木の実 6          121句

山中に喝と木の根を打つ木の実   福永耕二   ザ・俳句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
鳥仰ぐ木の実降りつぐ音の中 石垣幸子 雨月 200701
木の実降る齢重ねて丸くなる 鈴鹿仁 京鹿子 200701
木の実独楽廻さば老の何時止まる 吉田多美 京鹿子 200701
蕉翁の笠に弾みて木の実かな 浅田光代 風土 200701
弾痕の残る黒門木の実落つ 舘泰生 風土 200701
マリオネツト上野の森に木の実落つ 奥田茶々 風土 200701
木の実入るポシエツトありぬ縄文館 須藤美智子 風土 200701
俄なる静けさの中木の実落つ 鈴木幾子 酸漿 200701
明るきは木の実を探す子らの声 荻原麗子 酸漿 200701
安兵衛は四十三才木の実降る 堀内一郎 あを 200701
日の射すと木の実降るなり小工場 渡邉友七 あを 200701
父の手のたひらに廻す木の実独楽 有吉桜雲 200702
木の実独楽たれも回せてつまらなし 風間史子 200702
月洩れて侏儒がころがす木の実かな 柳生千枝子 火星 200702
木の実落つ夜更は侏儒の森となる 柳生千枝子 火星 200702
沐浴の赤子の拳木の実降る 高尾豊子 火星 200702
にはとりの鳴きて木の実に打たれけり 川口襄 遠嶺 200702
約束をしかと守る子木の実独楽 小宮山勇 遠嶺 200702
木の実独楽くるり心の定まりぬ 小林眞彦 遠嶺 200702
荒あらと木の実時雨の帽を打つ 手島伸子 雨月 200702
木の実降る父のことばのやうに降る 土井三乙 風土 200702
湯の宿の上り框に木の実独楽 土井三乙 風土 200702
よく回る木の実独楽なり貰ひたる 土井三乙 風土 200702
木の実降る少しポケット綻びて 鈴木多枝子 あを 200702
峡晴れて木の実しぐれが肩叩く 木内美保子 六花 200702
抜け道の果ては海なり木の実落つ 粂谷京子 200702
木の実拾はむとかがめば母のこゑ 遠藤若狭男 200703
冬の鳥まつ赤な木の実ほしいまま 岡本敬子 万象 200703
ポケツトに木の実がひとつ遥かかな 坂本敏子 京鹿子 200703
木の実踏むまじと息つめ神の磴 池田倶子 雨月 200703
鳥の声しきりなりせば木の実落つ 村上美智子 雨月 200703
もう一度廻せと首振る木の実独楽 齋部千里 ぐろっけ 200703
木の実落つ解き放たれし山の木々 湯浅夏以 遠嶺 200704
車道まで降り転げくる木の実かな 池崎るり子 六花 200704
後ろから人の声かな木の実落つ 池崎るり子 六花 200704
木の実独楽子らの打ち合ふ地蔵前 滝沢伊代次 万象 200709
コンクリートジャングル木の実ドスと落つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710

