辛 夷 6       200句

風立ちし辛夷の花に紅はしる   高島茂   鯨座

作品
作者
掲載誌
掲載年月
花辛夷散らさぬやうに墨打てり 山尾玉藻 火星 201304
万蕾の辛夷に雨の上がりけり 久留米脩二 馬醉木 201304
辛夷咲き思ひ出遠くなりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201304
吹き降りのあとの碧空辛夷の芽 窪田粧子 馬醉木 201304
昨夜の雨辛夷の苞をