去年今年 8       200句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
たらちねの母は九十六去年今年 山田六甲 六花 201501
一通の文をあたため去年今年 山田六甲 六花 201501
去年今年猫の背越しに鐘を聴く 鳥居おさむ ろんど 201501
今日のこと今日を余して去年今年 稲畑汀子 ホトトギス 201501
上梓せしことに尽きたる去年今年 稲畑汀子 ホトトギス 201501
砂時計のくびれを通る去年今年 上家弘子 ろんど 201502
輪廻とははかなき願ひ去年今年 佐藤喜孝 あを 201502
電気設備故障困惑去年今年 長崎桂子 あを 201503
原発が再稼働とか去年今年 須賀敏子 あを 201503
去年今年この世疲るることばかり だいじみどり 201503
読み初めや栞の分かつ去年今年 塩田博久 風土 201503
凍てきれぬ水音一条去年今年 丹羽啓子 馬醉木 201503
ものいはぬ会計ソフト去年今年 山下ひろみ 201503
一巻の家譜記し終へぬ去年今年 稲田和子 201503
長風呂の追ひ焚をする去年今年 丑久保勲 やぶれ傘 201503
鳩時計ぽつぽと鳴いて去年今年 岡真紗子 201503
去年今年少年兵の遺書秘密 鴨下昭 201503
何一つよきことなきか去年今年 鈴木阿久 201503
物忘れ笑ひとばして去年今年 鈴木セツ 201503
大きめのマスクの似合ふ去年今年 中山静枝 201503
一病や薬に頼る去年今年 塩千恵子 201503
看取りとの戦ひ続く去年今年 塩千恵子 201503
去年今年無限を分かつ砂時計 甕秀磨 201504
去年今年この世疲るることばかり だいじみどり 201504
身の内の熱きものあり去年今年 工藤はるみ 風土 201504
猫の忌を心暦に去年今年 鳥居美智子 ろんど 201504
自分史の今どのあたり去年今年 中島昌子 201504
去年今年道一筋に迷はずに 鴨下昭 201504
天地の気息窺ひ去年今年 阪本哲弘 201504
重心を失へるまま去年今年 平居澪子 六花 201504
良きことも良からぬことも去年今年 今井千鶴子 ホトトギス 201505
父であることの虚しさ去年今年 村田岳洋 ろんど 201505
去年今年マグマの舌を海は呑む 元橋孝之 京鹿子 201505
鈍行に乗りつぎ急ぐ去年今年 神田美千留 京鹿子 201505
眉毛伸び励まされをる去年今年 野中圭子 京鹿子 201506
引く波に寄る波かぶる去年今年 比嘉半升 万象 201508
去年今年バナナの皮が皿のうへ 大崎紀夫 虻の昼 201510
力もて川は流るる去年今年 原田達夫 箱火鉢 201511
去年今年同じ顔してゐたりけり きくちえみこ 港の鴉 201510
旅終へて又旅を恋ふ去年今年 稲畑汀子 ホトトギス 201511
取り敢へず書き込む予定去年今年 稲畑汀子 ホトトギス 201511
記憶とは遠くて近し去年今年 稲畑汀子 ホトトギス 201511
刻打たぬ時計のありて去年今年 久保東海司 風鈴 201512
諦めることも勇気や去年今年 稲畑廣太郎 ホトトギス 201512
病む友へ祈りの深し去年今年 稲畑汀子 ホトトギス 201512
わが命あるがままなる去年今年 稲畑汀子 ホトトギス 201601

