(くじら・くぢら)1     200句(含他季)

わが好きは妹が丸髷くぢら汁不動の呪文しら梅の花   與謝野鉄幹

作品
作者
掲載誌
掲載年月
鯨鳴くゆゑ金色の海と空
岡井省二
199811
夜なれや妹が丸髷くぢら汁 岡井省二 199812
秋晴の壁に空飛ぶ鯨かな
神蔵器
風土
199812
うたた寝に鯨の細眼いくども出づ
金子兜太
海程
199812
鯨肉買う顔が生き生き浜市場
山田緑光
海程
199812
釣り船に当たる抹香鯨かな
桐木榮子
船団
199812
うたた寝に鯨の細眼いくども出づ
金子兜太
海程
199902
鯨来て未だ軍装解かざりき
相原左義長
海程
199902
有耶無耶としてゐし海や初鯨
岡井省二
199903
枯れ野では捕鯨の真似をしろよ、なあ
坪内稔典
船団
199903
鯨撃つわれは躁鬱の流れなり
鈴木過日男
海程
199904
うこんかつ緋の海なりき塩鯨
岡井省二
199905
杉花粉鯨どすんと横たわる
小酉ありそ
海程
199907
捨い読む夏なり湾に鯨来る
田口満代子
海程
199909
あれも戀鯨の背ナに蚯蚓脹れ
中村浩治
京鹿子
199910
爪を切る鯨になる夢散っていく
小枝恵美子
ポケット
199911
存分に白鯨と息合わす冬
吉田悦花
海程
199912
幻聴やしろながさきくじらとも申す 若森京子 船団 199912
ライフマスクは遠方に初鯨
岡井省二
200001
皿の抽象広場に笑う鯨
大木石子
海程
200001
ジョン万像鯨の泳ぐ湾のぞむ
松崎鉄之介
200001
巨頭鯨の得体の知れぬところ食む
伊藤格
200002
囲まれゐし巨頭鯨の頭かな
平橋昌子
200002
海の色変ると鯨来ると言ふ
栗山恵子
雨月
200002
ユトリロの白にじみだす初鯨
市場基巳
200003
外海へ戻つてゆきし鯨かな
高橋将夫
200003
いつせいに星を廻せる鯨かな
青山茂根
銀化
200003
白鯨の再び浮かぶ彼方かな
高橋将夫
200004
鯨にも河馬にも秋の彼岸かな
三神あすか
ヒッポ千番地
200005
鳥帰る役場に錆びし捕鯨砲
山口たけし
俳句通信
200005
密院の硯の海の夏鯨
岡井省二
200006
紀の國が甘いと云うて鯨くる
松山律子
船団
200007
君等には鯨の声は腹話術
松山律子
船団
200007
親潮も黒潮も鯨の遊歩道
松山律子
船団
200007
皮鯨山のうしろに夜がある
小形さとる
200010
八月の鯨は妹にいもうとに
兼近久子
海程
200010
子の描ける鯨潮吹く大暑かな
一瀬昭子
馬醉木
200010
金秋のまんまん中の鯨塚
小形さとる
200011
碧眼に睨まれ啜る鯨汁
稲畑廣太郎
ホトトギス
200012
かなかなや沖で鯨もきいてゐる
中川二毫子
遠嶺
200012
宵の明星日本の鯨鍋
岡井省三
200012
星空があり日本の鯨鍋
岡井省二
200101
鯨肉・鹿肉・熊肉・鷹の肉も美し
男波弘志
200101
枯いそぐ鯨の海につづく道
浜口高子
火星
200102
読初に鯨の旅路たどりけり
林敬子
酸漿
200103
塩くぢら俺の大年なりしかな 岡井省二 200103
腹這ひてさらにまだらの白鯨と
各務耐子
200103
風紋の砂は桃色鯨鳴く
延広禎一
200104
巨頭鯨ごんどうや東天紅のこゑやまず
各務耐子
200105
白鯨のそばに寄りたるあしたかな
各務耐子
200105
ねんねこや遙か鯨が哭くように
若森京子
船団
200105
夏の闇鼻のあたりに鯨かな
竹内悦子
200108
南吹く町にくぢらの博物館 志水芳秀 俳句通信 200108
飛花落花今日は鯨の泣くといふ
稲見光
船団
200110
われが墨象沫香鯨として存す
岡井省二
200111
秋天や抹香鯨は海深くをる
加藤みき
200111
良宵の鯨を食ひに浪花まで
吉田汀史
200112
春の巖おもて拭へば鯨の圖
岡井省二
200112
玄鯨として六月の湾泳ぐ
岡井省二
200112
巨頭鯨のだんごになつて来りけり
岡井省二
200112
鹿の子身の鯨の上の春の月
岡井省二
200112
たましひがからだのまなこ鯨見る
岡井省二
200112
赤貝玉珧鮃魴鮄鯨夢
岡井省二
200112
人と寝てさらに鯨の海の上
岡井省二
200112
夏潮に鯨きてをりデスマスク
岡井省二
200112
巨頭鯨に夜目かなひゐたりけり
岡井省二
200112
