独 楽 1    200句

唸り独楽唸る東西南北に   後藤比奈夫

作品
作者
掲載誌
掲載年月
勝独楽に孤独の音のありにけり 原山幸子 199904
負独楽の闘ひぶりを褒めてやる 玉川悠 遠嶺 199904
けんくわ独楽干代大海を名告り出づ 三神あすか ヒッポ千番地 199910
叩き独楽叩きてひとりぼつちかな 後藤比奈夫 円虹 200001
据りゐし独楽がうなつてをりにけり 高橋将夫 200003
いもうとをつれ大股の独楽童子 山岸治子 馬醉木 200003
通抜け出来ぬ横丁けんか独楽 斉木永久 馬醉木 200003
子ら尻を高々と独楽回しけり 岩崎皓子 雲の峰 200003
蓬髪のやさしさ独楽の澄むことあり 足利屋篤 海程 200005
家出する家なし紐もその独楽も 塩見恵介 虹の種 200005
昨日元旦ラ音で回る独楽と居る 蔵前幸子 船団 200006
少年に自立のきざし独楽まはる 塩路隆子 精鋭選集 200008
紺青の海ひき寄せて独楽廻し 鷹羽狩行 200101
どんぐり独楽負けず嫌ひの太眉毛 和田照海 京鹿子 200102
眠たくて独楽の行方の山河かな 森あみ子 船団 200103
心棒のあち向きこち向き独楽あまた 中川濱子 ぐろっけ 200103
大空に独楽のはじける音響く 尾崎九一 遠嶺 200106
富士山の此処らも裾野独楽廻る 嶋田一歩 ホトトギス 200107
負独楽の色の豊かにくづれ落つ 加藤はま子 200203
木屑飛び瞬時に独楽の生れけり 林敬子 酸漿 200203
木星の帯廻はしをる字宙独楽 延広禎一 200204
唸独楽音叉と同じ音たてて 山本耀子 火星 200204
独楽廻し上手な兄を敬へり 有山八洲彦 200204
独楽廻す活断層の上の町 有山八洲彦 200204
独楽打つて少年の日へ戻りけり 景山わこ 百鳥 200204
ながながと独楽廻り今たふれけり 浜崎壬午 円虹 200204
幼より老が真顔や独楽まはし 中島徳子 酸漿 200204
交流会童と遊ぶ独楽廻し 畑中シヅエ ぐろっけ 200205
工房に独楽の転がる葛嵐 水原春郎 馬醉木 200212
回りつついづれ触れ合ふ独楽二つ 高橋将夫 200301
負けてより独楽は普段の彩となる 宇都宮滴水 京鹿子 200302
牛小屋の牛に見られて独楽を打つ 大串章 百鳥 200302
独楽まはす一人が絵筆近づけて 中野薫 雲の峰 200303
独楽澄みぬ星々廻る音のして 利根川博 銀化 200303
女興ず出世独楽その意もなけれども 仙石君子 雨月 200304
仕掛けては弾き飛ばさる喧嘩独楽 阿部一彦 築港 200305
真剣のきつさきに立つ博多独楽 苑実耶 200305
勝ちすぎの独楽引つ込めてしまひけり 今瀬一博 200307
帰郷せむ独楽大将の勲祝ひ 品川鈴子 ぐろっけ 200401
勝独楽を両手に小路戻りくる 水原春郎 馬醉木 200402
とけ合ひてもとにもどりし独楽のいろ 中元英雄 河鹿 200403
吉野杉の箸に箸置漆独楽 安井和子 200403
鮮やかな縞模様見せ独楽倒る 久保一岩 雲の峰 200403
黙々と少年一人独楽を打つ 若山実 雲の峰 200403
負独楽のまた挑まむと胸に抱く 小澤克己 遠嶺 200404
独楽廻し餓鬼大将になれる夢 井内佳代子 遠嶺 200404
出世独楽廻す年など考へず 片山喜久子 雨月 200404
独楽打てば私学校の兵児走り出す 淵脇護 河鹿 200404
傾ぎつつ芯立てなほす喧嘩独楽 淵脇護 河鹿 200404
産土神を背ラにしたり宇宙独楽 延広禎一 200404
負独楽の溝に填つてしまひけり 三遊亭金遊 百鳥 200404