 「天地」新年会祝句

去年今年二十年てふ光陰に

稲畑廣太郎 ホトトギス 201601
去年今年仏師に賜ふ干支の申 神蔵器 風土 201512
あの時の未来か今日の去年今年 布川直幸 201601
ゆらゆらと運河は海へ去年今年 今井肖子 ホトトギス 201602
去年今年つばらつばらは胸の内 鈴鹿仁 京鹿子 201602
つくづくと八十路もなかば去年今年 窪田佳津子 雨月 201602
去年今年生きて齢を重ねげり 小林はじめ 六花 201602
去年今年遂に原発再稼働 鴨下昭 201603
憂きことを払ひきれずに去年今年 塩千恵子 201603
身の内のひとところ澄み去年今年 鈴木セツ 201603
無尽蔵の言の葉追うて去年今年 甲州千草 201603
海鳴りに初心をつなぐ去年今年 小林陽子 201603
去年今年世に緩急のあるを知り 沼田巴字 京鹿子 201603
紋服はたれにも似合ふ去年今年 加藤みき 201603
子を負うて紅を差しをり去年今年 竹中一花 201603
一行詩心の糧に去年今年 小林共代 風土 201603
クリームの瓶の指あと去年今年 鈴木庸子 風土 201603
玄関の長き靴べら去年今年 奥田茶々 風土 201603
額に入れ飾る絵手紙去年今年 瀬戸薫 風土 201603
電灯の上に天井去年今年 大崎紀夫 やぶれ傘 201603
硝子戸に磨き残しが去年今年 根橋宏次 やぶれ傘 201603
空に向きわたる航跡去年今年 のざきまみこ 201603
去年今年長湯も母に似てきたり 赤座典子 あを 201603
去年今年季語と花の名少しづつ 赤座典子 あを 201603
去年今年空港橋に灯の流れ 平居澪子 六花 201603
去年今年湯船に溶けるわだかまり 五十嵐章子 201604
去年今年焼海苔にる裏表 坂本徹 201604
子供等はスキーに出かけ去年今年 有賀昌子 やぶれ傘 201604
一の目へ賽をころがす去年今年 尾崎と代子 京鹿子 201604
ひ孫生れ婆の逝きたり去年今年 野村鞆枝 京鹿子 201604
去年今年星それぞれの位置に座し 松本三千夫 末黒野 201604
去年今年八十路の夢の捨て切れず 安斎久英 末黒野 201604
執念の俳句暮しや去年今年 高橋明 末黒野 201604
足弱と共に歩みし去年今年 今井充子 201604
去年今年偕老といふ道目指し 江島照美 201604
生と死の犇く星や去年今年 吉村摂護 201604
去年今年中の下の下のわが暮し 松本文一郎 六花 201604
置くだけの靴を磨いて去年今年 住田千代子 六花 201604
風が押す歳が年押す去年今年 根岸善行 風土 201604
去年今年つなぐ一誌のこころざし 林いづみ 風土 201604
去年今年鐘撞堂に百八人 須藤美智子 風土 201604
亡母の記を書き始めたり去年今年 新田秀子 風土 201604
己が脈己が数へて去年今年 堀井英子 雨月 201604
弥撒捧ぐ祈りの内に去年今年 桜井知恵子 雨月 201604
朝な夕な薬たやせぬ去年今年 城草太 雨月 201604
ニュートリノ降る星に生き去年今年 森礼子 雨月 201604
廃坑のワインの眠り去年今年 甕秀麿 201604
八十路にも貫く気骨去年今年 藤浦昭代 ホトトギス 201605
交番の灯りに安堵去年今年 布川孝子 京鹿子 201605
血流の音とめどなく去年今年 元橋孝之 京鹿子 201605
去年今年明治を打ちて振時計 伊藤紫水 風土 201609
かはらざる日々を吉とし去年今年 稲畑汀子 ホトトギス 201611
去年今年家居心のありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201611
ありがとうどういたしまして去年今年 伊藤ふみ 船団 201612
去年今年とまりなさいその車 梅田千種 船団 201612
ソックスにひっかかる指去年今年 田彰子 船団 201612
一人旅一人暮しも去年今年 稲畑汀子 ホトトギス 201701
つつましく生きる仕合せ去年今年 沼田巴字 京鹿子 201701
来島や渦の速さに去年今年 山田六甲 六花 201701
去年今年一句百楽目前に 山田六甲 六花 201701
こま結び解けぬ絡みの去年今年 峰崎成規 201701
去年今年とは哀歓の交差点 千田百里 201702
対岸の国との彼我差去年今年 田中信行 201703
去年今年等身大の影踏んで 平野多聞 201703
遠き世もすでに近き世去年今年 安居正浩 201703
ずく出して母にならひの去年今年 木村美翠 201703
去年今年つなぐ若狭の朱塗椀 宇都宮敦子 201703
百穴の砂もこぼさず去年今年 宇都宮敦子 201703
アンドロイドの緩き瞬き去年今年 山口ひろよ 201704
比良よりの恵みの水ぞ去年今年 倉橋あつ子 京鹿子 201704
目に見えて五官弛みし去年今年 寺田すず江 201704
齢八十苦楽を舐めて去年今年 高野昌代 201704
去年今年鬼籍に入りし友の数 呉秀文 春燈 201704
去年今年夫婦の仲は変りなし 河本由紀子 春燈 201704
気ままなる年金暮し去年今年 石黒興平 末黒野 201704
真つさらに年移りゆく去年今年 中谷未知 末黒野 201704
些かも鐘の音待つ間去年今年 五十嵐富士子 末黒野 201704
去年今年銀河鉄道乗車中 飛高隆夫 万象 201704
何時の間に抜かれし背丈去年今年 金森教子 雨月 201704
去年今年参拝の列動き出し 岡村彩里 雨月 201704
去年今年子育稲荷の巻子かな 赤座典子 あを 201703
去年今年昨日と今日が雑り合ひ 後藤比奈 ホトトギス 201705
怒鳴られてゐて恙なし去年今年 中川句寿夫 ここのもん 201705
隣室に母の寝息や去年今年 林徹也 201706
立て直す心新たに去年今年 稲畑廣太郎 ホトトギス 201710
心地よき大地よ空よ去年今年 稲畑汀子 ホトトギス 201712

