蟋 蟀 5(ちちろ)        200句 

爐におちしちちろをすくふもろ手かな   飯田蛇笏   山廬集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
蟋蟀のひねりを入れて飛びにけり 志方章子 蟋蟀 201203  
お笑ひの極み涙すちちろ虫 池端英子 ろんど 201203  
十六夜のこほろぎを掃く畳かな 北崎展江 くりから 201209  
門前に閻魔蟋蟀昼も鳴く 細野恵久 ぐろっけ 201209  
太郎冠者よろしく蟋蟀あらわるる 木村茂登子 あを 201210  
ちちろ鳴く阿国の墓の割目より 山田六甲 六花 201210  
コオロギのけたたましさが遠のいて 丸山酔宵子 かさね 201211  
広告の売れずの空地ちちろ鳴く 高谷栄一 201211  
礎石野の石の湿りやちちろ虫 伊藤純子 201211  
玉砂利の雨に明るき昼ちちろ 甲州千草 201211  
曲家の土間掻く馬やちちろ虫 鈴木鞠子 末黒野 201211  
環多き遺品の箪笥ちちろ鳴く 成宮紀代子 201211  
書を閉ぢてこほろぎの声較べをり 小川玉泉 末黒野 201211  
赫き色残る兵俑ちちろ虫 須賀允子 万象 201211  
鳴き止めば無限の闇にちちろ虫 大橋晄 雨月 201211  
子守唄とうに尽きをりちちろ鳴く 湯橋喜美 201211  
こほろぎや四百年の梁に鳴き 中井登喜子 201211  
こほろぎの鳴き止みしかば吾も寝ねむ 大橋晄 雨月 201211  
のしかかる言葉の重みちちろ鳴く 前田美恵子 201211  
古里の月の夜路をちちろ鳴く 池田節 春燈 201212  
ちちろ鳴く無人の駅に客ひとり 枝村春江 万象 201212  
蟋蟀のひねりを入れて飛びにけり 志方章子 六花 201212  
自転車の照らす闇よりちちろ虫 広渡敬雄 201212  
子規わめく糸瓜の庭にちちろ虫 佐藤喜仙 かさね 201212  
箸休めちちろ虫聞く一家かな 波田美智子 火星 201212  
こほろぎや壁の奥から余震なほ 布川直幸 201212  
こほろぎや心に鈴のあるやうに 石坂比呂子 ろんど 201212  
こほろぎの座敷わらしを呼びにけり 藤原若菜 春燈 201212  
二人居の話の間合ちちろ虫 岡田満喜子 ぐろっけ 201212  
台所いつも濡れゐてちちろ虫 青木朋子 201301  
ちちろ虫路地を流れる生活の灯 鴨下昭 201301  
小刻みにこほろぎの声暁近し 久世孝雄 やぶれ傘 201301  
蟋蟀や哀しきいろの赤ワイン 佐藤凉宇子 ろんど 201301  
蟋蟀の茣蓙に跳びはね木隅芝居 下平しづ子 雨月 201301  
準備待つ白きテントにちちろ鳴く 出口誠 六花 201301  
予後の風呂六腑に沁むる初ちちろ 石川寿夫 ろんど 201301  
晩年の母の独学ちちろ鳴く 井尻妙子 京鹿子 201301  
こほろぎや目覚めし家の水の音 鳳蛮華 201301  
夜道来てちちろ聞き留む共白髪 谷岡尚美 201302  
はぐれんとしてはぐれし歩ちちろ鳴く 湯川雅 ホトトギス 201302  
ちちろ鳴き古りゆく句碑を寂しめず 今村征一 ホトトギス 201303  
ちちろ鳴く母の遺せし針坊主 亀田やす子 ははのこゑ 201306  
こほろぎや文つづる夜の更けやすく 塩田博久 風土 201310  
こほろぎに城の石垣ゆるまざる 山田六甲 六花 201310  
おかめ蟋蟀城の深井の水もなし 山田六甲 六花 201310  
一途さにこの径をゆくあけちちろ 鈴鹿仁 京鹿子 201310  
えんまこほろぎ包丁がなまくらで 定梶じょう あを 201311  
玄関にちちろは闇を広げたり きくちきみえ やぶれ傘 201311  