打ち独楽の紐引く稽古繰返す 久保英二 築港 200405
喧嘩独楽土俵となりし四斗樽 中和田洋美 万象 200409
宇宙独楽をぶんぶん廻はす省二かな 延広禎一 200501
鉄の芯なきがごとくに独楽澄めり 鷹羽狩行 200501
極彩の少し歪んで独楽止まる 石井道則 築港 200502
独楽の軸すがめながめつ日をのばす 土肥屯蕪里 雲の峰 200502
江戸玩具二つの独楽を瓶封じ 大塚初江 200503
子ら帰り名殘の独楽となりにけり 清わかば 雲の峰 200503
寄木独楽ゆつくり彩を戻しけり 深川敏子 春燈 200503
幾星霜舞ふことも無き飾独楽 禰寝瓶史 京鹿子 200504
まけ独楽のいくたび傷を負うてもや 小澤克己 遠嶺 200504
負独楽のこの世の端にゐて清し 小澤克己 遠嶺 200504
勝独楽の孤高しづかに彩を解く 小澤克己 遠嶺 200504
勝独楽の数多の傷の勲しき 小澤克己 遠嶺 200504
紐一本宙に放たれたる独楽よ 中杉隆世 ホトトギス 200506
勝独楽の数多の傷の勲や 小澤克己 雪舟 200506
紐をしやくれば掌に戻る独楽 高橋将夫 星の渦 200507
回りつついづれ触れ合ふ独楽二つ 高橋将夫 星の渦 200507
喧嘩独楽仲良く打つてゐたりけり 西谷良樹 春燈 200601
勉強に負けしも独楽は負け知らず 名和節子 200603
打ち合うて胴鉄独楽の気魂かな 鮫島禮子 河鹿 200604
勝独楽の武者振ひして止まりけり 石原光徳 酸漿 200604
独楽廻し得手に勉強厭へる子 手島伸子 雨月 200604
負け独楽の稽古不足を児が悔む 村上和子 ぐろっけ 200605
投げても貧し孤児の頭上に独楽しばし 八田木枯 晩紅 200609
曰く言ひ難しや独楽を廻すこつ 小川匠太郎 200701
勝独楽に乗つて周りを見てゐたし 小澤克己 遠嶺 200701
舞ひ過ぎて独楽の命も飛び去りぬ 上野進 春燈 200703
手ほどきをせし子あざやか独楽さばき 足利徹 ぐろっけ 200703
お転婆の祖母が教へる独楽廻し 伊藤康子 ぐろっけ 200703
だんだんに重たくなりて独楽倒る 柴田佐知子 200703
九穴に魂それぞれや独楽廻る 延広禎一 200704
微動だにせぬ独楽を見る幼かな 大塚民枝 酸漿 200704
親子独楽つかずはなれず廻りけり 山本ミツ子 六花 200704
生意気にオレと云ひつつ独楽廻し 小倉綾子 ぐろっけ 200705
独楽廻るまでの真顔のありにけり 吉年虹二 ホトトギス 200706
すぐに腰くだけとなりぬあばれ独楽 福場朋子 200711
回るのも止まるも定め喧嘩独楽 高橋将夫 200801
掌に乗せても暴れ回る独楽 高橋将夫 200801
独楽ひとつふたつと影を重ねをり 小澤克己 遠嶺 200801
勝独楽にあらず日暮れの空軽し 小澤克己 遠嶺 200801
負独楽の影がギラリと刃を握る 小澤克己 遠嶺 200801
得意気に廻る掌の独楽見せに来る 武政礼子 雨月 200803
天に凧地に独楽老の夢枕 村越化石 200803
独楽の芯地軸がほどに傾きぬ 櫨木優子 200804
独楽紐をきりりと巻いていざ勝負 松嶋民子 200804
相打てる漆の独楽の赤と黒 岡淑子 雨月 200804
餓鬼大将老いて忘れぬ独楽の技 宮崎正 ホトトギス 200805
兄の忌に独楽を廻せし道帰る 川合まさお ぐろっけ 200806
連岳の頂に独楽とどまれり 小澤克己 遠嶺 200901
独楽やがてぐらんぐらんと横転す 布川直幸 200901
独楽打つや浦に溢るる無量光 石本秋翠 馬醉木 200903
猩々や独楽の心棒ゆるぎなし 延広禎一 200903
独楽放つ少年口の一文字 新井青葉 炎環 200903
