辛 夷 5       135句

風立ちし辛夷の花に紅はしる   高島茂   鯨座

作品
作者
掲載誌
掲載年月
朝ごとに空の洗はれ花辛夷 鷹羽狩行 201004
青空の今日やや淡し花辛夷 片山由美子 201004
茂吉忌や辛夷はいまだ花解かず 安立公彦 春燈 201004
連陰に辛夷の開花止まざりき ことり 六花 201004
ひと処夕日に染みし花辛夷 宮崎左智子 201005
花辛夷仰ぎ晩節ゆるぎなし 水原春郎 馬醉木 201005
総立ちに烈風の辛夷われ癒えむ 木村風師 馬醉木 201005
この世には関はりなしと辛夷咲く 鈴木阿久 201005
沼巡る始点となりし山辛夷 猪爪皆子 201005
尋ねたき離郷の街や辛夷の芽 環順子 遠嶺 201005
辛夷の芽海の声聞く海女の像 大坪景章 万象 201005
触れたくて芽吹く辛夷に近づきぬ 植田利一 春燈 201005
天空に握られ返す辛夷の芽 菅野雅生 ろんど 201005
辛夷咲く海女に上りの石畳 近藤幸三郎 風土 201005
春灯し妓の地髪結ひ辛夷の芽 南奉栄蓮 風土 201005
工房の窓の明るし辛夷の芽 東芳子 酸漿 201005
さんざめく辛夷の花芽散居村 市川稲舟 201005
ゆふぐれの坂を登りて辛夷かな 東亜未 あを 201005
一斉に空を指しをり花辛夷 宇治原弥幸 201006
烈士の碑永遠に遺りて花辛夷 竹内悦子 201006
風騒ぐ空と対峙の辛夷かな 今村通子 末黒野 201006
冤罪の嘘も種切れ辛夷咲く 鴨下昭 201006
辛夷咲く白の色合ひ気品あり 佐藤健伍 201006
夕空をさつとひとはき花こぶし 池田光子 201006
花辛夷散らかつてゐる青き天 原田達夫 201006
辛夷咲く庄屋の末の散り散りに 森岡正作 201006
日帰りがつねの上京辛夷咲く 大畑善昭 201006
辛夷咲く風裏返しうらがへし 中島あきら 201006
夜の闇のかくしきれざる花辛夷 栗原公子 201006
扁額に拈華微笑や辛夷咲く 神蔵器 風土 201006
辛夷咲く筆こまやかに絵付して 宮川みね子 風土 201006
雨の日の咲きためらへる花辛夷 田所洋子 雨月 201006
辛夷咲き天の鼓動をとらへたる 柴田昭子 雨月 201006
山恋へば雲より白き花辛夷 柴田昭子 雨月 201006
幣辛夷少し傾ぎし古鐘楼 壁谷猪一 201006
花こぶし雲の流れのほぐれけり 田中文治 火星 201006
さざ波と睦みて辛夷咲きにけり 友野よし子 酸漿 201006
田に水の満ちゆく辛夷月夜かな 大野崇文 201007
山腹に光る寺屋根花辛夷 廣瀬雅男 やぶれ傘 201007
花こぶし実習生の乳搾り 宮内とし子 201007
少年に雄ごころ辛夷咲きにけり 柴田歌子 201007
こぶし咲く六甲越えの魚屋道 福本郁子 火星 201007
常念岳の吐く雲迅し花辛夷 田中幹也 万象 201007
雑木山つなぎ信濃の花辛夷 小林愛子 万象 201007
見るとなく目に入る朝の幣辛夷 阿部ひろし 酸奬 201008
古墳とも伝はる小山辛夷咲く 木村コウ 酸奬 201008
花辛夷一本道のつづきをり 家塚洋子 酸奬 201008
リハビリの専門医院辛夷咲く 瀬島洒望 やぶれ傘 201008
野の疾風白さきがけて花辛夷 佐藤いね子 馬醉木 201012
未完の塔辛夷の白にふれたくて 伊藤希眸 京鹿子 201101
身の内に開く辛夷と思ひけり 加藤千津 ろんど 201009
花辛夷咲く坂道を偲ぶのみ 稲畑汀子 ホトトギス 201104
いつせいに辛夷の空となりにけり 外川玲子 風土 201104
辛夷咲く空をもつとも信じをり 山尾玉藻 火星 201104
銅山の坑口辛夷あかりかな 小林和子 風土 201105
花辛夷咲き満ちてより風の日々 中嶋昌子 春燈 201105
原発も地震もなければ辛夷日和 北川英子 201105
落城史探る句友や咲く辛夷 井関祥子 酸漿 201105
家族みな無事です辛夷かがやけり 田中藤穂 あを 201105
単一の品切れ続く白辛夷 森理和 あを 201105
地震の揺れ忘れられずに辛夷咲く 須賀敏子 あを 201105
国難を越えよのエール辛夷咲く 三川美代子 201106
木霊とも風の声とも辛夷咲く 稲田和子 201106
辛夷咲く「北国の春」歌へまた 谷口俊郎 201106
辛夷の芽ひとづてに聞く消息も 高田令子 201106
咲き満つる辛夷や募金に行く朝 藤原若菜 春燈 201106
秀次の塚の辛夷に長居せし 奥田順子 火星 201106
原子炉を包み込む地震花辛夷 鴨下昭 201106
空襲の夜空忘れじ花辛夷 米山喜久子 201106
青空に風致眩しき花辛夷 渡辺安酔 201106
花辛夷時の氏神まかりこし 石脇みはる 201106
