蟋 蟀 6(ちちろ)        103句 

爐におちしちちろをすくふもろ手かな   飯田蛇笏   山廬集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蟋蟀に青邨の貌誓子の眼 南うみを 風土 201712
大壺の底に蟋蟀鳴き続く 大橋晄 雨月 201801
武者蔵の駕籠にひそみしちちろ虫 岡崎郁子 馬醉木 201801
こので杯を擱かうかちちろ虫 土井三乙 風土 201801
今日ひと日生きて湯舟にちちろ連れ 中島好江 京鹿子 201801
眠られぬ一夜ちちろを共として 荒井ハルエ 春燈 201801
蟋蟀のひげの弄る闇夜かな 山田佳乃 ホトトギス 201802
ひとときを邯鄲の夢ちちろ鳴く 加藤榮一 末黒野 201802
遠浅の夜のとばりやちちろ鳴く 鷺山珀眉 京鹿子 201802
ちちろ虫参道さびれゆくばかり 井上醇女 ホトトギス 201803
一頁読めば眠れるちちろ虫 苑実耶 201809
けふの日を仏ごころに朝ちちろ 鈴鹿仁 京鹿子 201810
家郷出づ昼のちちろに急かされて 森岡正作 201810
蟋蟀が源氏絵巻に紛れ込む 高橋将夫 201811
地球安らか蟋蟀がゐるかぎり 大畑善昭 201811
聴いてみたきはおかめ蟋蟀のこゑ 千田百里 201811
こほろぎの声遠雷のあはひかな 廣畑育子 六花 201812
ちちろ鳴く女人埴輪の腰豊か 山口誠 馬醉木 201812
雲高し本家の跡の昼ちちろ 宮之原隆雄 末黒野 201812
ちちろ鳴く源氏の君の褥かな 高橋将夫 201812
裏庭にこほろぎ鳴くや淋しげに 大橋晄 雨月 201901
古民家のゐろりに座すやちちろ虫 仲まゆみ 風土 201901
こほろぎをはじめて聴いた夜の訃報 はしもと風里 201901
灯台へ細き坂道ちちろ鳴く 野口希代志 やぶれ傘 201902
棕櫚箒より蟋蟀の飛び出せり 秋千晴 201902
わが庭の蟋蟀一つ汝が天下 高野昌代 201902
ちちろ啼く楽器にまさるセレナーデ 藤田美耶子 201902
こほろぎや朝の駅への道すがら 柚木澄 末黒野 201902
あざもなく生きて今年もちちろなく 江口九星 201904
花舗の灯の届かぬところちちろ鳴く 岸洋子 201905
こほろぎの経松虫の鈴大文字 山田六甲 六花 201909
こほろぎの声十方に橋の闇 山田六甲 六花 201909
こほろぎがメトロの駅の壁の際 藤井美晴 やぶれ傘 201911
ちちろ鳴くこつちを向いてゐるやうに きくちきみえ やぶれ傘 201911
陽の落ちて草の間にまに初ちちろ 大内幸子 六花 201911
山宿の下駄の焼印昼ちちろ 黒滝志麻子 末黒野 201911
開きぐせつきたるぺージちちろ鳴く 能村研三 201911
こほろぎの背負つて来たる弦楽器 熊川暁子 201911
曲屋にもう馬臭なし昼ちちろ 大沢美智子 201911
文机の陰にある声ちちろ虫 西本花音 春燈 201911
裏庭の窓辺にちちろしかと聞く 大橋晄 雨月 201911
階段の下で行き場の無いちちろ 田尻勝子 六花 201912
灯を消してちちろの声に耳すます 広瀬済 やぶれ傘 201912
薪積みし軒より木の香ちちろ虫 小形博子 201912
蟋蟀の力惜しまず闇を裂く 菅谷たけし 201912
打ち明くる友の今なくちちろ鳴く 鈴木としお 春燈 201912
後夜覚めて夢のつづきやちちろ虫 持田信子 春燈 201912
またたいて星はちちろと交信す 宮崎洋 春燈 201912
ながながと文を書きをりちちろむし 宮崎洋 春燈 201912
蟋蟀の鳴くだけ鳴いて畢はりけり 永井惠子 春燈 201912
ちちろ虫とつと静寂に声をあぐ 柴田靖子 201912