身辺や婀娜なるものに飾り独楽 中島和昭 春燈 200904
負独楽の紐の汚れを握りしむ 三上程子 春燈 200904
叩き独楽入鹿の首を飛ばしたる 延広禎一 200904
負け独楽や次の思案の紐を張る 中山皓雪 200904
紙独楽の回ればサイケ調になり 河村泰子 ぐろっけ 200904
ひとり独楽打つ子に声を掛けて寄る 野沢しの武 風土 200905
喧嘩独楽闘志は巻きし紐にあり 竹下陶子 ホトトギス 200906
勝独楽のまどかに回り終りたる 竹下陶子 ホトトギス 200906
一点を探り当てたる独楽の芯 渡部節郎 転舵の渦 200911
むき出しの闘志のありて独楽の紐 渡部節郎 転舵の渦 200911
発心の空に打ちたる宇宙独楽 延広禎一 201004
負独楽の心棒替へて出直さむ 片桐てい女 春燈 201004
勝独楽の終ひは笑ひ転げたる 井上次郎 201005
独楽の絵を数へし石段ラムネのむ 奥山茶々 風土 201008
喧嘩独楽受けに回れば敗れけり 片桐てい女 春燈 201102
兄貴ぶり独楽掌に受けて見せ 松村晋 ぐろっけ 201102
羽子突きも独楽も見かけず筑紫さへ 山口博通 ぐろっけ 201102
回されて独楽美しや色弾み 藤本秀機 201103
独楽強き子供何やら頼もしく 北尾章郎 201103
ぶつかつて大きく廻る宇宙独楽 雨村敏子 201103
はつきりと言へぬ子の手に独楽を置く 柴田佐知子 201103
店頭に飾り客呼ぶ五彩独楽 神谷文子 馬醉木 201104
おのが影踏み階の独楽の径 横井博行 万象 201104
現し世にもどるとき独楽赤と青 齋藤厚子 201104
少年の独楽の止まりて色戻る 水谷靖 雨月 201104
あたふたとしたる独楽より倒れけり 田所節子 201104
子の去にし乱れ籠より独楽の紐 岡佳代子 201202
ひかれつつ抛らるるゆゑ独楽はづむ 柳川晋 201203
真剣のきつ先に立つ博多独楽 苑実耶 大河 201203
幼な日の記憶澄みだす独楽の芯 菅谷たけし 201204
勝つたびに傷の増えゆく喧嘩独楽 小林朱夏 201204
独楽の紐捌いて勝負はじまりぬ 田中由喜子 馬醉木 201204
独楽廻す男の子二人を育てしと 石垣幸子 雨月 201204
独楽を打つ紐巻くにさへ苦戦して 山田夏子 雨月 201204
独楽廻す講釈長き令夫人 山田夏子 雨月 201204
骨といふもののありけり独楽廻し 和田崎増美 雨月 201204
独楽廻す紐引くこつは教へ難 稲岡長 ホトトギス 201205
独楽澄みて澄みても遂によろめける 蔦三郎 ホトトギス 201205
一編の詩終ふごとく独楽倒る 蔦三郎 ホトトギス 201205
こつ要りて力要らざる独楽廻し 山下美典 ホトトギス 201206
うたかたの夢と回れり紙の独楽 飯田美千子 201303
産土の空打つて鳴る独楽の紐 丹羽啓子 馬醉木 201303
勝ち独楽に勲章の傷一文字 森岡正作 201303
勝独楽の赤を主張の渦強し 水谷芳子 雨月 201304
房まはし綱を渡れり博多独楽 苑実耶 201303
負け独楽のことりと元の彩となり 高橋明 末黒野 201304
しきたりの頑固はみだすあばれ独楽 鴨下昭 201305
よく回る独楽は微動もせず回る 高橋将夫 201401
赤ん坊に噛まれてゐたる木地の独楽 きくちきみえ やぶれ傘 201403
佐世保独楽飾れば感じ海の風 山口キミコ 201403
独楽競ふ気風一切無かりけり 久米なるを 201404
独楽澄みて白き山々撥ね返す 広渡敬雄 201404
負独楽の色ほどきつつ倒れけり 稲岡みち子 雨月 201404
