黄 落 5   200句

教壇は十歩に足らず黄落す   矢島渚男   采薇

作品
作者
掲載誌
掲載年月
黄落や千本鳥居行止 東亜未 あを 201002
黄落を急かし急かされ川下り 川上久美 ろんど 201002
拝殿にまた黄落のひとしきり 中原敏雄 雨月 201002
小鈴の音身より零れり黄落期 松井千鶴子 201002
電飾と黄落の街あてもなく 宮田香 201002
降臨の座を保たんと黄落す 田中貞雄 ろんど 201002
見取図の一画カラー黄落区 磯崎清 201003
黄落や湯島坂下牛鍋屋 辺田たか子 ろんど 201003
黄落を真砂町より本郷へ 瀬島洒望 やぶれ傘 201003
黄落や搦手門のきしみ閉づ 大西逸子 京鹿子 201004
黄落の大地途切れし曲り角 稲畑汀子 ホトトギス 201006
若者の街さりげなく黄落す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201011
木炭で描きし線や黄落期 山仲英子 201011
黄落や飛沫あふるる滝の前 阿部ひろし 酸漿 201012
黄落のをはるを待てり寺の庭 阿部ひろし 酸漿 201012
演奏は超ピアニッシモ黄落す 井田実代子 雨月 201101
黄落は烟のやうな匂ひせり 水野恒彦 201101
黄落や黄泉のにぎはひありてこそ 堀内一郎 あを 201101
黄落や夕日と挨拶交はしつつ 松嶋一洋 201101
黄落や裏も表も見せながら 秋千晴 201101
七百段二丁を掃く子黄落期 田中眞 201102
黄落の拍手のありて大道芸 中島讃良 ろんど 201102
黄落やニューファションの山ガール 鈴木照子 201102
黄落や伊勢尊びの遥拝所 東野鈴子 雨月 201102
黄落や野外ステージ音あはせ 坂口夫佐子 火星 201102
石段に補修の跡や黄落期 成田美代 201102
黄落や犬と子供と自転車と 荻野加壽子 万象 201103
黄落や山迫り来る鯖の道 四方ハツ子 春燈 201103
黄落や宝前占むる大銀杏 田中清子 雨月 201103
神鈴のさやけき宮居黄落す 安斎久英 末黒野 201103
空青くして黄落の径真直 村上悦子 雨月 201103
黄落や光まみれの御堂筋 水田むつみ ホトトギス 201104
黄落や社に隣る焼餅屋 樋口みのぶ 201104
黄落のまんなかへんの烈女伝 中原幸子 船団 201107
黄落を待ち侘びてゐる大地かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201111
黄落のはじまる庭となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201111
黄落を拒みて凛と一樹かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201111
黄落を掃いてしまはんでもええやん 稲畑廣太郎 ホトトギス 201111
光にも哀しみのいろ黄落期 コ田千鶴子 花の翼 201111
楽団の荷のいろいろに黄落す 山尾玉藻 火星 201112
黄落やえうちゑん児のおままごと 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
黄落を雨輝かせゐる街路 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
天皇無帽大江戸線に黄落期 堀内一郎 あを 201112
黄落や戊辰戦址の風化文字 宮田香 201201
黄落や春日の杜のけもの道 笠井清佑 201201
ロッカーの百円戻る黄落期 相良牧人 201201
黄落の奥どは不動明王界 豊田都峰 京鹿子 201201
能面の奥は黄落つづきけり 水野恒彦 201201
黄落や睡る腕に手を添へて 小形さとる 201201
黄落や飛び立ちさうな風見鶏 涼野海音 火星 201201
黄落に閉ざす阪本まむし店 大山文子 火星 201202
朽ちかけの木椅子色どる黄落期 藤兼静子 201202
逢ひに来よ黄落の下くぐり来よ 天谷翔子 火星 201202
また世話になります銀杏黄落す 田中貞雄 ろんど 201202
黄落のさなかにありて癒ゆるべし 竹内慶子 春燈 201202
黄落の谷へと橋を渡りけり 藤井美晴 やぶれ傘 201202
黄落の野外に並ぶパイブ椅子 中島霞 ぐろっけ 201202
黄落やかの思ひ出は発酵中 高橋道子 201202
黄落や生田緑地の鬼ごつこ 松本文一郎 六花 201202
黄落や足取り思ひおもひにて 坂場章子 201202
黄落や風吹き抜ける神楽殿 久世孝雄 やぶれ傘 201202
黄落を行くはいつもうしろすがた 豊田都峰 京鹿子 201202
児の触れてゆく黄落の百度石 飯塚ゑ子 火星 201202
銀杏黄落第九の歓喜さながらに 田中貞雄 ろんど 201202