温顔の子抱き地蔵やちちろ鳴き 森幸 雨月 201912
貌思ひ出す蟋蟀の声聞けば 土井三乙 風土 201912
蟋蟀の闇の深さへ寝落ちたり 岡田史女 末黒野 202001
祖父を知る女将の酌やちちろ鳴く 田中信行 202001
草の戸にけふも元気やちちろ蟲 瀬川公馨 202001
ちちろ鳴く百万都市の空家かな 角口秀子 202002
商店街抜けて畑道ちちろ鳴く 浅嶋肇 やぶれ傘 202002
城下の寺ちちろ語りの高麗門 吉岡知香 京鹿子 202010
書斎とは逃げ場なりけり昼ちちろ 森岡正作 202010
本堂の闇に闇ありちちろ鳴く 鈴木和江 202011
雨来るか星なき夜のちちろ虫 木村あさ子 202011
昼ちちろ鳴かせて蔵の喫茶店 森岡正作 202011
蟋蟀の力惜しまず闇を裂く 菅谷たけし 201911
薪積みし軒より木の香ちちろ虫 小形博子 201911
積荷待つ貨物列車にちちろ鳴く 伊藤昌枝 202011
まだ生きるつもりの一歩ちちろ鳴く 平野無石 202011
籾倉の跡の日だまりちちろ虫 菊地光子 202012
又一人友逝く知らせちちろ鳴く 菅野日出子 末黒野 202012
蟋蟀の声のとぎれや小夜の雨 大坂正 末黒野 202012
ぽい捨てを叱れずに来てちちろ虫 加賀荘介 202101
門灯を消してちちろに帰す闇 黒滝志麻子 末黒野 202102
ちちろ鳴く故郷の闇裏返し 稲畑廣太郎 ホトトギス 202109
蟋蟀や星のおもてのいつも濡れ 辻美奈子 202110
ちちろ鳴くひとりごころの募りけり 中野あぐり 春燈 202110
ちちろ虫夫の寝息の枕辺に 平田きみ 末黒野 202111
砂利道にちよぼちよぼと草ちちろ鳴く 大崎紀夫 やぶれ傘 202111
雨の夜の玄関先のちちろ虫 白石正躬 やぶれ傘 202111
ちちろ鳴く一番星が樹の上に 渡邉孝彦 やぶれ傘 202111
蟋蟀と亀虫が主秘湯宿 七郎衛門吉保 あを 202111
厨暮れてちちろと始む飯支度 市川夏子 末黒野 202112
夕ちちろ箱階段の黒光り 小林共代 風土 202112
鬼気迫るとは蟋蟀の笑ひ顔 高橋将夫 202112
仏心の闇の膨らみちちろ鳴く 五十畑悦雄 202112
佇みて路傍の闇にちちろ聞く 石塚清文 やぶれ傘 202112
学童の帰路の挨拶昼ちちろ 長崎桂子 あを 202112
灯を消してちちろに闇を返しけり 三好康子 風土 202201
ちちろ虫寺の普請の遅々として 岡野塁子 末黒野 202201
蟋蟀の髭を振りつつ草の庭 岡美智子 末黒野 202201
約束のやうにちちろの鳴く夕べ 石垣真理子 202201
腹の子の一寸ばかりちちろ虫 善野行 六花 202201
野外ジャズ果ててちちろの帰り道 浜田はるみ 202202
夕べより昼間淋しきちちろ虫 大西乃子 202205
竹林の祠新たやちちろ虫 森清信子 末黒野 202211
ちちろ虫警策の音近づきぬ 塙誠一郎 家系図 202211
そば立つる耳闇の底より初ちちろ 大川輝美 末黒野 202212
首切地蔵鳴くはちちろか邯鄲か 増成栗人 202212
高層の夜を独り占めちちろ鳴く 小林清彦 末黒野 202301
古民家の裸電球ちちろ鳴く 森川享 末黒野 202301
今宵まで鳴かぬちちろや籠の中 古宇田伸子 末黒野 202301
蟋蟀に一夜の宿を貸してをり 森由佳 末黒野 202301
現世の台本を遭うちちろ蟲 藤井杏愛 京鹿子 202301
捨てられて裏庭に鳴くちちろかな 志方章子 六花 202301
蟋蟀→1

 

2023年9月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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