫風の繋いでゆきし鉄路かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201105
薫風に包まれてゐる梨畑 稲畑廣太郎 ホトトギス 201105
薫風や靴ぬいで入る太子堂 山田六甲 六花 201105
薫風や高天井の雨の染 山田六甲 六花 201105
薫風や堂縁占むる遠忌衆 伊藤純子 201107
薫風や紅茶にひたすビスケット 鈴木セツ 201107
白衣靡かせ薫風に乗り給ふ 久染康子 201107
母の間に薫風充たし待ちにけり 林いづみ 風土 201107
薫風に嬰児拳を開きけり 浅田奈美 酸漿 201107
薫風や便り書くより飛んでゆく 小形さとる 201107
薫風や鶴の翼に大藁屋 門伝史会 風土 201108
黒光る筬薫風の居座機 林いづみ 風土 201108
薫風と共にくぐるや薬医門 小山繁子 春燈 201108
薫風を抜けて手足の軽くなり 塩千恵子 201108
薫風や仮設の村に一輪車 松嶋一洋 201108
薫風や優しく描けし今日の眉 刈米育子 201108
薫風に癒やされてゐる五感かな 横井明子 201108
薫風や六十年ぶりの友の文 高倉恵美子 201108
薫風や子供相撲の白まはし あさなが捷 201108
薫風や蹴り出すやうな裾捌き 新妻奎子 万象 201108
薫風の妻乗りに乗る厨かな 山本無蓋 201108
薫風を我がものとするアスリート 南澤はるお ろんど 201108
来来世世われ薫風となつてをり 近藤喜子 201108
薫風になつて父母来ぬ写真古り 丹生をだまき 京鹿子 201109
薫風の通ふ茶室や句座開き 菅野日出子 末黒野 201109
薫風や浜まで延びし父の試歩 荒井千佐代 祝婚歌 201110
薫風に何語らふやモネ母娘 堀内五齢 春燈 201110
薫風や母が支へて父の腕 コ田千鶴子 花の翼 201111
はんなりとこいさん薫風と来はる  稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
薫風や授乳の胸に筋走る 小林朱夏 201204
薫風に和して鳥語の降りて来る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
薫風を生む羽ばたきでありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
薫風や刃物が趣味といふ漢 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
薫風に押し上げられてゐる都心 稲畑廣太郎 ホトトギス 201206
山門を薫風と出る網代笠 竹貫示虹 京鹿子 201206
薫風の佐渡国中や朱鷺の舞 坂上香菜 201207
母の忌や薫風に背をおされけり 佐々木薫 かさね 201207
薫風や茶店に座して山を見る 四條進 201207
薫風を纏うてゐたる奪衣婆 延広禎一 201207
薫風や土手双翼に小駅あり 能村研三 201207
薫風や絆四代澤瀉屋 木村茂登子 あを 201207
薫風や若き座長の幟旗 木村茂登子 あを 201207
薫風や巴里を起点の哩程標 塩路隆子 201208
薫風の宙に賜はるリングかな 山口キミコ 201208
薫風やラセン階段かけのぼる 庄司久美子 201208
薫風や吾子の瞳に大空の 杉原ツタ子 201208
薫風や街行く顔の影深し 坂上じゅん かさね 201208
薫風やすれちがふ子はみな美人 松田利秋 かさね 201208
木馬館は薫風公演旗ゆれて 高橋あさの 201208
薫風やいろはにほへとわがひと世 武藤嘉子 201208
薫風やラジオ体操第二まで 柴田久子 風土 201208
生きてゐればこその薫風辰雄の忌 和田孝村 春燈 201208
東屋の足下鯉ゆく薫風裡 松本三千夫 末黒野 201208
薫風の車懸りの八幡原 豊田都峰 京鹿子 201208
薫風や丹精の庭婿にお三時 水谷直子 京鹿子 201208