白鯨の雲の軍団野分来る
大関靖博
200112
鯨鳴くゆゑ金箔の海と空
岡井省二
200201
大年の己が波だつ鯨かな
岡井省二
200201
宵なれや妹が丸髷くじら汁 岡井省二 200201
海の日の飯屋に鯨解体図
代田青鳥
風土
200201
船体のゆつくり傾ぎ鯨見ゆ
竹内弘子
あを
200202
巨頭鯨に近づく船のありにける
谷口佳世子
200203
海中のふくらんで来し初鯨
石脇みはる
200204
白鯨ごんずいの上とほり過ぐ
天野きく江
200204
大海の鯨の歌の孤独かな
清水晃子
遠嶺
200204
冬のプール鯨を思ひ泳ぎけり
坂本俊子
200204
炉火赤し鯨絵巻の開かるる
延広禎一
200205
白鯨のやうな雲浮くいぬふぐり
岡和絵
火星
200205
春愁や鯨の出口の見つからず
池内せつ子
六花句集
200205
涅槃西風こんな日きつと鯨啼く
東條未英
200205
鯨にも猫にもなれず葱坊主
東條未英
200205
鯨追ふ太平洋の真只中
加地芳女
雨月
200206
遠めがね潮吹く鯨捉へ得し
加地芳女
雨月
200206
一団の鯨怒濤とうねり来る
加地芳女
雨月
200206
海の色変りて鯨回遊す
加地芳女
雨月
200206
総身の力に海ナ面打つ鯨
加地芳女
雨月
200206
眠りゐし青海原に鯨見る
小田知人
ぐろっけ
200207
夏海へ鯨墓守る鐘わたる
白鳥義岳
帆船
200208
夏鯨神のみ扉開きけり
本多俊子
200209
海の日や鯨もメダカも水に棲み
小谷ますみ
京鹿子
200211
セミ鯨の吹き上ぐる潮天高し
二宮きみ枝
200212
覚めてなほ夢の続きの鯨鍋
高橋将夫
200301
シャガールの空とんでくる鯨かな
中野京子
200303
怒るでもなく白長須鯨かな
高橋将夫
200304
山寺の鯨鳴きして細廊下
小澤克己
遠嶺
200304
透き徹る空へと鯨跳ねてをり
岩崎真理子
遠嶺
200304
南極の氷海鯨の骨散れり
足立陽子
200305
南極洋航くに鯨のよく跳べり
足立陽子
200305
白子干して捕鯨の昔自慢とす
服部菰舟
雨月
200306
泣かれつつ鯨の墓の方へゆく
男波弘志
200307
蛇いちご鯨の見える入江まで
竹内弘子
あを
200308
喜こんでもらひし晒鯨かな
高橋将夫
200310
夏の鯨アラスカ沖で潮吹けり
二宮きみ枝
200310
鯨見て来しといふ子の日焼けかな
伊藤和枝
百鳥
200310
南西風やくぢらの里の槙垣根 工藤進 200310
阿耨多羅鯨と犀と省二の忌
岩下芳子
200311
秋風や浜に突き立つ鯨鈷
野中亮介
馬醉木
200312
鯨の墓山をとこらの春羽織
岡井省二
省二全句集
200312
大日や吾のそびらに夏鯨
岡井省二
省二全句集
200312
暮れ泥む大灘割つて鯨来る
天野きく江
200402
鯨が潮吹くに身の垢洗はるごと
池水雅子
200403
鯨裂く漢の中の漢なり
下平しづ子
雨月
200403
うやむやに入りこんで来し鯨かな
石脇みはる
200404
潮吹いて鯨仰け反る春の海
酒井多加子
雲の峰
200406
ロケットを鯨の追ひて走馬燈
井上道子
百鳥
200410
満月や鯨のおよぐ星に棲み
中尾公彦
200411
夏鯨閻浮の塵を佛ひたる
延広禎一
200501
海流の交はるところ髭鯨
植木戴子
200502
土佐でいつも鯨に待たれつい遊ぶ
市場基巳
200504
きさらぎの日の当りゐる捕鯨の図
山尾玉藻
火星
200504
凩や鯨のごとき島ひとつ
丸山照子
火星
200504
鯨泳がせ立春の空のいろ
青山正生
200505
春一番鯨のやうな雲とんで
安室敏江
百鳥
200505
鯨ひげ凧に祖先の音すなり
本田俊子
200506
秋空をゆく白長須鯨かな
高橋将夫
星の渦
200507
桃の花「鯨と犀」を開きをり
中野京子
200508
振舞は鯨汁なり大祓
中島陽華
200509
同心円夏の鯨も海牛も
雨村敏子
200510
白長須くぢら打上げらる晩夏
竹内弘子
あを
200510
いなつるび鯨の町の浮きあがる
高松由利子
火星
200511
落書の潮吹く鯨夏休み
門脇なづな
対岸
200511
天高しくぢらの骨に肩手あり
東亜未
あを
200511
槐マンダラ鯨と犀と刀豆と
谷岡尚美
200512
きりぎしの罅に鳴る風鯨来る
加藤みき
200602
さざ波は鯨の尾より生れし波
大川ゆかり