 『金剛石婚』序句

金剛の木の実を二つたなごころ

鷹羽狩行 200710
石垣を飛び降りる手に木の実かな 山田六甲 六花 200710
掌に未来が廻る木の実独楽 新関一杜 京鹿子 200710
和室に足まげて木の実をこぼしける 竹内弘子 あを 200710
木の実独楽とまる地球の傾ぎほど 伊藤白潮 200711
峡谷の庵の蔀や木の実雨 鈴木久香 遠嶺 200711
木の実盛り百味を神に奉る 西野愁草子 200711
まろき音立てて木の実の落ちにけり ことり 六花 200711
木の実降る坂の上下百地蔵 中村悦子 200712
子育ての頃のはるかや木の実降る 武田巨子 春燈 200712
たなかけて熊の喰みゐる水木の実 山形悦子 万象 200712
一つ上の亡妻へ土産の木の実独楽 神蔵器 風土 200712
欄干に置く一対の木の実独楽 田村園子 200712
メルヘンの中の青空木の実降る 小澤克己 遠嶺 200712
寺に添ひ行く坂道に木の実落つ 大里快子 酸漿 200712
敬老の月とや木の実落ちやすく 野路斉子 200712
日のぬくみ残る木の実を拾ひけり 初瀬啓子 200712
何気なく拾ひてゐたる木の実かな 高倉和子 200712
大木に齢を問へば木の実落つ 小林洋子 200801
廻し手の気に喰はぬかな木の実独楽 東野鈴子 雨月 200801
古城訪ひ木の実時雨に阻まるる 奈辺慶子 雨月 200801
山路きて木の実時雨に肝潰す 奈辺慶子 雨月 200801
木の実独楽何のてらひもなく廻る 丸尾和子 雨月 200801
俳諧奉行去来の墓や木の実打つ 神蔵器 風土 200801
駅前に「市民憲章」木の実降る 塩田博久 風土 200801
現在地ゆすれば木の実時雨かな 井上菜摘子 京鹿子 200801
トルストイ邸の樹林や木の実落つ 木暮剛平 万象 200801
一才の帝王学や木の実落つ 富沢敏子 200801
日曜の日本銀行木の実降る 小島みつ代 200801
木の実とて持ち出しならず白神山地しらかみ 北尾章郎 200802
木の実降る永青文庫坂の上 渡辺立男 馬醉木 200802
木の実独楽求めて孫の土産とす 中山静枝 200802
鎖されし穀倉木の実降りやまず 川口襄 遠嶺 200802
心奥を過る羽音や臭木の実 小宮山勇 遠嶺 200802
木の実雨森に答を貰ひけり 浜田はるみ 遠嶺 200802
身に痛き木の実つぶての空なりし 中野京子 200802
ポケツトに木の実の童もち歩く 宮川みね子 風土 200802
木の実落つ水底までの浮遊感 掛井広通 200802
どうするでもなきに慾ばり木の実拾ふ 折橋綾子 200802
懐かしや先師句碑撫で木の実置く 近藤豊子 雨月 200802
木の実降る首塚二つ関ヶ原 手島伸子 雨月 200802
金髪を垂らして拾ふ木の実坂 中村碧泉 ぐろっけ 200802
木の実降る三百年の屋敷跡 木下忠雄 酸漿 200802
残照の水底へ落つ木の実かな 高橋さえ子 200802
擦り傷は子供の勲章木の実降る 金井香ル 200803
子の手より母の掌へのる木の実かな 木村松蔵 万象 200803
玉砂利の中に木の実よ七五三 平居澪子 六花 200803
鯉生きてをるか木の実が落ちにけり 岩木茂 風土 200804
ムーミンの国に弾める木の実かな 菅澤陽子 春燈 200804
禿頭を過たず落つ木の実かな 佐藤真次 200804
吾子歩き初むる木の実を踏みながら 稲畑廣太郎 ホトトギス 200810
ポケットといふ揺籃に木の実満つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200810
折り畳むベビーカーより木の実かな 鈴木照子 200811
目覚むるは命あること木の実落つ 守屋井蛙 酸漿 200811
キャリーにも木の実降り込む二の丸址 品川鈴子 ぐろっけ 200811
煉瓦造りの交番に降る木の実かな 池上昌子 春燈 200812
へたばるな坂の木の実が肩を打つ 山中宏子 200812
それぞれの利き手の放つ木の実独楽 石田きよし 200812
木の実踏む足裏に音を確かめつ 塩路五郎 200812
木の実降り山の怒りの静まりぬ 高橋将夫 200812
木の実降る遠く上野に友の句座 前田貴美子 万象 200812
木の実拾ふ何の迷ひもなく拾ふ 高倉和子 200812
児に聴かす木の実降る夜の又三郎 伊東和子 200901
木の実拾ふ歩けるうちには歩かねば 嶋田摩耶子 ホトトギス 200901
大地踏み鳴らす木の実に打たれたく 山中宏子 200901
木の実降る別に身構ふ何もなし 小林正史 200901
存分に弱音と木の実飛ばしけり 来海雅子 200901
新霊の墓参の還路木の実散る 島青櫻 炎環 200901
潮騒の染みし岬の木の実かな 布川直幸 200901
木の実落つ青空へ音返しつつ 宮川みね子 風土 200901
御苑いま木の実時雨のなかにかな 柿沼盟子 風土 200901
日陰には日かげの匂ひ木の実落つ 小林リン 春燈 200901
木の実降る音を重ねて寺寂ぶる 宮平静子 雨月 200901
木の実落ち毀れるやうに認知症 芝宮須磨子 あを 200901
木の実落つ喜怒哀楽を吐くごとし 塩路五郎 200902
どうみても吾にむかつて木の実降る 高橋将夫 200902
木の実掌に被爆女神の像の前 苑田ひろまさ 200902
ぐう許り出す子の手より木の実独楽 藤野力 馬醉木 200902
またぎの里夕べ拡げて木の実落つ 福永みち子 馬醉木 200902
武蔵野の万の木の実を踏み帰る 柿沼盟子 風土 200902
奥津城の木の実時雨に賑へる 植村よし子 雨月 200902
木の実落つ音の一つを拾ひけり 柴田良二 雨月 200902
木の実投げ忍者遊びのいまもなほ 松本正生 やぶれ傘 200903
森の音一つ加はる木の実かな 稲畑汀子 ホトトギス 200910
木の実 →7      

2021年10月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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