薫風に蹄のひびき騎馬婦警 塩路隆子 201209
薫風に怒り抑へし毘沙門天 山口キミコ 九十九島 201209
城といふ美学ありけり薫風裡 古賀しぐれ ホトトギス 201209
薫風や鷺の脛打つささら水 松本信子 かさね 201209
薫風や汽車山を縫ひ川に沿ふ 根岸善行 風土 201209
薫風の勢揃ひする二の丸跡 豊田都峰 京鹿子 201209
薫風に葉陰が見せる人の顔 水谷直子 京鹿子 201209
御陵へと薫風の道辿りけり 北崎展江 くりから 201209
二十万基の墓碑に薫風行きわたり 玉置かよ子 雨月 201209
薫風に五感を洗ひ清めたり 水野範子 ぐろっけ 201209
薫風やただ今マイクテスト中 今村征一 ホトトギス 201210
朝刊のやうに配られ来る薫風 松田都青 京鹿子 201210
薫風や随身門の翁神 齋藤晴夫 春燈 201210
薫風に綿飴の綿飛びにけり 瀬島洒望 やぶれ傘 201210
薫風に抱卵の鳩声もらす 酒井秀郎 返り花 201211
薫風ともう言へさうな森の中 稲畑汀子 ホトトギス 201305
薫風や鳥になるなら五位鷺に 大川ゆかり 201305
陸に海に空に薫風今日も地震 布川直幸 201305
薫風や慈悲心強き父なりし 大橋敦子 雨月 201306
薫風や阿の狛犬の口の中 笠井清佑 201307
薫風や散歩の足も軽やかに 吉田博行 かさね 201307
薫風裡一人遊びの散歩する 木村茂登子 あを 201307
薫風や木登りの子の足が見え 松田泰子 末黒野 201310
薫風や肩の荷下ろすことありて 今橋眞理子 ホトトギス 201311
石垣を撫でて薫風曲り来る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201405
大空を統べ薫風の飛翔かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201405
薫風や輪ゴムで飛ばすグライダー 田所節子 201406
薫風や白無垢内の永遠の笑み 杉田福 201407
薫風やともに迎へしダイヤ婚 石本秋翠 馬醉木 201407
ひつそりとマリア地蔵や薫風裡 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
薫風を煮つめし紅茶ふふみをり 有松洋子 201408
薫風や肚に当地の五平餅 松田和子 201408
薫風や明治が遺す製糸場 鈴木鳳来 春燈 201408
薫風や草魚の飛沫水に散る 佐々木紗知 京鹿子 201408
薫風や深泥けぶらせ舟廻る 河崎尚子 火星 201408
薫風や埴輪まつりの無音劇 北村淳子 ろんど 201408
薫風や果てなき呼吸を新たにす 石倉千賀子 ろんど 201408
薫風へ肘張つて吹く祭笛 池田光子 風土 201408
薫風へ姿勢正して退院す 松本峰春 春燈 201408
薫風の一寺の奥に翁堂 今井妙子 雨月 201408
薫風に寄せて翁の万葉歌 小幡喜世子 ろんど 201408
薫風や埴輪まつりの無音劇 北村淳子 ろんど 201408
薫風や稚に言葉の生れ出で 水原春郎 馬醉木 201408
薫風や肚に当地の五平餅 松田和子 201408
大安や稿の上りし薫風裡 上家弘子 ろんど 201409
薫風や一行詩集読む机辺 岡野里子 末黒野 201409
薫風の野によみがへり詩心 森清信子 末黒野 201409
富岡製糸場煉瓦粲々薫風裡 茂木なつ 春燈 201409
薫風や厩舎の闇に馬二頭 永田万年青 六花 201409
薫風を切りゆく翼子の両手 石川寿夫 ろんど 201409
薫風や父と娘の砂遊び 菊地葉子 やぶれ傘 201410
薫風や浦を起点に塩の道 鳳蛮華 201410
薫風や揺れるものみな風のもの 涌羅由美 ホトトギス 201410
薫風や母の忌日の墓洗ふ 吉田きみえ 末黒野 201411
薫風が刃をなまくらにしてしまふ 堀内一郎 堀内一郎集 201412

