蟋 蟀 2     111句

こほろぎや右の肺葉穴だらけ    日野草城

作品
作者
掲載誌
掲載年月
籠飼ひの閻魔蟋蟀興添ふ十三夜
小林清之介
風土
200301
野仏のそびら小暗しちちろ鳴く
西村しげ子
雨月
200301
通夜の灯の届かぬ辺りちちろ鳴く
小松誠一
200301
台風過ひときは高きちちろの音
二瓶洋子
六花
200301
ゲーブルのビデオの続きちちろ鳴く
笹村政子
六花
200301
薬草の逆さ乾きにちちろ鳴く
武司琴子
ぐろっけ
200301
喪に籠る夜の深みやちちろ鳴く
小西明彦
200302
新築のビル蟋蟀に目覚めゆく
稲畑廣太郎
ホトトギス
200302
蟋蟀にガム噛んで智慧湧いて来し
山田六甲
六花
200310
露天湯に湯の無しちちろ虫鳴くよ
山田六甲
六花
200310
蟋蟀のしきりに火星赤き夜
田中芳夫
200311
蟋蟀に寝顔蹴られし山の朝
藤田八重子
築港
200311
なぞなぞの手の中に居るちちろかな
今村文江
帆船
200311
蟋蟀や弱アルカリの露天風呂
遠藤米
帆船
200311
夜を共に居心地よさにちちろ鳴く
村越化石
200311
夜を負ふ者として親しちちろ虫
村越化石
200311
酒の無き夕餉すぐ終ふ初ちちろ
波多野蟻仗
200311
仏壇に入りしちちろの昼も鳴く
福井久生
200311
氷室社の本殿に聞く昼ちちろ
岡本明美
雲の峰
200311
長八の柱の鏝絵(こてえ)ちちろ鳴く
志水芳秀
雲の峰
200311
蟋蟀(こおろぎ)や染井の水と言ふを汲む
前阪洋子
雲の峰
200311
峠茶屋渋茶に駄菓子ちちろ鳴き
鵜飼紫生
雨月
200311
空つぽの酒樽ばかりちちろ虫
堤田博子
対岸
200311
アンソロジー開く窓辺や初ちちろ
府川房江
遠嶺
200311
ちちろ鳴く通りがかりの青果店
戸栗末廣
火星
200311
ちちろ鳴きひとり居の闇深くする
高橋道子
200312
踏み入りて蟋蟀多き火口原
西村しげ子
雨月
200312
鬼脱けし岩万年のちちろ闇
丸井巴水
京鹿子
200312
去ってゆく火星小さしちちろ鳴く
田中藤穂
あを
200312
双掌もて膝あたたむる夜のちちろ
加瀬美代子
200312
用もなく出て蟋蟀の闇にをり
谷ナミ子
200312
寝返れば母の面影ちちろ虫
上原口チヱ
ぐろっけ
200312
枝打ちの国有林やちちろ虫
吉田明子
200401
香煙は知恵生むもとよ昼ちちろ
小山和男
京鹿子
200401
頻尿に目覚めし厠ちちろ鳴く
沼口蓬風
河鹿
200402
山影の墓標に鳴くやちちろ虫
松山正江
河鹿
200402
ちちろ鳴く輪唱舞台闇夜かな
高井フジ
遠嶺
200402
ちちろ鳴く溜池の底地割れして
三井孝子
六花
200403
捨て畑一枚ちちろ虫のため
丁野弘
200409
ちちろ鳴く蓆を下げし楽屋口
栗原梅子
対岸
200410
耳鳴りのふつと止みけりちちろ虫
芝尚子
あを
200410
鳴き交はすちちろにもあり好き嫌ひ
品川鈴子
ぐろっけ
200410
良寛の山の庵やちちろ鳴く
田下宮子
200411
釣月軒の縁なし畳ちちろ鳴く
長谷川閑乙
馬醉木
200411
さびしければ閻魔の名ある蟋蟀虫
中山純子
万象
200411
ちちろ鳴く土間に残れる薪落し
井村和子
万象
200411
黙々と詰碁の夫や鳴くちちろ
渋谷ひろ子
酸漿
200411
蟋蟀の道を幼と語りゆく
渋谷ひろ子
酸漿
200411
湯浴みせる音に怯まずちちろ鳴く
託正夫
200411
蟋蟀やひとりの酒は店の奥
小島輝和
帆船
200411
空つぽとなりし病室ちちろ鳴く
杉江茂義
雲の峰
200411
ちちろ鳴く工事現場の仮宿舎
杉江茂義
雲の峰
200411
ちちろ鳴く納戸の隅に糸車
辻井桂子
雲の峰
200411
蟋蟀の方を向きゐる腰湯かな
新保主
雲の峰
200411
ちちろ鳴き番号のみの囚徒墓
笠間圭子
京鹿子
200411
ちちろ虫声なき声でありがたう
出口誠
六花
200411