悠然と色しぼり込み独楽回る 稲岡みち子 雨月 201404
喧嘩独楽あっぱれといふ負けっぷり 足立典子 雨月 201404
弾かれて色ほどけゆく喧嘩独楽 泉本浩子 馬醉木 201404
抛られて唸り始めし喧嘩独楽 松田明子 201405
勝ち独楽の廻り澄めるや勝ち誇り 杉山瑞恵 雨月 201405
勝独楽の勝ちてさみしく廻りをり 矢野百合子 201405
重心の狂ひし独楽をつかみけり 織田高暢 201406
勝独楽の勝ちてさみしく廻りをり 矢野百合子 201406
喧嘩にも独楽にも勝てず本を読む 木村享史 ホトトギス 201407
沸点に達して独楽の澄みにけり 秋葉雅治 201501
負独楽の色ほどきつつ倒れけり 稲岡みち子 雨月 201501
弥撒終へし神父が子らと独楽競ふ 多方清子 雨月 201501
よく回る独楽ほど沈思黙考す 高橋将夫 201501
原城の跡のどんぐり独楽にせむ 荒井千佐代 201502
指導員顔して独楽を回しけり 箕輪カオル 201502
独楽遊び口笛を吹く少女ゐて 谷岡尚美 201503
証文を賭くる佐世保の喧嘩独楽 山口キミコ 201503
路地裏の甲高き声喧嘩独楽 北尾章郎 201503
証文を賭くる佐世保の喧曄独楽 山口キミコ 201503
勝独楽も筑波山も肩をいからせて 山下ひろみ 201503
喧嘩独楽もうすぐ兄の七回忌 高野春子 京鹿子 201504
独楽回る小さきちひさき唸りあげ 山内洋光 201504
ひとうねり独楽に命の生まれけり 山下ひろみ 201504
たまゆらの暾をまぶしみつ木独楽挽く 小林輝子 風土 201504
止まるまで児の瞳のひかる独楽廻し 久世孝雄 やぶれ傘 201504
瑕多きことが宝や喧嘩独楽 山下美典 ホトトギス 201506
ほとけさま永きじかんを独楽まわす 津波古江津 船団 201508
ひたと定まる少年の独楽の芯 柴崎英子 201603
負け独楽に極彩色の豊かなり 菊地光子 201603
一瞬で独楽の色づけ終へにけり 苑実耶 201603
息つめて独楽の止まるを見てをりぬ 加藤みき 201603
平らかでなき世でありぬ独楽澄める 赤座典子 あを 201603
遠心力もうこれまでと独楽とまる 西村しげ子 雨月 201604
少年の日々の遠しよ独楽廻す 樺山翠 雨月 201604
少年期の骨を忘れず独楽廻す 大橋晄 雨月 201703
声かけて少年の独楽父の独楽 福島せいぎ 万象 201704
まつ直ぐに独楽立つまでを見つめをり 高橋まき子 風土 201704
独楽打つや空あをあをと古戦場 斉藤玲子 馬醉木 201704
喧嘩独楽教へし父はもと小吏 中川句寿夫 ここのもん 201705
どれどれと父が加はり独楽叩く 中川句寿夫 ここのもん 201705
勝独楽の回り澄みたる孤高かな 竹下陶子 ホトトギス 201706
掌に独楽を廻して思ふこと 稲畑廣太郎 ホトトギス 201710
回り澄む独楽の命の生れけり 竹下陶子 ホトトギス 201802
勝独楽の重心低く回りゐし 竹下陶子 ホトトギス 201802
止まりたる独楽の匂ひを猫が嗅ぐ きくちきみえ やぶれ傘 201803
ふらふらになりてしぶとき独楽一つ 有松洋子 201804
皆退れ退れ先生独楽を打つ 金森教子 雨月 201804
よく回る手垢びかりの猛り独楽 能村研三 201903
外つ国の人に教はる独楽廻し 溝越教子 春燈 201904
畢生の一番勝負独楽回す 近藤真啓 春燈 201904
曲独楽の澄み極まれり寄席の黙 小田嶋野笛 末黒野 201904
独楽 →2      

 

2022年1月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。