170句

檻の熊森の冷めたさを常にまとふ   高島茂   軍鶏 

熊  穴熊

作品
作者
掲載誌
掲載年月
林道を熊に聞かせむ音たてて 堀義志郎 火星 199902
熊の胆冬のかたちをしてゐたる 大嶋康弘 銀化 199902
口開けて雪を喜ぶ園の熊 村瀬初実 春耕 199904
知恵ひとつふたつ増やして熊穴に ふけとしこ 船団 199904
熊汁や町の行事の一つ済む 酒井多加子 俳句通信 199904
冬眠の熊の荒息つくことも ふけとしこ 船団 199906
熊は穴に鯉は岩裏あらかしこ 丸山佳子 京鹿子 200002
熊肝や木枯を聴く星を聴く 彌榮浩樹 銀化 200002
杉皮はぐ親子の熊や雪よごす 山田耕子 京鹿子 200004
熊眠る山裾に寝てよく眠る 正木ゆう子 200005
熊皮の弾痕炉辺の長話 阿部寒林 200010
鯨肉・鹿肉・熊肉・鷹の肉も美し 男波弘志 200101
曲屋の上座に大き熊の皮 和田和子 馬醉木 200002
遠雷や熊の内部は真っ暗な 児玉硝子 船団 200103
家郷なり源流熊の糞洗う 金子兜太 海程 200107
五箇山に啜る熊汁舌を焼く 塩路隆子 200112
アイヌ村雷捨場に熊出没 小田元 六花 200112
星近し熊踊の輪のふくれたる 小田元 六花 200112
人居るぞと熊へ口笛そつと吹く 田所節子 200201
塩舐めて大熊おやじの山に入りゆけり 男波弘志 200202
熊撃ちをやめし漢の遠まなざし 花島陽子 遠嶺 200203
熊撃ちの神々の嶺を踏み入らず 下平しづ子 雨月 200203
冬眠の熊のIQ聞かさるる 尾崎山治 京鹿子 200204
熊と目があふ恋人を募集中 木村みかん 200303
コンバイン熊の爪痕はつきりと 加藤白狼子 築港 200311
熊架を探して森に深入りす 山路紀子 風土 200312
里に向く熊の足跡ありにけり 山路紀子 風土 200312
栗拾ふ熊棚ありしところまで 根岸善行 風土 200401
鈴の音は子守歌なり熊穴へ 木村みかん 200402
熊の道母の五感にしたがひて 高田令子 200402
熊汁や梁にひとすぢ罅はしり 岬雪夫 200403
熊の肉貰ひおろおろしてをりぬ 三浦香都子 対岸 200404
混沌の世へ突きあたる里の熊 山元志津香 八千草 200405
猿猪に次ぎて熊出で冬に入る 長田秋男 酸漿 200411
甘柿を漁りてゐたり親子熊 谷内瑞江 万象 200501
まづ飲めや熊汁湯気をたてそむる 朝妻力 雲の峰 200501
柿食うて疾くとく戻れ小熊達 芝尚子 あを 200501
熊狩のどやどやと来る峠茶屋 野上智恵子 万象 200502
熊逃げし森に満月冴えにけり 大串章 百鳥 200501
頑丈な猪垣熊に毀たるる 赤松丹山 雨月 200501
熊見しと耳打ちさるる通夜の席 立脇操 雲の峰 200502
熊飢えて村落の柿貧れる 北村香朗 京鹿子 200502
柿甘し熊出る里より送り来て 吉田多美 京鹿子 200502
熊穴に入りて安堵の村となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200504
人里に下りて行かねばならぬ熊 安原葉 ホトトギス 200505
熊穴に入りしか余震もうなきか 木村享史 ホトトギス 200505
山賊鍋熊に猪山鳥も 高村俊子 万象 200505
熊穴に入る生涯といふ長さ 玉川梨恵 200503
熊穴に入るカタログの引出物 田村園子 200502
狩の祖父熊の子抱いて戻りけり 森一枝 八千草 200506
木に登り柿を食べゐる山の熊 滝沢伊代次 万象 200510
熊穴に入り里山の景となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200512
峡宿の熊の毛皮を踏む出入 藤浦昭代 ホトトギス 200512