 安澤阿彌様句碑披き祝句

薫風や永久に絵心一詩心

稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
薫風や向こう岸へは櫓の舟で 吉田香津代 201505
薫風に召されし伯母でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201505
薫風に心さらはれさうになる 稲畑汀子 ホトトギス 201506
薫風に磨かれてゆく窓の景 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
喪の旅を終へ薫風の旅となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
薫風の集まつてゐる年尾像 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
薫風や予期せぬ旅となることも 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
湖見えてより薫風の渡りけり 稲畑汀子 ホトトギス 201507
薫風や夢を探しに八十路旅 土屋光男 春燈 201507
薫風に校歌預けて閉校式 上野進 春燈 201507
薫風や鱗結びの弓袋 大川ゆかり 201507
薫風となり石洲から雲洲へ 豊田都峰 京鹿子 201507
薫風のみがく大山旅の果つ 豊田都峰 京鹿子 201507
薫風やカメオの乙女横を向き 村上倫子 201507
薫風や園児はすぐに走りだし 立花一枝 201508
レイ掛けて貰ふ空港薫風裡 松本三千夫 末黒野 201508
薫風を畳む鎌倉路地小路 正谷民夫 末黒野 201508
荷を揚げし船場はいまも薫風裡 豊田都峰 京鹿子 201508
薫風やキリンの覗く玉子焼 和田照海 京鹿子 201508
薫風や切れ味のよき河口堰 亀井福恵 京鹿子 201508
鯱の目の薫風放つ白鷺城 岡山敦子 京鹿子 201508
薫風裡来てブルックナー開始かな 橘正義 春燈 201508
薫風や馬上雄偉の楠公像 小林文良 春燈 201508
薫風や回されてゐるピザの生地 大川ゆかり 201508
IT音痴薫風に溺れけり 藤原照子 201508
薫風や見上ぐ本堂三つ鱗 小林和子 風土 201508
薫風を袂に僧の大股よ 原田しずえ 万象 201508
薫風や千曲川源流一跨 赤座典子 あを 201508
薫風と言ふべし厩舎から吹くも 八木健 八木健俳句集 201509
薫風量産全山花蜜柑 八木健 八木健俳句集 201509
シャツの背に薫風丸く入れて過ぐ 近藤紀子 201509
薫風や春日造と朱の柱 杉原ツタ子 201509
薫風や嬰の笑顔と隣合ふ 渕田則子 末黒野 201509
薫風の中に生まれてきしばかり 今橋眞理子 ホトトギス 201511
薫風の花鳥諷詠塾へいざ 千原叡子 ホトトギス 201511
薫風や三つ先まで青信号 佐藤みち子 京鹿子 201601
磐座の紙垂の白さや薫風裡 石本百合子 馬醉木 201607
薫風にそよぐ野花のいとしさよ 大湊栄子 春燈 201607
薫風や片足立ちで眠る鳩 小山陽子 やぶれ傘 201607
薫風やかはりばんこに羊撫で 池田光子 風土 201607
朝市の薫風おまけ能登訛り 鈴鹿呂仁 京鹿子 201607
薫風や赤児の髪の浮き上がる あさなが捷 201607
薫風や若冲展に人あふれ 秋川泉 あを 201607
登りきて薫風に身を任せたり 笠井敦子 201608
薫風に押されてくぐる長屋門 江澤弘子 201608
薫風や海見つづける少女像 岩永はるみ 春燈 201608
薫風や水面に出づる亀の顔 吉村さよ子 春燈 201608
薫風をまとひし句碑の月日かな 門伝史会 風土 201608
薫風に栞の紐を解き放つ 中嶋陽子 風土 201608
薫風や句碑の面にまた裏に 内藤静 風土 201608
薫風がくすぐつたいぞ羅漢さま 雨宮桂子 風土 201608
薫風や動くともなき船二艘 黒滝志麻子 末黒野 201608
薫風や合同句集の浅みどり 小林愛子 万象 201608
薫風やゴッホの住みし坂の街 稲岡みち子 雨月 201608
薫風や手も揃へたる正座の子 大川ゆかり 201608
薫風に足首やはらかく駆けり 近藤喜子 201608
蕎麦を食み薫風浴びて山下る 田中信行 201608
薫風の色は何色濃紫 時澤藍 201608
薫風や原つぱのありし東京市 生方義紹 春燈 201609
薫風や檻いつぱいに孔雀の威 直井たつろ 風土 201609
薫風の吹き上げ来たり切通し 山口登 末黒野 201609
薫風や人馬影おく白き馬塞 原和三 末黒野 201609
薫風やコンビニ改装待遠し 野中圭子 京鹿子 201609
深息す薫風しばしとどめむと 宮崎洋 春燈 201612
薫風や馬事公苑のゆで玉子 平野無石 201612
薫風となりたまひしか夫よ夫よ 栗原公子 銀の笛 201612
薫風をちぎってマシュマロにする 赤石忍 船団 201701

 「あらうみ」九百号祝句

荒海を来て薫風に包まるる

稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
薫風の野に聖賢の書をひらく 沼田巴字 京鹿子 201705
大寺の屋根薫風に反り返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
薫風に磨かれてゆく電波塔 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
嵐抜け行きて薫風とどまりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201705
今日の祝ぎ未来につなぐ薫風に 稲畑汀子 ホトトギス 201705
薫風や馴染みて軽き旅鞄 稲畑汀子 ホトトギス 201705
薫風にけふは混じりのなかりけり 山田六甲 六花 201706
富士よりの薫風スカイツリー磨く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
車窓皆十センチ開け薫風を 大橋晄 雨月 201707
薫風にアレンジされてサンサースン 平居澪子 六花 201707
薫風の素通りしたる枯山水 宮内とし子 201708
薫風やバルビゾン派の絵画展 岡 尚 風土 201708
薫風→ 6      

 

2021年5月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。