辛夷月夜や罹災地へ思ひ馳せ 千田百里 201106
母の忌のすでに傷める辛夷かな 松本三千夫 末黒野 201106
満を持す辛夷の蕾並木道 山口博通 ぐろっけ 201106
辛夷咲く眼下にくねりし信濃川 原田敦子 酸漿 201106
やはらかき光の中や花辛夷 石原光徳 酸漿 201106
池の面にしきりに落つる花辛夷 工藤美和子 酸漿 201106
画布として快晴の空辛夷映ゆ 内藤美重子 酸漿 201106
大地震知らぬ振りして花辛夷 門伝史会 風土 201106
美し国どこぞへ行きぬ花辛夷 相良牧人 201107
空の色隠す大樹の辛夷かな 村高卯 201107
ぼうぜんとただ呆然と辛夷咲く 高田令子 201107
花びらを文結ふ形に花辛夷 加藤静江 末黒野 201107
悲しみに出遇ひて辛夷傷みけり 工藤節朗 201107
但馬路は谷間の里の辛夷咲く 浜福惠 風土 201107
ファンファーレ奏づるやうに花辛夷 森屋慶基 風土 201107
二時四十六分止まりしままに辛夷咲く 国分千恵 風土 201107
生きてねと祈る地震禍辛夷咲く 中尾廣美 ぐろっけ 201107
辛夷咲く見上げその時正直に 中田寿子 ぐろっけ 201107
停電の夕ベ明るき花辛夷 山口千代子 万象 201107
花辛夷抱き上ぐる嬰胸を蹴る 後藤桂子 万象 201107
姫辛夷権現さまを迎へをる 佐藤凉宇子 ろんど 201107
天地の揺れの空白辛夷咲く 福永尚子 ろんど 201107
山国の風のつめたし花辛夷 宮原悦子 雨月 201107
畑中の納屋に人声花辛夷 白石正躬 やぶれ傘 201108
花辛夷空の広さを雲移る 渡邉孝彦 やぶれ傘 201108
辛夷咲く笑ひ仏の当尾みち 雨宮桂子 風土 201111
暮れ残る空賑はせて幣辛夷 佐藤安子 末黒野句集 201203
やうやくに芽吹きし辛夷の高さかな 植田利一 春燈 201204
辛夷咲く変哲もなき山ながら 細野恵久 ぐろっけ 201204
風に吹かれ辛夷の若芽小指ほど 佐々木薫 かさね 201205
山風を聞きゐる墓や花辛夷 田中珠生 馬醉木 201205
辛夷咲き開けつぱなしの和紙の里 池田光子 201205
笑ふまでゆかぬくすくす辛夷の芽 箕輪カオル 201205
記念樹に辛夷残してシルバー去る 水野弘 ぐろっけ 201205
山なみの一つ雪嶺花こぶし 谷田部栄 万象 201205
二人分薬仕分けり花辛夷 山荘慶子 あを 201205
夕かげをひろひあつめて花こぶし 佐藤喜孝 あを 201205
御仏の説法印や辛夷咲く 神蔵器 風土 201205
金の卵と呼ばれし昔花辛夷 石川笙児 馬込百坂 201206
水飲んで朝のはじまる辛夷かな 近藤牧男 六月 201206
辛夷咲く里は茅葺鳶の笛 坂上香菜 201206
光とは違ふ明るさ花辛夷 安居正浩 201206
幣辛夷村は男綱に守られて 菅谷たけし 201206
軍用機の航跡高し花辛夷 藤原冬人 火星 201206
コーヒー濃し嬥歌の山の花辛夷 鴨下昭 201206
花辛夷受けとめきれぬ愛を措く 山本孝子 ろんど 201206
大寺の昼を鎮めて花辛夷 村上絢子 馬醉木 201207
自衛隊の官舎幾棟辛夷咲く 落合絹代 風土 201207
花辛夷風によろこび過ぎしかな 矢野百合子 201207
花辛夷開け放したる座禅堂 福島せいぎ 万象 201207
フクシマにつながつて咲く辛夷かな 鴨下昭 201207
つぶらな瞳園児きらきら花こぶし 池田光子 201207
記念樹と辛夷苗木を植ゑにけり 堀志皋 火星 201207
だんだんと雲近づきく花辛夷 松山直美 火星 201207
辛夷咲く白弁五輪散り忙ぐ 水野弘 ぐろっけ 201207
仰ぐたび白を失ひゆく辛夷 清海信子 末黒野 201207
里山の空をささへて辛夷咲く 鈴木加代子 末黒野 201207
目の前に辛夷咲く山露天風呂 廣瀬雅男 やぶれ傘 201207
北辛夷童はなべて無垢なる眸 園部早智子 ろんど 201208
夕辛夷染みある母の割烹着 古川忠利 ろんど 201208
辛夷よ辛夷奥羽山脈見えますか 古川忠利 ろんど 201208

 林昭太郎『あまねく』

一枚の空をあまねく白辛夷

能村研三 201302
辛夷咲き思ひ出遠くなりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201304
迷はずに辛夷の花の道標 稲畑汀子 ホトトギス 201304
辛夷→ 6      

2021年4月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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