蟋 蟀 4(ちちろ)        115句 

爐におちしちちろをすくふもろ手かな   飯田蛇笏   山廬集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
白濁の極めはそば湯ちちろ虫 森理和 あを 200910
佗び住みて湯上りに聞くちちろ虫 伊藤洋子 200911
こほろぎにしばらく杖をとられけり 阿布里唯 炎環 200911
葬儀社の受付灯やちちろ虫 丑山霞外 炎環 200911
ちちろ鳴く虚子山荘に訪庵録 神蔵器 風土 200911
からつぽの虫籠ころげ昼ちちろ 吉沢陽子 200911
非常灯非常階段ちちろ虫 古屋元 200911
葬を了へし御堂に昼ちちろ 水谷洋子 200911
庭石を昼のこほろぎ過ぎりけり 大島英昭 やぶれ傘 200911
五右衛門風呂釜は四角や鳴くちちろ 水原春郎 馬醉木 200912
交番に忍び込みゐしちちろ虫 山田京子 200912
子の作る石置きし墓ちちろ鳴く 松嶋一洋 200912
節まはし忘れしやうに昼ちちろ 黒澤登美枝 200912
空き缶を蹴れば飛び出すちちろ虫 高橋将夫 200912
バリアフリーに蟋蟀もまだ鳴かぬ 辻直美 200912
入院の日数を思ふちちろかな 木村傘休 春燈 200912
夫無しの夫の句詠まず夜のちちろ 北岸邸子 春燈 200912
早とちり蟋蟀のこゑ一度きり 矢田部なほ子 200912
石に還る羅漢ちちろの声尽す 森脇貞子 雨月 200912
楼門の残る廃寺や昼ちちろ 山田春生 万象 200912
百歳の寝息正しくちちろ虫 加賀葉子 万象 200912
見舞はざりし悔残りをり夕ちちろ 岡田史女 末黒野 200912
病床の師の安かれと夕ちちろ 菅野日出子 末黒野 200912
こおろぎの主宰こよいもX氏 鎌田悟朗 ろんど 200912
叢追はれ昼のこほろぎとぼけ顔 佐方敏明 ぐろっけ 200912
こほろぎに領分のあり鳴きにけり 加古みちよ 火星 200912
濡縁に並びし子等よ鳴くちちろ 大野ツネ子 酸漿 200912
細り行く月へ蟋蟀鳴き止まず 有元洋剛 200912
ちちろ鳴くがんばれちょっといい女 中谷仁美 船団 200912
窓放ち聞く蟋蟀のセレナーデ 石岡祐子 201001
まだ風呂に入れぬ妻やちちろ虫 田中臥石 末黒野 201001
こほろぎや煤光りせる太柱 黒滝志麻子 末黒野 201001
ちちろ鳴く万年筆の持重り 小張志げ 春燈 201001
耳とほき父の無口やちちろ鳴く 柳生千枝子 火星 201001
奉納の絵馬の跳ねやう昼ちちろ 白数康弘 火星 201001
こほろぎとまことの月を眺めけり 菊谷潔 六花 201001
蟋蟀の色音さまざま盃の数 改正節夫 ぐろっけ 201001
終電の去りてちちろの夜なりけり きくちきみえ やぶれ傘 201001
こほろぎの髭まで鳴いてをりにけり 坂口麻呂 ホトトギス 201002
ちちろ鳴く近くに『明野・鹿野』かな 竹内悦子 201002
飴玉のざらめこぼるるちちろ虫 樋口みのぶ 201002
こほろぎの庭箒より飛び出せり 秋千晴 201002
こほろぎの跨つて来る鳩車 梶浦玲良子 六花 201002
弟不在せめてこほろぎ踏んばれよ 大橋敦子 雨月 201010
辛抱の三年五年やちちろ鳴く 能村研三 201010
子の窓の灯らぬ夕べちちろ鳴き 新実貞子 201011
こほろぎが線路を歩く無人駅 佐々木紗知 京鹿子 201011
外厠閻魔こほろぎ踏みさうな 篠田純子 あを 201011
やうやくに送稿成れりちちろ虫 竹内悦子 201012
庭箒を棲処となせりちちろ虫 中川すみ子 201012
大鏡蟋蟀いとどの夜となりゐたり 小形さとる 201012
星近き四万十の宿ちちろ鳴く 浅木ノヱ 春燈 201012
こほろぎやいつもの径の行き戻り 西岡啓子 春燈 201012
こほろぎの高音日付の変りけり 小川玉泉 末黒野 201012
植木鉢重ね伏せられ昼ちちろ 松本三千夫 末黒野 201012
デイケアの妻の戻りぬ夕ちちろ 小林一榮 末黒野 201012
夜の更けて際立つアリアちちろ虫 白髭美佐子 201012
ちちろ鳴く壊れはじめた辺りより 森茉明 京鹿子 201012
栞して瞼を閉じぬ初ちちろ 田原陽子 201012