炊事場の裸電球ちちろ鳴く 大崎紀夫 やぶれ傘 201311  
よろづ屋にちちろ酒屋にきりぎりす 高橋将夫 201311  
蟋蟀や城の深井の水ゆたか 山田六甲 六花 201311  
蟋蟀やピアノ演奏盛り上げて 岡野安雅 かさね 201311  
蟋蟀の貌がどんどん大きくなる 佐藤喜孝 あを 201311  
外灯の切れさうちちろ鳴いてゐる きくちきみえ やぶれ傘 201311  
聞耳を立て暗がりの初ちちろ 戸辺信重 春燈 201311  
こほろぎや身の芯通る真夜の水 湯橋喜美 201311  
こほろぎに城の石垣ゆるぎなし 山田六甲 六花 201311  
咽頭に出来し腫れものちちろ虫 白数康弘 火星 201311  
停め置きし車の下のちちろ虫 山本とく江 万象 201312  
ちちろ鳴く土間の片隅母の居て 鈴木阿久 201312  
琴線をまさぐるごとくちちろ鳴く 江島照美 201312  
蟋蟀か耳鳴かわが夜を領す 小野恵美子 馬醉木 201312  
こほろぎの音色に黙す老い二人 野崎昭子 春燈 201312  
纏々纏々とちちろ鳴く音に宥めらる 杉山瑞恵 雨月 201401  
昼ちちろ空家にのこる流し台 師岡洋予 ぐろっけ 201401  
夜の底を鳴いて来世もちちろ虫 遠山風 馬醉木 201401  
貧しきころの記憶は楽しちちろ虫 野上杳 201401  
まんだらの裏やちちろの昼の闇 浜口高子 火星 201401  
痩せこほろぎ身動きもせず鳴きもせず 廣畑育子 六花 201402  
寝るときも寝覚むるときもちちろ虫 大野芳久 やぶれ傘 201402  
木の香する木場の闇にてちちろ鳴く 齋部千里 ぐろっけ 201402  
読みさしの桐壺の巻ちちろ鳴く 有賀昌子 やぶれ傘 201402  
独奏の蟋蟀今朝は力果つ 松本アイ ぐろっけ 201402  
ワインに酔ひ月に酔ひつつチチロ聞く 岡山敦子 京鹿子 201402  
こおろぎはときどき鉄橋ときどき夕日 寺田良治 船団 201403  
ちちろ啼く汝も一片の命持ち 蔦三郎 ホトトギス 201403  
逆立ちの少年といるちちろ虫 鶴濱節子 船団 201403  
上げ舟の底に身を寄せ冬ちちろ 師岡洋子 ぐろっけ 201403  
蟋蟀や庭の静寂の閻魔鳴き 落合由季女 雨月 201403  
古書店の奥の薄闇昼ちちろ 稲垣佳子 末黒野 201404
蟋蟀や吹かれて声の散らからず 布川直幸 201409  
こほろぎや肩抱き合ひし賽の神 藤井明子 馬醉木 201410  
夜のちちろ肩を回せば骨の音 松本三千夫 末黒野 201411  
信心の蟋蟀かおんころころと 大畑善昭 201411  
千鳥がけつくろうてをりちちろ鳴く 阪倉孝子 201411  
こほろぎに藁厚く敷く夕べかな 都留百太郎 末黒野 201412  
連綿とこほろぎ鳴けり枕上 生田高子 春燈 201412  
こほろぎや安楽椅子の庭を向く 浅木ノヱ 春燈 201412  
川沿ひを行けばこほろぎ鳴く朝 齋藤朋子 やぶれ傘 201412  
蟋蟀の貌一徹や陀羅尼助 松木ひろ ろんど 201412  
距離置いて鳴き交しゐるちちろ虫 大橋晄 雨月 201412  
ちちろちちろ居心地のいい安普請 火箱ひろ 201412  
阿羅漢の闇にちちろの澄みにけり 水谷文謝子 雨月 201412  
われの顔見つむるごとくちちろ鳴く 中尾安一 火星 201412  
人麻呂の挽歌読む夜のちちろ虫 生田作 風土 201412  
蟋蟀の声がテレビの曲に和す 本間羊山 風土 201412  
漸くにちちろ鳴き初む豪雨以後 田中富有能 風土 201412  
心気泣きこほろぎとゐる夜長かな 菊谷潔 六花 201501  
こほろぎに耳鳴り添ふる夜寒かな 菊谷潔 六花 201501  
敦煌の寝釈迦の裾のちちろかな 山崎青史 ろんど 201501  
