辛 夷 4     153句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
風の日の白の際立ち花辛夷 鷹羽狩行 200605  
墓のみとなりしふるさと辛夷咲く 山田暢子 風土 200605  
退つ引きのならぬ雨来し夕辛夷 伊藤豊美 遠嶺 200605  
正面に孔雀明王こぶし咲く 谷村幸子 200605  
闇になほ辛夷明りの背山かな 熊岡俊子 雨月 200605  
よべの雨に辛夷の傷み惜みけり 熊岡俊子 雨月 200605  
春雷やさくらは紅くこぶし黄に 瀧春一 常念 200606 三寳寺池
牛飼ひの仔牛高値の花辛夷 田上勝生 河鹿 200606  
花辛夷犬の吠えゐる蔵構へ 有島夛美 河鹿 200606  
辛夷咲く白き雲追ふ一日かな 植竹惇江 春燈 200606  
嬰の手をつつむ母の手花辛夷 今瀬一博 200606  
花辛夷白の極みに崩れけり 今瀬一博 200606  
枯れ枯れし極み辛夷の咲きにけり 瀧春一 瓦礫 200606  
朝だけは辛夷の花に話しかける 瀧春一 瓦礫 200606  
峠越え嫁いで行きぬ花辛夷 佐藤よしい 風土 200606  
砂州に鳥山に辛夷の花明り 竹内悦子 200606  
塗り終へて辛夷明りの峡の畦 石川 馬醉木 200607  
花辛夷までランドセル持たさるる 杉浦典子 火星 200607  
辛夷散り濁世になほも飽かぬ靴 戸田和子 200607  
しらじらと辛夷の花や夜の街 高尾幸子 遠嶺 200607  
弔上げの姑のふる里花辛夷 石井たを子 200607  
辛夷咲く仏師の庭の大水瓶 内山芳子 ぐろっけ 200607  
姫辛夷咲けば木の名を尋ねられ 野澤光代 ぐろっけ 200607  
新線の一番電車花辛夷 山村修 酸漿 200607  
花辛夷もみ合ふ空の青さかな 岡田麻枝 酸漿 200607  
夕空のうつくしき口や花辛夷 禅京子 風土 200607  
筆談の一片も遺書散るこぶし 吉沢野笛 200607  
風に乗り辛夷みな飛べ百・二百 千坂千津恵 200608  
日輪を入れて昏めり花辛夷 佐藤佐代子 200608  
人悼むごと辛夷咲きこぶし散る 稲畑廣太郎 ホトトギス 200610  
辛夷咲き終る名妓の物語 稲畑廣太郎 ホトトギス 200610  
はつはつと白きは辛夷ここは信濃 安住敦 春燈 200612  
しろがねの辛夷のつぼみ天を指す 久保久子 春燈 200612  
この窓の辛夷が咲けばほか見えず 岡本眸 200702  
花辛夷見上ぐる朝の息づかひ 岡本眸 200702  
風光ること夕ベにも花辛夷 岡本眸 200702  
辛夷咲く限り山路の目印に 稲畑汀子 ホトトギス 200704  
この空のつづき辛夷の咲きをらむ 山崎靖子 200705  
園児らの声のはじけて辛夷咲く 池田光子 200705  
辛夷咲き町の空気の清浄に 松崎鉄之介 200705  
電柱なき町の並木の花辛夷 松崎鉄之介 200705  
青空を引き寄せしごと花辛夷 松崎鉄之介 200705  
花辛夷影をぱらりと撒きにけり 宮津昭彦 200705  
開かむと音洩らしけり花辛夷 服部幸 200705  
蔵壁と別の白さに花辛夷 伊藤宇太子 200706  
風つのる天の清冽辛夷咲き 岡田貞峰 馬醉木 200706  
雪形の著くなりつつ花辛夷 黒坂紫陽子 馬醉木 200706  
蒼穹を押し上げこぞる花辛夷 山口順子 馬醉木 200706  
咲きこぼる衣掛山の花辛夷 倉谷紫龍 万象 200706  
行く道のかすかに見えて花辛夷 大西淘子 遠嶺 200706  
ハングルと並記の墓や花辛夷 小林幹彦 200706  
白もまた濃き色として辛夷咲く 立村霜衣 ホトトギス 200707  
