木の実 11   158句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
自由になるよろこびなのか木の実落つ 沼田巴字 京鹿子 201810
百合の木の実の落ちてゐる橋の上 田中藤穂 あを 201811
行きづまる推敲木の実降るばかり 村田あを衣 京鹿子 201811
木の実降る山廬を守りて子ら遠き 和田和子 馬醉木 201811
だんだんに本気になつて木の実降る 高橋将夫 201811
木の実降る戦禍に耐えし母の背に 石川りゆうし 201811
木の実磨る縄文体験秋うらら 大山夏子 201811
頭痛持ち同士の散歩青木の実 山田まさ子 船団 201811
寝静まる森に産声木の実落つ 森村江風 201812
人の踏む木の実を待てり居付鴨 黒坂紫陽子 馬醉木 201812
木の実降る賽銭箱にかろき音 饗庭悳子 末黒野 201812
木の実落つ音にふり向く日和かな 北川孝子 京鹿子 201812
眼差しは遠く馬酔木の実の青く つじあきこ 201901
御所の森臍石の上木の実置く 杉本薬王子 風土 201901
木の実打つ水や白瀧観音堂 間島あきら 風土 201901
神楽殿へかかる梯子や木の実降る 小林共代 風土 201901
月曜は図書館休み木の実降る 菊地光子 201901
嫁入りの道まだ残り臭木の実 森岡正作 201901
隠れ家は天体づくし木の実落つ 火箱ひろ 201901
木の実独楽廻し上手に澄みゐたり 丸尾和子 雨月 201901
よろけつつ辛くも廻る木の実独楽 丸尾和子 雨月 201901
別れ道木の実の音に曲りけり 片山喜久子 雨月 201901
高鳴りはやがて木の實の降る音に 近藤紀子 201902
臥す吾にくるる木の実の温さかな 杉田智榮子 馬醉木 201902
頬を打つ木の実ひとつの痛さかな 前田美恵子 201902
廻されて後は自力や木の実独楽 平野多聞 201902
子等散つて拾ふ木の実のあれやこれ 平居澪子 六花 201902
木の実降るぱらぱらと降る一つ降る 藤生不二男 六花 201902
子の墓は木の実びつしり日を弾き 岡井マスミ 末黒野 201902
スマホより弾ける音色木の実降る 岩崎藍 末黒野 201902
木の実投げればりす走り子が走る 時田義勝 やぶれ傘 201902
手水場に鳥の来てゐる青木の実 秋山信行 やぶれ傘 201903
艶やかにより色つけぬ青木の実 黒滝志麻子 末黒野 201903
木の実落つ森の礎となるために 亀井福恵 京鹿子 201903
校長がひよいと廻せる木の実独楽 藤井啓子 ホトトギス 201903
義経の転げし坂や木の実落つ 藤井啓子 ホトトギス 201904
木の実落つ人無きベンチにも一つ 大山夏子 201904
老の足木の実一つに躓くも 木村享史 ホトトギス 201904
艶々とこの世に落ちし木の実かな 斉藤マキ子 末黒野 201904
木の実降る浅き眠りの底に降る 山田佳乃 ホトトギス 201904
水囲む妹山背山木の実降る 平野無石 201905
くくのちの神に感謝し木の実拾う 若泉真樹 201905
無知という無尽の深さ木の実降る 仁上博恵 201905
万葉食ランチ木の実を割る犬歯 青木朋子 201905
木の実植ゑたること胸の灯しとす 立村霜衣 ホトトギス 201906
筑波嶺や木の実の点字踏み登る 田中素直 201907
雨だよと両手で木の実降らす吾子 江島照美 発火点 201909
掃き集め残る木の実を拾ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 201910
拾ひたる木の実何時までポケットに 稲畑汀子 ホトトギス 201910
富士塚に登山口あり木の実落つ 廣瀬雅男 やぶれ傘 201911
肩を打つ木の実に重き月日かな コ田千鶴子 馬醉木 201911
木の実降る雑然とまた整然と 千田敬 201911
小砂利踏む跡に木の実の二つ程 溝越教子 春燈 201911
我もまた過客か木の実落つ夕べ 藤岡紫水 京鹿子 201912