蟋蟀のこゑガス台の後ろより 丑久保勲 やぶれ傘 201501  
アパートの出口は引き戸ちちろ鳴く 瀬島洒望 やぶれ傘 201501  
こほろぎの己が闇さへ訝しむ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201502  
ちちろ鳴く便箋はまだ引出しに 上野紫泉 京鹿子 201502  
こほろぎや野菜畑の中に道 渡邊孝彦 やぶれ傘 201502  
こほろぎのこんな小さな叢に 小山陽子 やぶれ傘 201502  
蟋蟀や俄づくりの芝居小屋 鈴木鳳来 故山 201505  
こほろぎやいつもの午後のいつもの椅子 木下夕爾 春燈 201508  
こほろぎの鳴きつぐごとく綴る詩か 木下夕爾 春燈 201508  
蟋蟀の黒衣なまめく仁王門 布川直幸 201508  
耳しひに聞えしちちろ夜の更けぬ 水原春郎 馬醉木 201511  
夜雨去りちちろの声のうるほへる 久留米脩二 馬醉木 201511  
ちちろ鳴く音の散らばる世を憂ふ 鴨下昭 201511  
ちちろ虫一人居の闇あかるくす 柴田靖子 201511  
寝る前に水をひと口ちちろ鳴く 丑久保勲 やぶれ傘 201511  
新しきノート綴ぢ足す初ちちろ 大内幸子 六花 201511  
質草に蚊帳あるむかし初ちちろ 久保東海司 風鈴 201512  
蟋蟀の居心地の良き鳴きっぷり 大橋晄 雨月 201511  
安達太良はおつぱい山よちちろ鳴く 中島陽華 201512  
番台に座つてみたきちちろ虫 相良牧人 201512  
ちちろ鳴く五百羅漢の千々の耳 石田きよし 201512  
蟋蟀やひつそりかんと台所 松尾龍之介 201512  
吾を憐れむ我在りて哀しちちろ虫 斉藤裕子 あを 201511  
蟋蟀に気づきて闇の匂ひかな 黒澤登美枝 201512  
横浜は遠し上嘆くちちろ虫 田中臥石 末黒野 201512  
とんちんかんな母の法要ちちろ鳴く 田邉好美 201512  
朝厨先に目覚めしちちろ虫 高村令子 風土 201512  
九条論議の闇の片隅ちちろ虫 高村令子 風土 201512  
もののふを偲ぶ小径やちちろ止む 森屋慶基 風土 201512  
風の日の草深く鳴くちちろ虫 本多正子 雨月 201512  
晩年の過ぎゆく早さちちろ鳴く 吉永すみれ 風土 201512  
抽斗に母の残薬ちちろ虫 畑佳与 京鹿子 201601  
刈り伏せの草の匂ひやちちろ虫 斉藤マキ子 末黒野 201601  
あかり消しちちろへ返す闇夜かな 外山節子 末黒野 201601  
潮騒の届く海女が家昼ちちろ 高橋明 末黒野 201601  
草むらの真暗闇よりちちろむし 高橋明 末黒野 201601  
ちちろ鳴く方へ磨ぎ汁捨てにけり きくちきみえ やぶれ傘 201601  
鳴くちちろ闇やわらかく詩行脚 吉田順子 201601  
ひと雨の過ぎし草叢ちちろ鳴く 石川叔子 201601  
母の里まだ外厠ちちろ鳴く 日下徳一 ホトトギス 201602  
空落ちて蟋蟀の夜となりにけり 田中臥石 末黒野 201602  
混じり合ふラ行の調べちちろ虫 中村嚢介 ホトトギス 201603  
大雨の被害も無くてちちろ鳴く 落合由季女 雨月 201606  
こほろぎを呑みそこねたる守宮かな 山田六甲 六花 201609  
こほろぎや鍬掛に鍬錆びしまま コ井節子 馬醉木 201610  
しばらくはちちろの闇に影を措く 鈴鹿仁 京鹿子 201610  
こほろぎの髭切れるまで暴れさす 中江月鈴子 201610  
夜の独りさびしがらせてちちろ鳴く 窪田佳津子 雨月 201611  
怪し火がちちろの闇をなめてをり 高橋将夫 201611  
片脚のこほろぎどうしても廻る 南うみを 風土 201611  