 序句藤井啓子句集

先生も輝いてをり去年今年

稲畑汀子 ホトトギス 201712
去年今年流木の音大井川 曽根満 万象 201801
拙守りし八十年や去年今年 沼田巴字 京鹿子 201801
蛇行せる川の息つぎ去年今年 片桐紀美子 風土 201801
栗鼠は篭回してゐたる去年今年 山田六甲 六花 201801
一枚の賀状も出さず去年今年 山田六甲 六花 201801
去年今年灯を煌々と仏間かな 宮川みね子 風土 201802
去年今年生くる証の灯がまぶし 北川孝子 京鹿子 201802
平成も残す二年の去年今年 七郎衛門吉保 あを 201802
去年今年平均台のわが足裏 鈴鹿呂仁 京鹿子 201802
少数派に肩入れて座し去年今年 片桐てい女 春燈 201803
腹立ちを生き甲斐として去年今年 石田康明 春燈 201803
去年今年少しづつ減る靴の底 鈴木光影 201803
草の名を尋ねど忘る去年今年 市川夏子 末黒野 201803
袖通す白衣の折り目去年今年 石井美智子 風土 201803
仕舞湯へ亡母と亡父来て去年今年 高村令子 風土 201803
残鐘のさざ波のごと去年今年 大川ゆかり 201803
去年今年壁に突っ立つ譜面台 笹村恵美子 201803
大きくは望まぬ変化去年今年 黒木東吾 やぶれ傘 201804
悠久のとき移りゆく去年今年 寺田すず江 201804
松ぼつくり眺めてをりぬ去年今年 犬塚芳子 201804
去年今年どこにも透き間なかりけり 久保夢女 201804
去年今年いつもの地図へ鍵を置く 村田あを衣 京鹿子 201804
近隣に支へられたり去年今年 前原マチ 末黒野 201804
迫り来る忘却の波去年今年 田中繁夫 末黒野 201804
変りゆく世に逆らはず去年今年 今井千鶴子 ホトトギス 201805
これまでもこれからも主婦去年今年 湖東紀子 ホトトギス 201806
去年今年吾はいつまでも日本人 嶋田一歩 ホトトギス 201807
去年今年つなぐ句帳の一ぺージ 木村享史 ホトトギス 201807
継続といふ言の葉も去年今年 稲畑廣太郎 ホトトギス 201901
俳諧の端に遊びて去年今年 稲畑廣太郎 ホトトギス 201901
去年今年大河のごとく流れゆく 山田天 雨月 201901
平手から拳にかへて去年今年 佐藤恭子 あを 201901
子に託す思い変わらず去年今年 中山未奈藻 201902
夕星や癌と向きあう去年今年 平野無石 201902
平成の扉開け閉め去年今年 岩下芳子 201903
手回りの乱るる机辺去年今年 森清堯 末黒野 201903
予想より遥かに生きて去年今年 田村すゝむ 風土 201903
端折つて閉ざす句帳や去年今年 高村令子 風土 201903
去年今年波音を聴くばかりなり 土井三乙 風土 201903
進化せしか退化せしかと去年今年 本田保 春燈 201903
万博の年は古希なり去年今年 田中信行 201903
去年今年川の流れの絶えまなく 大日向幸江 あを 201903
物言ひの約め過ぎなり去年今年 赤座典子 あを 201903
去年今年戦死中尉の若き顎 火箱ひろ 201904
サッチモの頬の膨らむ去年今年 波戸辺のばら 201904
去年今年座る達磨の動かざる 江見巌 六花 201904
捨て切れぬ字余りのあり去年今年 松山潤子 京鹿子 201904
それぞれの一病かかへ去年今年 宮元陽子 末黒野 201904
冬空の晴れつづきをり去年今年 宮川みね子 風土 201904
音たてて篝の炎去年今年 岡野里子 末黒野 201904
ボーとして生きてんぢやねえよ去年今年 柳川晋 201904
独り寝の床の温もり去年今年 竹内文夫 やぶれ傘 201904
祈る手に灯影の揺るる去年今年 杉田智榮子 馬醉木 201904
去年今年ガラス障子に厳島 戸栗末廣 201906
去年今年生者に死者に生かされて 河原敬子 201906
去年今年風なすままに水の皺 松尾龍之介 201906
現世より天国の道去年今年 河野昭彦 ホトトギス 201906
愛憎のいずれも我が身去年今年 若泉真樹 201907
去年今年現代社会の頁繰る 中山未奈藻 201907
七十年商ひ続け去年今年 曽根富久恵 201907
去年今年四半世紀といふ節目 稲畑廣太郎 ホトトギス 201910
諦めることも肝心去年今年 稲畑廣太郎 ホトトギス 201912
去年今年母の看取といふ生活 稲畑廣太郎 ホトトギス 201912
生きて行く日々大切に去年今年 稲畑汀子 ホトトギス 201912
これよりは日々心して去年今年 稲畑汀子 ホトトギス 201912
気のつきし自らの齢去年今年 稲畑汀子 ホトトギス 201912
しつけ糸しづかに抜きぬ去年今年 池田光子 風土 202001
去年今年 →9

 

2022年1月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。