香 水 3       162句

香水の一滴づつにかくも減る 山口波津女 天楽

作品
作者
掲載誌
掲載年月
香水や誘ひこごろのひそかなる 沼田巴字 京鹿子 200908
香水に噎せ摩天楼昇降機 伊舎堂根自子 万象 200909
香水も指輪も遠き月日かな 小倉陶女 春燈 200909
香水の香る近さとなりにけり きくちきみえ やぶれ傘 200909
香水に残り時間のありにけり 倉持梨恵 200909
香水をつけても何も変はらざり 高倉和子 200909
香水の残り香居間に妻の留守 紀平吉勝 末黒野 200910
香水のするりと去るや美術館 林友次郎 遠嶺 200910
香水の外つ国人とすれちがふ 片岡啓子 遠嶺 200910
香水を一滴気合入れて発つ 薗田智子 遠嶺 200910
香水のこの香に執し五十年 山本浪子 風土 200910
香水の踊り子挑む眼かな 奥山絢子 風土 200910
仄かなる香水たれかれ迷はせて 呂秀文 春燈 200910
香水の一滴落とす旅鞄 奥井あき 200910
七十路に叶ふ香水なかりけり 久米なるを 200910
香水をつけて他人となりゐたり 小林朱夏 200910
香水の男子生徒とすれ違ふ 芝尚子 あを 200910
逢ふ当もなく香水の一しづく 足利ロ子 はらから 200911
ただ眺む香水瓶の封切らず 足利ロ子 はらから 200911
香水の近づいてくる握手かな 蘭定かず子 火星 200911
香水や心にともる灯のあらば 柴田歌子 200912
柑橘系香水ふつと過りけり 荒木常子 200912
合戦の火の香水の香ほたる谷 鷹羽狩行 201007
寝苦しき胸に香水垂らしけり ことり 六花 201007
香水の舷門へ階下りをり 島玲子 風土 201008
チャンスといふ名の香水をもとめけり 坂本知子 酸奬 201008
香水の一滴落とす不眠症 田中浅子 201009
国際線に香水の人名画観る 井口淳子 201009
記念日につける香水内緒なの 雨宮しをん 201009
香水の香りより好きしやぼんの香 山本無蓋 201009
香水のぶつかり合へる夜の宴 柴田佐知子 201009
母愛でし香水終の一滴に 武田ともこ ぐろっけ 201009
香水の身が口遊む反戦歌 阪本哲弘