夜半亭跡の一坪ちちろ鳴く 内藤静 風土 201611  
咆哮のこほろぎ犬の耳立てる 鈴鹿呂仁 京鹿子 201611  
闇を出てこほろぎ親子闇に入る 秋川泉 あを 201611  
こほろぎは郵便箱に隠れゐる 渡邊孝彦 やぶれ傘 201611  
こほろぎの今宵は鳴かぬ曲がり角 小山陽子 やぶれ傘 201611  
石あれば影あり昼を鳴くちちろ 松本三千夫 末黒野 201611  
昼ちちろ真間全山を膨らまし 藤代康明 201612  
池の辺の草愛でをればちちろ鳴く 大橋晄 雨月 201612  
約束のごと鳴き初むるちちろ虫 大石喜美子 雨月 201612  
耳鳴りを押しのけちちろちちろ虫 加藤みき 201612  
こほろぎや耳奥は侏儒の棲める国 小野恵美子 馬醉木 201612  
海女の髪まだ濡れてゐるちちろ虫 橋本榮治 馬醉木 201612  
窯入れの素焼の壺やちちろ鳴く 鈴木漱玉 馬醉木 201612  
遮那王の駆けし山径ちちろ鳴く 橋添やよひ 風土 201612  
大本営地下壕出口ちちろむし 奥田茶々 風土 201612  
離々留々と冬こほろぎの逝きました 山田六甲 六花 201612  
美酒をつぐ音とおんなじ冬ちちろ 山田六甲 六花 201612  
こほろぎの今宵は鳴かぬ曲がり角 小山陽子 やぶれ傘 201612  
ちちろ鳴く築百年の通し土間 今村千年 末黒野 201612  
厨(くりや)の角何処からか鳴くちちろ虫 今井充子 201701  
こほろぎや猫ゆつくりと裏返る 北川孝子 京鹿子 201701  
忘れ事多し路傍にちちろ鳴く 伊藤希眸 京鹿子 201701  
走り根に著き箒目ちちろ鳴く 加藤峰子 201701  
夜のちちろ二人にしじま流れたる 富田要 万象 201701  
ふる里の灯りは暗しちちろ虫 石橋幾代 201612  
昼ちちろ真間全山を膨らまし 藤代康明 201701  
蟋蟀の骸を外へ掃き出して 丑久保勲 やぶれ傘 201701  
酒蔵の大桶の下ちちろ鳴く 久世孝雄 やぶれ傘 201702  
よろづ屋にちちろ酒屋にきりぎりす 高橋将夫 蜷の道 201703  
深井戸は名主の証ちちろ鳴く 能村研三 201711  
蟋蟀にキーを合はせよ螽斯 高橋将夫 201711  
こほろぎの声ばらばらの納屋の奥 中江月鈴子 201711  
締切の迫る原稿夜のちちろ 松本三千夫 末黒野 201711  
降らずみの一と日が暮れてちちろ虫 長谷川翠 馬醉木 201711  
ふと聞ける蟋蟀つひの声かとも 富永小谷 馬醉木 201712  
夕暮はちちろ寝どきは鉦叩 森山暁湖 万象 201712  
誰か呼ぶこのまま眠ろちちろちちろ 平田和代 201712  
こほろぎのこゑや宇宙の闇深め 田中臥石 末黒野 201712  
御神馬のをりし厩舎や昼ちちろ 堺昌子 末黒野 201712  
廃船の中のこほろぎ数知れず 中江月鈴子 201712  
千五百羅漢の寂や昼ちちろ 箕輪カオル 201712  
ちちろ鳴く厚き便りに貼る切手 齊藤哲子 201712  
ちちろ鳴く舞台奈落の仄明り 松林依子 201712  
白波や葦の根方のちちろ虫 鎌田光恵 201712  
器量もつ蟋蟀土間に共鳴し 瀬戸峰子 春燈 201712  
立ちかはり入れかはり鳴くちちろ虫 瀬戸峰子 春燈 201712  
蟋蟀や三和土にいつか住み慣れて 瀬戸峰子 春燈 201712  
有意差のつかぬグラフやちちろ虫 近藤真啓 春燈 201712  
酌み交はさうちちろよおいで子の椅子に 近藤紀子 201712  
かたまりて民話聞きをるちちろの夜 阪倉孝子 201712 蟋蟀→6

 

2019年9月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。