こほろぎのころころ涼し路地の奥 池田光子 201012
めんだうを好まぬ齢ちちろ鳴く 吉田克美 ろんど 201012
蟋蟀のジャンプ炊事の足元で 恒成久美子 ぐろっけ 201012
防災訓練こほろぎも居る体育館 堤節子 ぐろっけ 201012
蟋蟀の声に聞き入るいとまあり 渋谷ひろ子 酸漿 201012
高階の一鉢の土ちちろ鳴く 清海信子 末黒野 201101
馬事公苑飼葉に潜む昼ちちろ 占部美弥子 末黒野 201101
言ひたきを忍の一字やちちろ鳴く 加藤八重子 末黒野 201101
大庫裡の暗き框やちちろなく 浅川幸代 末黒野 201101
古里の変らぬ土間やちちろなく 浅川幸代 末黒野 201101
試射場跡こほろぎの野となりゐたり 山田春生 万象 201101
潮錆びの家持の歌碑ちちろ鳴く 山田春生 万象 201101
蟋蟀の羽根忘れゆく日暮かな 飯田ひでを 201101
蟋蟀か白裸の弥陀にへばりつき 木本蓚 ぐろっけ 201101
門灯の瞬きに鳴くちちろかな きくちきみえ やぶれ傘 201101
ぽつちやりとした蟋蟀を摑みけり 大島英昭 やぶれ傘 201101
こほろぎや細き雨降る宿場町 上原光代 酸漿 201101
こほろぎの声に安らぐ看取りの夜 小山直子 末黒野 201102
ひらがなのこほろぎの来る畳かな 梶浦玲良子 六花 201102
こほろぎの誰待つ声か夜の厨 井口初江 酸漿 201102
仕舞屋の土産売る土間昼ちちろ 石黒興平 末黒野 201104
建て替えし家にふたたびちちろ虫 竹内悦子 ちちろ虫 201108
ちちろ鳴く永久の別れの朝かな 柳澤宗正 万象 201108
ちちろ鳴く野風呂句碑への風の道 鈴鹿仁 京鹿子 201110
通夜更けぬちちろしば鳴く刻も過ぎ 定梶じょう あを 201110
ちちろ鳴く繕ふよりも捨てちまう 須賀敏子 あを 201110
夫もまた眠れずにゐてちちろ虫 コ田千鶴子 花の翼 201111
待たるるも待つこともなきちちろ虫 コ田千鶴子 花の翼 201111
戸に挟む伝言白し夕ちちろ 中田みなみ 201111
こほろぎの鳴くゆゑ板の間を磨く だいじみどり 201111
子守唄にコラボレーションちちろかな 松田洋子 201112
蟋蟀をひとりベッドに聞く夜かな 能勢栄子 201112
大雨警報出でしちちろの闇深き 鈴木照子 201112
開け放つ玄関に来てちちろ鳴く 渡辺安酔 201112
孕み牛ばかりの牛舎ちちろ鳴く 久世孝雄 やぶれ傘 201112
鋸の音の途切れにちちろ虫 高野春子 京鹿子 201112
窓ひとつ点る校舎やちちろ虫 熊切光子 末黒野 201112
早発ちの子へ握り飯ちちろ鳴く 三木千代 201112
蟋蟀や臨海工業地帯行く 布施まさ子 風土 201112
ちちろ鳴く芭蕉生家の通し土間 萩谷幸子 雨月 201112
ちちろ鳴く水禍の芥堆く 博多永楽 雨月 201112
祭壇に閻魔蟋蟀紛れ込む 谷渡末枝 万象 201112
通り雨過ぎてちちろの夜を給ふ 久保東海司 201201
蔵町の路地の湿りやちちろ虫 森清堯 末黒野 201201
鳴き急ぐちちろの翅に枯れ兆す 大内和憲 万象 201201
縄文の地層に胡桃昼ちちろ 石川裕子 万象 201201
溢れ湯にちちろ流してしまひけり 松木清川 ぐろっけ 201201
すがれ鳴くちちろに鍬の土落す 下平しづ子 雨月 201201
米寿の師の句集に耽るちちろの夜 磯野しをり 雨月 201201
蟋蟀や硯のなぎさ筆ただす 丸井巴水 京鹿子 201201
こほろぎの闇の深さを思ひ寝る 柳生千枝子 火星 201201
こほろぎのこゑ絶えまなき湯船かな 丑久保勲 やぶれ傘 201201
母屋への廊下の長しちちろ鳴く 苑実耶 201202
深夜にも蟋蟀の鳴く手水鉢 水野弘 ぐろっけ 201202
お笑ひの極み涙すちちろ虫 池端英子 ろんど 201203
ちちろ虫マンション五階の何処からか 村田とくみ ぐろっけ 201203
蟋蟀→ 5      

 

2021年9月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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