辛夷 3     99句

立ちならぶ辛夷の莟行く如し    高浜虚子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
こぶし疵をおそれぬ白ほどく 山田弘子 春節 199503
夕空にさざなみたちぬ花こぶし 貞吉直子 馬醉木 199906
厩肥に湯気立ちゐたり山こぶし 野平和風 199906
浮雲を抱く明るさ花こぶし 穴澤光江 花菜風 199907
野の寺の空にも触れて花こぶし 穴澤光江 花菜風 199907
花こぶし手品師の鳩出番待ち 佐渡美佐子 ヒッポ千番地 199908
こぶし咲く坂登りゆくバスの数 辻のぶ子 俳句通信 200004
連れもつて乳癌検診こぶし咲く 高橋芳子 火星 200006
死者の出る病院裏門花こぶし 佐々木峻 ヒッポ千番地 200007
姫こぶし風も光も舞上る 梅田秀子 酸漿 200206
活けむため植ゑたりと聞く姫こぶし 岸本林立 雨月 200206
月山に風湧く音や花こぶし 菅原庄山子 春耕 200206
花こぶし鼻欠けてゐる磨崖仏 大塚禎子 春耕 200206
こぶし咲きぬ何時の間に齢重ねしか 北村香朗 京鹿子 200207
こぶし咲き鶲別れの声澄めり 家塚洋子 酸漿 200207
青天を区切る中庭花こぶし 相沢有理子 風土 200305
こぶし咲く丘の真上の飛行雲 三澤福泉 雲の峰 200305
花こぶし野鍛冶の湯だま匂ひけり 大谷茂 遠嶺 200306
ひとひらづつ放生池にこぶし散る 平田紀美子 風土 200306
山の日に沸くはこぶしよ國境 豊田都峰 京鹿子 200306
山裾の足場眺むるこぶしかな 山田怜子 遠嶺 200307