湧水の空を窪ませ木の実降る 池野つむぎ 馬醉木 201912
ポケットの木の実握りて諾はず 松井志津子 201912
少年の隠しは木の実の等級別 片桐てい女 春燈 201912
分れ道の細きを辿り木の実踏む 大島寛治 雨月 201912
木の実降る日舞はムーンウォークかな 川井さち子 風土 201912
故郷の木の実を庭に埋めにけり 谷田明日香 風土 201912
木の実降る石灯籠の苔むして 谷村祐治 雨月 202001
ショルダーに入り口六つ木の実降る 笹村ルル 202001
洗濯機で回してしまひ木の実独楽 岡本尚子 風土 202001
手渡しに貰ひし木の実ほのぬくし 門伝史会 風土 202001
木の実降る宮を高くにいただきて 及川照子 末黒野 202001
精霊の踊る形に木の実独楽 能美昌二郎 202001
木の実踏む野鳥の森の奥の道 黒滝志麻子 末黒野 202001
木の実落つこころの隅につと触れて 近藤真啓 春燈 202001
木の実降る古墳の眠る高野山(たかのやま) 小林共代 風土 202001
靴の裏たしかに木の実踏んでゐたり 橘正義 春燈 202001
木の実降る降る日を決めてゐるらしき 平野多聞 202001
正直であつただろうか木の実落つ 本多俊子 202001
県境の難所の峠木の実降る 山内光枝 雨月 202001
鳥居のみ残る社や木の実落つ 廣瀬雅男 やぶれ傘 202002
総鎮守木の実時雨にひるみけり 落合絹代 雨月 202002
木の実植う地球の自転確かめて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202002
木の実植う嫁がせる日を思ひつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202002
理由なき別れもありや木の実降る 角口秀子 202002
木の実降る降る宿場への一里塚 荒川心星 202002
木の実植う山の未来を信じつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202002
億年の山の流転や木の実植う 稲畑廣太郎 ホトトギス 202002
留袖の人と出逢へり水木の実 竹内悦子 202002
目交に木の実時雨や杖の径 大内幸子 六花 202002
裏木戸でこと足る出入青木の実 米山のり子 馬醉木 202002
冬木の実赤い実食べていいですか 長沼佐智 船団 202003
木の実落つ耳に一つの音拾ふ 大川暉美 末黒野 202003
青木の実軍鶏の蹴上ぐる砂埃 森清信子 末黒野 202003
眼の神の木の実の水を掬ひけり 升田ヤス子 六花 202003
木洩れ日の降りこぼしたる木の実かな 今橋眞理子 ホトトギス 202003
石段を弾く木の実や朱の鳥居 長尾タイ 末黒野 202004
木の実落つ寝墓百基に音たてて 荒井千佐代 202005
木の実降る山河の眠り誘ふごと 良知悦郎 202007
木の実踏みたる足音のついて来る 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
苞にせむ木の実のジャムと秋風と 石島かず 202011
言葉の中のことば探れば木の実落つ 井上菜摘子 京鹿子 202011
ポケットの木の実握りて諾はず 松井志津子 201911
つもるかと四阿に降る木の実かな 笹村政子 六花 202012
蘇我邸跡掘れば木の実のつぶて落ち 山中志津子 京鹿子 202101
父の声母の声して木の実降る 西村白杼 京鹿子 202101
旅荷置き木の実時雨を惜しむかな 能村研三 202101
木の実降るいよいよ風の有頂天 齊藤實 202101
狛犬の居ながらに食む木の実かな 加賀荘介 202101
つながれて子豚の散歩木の実落つ 鈴木愛子 202101
鳥たちの伝言として木の実降る 足立枝里 202101
木の実散る校舎裏門閉ぢしまま 奥田温子 やぶれ傘 202101
靴底に弾くる木の実山路ゆく 西本花音 春燈 202102