200603
鯨の尾水平線を跳ね上げる
福島茂
200603
鯨棲む海に網の目緯度経度
福島茂
200603
材料はまだまだあるぞ鯨鍋
高橋将夫
200603
湾内に鯨きてゐるこどもの日
鷹羽狩行
200606
潮高く吹きゆく鯨春の海
木暮剛平
万象
200606
うしほ吹く鯨おぼろとなりにけり
石脇みはる
200606
びるしやなや腹に縞ある白鯨
南一雄
200609
模糊としてなほ現世の皮鯨
小形さとる
200609
鯨観に行かう今朝より花粉症
河内桜人
京鹿子
200610
実はまなす鯨群来しは大昔
岡本敬子
万象
200701
捕鯨にて生き来し島に隠れ耶蘇
松崎鉄之介
200701
白鯨と夜霧の街で待合せ
佐藤喜孝
あを
200701
捕鯨船インプットしてくじら食ぶ
遠山みち子
200702
子鯨の集まつてをる熊野かな
石脇みはる
200702
吊るされて鮫鯨口を残しけり
竹内悦子
200703
白鯨のうしをに乗れる睡りかな
栗栖恵通子
200703
大鯨ガバリと地球動きたる
岩月優美子
200703
捕鯨図のひろげありけり黄水仙
山尾玉藻
火星
200703
ともかくも太地にくれば鯨鍋
稲岡長
ホトトギス
200704
初凪や鯨の歌に恋の歌
北島和奘
風土
200704
菜の花や鯨の尾鰭のモニュメント
森理和
あを
200704
鯨てふ海の王者のかなしき目
長山あや
ホトトギス
200705
鯨幕に椅子並べある春の宵
大山文子
火星
200705
霾るとさらし鯨を買うて来し
吉田康子
火星
200705
鯨来る海が自慢の島の宿
山田弘子
ホトトギス
200706
鯨釣る譚は前世さつき波
鈴鹿仁
京鹿子
200707
鯨碑に素外の一句春夕焼
岡田章子
ぐろっけ
200708
海の一粒の粟夏鯨
中島陽華
200710
秋ひでり園児に空をとぶ鯨
神蔵器
風土
200710
子供との距離思ひをり皮鯨
堀志皋
火星
200710
一頭に捕鯨船団縮みゆく
稲畑廣太郎
ホトトギス
200711
鯨見し大海原の孤独かな
稲畑汀子
ホトトギス
200712
さざ波は鯨の尾より生れし波
大川ゆかり
200801
点と線つなげば銀漢の鯨
片山タケ子
200803
鯨捕り老いては島の冬田打つ
小林愛子
万象
200803
初鯨のおばけぷるぷる酢味噌かな
石脇みはる
200803
天竺の明るさを曳く鯨なり
近藤喜子
200803
孤独死の鯨や鮫の葬無惨
泉田秋硯
200804
半島の元気伝ふる鯨食ぶ
竹内文子
遠嶺
200804
アリバイのなき日鯨の親子塚
高橋澄子
200804
大降りに浮きたるままの鯨かな
天野きく江
200804
悪たれ口言ひつつつつく鯨鍋
野里ムツ
200805
竹秋や舟屋の壁に鯨鈷
山路紀子
風土
200808
啼くでなくわが枕頭の夏鯨
小形さとる
200808
きらひなりさらしくじらはきらひなり 布川直幸 200808
はらからの血色の浜の夏鯨
柳川晋
200809
漁家の奥鯨墓あり春の昼
勝原文夫
ペン皿
200811
鯨箱詰三和土を奔るホースの水
瀧春一
深林
200901
水の星揺れて鯨のまぐあへる
柳川晋
200902
鯨鍋をはりに遠野物語
石寒太
炎環
200902
神の留守くぢらステーキ食うべけり 杉浦典子 火星 200902
談論も煮詰まつてゐる鯨鍋
高橋将夫
200903
鯨より潮柱立つ誕生日
品川鈴子
龍宮の客
200904
大花火鯨のはなし尽きしとき
石寒太
炎環
200910
夏怒濤抹香鯨にゅっと現る
靜寿美子
ぐろっけ
201003
小春日の空に鯨の雲浮かぶ
天野美登里
やぶれ傘
201004
鯨の尾と藤壺の舞ふ虚空かな
加藤みき
201004
天網にかかることなし夏鯨
高橋将夫
201009
さりげなく鯨の腹に昼寝せり
久津見風牛
201010
骨格の鯨一体涼しかり
岩下芳子
201010
初漁の鯨にゆらぐ夏岬 小澤利子 201101
船もなく鯨ぐもりの日本海 尾崎みつ子 雨月 201101
小春日や鯨干さるる安房の國 小池一司 やぶれ傘 201102
守護霊に鯨が憑いてゐるといふ 常田創 201103
椅子深く掛け鯨鳴く夜と思ふ 近藤喜子 201103
六曲一双潮吹き上ぐる鯨かな 瀬川公馨 201103
鯨 →2      

2021年11月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。