201010
香水の一滴こころ鎧ひけり 宮井知英 201010
発音はアメリカ仕込み香水も 森下賢一 春燈 201010
気の合はぬひとの香水濃く匂ふ 吉清和代 万象 201010
香水の香やラウンジの革ソファー 大島寛治 雨月 201010
香水や打ち解けがたく去りがたく 成宮紀代子 201010
香水の風頬をなづ石畳 生方義紹 春燈 201011
扇子風香水にほふバスの中 長澤健子 酸奬 201011
もう惑はされない君の香水に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
香水を替へ禁断の恋終る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
香水のかつかつかつと来たりけり 成宮紀代子 201108
香水の匂ひまきつつ熟女行く 森下康子 201109
廻廊に香水の香の突如消え 吉田希望 201109
香水の柑橘系と擦れ違ふ 木村茂登子 あを 201108
香水や飾り気のなき一婦人 池谷鹿次 末黒野 201110
香水の戦つてゐる会議室 諸岡和子 201110
画展観る香水の香に狭まれて 大島寛治 雨月 201110
香水を纏ひてしなをつくりけり 志方章子 六花 201110
香水やいつも寂しき対角線 コ田千鶴子 花の翼 201111
香水瓶底に思ひ出とどめおき コ田千鶴子 花の翼 201111
香水といふ雑音やコンサート  長山あや ホトトギス 201112
香水のかをり徐行の車より 岩田公次 ホトトギス 201202
香水や黒子はくちびるの横に 栗原京子 201207
香水のいのち遊ばす女かな 布川直幸 201207
香水の瓶に撫で肩怒り肩 宮村フトミ ぐろっけ 201208
香水の金環食を振りむかず 服部早苗 201209
香水の似合ふ女のとんがれり 亀井紀子 201209
使はねば減る香水も思ひ出も 卯木尭子 春燈 201209
香水や女性車輌を敢へて避け 平田恵美子 ぐろっけ 201209
香水と細かき手引「山ガール」 北尾章郎 201210
香水に自惚れを足し媚薬とす 柳川晋 201210
擦れ違ふ男の子香水使ひをり 八城洋子 末黒野 201211
本堂に香水幽か夕勤行 栗原京子 201210
予期もせぬ香水「ミツコ」に出合いけり 松本アイ ぐろっけ 201212
香水に罪の誘ひありにけり 柿本麗子 千の祈り 201307
香水の匂のあちらこちら向く 後藤立夫 ホトトギス 201310
香水の香よりも君の香に酔ひし 江島照美 201310
香水や個展の跋を書く羽目に 遠藤逍遙子 風土 201310
筋書に足す香水のひとしづく 山中志津子 京鹿子 201310
香水に鎧ひて集ふクラス会 池内結 ろんど 201312
本堂に香水幽か夕勤行 栗原京子 201405
香水を嫌がつてゐる仁王かな 高橋将夫 201408
香水や娘はむすめ妻はつま 原田達夫 201408
香水や髭剃りあとの青々と 山本無蓋 201408
香水や過去あきらかに立上る 綱徳女 春燈 201408
少女らのかをる香水みんなぐる 辻水音 201409
病室にひばの香水淡く吹く 山本無蓋 201409
香水を変へて素知らぬ風の顔 福永尚子 ろんど 201409
香水を付けて家居を楽しめり 柴田佐知子 201409
雨あとの通天閣に来し香水 山田美恵子 火星 201409
亡き友の香水ねむる小抽斗 平由はつみ 馬醉木 201410
香水の蓋きつちりと姉逝けり 大島節子 201410
香水を秘めたる筥の手紙束 今井春生 201410
香水の香の残りゐる試着室 涼野海音 火星 201410
香水や心の隙に嘘少し 福山和枝 201411
香水も爪ぬることも嫌ふ夫 平野みち代 201411
香水や言葉は人を欺かず 竹下陶子 ホトトギス 201502
女医先生非番香水忍ばせて 栗山恵子 雨月 201510
香水の香る蒼となりにけり きくちえみこ 港の鴉 201510
香水の香のきよろきよろとしてをりぬ 後藤立夫 ホトトギス 201511
香水や話だんだん怖くなる 戸栗末廣 201511
すれ違ひざま香水のヅカガール 片岡良子 雨月 201511
香水に心を見せぬ女かな 竹下陶子 ホトトギス 201601
香水や第二言語は中国語 中嶋陽子 風土 201608
香水のかすかな背なへ目をつむる 山田六甲 六花 201608
香水や女の本音あつけらかん 相良牧人 201609
女子力に足す香水のひとしづく 久米憲子 春燈 201609
香水やガラスの壁のラジオ局 中嶋陽子 風土 201609
誘ふ気のさらさらになし香水ポイズン 呂秀文 春燈 201610
香水の魔力をひめてをんなの背 高埜良子 春燈 201610
脚高の椅子に香水選る女 江木紀子 雨月 201610
抽斗に死蔵するもの香水も 田村園子 201610
香水を嫌がつてゐる仁王かな 高橋将夫 蜷の道 201704
香水にまみれて歩く出来心 火箱ひろ 201709
香水一滴あと戻りもうできず 栗原公子 201709
透明体香水も客エレベーター 卯木堯子 春燈 201709
香水や着こなして黒華やかに 大室恵美子 春燈 201709
立て直すための香水胸元に 山口ひろよ 201710
香水の八面体の瓶と蓋 山口ひろよ 201710
香水やまだお若いといふ齢 青柳雅子 春燈 201710
香水をつけて来し悔い身を固く 江木紀子 雨月 201710
香水の控へ目がよし観劇会 久保東海司 201711
気付かれぬほどの香水忌を修す 宇都宮敦子 201711
秋立つや墓の香水清々し 本多正子 雨月 201711
香水を忘れてすでに半世紀 山田暢子 風土 201808
香水の移り香仄と別れけり 田中臥石 末黒野 201808
阿弥陀堂つと香水のよぎりけり 佐俣まさを 春燈 201809
香水にこころ粟立つ夕べかな 善野行 六花 201810
常ならぬ夜の香水となりにけり 善野行 六花 201810
香水の爪美しきひととあり 善野行 六花 201810
ドガの絵や香水ほのと背を過る 塚本實 六花 201810
クリスティーの本に香水染む栞 高橋まき子 風土 201810
香水をまだ知らざりし母の傘 宮崎洋 春燈 201810
香水の空瓶捨てず髪染めに 中田みなみ 201811
香水に孤独の匂ひ愛しけり 志方章子 六花 201812
人去りし椅子に香水匂ひけり 井上和子 201902
香水の残り香よどむ一号車 小沢えみ子 201904
聖五月森の匂ひの香水瓶 藤田美耶子 201908
香水の餘香懐しき別れかな 廖運藩 春燈 201909
すれ違ふ人それぞれの香水かな 陳妹蓉 春燈 201909
香水にシースルーエレベーターまだ上へ 佐藤喜孝 あを 201910
香水の強き香豪華船の客 堀井英子 雨月 201910
香水瓶の底に残れる我が日月 コ田千鶴子 馬醉木 201910
香水を一滴女の矜恃とし 三輪温子 雨月 201910
香水の残り香むつと水族館 有賀昌子 やぶれ傘 201910
香水の総身へ甘き熟寝かな 小田嶋野笛 末黒野 201911
使はずに減りし香水谷崎忌 岡田史女 末黒野 201911
香水や話変へねば喧嘩になる 三上程子 風聴くや 202003
立春の香水として堰き止めず 高木晶子 京鹿子 202005
御朱印を受くや飲み干す五香水 飯田久美子 末黒野 202008
強がりの今日の香水決めにけり 平野加代子 春燈 202009
テレワーク香水うすくつけ着座 太田慶子 春燈 202009
香水も届かぬほどのディスタンス 森なほ子 あを 202009
ホモ・サピエンス香水を鎧とす 内山花葉 202010
濃厚接触ぞ香水の近し 篠田純子 あを 202010
香水の一滴に夢取り戻す 山田佳乃 ホトトギス 202012
振り向くやこの香水に覚えあり 川高郷之助 202107
懐中の紙香水や喜寿迎ふ 武田巨子 春燈 202108
コンサート歌手の香水届く席 橋本貴美代 春燈 202110
香水の遠くに生きて誕生日 深川敏子 春燈 202111
香水ではかるそれとは分かる距離 直江裕子 京鹿子 202111
香水の一滴彼を虜にす 大四乃子 202112
武蔵野の木の香水の香秋惜しむ 小山繁子 春燈 202201
若狭井の香水となる秋の水 田中佐知子 風土 202201
香水に手首の細くありにけり 木暮陶句郎 ホトトギス 202202
抱かれて香水ほのか母三十五 小島昭夫 春燈 202208
香水→ 1

 

2022年8月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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