黄落の奥に黄落絵画館 安藤久美子 やぶれ傘 201203
黄落の広き甍を覆ひけり 広瀬済 やぶれ傘 201203
黄落や身を反らせゐる婦人像 大島英昭 やぶれ傘 201203
街ひとつ雨に覚めゆく黄落期 高野春子 京鹿子 201203
エスプレッソ窓は黄落しきりなり 川上久美 ろんど 201203
黄落のはじめとなりぬ大欅 瀬島洒望 やぶれ傘 201204
談笑し黄落ふみしむ同期会 松本アイ ぐろっけ 201204
黄落や百の客室聖書置き 林昭太郎 あまねく 201210
黄落の明るさにゐて淋しかり コ田千鶴子 馬醉木 201212
金色のからくり時計黄落期 古川千鶴 かさね 201212
樹齢四百橅黄落の直下かな 藤原照子 201301
ことここに至れば婆娑羅黄落す 鈴鹿けい子 京鹿子 201301
黄落の橅を叩けばおおと声 大畑善昭 201301
黄落の橅林に透く岩木山 藤原照子 201301
黄落の森に五感を研ぎ澄ます 宮内とし子 201301
黄落やキャンパスを行く路線バス 蒲田豊彦 雨月 201301
黄落や金襴緞子の僧お練り 秋岡美津子 京鹿子 201301
黄落や写真はいつも端にゐて 樋口みのぶ 201301
黄落や斧の一打も入らぬ森 大畑善昭 201301
露天湯へ押す黄落の一枚戸 安武晨子 201301
から松の濡身かがよひ黄落す 藤森すみれ 201301
黄落の神社の庭に蒸龍の香 田中清秀 かさね 201302
ビル街は黄落映すガラス箱 宇都宮敦子 201302
黄落のとぎれし角の洋食屋 宮内とし子 201302
黄落の中や真白き美術館 黒滝志麻子 末黒野 201302
黄落や千手の願ひ欠けるなし 豊田都峰 京鹿子 201302
黄落や仏半眼とくことなし 豊田都峰 京鹿子 201302
抱き合うて勝者の跳ねる黄落期 甲州千草 201302
シャガールの妻恋ひの絵や黄落期 東野鈴子 雨月 201302
窓温きひと日銀杏の黄落す 津田富司 201302
潔く身軽になれる黄落樹 鎌田慶子 ろんど 201302
降り止まぬ橅の黄落氷ノ山 藤井久仁子 ぐろっけ 201302
生命を寿命を思ふ黄落期 西村しげ子 雨月 201303
黄落のゴッホの病室鉄格子 今井春生 201303
黄落の潮汲坂に杖とらる 村川とくみ ぐろっけ 201303
黄落や旅の漢の黒かばん 三浦澄江 ぐろっけ 201303
青空の抜け落ち黄落大通り 古賀しぐれ ホトトギス 201303
硬骨は貫き難し黄落期 田岡千章 201303
黄落のあとの枝々屈折す 細野恵久 ぐろっけ 201311
黄落の一つ季寄せに挿みおく 四條進 201312
目礼で済ます別れや黄落期 常田希望 201312
鉄砲洲稲荷黄落はじめけり 瀧春一 花石榴 201312
大道芸のレトロな曲に黄落す 長谷川歌子 春燈 201401
見返れば暮るるに早き黄落期 犬塚李里子 201401
黄落や庭中黄葉に染りをり 早崎泰江 あを 201401
道化師へ黄落しきり午後の街 塩路隆子 201401
黄落のひとすぢのみち晩学せん 豊田都峰 京鹿子 201401
黄落やいつか不在となれる椅子 荒井千瑳子 201401
黄落や人の涙に涙して 望月晴美 201402
黄落や風のポエムに舞ひ散りて 水谷貞子 京鹿子 201402
黄落や夕陽の色の招待状 福永尚子 ろんど 201402
外つ国の旗が先頭黄落期 中川すみ子 201402
見どころは大寺裏や黄落期 国包澄子 201402
校舎よりブラスのひびき黄落す 加藤静江 末黒野 201402
黄落の行くあてもなく吹かれゐし 住田千代子 六花 201403
黄落や近寄りがたき大銀杏 金田けいし ろんど 201403
黄落や昇殿に願あまたなる 金子幸子 ろんど 201403
黄落を生徒サッサと川べりを 梨地ことこ 船団 201403
黄落期舞羅戸すべて開け放ち 鳳蛮華 201403
神の森すこし騒ぎて黄落す 松田泰子 末黒野 201403
黄落や薬酒に頬を少し染め 岡淑子 雨月 201403
黄落に御所の歳月てふ褥 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
黄落に園の歴史を重ねゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
日当りて黄落終の輝きに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
黄落の掃かざる如くありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201411
夕風の渡る黄落誘ひつつ 稲畑汀子 ホトトギス 201411
黄落や一寺十戸の隠れ里 高村令子 風土 201411
黄落を舞ひ上げて鳩不時着す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201412