穴に入る熊の値踏みをしてをりし 稲畑汀子 ホトトギス 200512
弾痕に小指するりと熊の皮 中田みなみ 200601
炭焼夫熊のゐさうな穴を指す 滝沢伊代次 万象 200601
熊の胆の闇切り取りし如くなる 森田博 200603
熊汁や一会の酒に酔ふかき 鈴木漱玉 馬醉木 200604
山眠る飢ゑたる熊も静もりし 的池遙 百鳥 200604
熊掻きし爪跡残る橅の幹 木暮剛平 万象 200612
熊狩に使ひし銃の黒びかり 浮田胤子 ぐろっけ 200612
大菩薩峠へ熊避けスプレー持ち 須賀敏子 あを 200612
身に入むや撃たれし熊の目に涙 中條今日子 万象 200701
熊の皮月の輪浄め干されたる 岡田貞峰 馬醉木 200702
熊汁を振舞ふ閉山祭のあと 鈴木朗月 万象 200702
捕はれてなほもがぶつとあばれ熊 長崎桂子 あを 200702
熊も猪も神楽太鼓を聴いてゐる 泉田秋硯 200703
クレーン車樹上の熊に出動す 尼嵜太一郎 ぐろっけ 200703
橅萌ゆる熊の登りし爪の跡 山形悦子 万象句集 200703
板敷きて熊鍋かこむ杣の小屋 井村和子 万象 200704
山小屋の冷蔵庫熊開けにけり 滝浪さかゑ 万象 200704
熊撃ちと長湯してゐる野天かな 佐藤哲 万象 200705
民宿に熊の皮敷く談話室 荒木治代 ぐろっけ 200705
本県捕獲熊六十頭米不作 岡村一郎 200705
客の座の炉端に敷ける熊の皮 滝沢伊代次 万象 200712
たなかけて熊の喰みゐる水木の実 山形悦子 万象 200712
茸採り熊に脅えて戻りけり 高橋洋子 200712
熊罠の辺りの歯朶のみどりかな 山尾玉藻 火星 200712
熊よけの鈴貸しますと山ホテル 金森信子 雨月 200801
蝦夷鹿と白骨の木と熊危険 吉岡一三 200801
水を見て熊肉食うて来しと言ふ 城孝子 火星 200802
山賊鍋熊肉入りの具沢山 宮口文泰 万象 200804
熊よけの鈴降りてくる斑雪 内山花葉 200803
くっきりと熊の爪跡たもぎ茸 吉成美代子 あを 200809
熊になどやるまいやるまい柿を捥ぐ 水船みどり 200901
どんぐりのあをあを熊の喰みこぼし 藤井みち子 200901
熊よけの鈴腐葉土のふかふかと 中田禎子 白猪 200901
熊捌く手に血まみれの山刀 小松敏郎 火星 200904
熊疵のマタギに向かひ狸汁 園部蕗郷 春燈 200905
山桜賢治世界の熊母子 坂根宏子 200907
抱く熊の手より離るる昼寝の子 田中浅子 200910
五湖巡り葎の下の熊の穴 山内なつみ 万象 200911
熊もゐる戦場ケ原鈴鳴らし 鎌倉喜久恵 あを 201001
実を落とし熊の爪痕楢林 松本周二 201001
熊肉や余呉湖の宿の垂雪 山田六甲 六花 201002
熊汁をすすりて出羽の国めぐる 大西八洲雄 万象 201005
冬眠に入るはず熊の撃たれたり 丸井巴水 京鹿子 201012
どこよりか熊の現れさう木の実降る 大石よし子 雨月 201101
ひもじさを知れる世代の熊談義 中村ふく子 201102
竜ヶ岳に熊出たる報落葉踏み 坂根宏子 201102
猟銃音熊の爪痕のこる幹 山本淑子 馬醉木 201102
熊よけの鈴の遠鳴り降る落葉 成田美代 201102
熊撃の名人隙ある背かな 前田美恵子 201102
熊鈴は落葉の海に漂へり 阿部眞佐朗 201102
熊警報解除となりて山眠る 宮入河童 201103
熊避けの鈴を鳴らして十二月 須賀敏子 あを 201102
深山へと熊追ひ返す謀 安原葉 ホトトギス 201104
さりげなく月山にある「熊出ます」 宮内とし子 201201
胸に抱く三日月白し熊眠る 片山博介 春燈 201203
木の枝の小熊はパニック上高地 菅原孟 かさね 201212
熊を撃つ女主人でありしなり 瀬川公馨 201302
手負ひたる熊をかくまひ山荒るる 園部蕗郷 春燈 201305