辛夷咲く旅の思ひ出繙けり 高尾幸子 遠嶺 200707  
夜行列車に覚めてまぶしむ花辛夷 谷けい 200707  
沢水に回る水車や咲く辛夷 荻原麗子 酸漿 200707  
辛夷咲く静かなる父浅井忠 陽山道子 船団 200710  
上総はや田に水張つて花辛夷 島谷征良 風土 200803  
幼稚園辛夷の花と空つづき 宮津昭彦 200804  
狂院の空のさみどり花辛夷 相沢有里子 風土 200805  
辛夷咲く青白き風ふくらめり 工藤はるみ 風土 200805  
辛夷咲く校庭の空晴れ渡る 杉野原弘幸 200806  
ひっそりと人も辛夷も生けるなり 泉田秋硯 200806  
疲れ目をいやす辛夷の夕かな 武藤嘉子 200806  
山空のまだ眠き色辛夷咲く おかたかお 200806  
辛夷咲き畝立ちあがる山の畑 吉沢陽子 200806  
こゑかけて西行の日の花こぶし 南うみを 風土 200806  
通院の勇気少しく花辛夷 井口光石 風土 200806  
辛夷咲く梵字大きな持仏堂 谷村幸子 200806  
族睡る山墓に今日辛夷咲く 岸はじめ ぐろっけ 200806  
花辛夷母校に建ちし安吾の碑 土屋光男 春燈 200806  
咲きはじむ辛夷の下で待ちくれし 杉浦典子 火星 200806  
くぐもれる空にこぶしの白光る 萩谷幸子 雨月 200806  
青空を大樹の辛夷隠しけり 工藤美和子 酸漿 200806  
朝空を押し上げ辛夷咲きはじむ 柳田和子 酸漿 200806  
玲瓏となりて辛夷の花明り 大島翠木 200807  
辛夷咲く脇勧請の大鳥居 庄司久美子 200807  
辛夷咲くまだ表札のなき新居 廣畑忠明 火星 200807  
しんがりは透明の傘花辛夷 岩井ひろこ 火星 200807  
拘置所に面会日あり花こぶし 竹内水穂 火星 200807  
辛夷咲く堂の奥なる思惟仏 西氏宣子 遠嶺 200807  
真心の伝はりてをり花辛夷 小國佐世子 遠嶺 200807  
一望の隴畝を截ちて辛夷立つ 高橋宏行 遠嶺 200807  
その先の木立の暗く辛夷咲く 藤井美晴 やぶれ傘 200807  
暮れてゆく空に浮きたつ花辛夷 北原瑞枝 遠嶺 200808  
辛夷散る眠る赤子を避けて散る 大坪景章 万象 200808  
辛夷咲く出合ひまばゆし曲角 長谷川たか子 酸漿 200808  
夜の辛夷とは白を濃く闇を濃く 山田弘子 ホトトギス 200810  
辛夷咲き私語の始まる雑木山 高村令子 風土 200811  
あの山の今朝より白し山こぶし 大槻右城 ホトトギス 200812  
十五代将軍の墓所花辛夷 稲畑汀子 ホトトギス 200903  
北空の暗きまで澄み花こぶし 鷹羽狩行 200903  
風つよき辛夷の山の裾ゆけり 山尾玉藻 火星 200903  
辛夷咲く頂上空を近付けて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200904  
遠ざかり案外辛夷多き帰路 稲畑汀子 ホトトギス 200904  
み吉野の旅路辛夷の孤高かな 稲畑汀子 ホトトギス 200904  
辛夷の芽新曲暗譜繰返す 鈴木石花 風土 200904  
「故郷の四季」歌ふ朝辛夷咲く 鈴木石花 風土 200904  
次の世に首尾よく生まれ花辛夷 辻直美 200904  
春を待つ辛夷の苞に光あり 青木陽子 酸漿 200904  
銀色の産毛も光れり辛夷の芽 石川元子 酸漿 200904  
弊辛夷匂ふ美濃路や芭蕉句碑 坂上香菜 200905  
蒼天へ漲る力辛夷の芽 三川美代子 200905  
雲脚のはやさや固き辛夷の芽 加藤汀 馬酔木 200905  