真砂女逝去

生前に決めし戒名こぶし咲く

遊橋恵美子 風土 200307
空中の電気工事や花こぶし 泉京子 帆船 200405
毎食の嚥下訓練花こぶし 相馬計太 帆船 200405
風のかげこぶしに見ては山住ひ 豊田都峰 京鹿子 200406
筑波嶺の天涯に花辛夷かな 柴田孤岩 草の花 200406
山端に辛夷わかせて国境 豊田都峰 京鹿子 200406
貫録を見ごとなまでに花辛夷 林日圓 京鹿子 200406
羽根ペンで描く辛夷の重さかな 木山杏理 京鹿子 200406
しづかさや辛夷の花の白が好き 大久保恵美子 遠嶺 200406
青空の似合ふ高さに花こぶし 真塩実 200407
白きこと一途に甲斐の花こぶし 村松夏魚 200407
ふるさとに戻る遊年花こぶし 中野了一 200407
山峡の村の家ごと辛夷咲く 大塚初江 200407
遠くまで来てしまひけり幣辛夷 石脇みはる 200407
閑けさに白の浮き立つ夜の辛夷 西村しげ子 雨月 200407
ハイウェイ蕾の固き花辛夷 岡本直子 雨月 200407
御柱の山出し辛夷咲き揃ひ 密門令子 雨月 200407
あけがたの夢のうつつを花辛夷 長沼三津夫 200407
晩学の我を励ます花辛夷 永田歌子 遠嶺 200407
手話の手のひらひら辛夷咲くやうに 福嶋千代子 200407
濡れ縁や庭に辛夷の咲き初めり 田澤初枝 遠嶺 200408
辛夷咲く傷なき空のありにけり 九万田一海 河鹿 200408
こぶし咲く尺貫法の早見表 斎藤和江 帆船 200412
朝空の張り弛まざる花辛夷 杉田智栄子 馬醉木 200412
辛夷の実はぜて真赤や子安神 江崎成則 栴檀 200501
花こぶし千の羽音となり吹かる 松内佳子 百鳥 200502
一瓣のはらりと解けし辛夷かな 富安風生 200503
辛夷咲く坂を登りてふり返る 稲畑汀子 ホトトギス 200504
辛夷咲く道に出るより迷はずに 稲畑汀子 ホトトギス 200504
三階がちやうど辛夷の見ごろかな 佐藤喜孝 あを 200504
附属小の少女下校す姫辛夷 鈴木榮子 春燈 200505
銘石のあまたの黙や花辛夷 環順子 遠嶺 200505
辛夷咲く校舎の窓のしづけさに 星井千恵子 遠嶺 200505
沈み来る気配の大気辛夷冷ゆ 宮津昭彦 200505
青空に辛夷一弁解き放つ 中村功 築港 200505
辛夷咲く頭上注意と言はれても 土屋久美子 築港 200505
花こぶし白しもののふ潔し 小澤克己 遠嶺 200505
天地の生るる神話や辛夷咲く 有島扇水 河鹿 200506
末っ子にガールフレンド辛夷咲く 小林成子 200506
果すべき夢の数々花辛夷 水原春郎 馬醉木 200506
墓山の万燈辛夷の点きはじめ 池元道雄 馬醉木 200506
花辛夷新たな暮らし始まれり 堀本祐子 遠嶺 200506
パレットに青しぼり出す辛夷かな 中田禎子 200506
禅林の空を覆ひし辛夷かな 市川玲子 春燈 200506
炭竈に残るぬくもり辛夷咲く 小橋末吉 対岸 200506
遠目にも空と睦みて花辛夷 尾高せつ子 200506
山峡の闇動きけり辛夷咲く 高橋ちよ 200506
花辛夷結びみくじの如く咲く 藤田八重子 築港 200506
木蓮と辛夷の区別わかりけり 長谷川昌子 帆船 200506
花辛夷息ととのへてゐるやうな 関根洋子 風土 200506
辛夷咲き雑木林に誘はるる 国分七穂 酸漿 200506
辛夷咲きダム一景を耽美せり 鈴鹿仁 京鹿子 200506
大辛夷一村の空明けやらず 原田達夫 虫合せ 200506
底ぬけに明るき薩摩辛夷咲く 須原正三 200506
また少し辛夷の蕾通学路 松永ハツエ 200506
わが道の万物斉同花こぶし 小澤克己 遠嶺 200506
花辛夷気張らずまとふ木綿縞 細川知子 ぐろっけ 200507
咲き満ちて辛夷は宙に羽ばたけり 大竹淑子 風土 200507
人よりも星に親しき花辛夷 大庭三千枝 200507
辛夷咲きまだ雪嶺の八ヶ岳 阿部ひろし 酸漿 200507
との曇る古刹に仰ぐ辛夷かな 増田八重 酸漿 200507
花辛夷雄鶏多き鶏舎かな 田中敬子 百鳥 200507
暁天の青を深める花辛夷 石川賢吾 200507
渓流に日の躍りこむ花辛夷 高橋さえ子 200507
父逝きて母逝きていま花辛夷 宮尾直美 200507
頂までこぶし点々と有馬山 長瀬節子 ぐろっけ 200507
鎌倉も北のはづれの花こぶし 藤井昌治 200507
杉山の吐息のごとく花辛夷 村上沙央 200508
ももいろの辛夷の苗を買ひにけり 高倉恵美子 200508
花辛夷羊蹄山は雲を被て 井手由紀江 築港 200509
子の進路いまだ辛夷の萼鎧ひ 田所節子 涼しき嵩 200511
空深く咲いて青帯ぶ花辛夷 田所節子 涼しき嵩 200511
かはたれの空濡れてをり花辛夷 楠原幹子 白卓布 200602
綿を着て冬仕度なり辛夷の芽 小松鈴子 酸漿 200602
美術館の裏手明るし辛夷の芽 竹内弘子 あを 200603
花辛夷白に光をとり込めり 稲畑汀子 ホトトギス 200604
山肌に孤高の白は辛夷かな 稲畑汀子 ホトトギス 200604
遠近に辛夷灯りて山の暮 千手和子 馬醉木 200605
辛夷4→      

 

 

2021年4月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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