母出でて父も出でくるちちろ虫
吉弘恭子
あを
200411
諍ひのあとの枕やちちろ虫
斉藤裕子
あを
200411
超音波画像に胎児ちちろ鳴く
鈴木照子
200412
須彌壇の金色くもるちちろ虫
池元道雄
馬醉木
200412
言ひ過ぎし後のだんまりちちろ虫
清水ミツコ
200412
返信の進まぬ筆やちちろ鳴く
木村冨美子
遠嶺
200412
眠らむとすればこゑよきちちろかな
亀ヶ谷照子
遠嶺
200412
蟋蟀と気持の通じあふ夕べ
高橋将夫
200412
刈り草を孕み蟋蟀這ひ出せり
古川昭子
200412
検診の書き込む件リちちろ鳴く
松林順子
雨月
200412
家事解かれひとりにもどる夜のちちろ
久保田雪枝
雨月
200412
ちちろ鳴く暗さ芭蕉の見えぬなり
今瀬剛一
対岸
200412
弁天の石の小橋や昼ちちろ
中川晴美
春耕
200412
ひげ伸びて蟋蟀強くなりにけり
近藤貞子
六花
200501
交番の漏らす灯火やちちろ鳴く
山元海郎
河鹿
200501
ちちろ鳴く工房木偶の首ばかり
中村葉子
帆船
200501
お風呂場にあひるのおもちやちちろ虫
佐川あけみ
対岸
200501
乳鉢に粕薬を摩るちちろの夜
小旙普士男
対岸
200501
りくの墓蟋蟀縷々と鳴きつなぎ
植竹美代子
雨月
200501
断片は壷の肩衝ちちろ鳴く
伊藤希眸
京鹿子
200501
罷り出でちちろ家灯に惑ひたる
吉弘恭子
あを
200502
帰省して生家のめぐり夕ちちろ
山田耕子
京鹿子
200502
ひとり居の夜の深さやちちろ鳴く
岡山満沙子
遠嶺
200502
東雲の雨こほろぎへ土塊へ
坊城俊樹
ホトトギス
200503
小さきいのちいま絶えし夜のちちろ蟲
瀧春一
菜園
200509
箒草こほろぎのこゑ尚遠し
瀧春一
菜園
200509
蟋蟀の声ばかりなり狭き庭
簗瀬照恵
ぐろっけ
200510
落書の壁の中なるちちろ鳴く
芝生南天
河鹿
200510
ちちろ啼く瓦斯の栓締め地震に寢る
渡邉友七
あを
200510
ひと雨のあと蟋蟀の夜々となる
上柿照代
馬酔木
200511
旅の荷に喪服しのばす夜のちちろ
一瀬昭子
馬酔木
200511
こほろぎの声の重なり合ひひびく
宮津昭彦
200511
あきらめる事にも馴れて夜のちちろ
安藤時子
200511
西行の思慕とや陵のちちろ虫
武久昭子
風土
200511
朝の靴より蟋蟀のとび出せり
櫻井幹郎
百鳥
200511
開けられてホテルの裏門ちちろなく
福盛悦子
雨月
200511
蟋蟀にいぢめのあつて声落とす
小林美恵子
築港
200511
もの探すことに疲れて夜のちちろ
藤井昌治
200511
貝釦探す小箱やちちろ鳴く
名取袿子
200512
独り鳴く蟋蟀そちも淋しきか
石岡祐子
200512
こほろぎと今宵の静寂しじま共有す
森ヒロ子
四葩
200512
芦花旧居の五右衛門風呂にちちろ鳴く
吉原房子
200512
調教のなほ未完成ちちろ鳴く
前田美恵子
200512
蟋蟀や辞書引くための正座なり
吉田明子
200512
蟋蟀の弟子貌にゐる去来の碑
飯塚ゑ子
火星
200512
奥嵯峨へ踏み入ればむ昼ちちろ
荻野千枝
京鹿子
200512
外孫にくらしの躾昼ちちろ
河合佳代子
栴檀
200512
流木はつひの住家かちちろ虫
有島夛美
河鹿
200601
名を惜しむ生き方あらむちちろ虫
永田歌子
遠嶺
200601
広行者天国銀座の隅のちちろかな
森澤とほる
春燈
200601
子の憩ふ相談室や昼ちちろ
酒井忠正
百鳥
200601
こほろぎの初音をしばし聞きゐたり
赤司美智子
酸漿
200602
雨暗しゑんまこほろぎのみ鳴いて
市場基巳
200603
廃鉱にうめく亡魂鳴くちちろ
駒井でる太
200605
ちちろ虫ふさぎの虫に浮気の虫
瀧春一
瓦礫
200606
蟋蟀3      

 

2021年9月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。