木の実落つ思ひの丈をほどきつつ 森清堯 末黒野 202102
くりくりと子猿の眼木の実降る 小田嶋野笛 末黒野 202102
目標を新たにひとつ青木の実 中貞子 202102
木の実降る一村こぞりて白樺派 小林共代 風土 202102
奥つ城はお土居跡なり木の実降る 橋添やよひ 風土 202102
富士を背の初吟行や青木の実 間島あきら 風土 202102
風荒るるひと日なりけり青木の実 天野美登里 やぶれ傘 202103
生も死も一夜のつづき木の実降る 西住三惠子 202104
子離れのやうに木の実を落としけり 松尾龍之介 202104
一粒は鳥呼ぶ命青木の実 平野多聞 202105
訪ひくるる子を恃みとす青木の実 岡村尚子 202105
久に会ふ子の手のひらに木の実置く 岡村尚子 202105
青木の実子らそれぞれに持つ望み 森清堯 末黒野 202105
木の実落つ山の消息伝へつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202110
木の実踏む音に故郷近付けて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202110
木の実落ち風の行方を確かめし 大日向幸江 あを 202110
柿の木の実のつきしまま枝下ろし 針谷忠郎 202110
爺と子の真剣勝負木の実独楽 松田那羅生 202110
木の実独楽二つはいつもポケットに 松田那羅生 202110
窯跡へ陶片木の実ざくと踏み 青谷小枝 やぶれ傘 202111
木の実落ち風の行方を確かめし 大日向幸江 あを 202111
決めかぬる一事の行方木の実降る 岩永はるみ 春燈 202112
木の実落つ池の辺ひとを佇たしむる 小山繁子 春燈 202201
幼児の歩幅まちまち木の実降る 溝越教子 春燈 202201
忖度の風がしきりに木の実降る 齋藤晴夫 春燈 202201
手のひらに小仏木の実拾ひかな 農野憲一郎 春燈 202201
縄文の夜も音かくや木の実降る 林昭太郎 202201
木の実落つ一つは水の音立てて 林昭太郎 202201
涸れ井戸に子らの声降る木の実降る 本池美佐子 202201
隣り合ふ一社と一寺木の実落つ 門伝史会 風土 202201
木の実降る音に真昼の深さかな 門伝史会 風土 202201
玻璃越しの音して木の実つぎつぎに 鈴木石花 風土 202201
すだ椎の百の走り根木の実降る 岩木茂 風土 202201
指先の力に応ふ木の実独楽 中村洋子 風土 202201
最後には捨つる木の実を拾ひけり 中村洋子 風土 202201
木の実降る信玄道の血洗ひ池 岡本尚子 風土 202201
誰が置きし木の実に足して木の実置く 黒滝志麻子 末黒野 202201
木の実落つ伽藍列なる参道に 岡田史女 末黒野 202201
かさこそと何の気配や木の実ふる 大内由紀 末黒野 202201
ポケットの木の実で遊ぶ待ちぼうけ 有賀昌子 やぶれ傘 202201
縄文の世より神の座木の実降る 古賀しぐれ ホトトギス 202202
春日野の木の実が供物ことり塚 古賀しぐれ ホトトギス 202202
木の実降る機銃掃射のごとく降る 高橋将夫 202202
幸せは心の奥へ青木の実 阪倉孝子 202202
青木の実夕べの路地の道標 大西由美子 春燈 202202
公園は木の実の国となりてをり 柿沼盟子 風土 202202
木の実降る鼻欠け地蔵目がけては 酒井たかお 202202
木の実落つとき決心のやうなもの 岩岡中正 ホトトギス 202203
遠き日の乾きし音や木の実落つ 菊池和子 京鹿子 202203
転びしは木の実ひとつに辷りしと 木村享史 ホトトギス 202204
暮れ残るものに水音木の実落つ 黒滝志麻子 薫風 202205
雨あとの庭のきはやか青木の実 上野静子 末黒野 202205
木の実→ 1

2022年8月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。