いつの間に喜寿のよはひや熊煮汁 園部蕗郷 春燈 201305
先採りは熊らし朝のたもぎ茸 松川悠乃 ろんど 201310
木の上に子熊あらはる山の宿 内藤恵子 万象 201311
銀漢や熊と同居の山の中 北郷和顔 末黒野 201311
湿原に熊目撃の日付札 駒形祐右子 万象 201402
熊除けの鈴鳴る登山バスの中 鈴木照子 201409
熊よけの鈴の追ひ越す登山道 樺山翠 雨月 201411
バスの中熊出没の話など 千葉惠美子 末黒野 201501
裏山に爪やはらかく熊眠る 宮坂恒子 201502
檻暗く月の輪熊の影寒き 片岡久美子 201502
白神山地熊に注意の遊歩道 土田亮 末黒野 201503
枯葎道の一つは熊の道 矢崎すみ子 201503
冬眠をとうに忘れて園の熊 今井春生 201506
熊注意小さな鈴を持つガイド 須賀敏子 あを 201508
木道や蕗の広葉に熊の影 東正則 末黒野 201510
朝霧や熊の爪痕あらたなる 原田達夫 箱火鉢 201511
またぎ宿横座に敷かる熊の皮 佐々木新 春燈 201602
熊除けの鈴に行きあふけもの道 佐々木新 春燈 201602
告知板熊目撃の日時記す 林いづみ 風土 201602
震ヘつつ熊汁に舌焼きにける 大坪景章 椿垣 201612
街中に月輪熊の出没す 今井充子 201702
熊の出る噂を抱き山眠る 及川照子 末黒野 201704
源流地緑の匂と熊注意 七郎衛門吉保 あを 201707
熊除けの鈴の近づく霧の中 金森教子 雨月 201801
宿題をたんと残して熊穴へ 中田禎子 201802
蝦夷の血を嗣ぎて好もし熊煮汁 園部蕗郷 春燈 201803
熊よけの鈴鳴らし来る薬売り 窪みち子 201806
根の底に熊を眠らす大樹かな 宮嵜亀 船団 201809
立ち上がる熊胸座に落穂つけ 工藤ミネ子 風土 201905
熊付けし車窓の泥に秋夕焼 工藤ミネ子 風土 201905
芒原分け親熊のもどり来し 工藤ミネ子 風土 201905
太平湖道の閉ざされ熊穴に 工藤ミネ子 風土 201905
熊の子のとことこ過る葛折 赤座典子 あを 202001
くつきりと熊の爪痕宮柱 塙誠一郎 202002
熊穴に熊除け鈴は抽出しに 美昌二郎 202003
暖冬や眠らぬ熊の横切りし 岩下芳子 202004
麦秋の今朝も件の熊情報 岡田桃子 202008
目が合ふて緑へ返る迷ひ熊 岡田桃子 202008
熊ひそむ鳥海山の山ぶだう 山田六甲 六花 202010
熊の出て猿の隠れて里の畑 七郎衛門吉保 あを 202101
熊の餌にどんぐり拾ふ少女かな 笹村政子 六花 202012
人里に熊徘徊の日の月齢 能村研三 202101
茸山熊に注意の立看板 延川笙子 六花 202101
火を焚かな山へと熊の戻るころ 増成栗人 202101
熊鍋やとうとうと夜が降りてくる 森祐司 202103
熊を煮るワインどぼどぼつぎ入れて 青谷小枝 やぶれ傘 202103
熊除の鉦と桴とが泉かな 佐藤竹僊 あを 202110
風死して丸太のごとくねむる熊 有賀昌子 やぶれ傘 202111
山ぶだう熊の爪あと残る木に 廣瀬蝗男 やぶれ傘 202201
罠に熊這入らんとしてやめにけり 園部蕗郷 春燈 202203
熊撃の老いの誰もが酒皶鼻かほ 園部蕗郷 春燈 202203
未知の地の播磨の里を熊訪ひぬ 久保みどり 京鹿子 202203
親と子の剥製なれど熊は熊 亀田虎童子 あを 202203
生くることしんじつわびし熊を見る 安住敦 春燈 202206
足跡は熊かそれともスノーシュー 高橋まき子 風土 202206
夕映えの大河を泳ぐ迷ひ熊 押田裕見 202206
清水汲む立て看板に熊注意 綾戸五十枝 202211
熊撃の湯ぶねで語る背の傷 森岡正作 202302

 

2023年12月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。