物乞いのひれ伏すローマ黄落期 井上曜子 201412
黄落や自動販売機のHOT 荒木甫 201501
黄落や天の岩戸の杜深き 坂上香菜 201501
ひつそり閑黄落止まぬ神輿庫 松本三千夫 末黒野 201501
黄落の光の中を一人行く 塩千恵子 201501
黄落を急ぐ白樺木曽の牧 室伏みどり 雨月 201501
黄落期光が翳となる夕べ 水野恒彦 201501
黄落の中なる幹の照り合へる 吉田順子 201501
黄落や打出の小槌ふるやうに 国包澄子 201502
学生の自由奔放黄落期 佐瀬晶子 ろんど 201502
黄落を曲がれば茅の屋炉火匂ふ 岡田桃子 201502
黄落や金管楽器行進し 田所節子 201502
黄落は滅びの最中輝ける 竹内タカミ 201502
黄落や神の山々動かざる 松田泰子 末黒野 201502
黄落やみささぎの道染めつくす 金田けいし ろんど 201502
黄落へ沈みゆく船古寝椅子 福永尚子 ろんど 201502
黄落の果てまで歩く栄華かな 福永尚子 ろんど 201502
今にして北の出自や黄落期 半田稜 ろんど 201502
地下を出て地上は風の黄落期 安藤久美子 やぶれ傘 201502
欠礼のはがきの届く黄落期 久世孝雄 やぶれ傘 201502
碧天に城の浮き立つ黄落期 吉田万喜子 雨月 201503
黄落や山ふところの薬師堂 仙田孝子 風土 201503
黄落に髄の染まりし旅鞄 高野春子 京鹿子 201503
黄落といふ寂光の中にゐる 河島坦 京鹿子 201503
黄落やその名知る樹も知らぬ樹も 雲所誠子 風土 201503
黄落や大樹一本そそり立つ 野中圭子 京鹿子 201504
黄落のしずもる岬奥琵琶湖 陽山道子 船団 201505
黄落のしきりにいのち惜しめとや 岩岡中正 ホトトギス 201505
黄落を誘うてゐる地の鼓動 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
黄落やドームに祈り深かりし 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
黄落を発ち黄落に旅終る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
黄落に色の存問赤煉瓦 稲畑廣太郎 ホトトギス 201512
黄落の舞狂ほしく降り積もる 秋川泉 あを 201601
黄落のみちをくねくね一輪車 根橋宏次 やぶれ傘 201601
鏡の奥に黄落つづき晩学す 水野恒彦 201601
どの道もきざはし多し黄落期 岩月優美子 201601
老懶を戒しむる日々黄落す 諸岡孝子 春燈 201601
黄落や喜怒哀楽を地にちらす 大草由美子 春燈 201601
行き合ひの黄落靴を染めてゆく 上野紫泉 京鹿子 201602
象の眼のかなしみ深し黄落期 本多俊子 201602
黄落の真只中に誰を待つ 阪倉孝子 201602
黄落や風来猫が濡れ縁に 原田しずえ 万象 201602
黄落や目をあぐるたび色濃にて 窪田佳津子 雨月 201602
散るもののなべて眩しき黄落期 福田葉子 201602
黄落期給食室に光るもの 辻水音 201603
箸二膳買ひし参道黄落期 井浦美佐子 201604
黄落といふ愛情の降るごとし 岩岡中正同 ホトトギス 201605
黄落の奥も黄落神の域 水野恒彦 201610
黄落に口縄坂の目覚めゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201611
月欠ける音して銀杏黄落す 水野恒彦 201612
黄落の水たつぷりと墳墓かな 本多俊子 201612
黄落をぬけて不忍雨催 井上石動 あを 201701
黄落や茶室につゞく長屋門 田代貞香 201701
黄落のいちまいの音人逝けり 山崎靖子 201701
夫が買ふ亀の子束子黄落期 井上正子 童女 201701
聖職者の去りし教会黄落す 鈴木石花 風土 201701
抱かれたる子が黄落へ手を伸ばす 秋千晴 201701
黄落の音なき音を聴くベンチ 久世孝雄 やぶれ傘 201702
黄落や源流に手を浸しみる 森清信子 末黒野 201702
鼠小僧の墓黄落の雨打てる 原田しずえ 万象 201702
黄落の足湯に効き目あるやうな 来海雅子 201702
楽の音に養ふ手足黄落期 数長藤代 201702
高原の駅に黄落頻りなる 高川令子 201702
気息もて女体男体黄落期 山崎靖子 201702
学食の椅子の軽さも黄落期 林昭太郎 201702
安心の日の飴色や黄落期 甲州千草 201702
黄落や札所の鈴のひとしきり 佐藤良二 末黒野 201702
黄落を浴びに今年もこの並木 安藤久美子 やぶれ傘 201702
黄落 →6

 

2020年12月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。