慎ましくこの世ありけり花辛夷 小澤克己 遠嶺 200905  
のこる世はあそびをせむか花こぶし 神蔵器 風土 200905  
花辛夷八十八世晋山す 神蔵器 風土 200905 深大寺
智恵子にはほんたうの空花辛夷 金井裕子 風土 200905  
つんつんと風をつついて辛夷咲く 七種年男 200905  
花こぶし比叡の風のさだまらず 鈴鹿仁 春燈 200905  
生誕を汝も言祝ぐや花こぶし 安立公彦 春燈 200905  
県庁の門に力や辛夷の芽 青山悠 200905  
辛夷の芽弾け港の見ゆる丘 山田天 雨月 200905  
母あらば佇ちゐる辛夷咲きにけり 山本耀子 火星 200905  
枝張りて大樹に咲ける花辛夷 阿部文子 酸漿 200905  
鍬の音の小さく聞ゆ姫辛夷 三浦カヨ子 酸漿 200905  
大寺の軒庇ふごと辛夷咲く 中川すみ子 200906  
湧く雲は空のアドリブ花辛夷 藤原はる美 200906  
まつ青な空のあたらし花辛夷 乙訓淑子 炎環 200906  
サーカスの宙舞ふ小人花こぶし 神宮安見子 炎環 200906  
花辛夷きびす返せば向ひ風 田村園子 200906  
辛夷咲く明治商家のなまこ壁 門伝史会 風土 200906  
農継がぬ子に送るかな花辛夷 工藤はるみ 風土 200906  
拝仏の径や辛夷の花ぐもり 豊田都峰 京鹿子 200906  
ひともとの遠かがやきのこぶしかな 豊田都峰 京鹿子 200906  
辛夷咲くや骨壺の夫わが部屋に 片井久子 春燈 200906  
花辛夷妻籠の地図の菓子包み 松下千恵子 春燈 200906  
新調の眼鏡が光る花辛夷 木原今女 ぐろっけ 200906  
山肌の青つきぬけて辛夷咲く 藏本博美 ぐろっけ 200906  
違う道と疑うほどに辛夷咲く 井上加世子 ぐろっけ 200906  
色もなき山に辛夷の白さあり 土屋喜美代 酸漿 200906  
薇のこぶしの力開きけり 伊東恵美子 馬醉木 200907  
うつし世に耳そばだてて花辛夷 西山春文 200907  
明史忌の仏坐りの辛夷山 岩木茂 風土 200907  
みどり児の眠る水辺や花辛夷 遠藤和彦 遠嶺 200907  
土の香の段々畑辛夷咲く 三橋泥太 遠嶺 200907  
新弟子の轆轤蹴る音花こぶし 生井慶子 万象 200907  
花辛夷夜来の風雨通りすぐ 後藤とみ子 ぐろっけ 200907  
居ながらに辛夷の里なる仮り住ひ 古林田鶴子 ぐろっけ 200907  
せせらぎの音のやはらか花辛夷 草本洋子 200907  
山こぶし水面にうつり咲きにけり 藤原春子 六花 200907  
開きたる窓に風寄る花辛夷 安藤久美子 やぶれ傘 200907  
辛夷咲く土木事務所の安全旗 渡邉孝彦 やぶれ傘 200907  
年寄りのベンチにつどひ辛夷咲く 松村光典 やぶれ傘 200907  
遠山の高臥なるかな花辛夷 荒木奈美惠 ろんど 200907  
惜みなく辛夷の花の散る日かな 小林優子 酸漿 200907  
山風にまだ臆病な辛夷の芽 山田弘子 ホトトギス 200908  
みちのくの旅情にありぬ花辛夷 橋本くに彦 ホトトギス 200908  
花辛夷白をつらぬききつて落つ 嶋田一歩 ホトトギス 200908  
北向きに広き空かな大辛夷 柿沼盟子 風土 200911  
辛夷咲く比叡の空の広さかな 吉岡知香 京鹿子 201001  
万蕾の背戸の辛夷の山廬かな 伊藤敬子 201001  
癒え近し辛夷も花芽ほぐれそめ 水原春郎 馬醉木 201003  
日溜りの辛夷の蕾ふふみけり 杉本綾 201004 辛夷→ 5

 

 

2020年4月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。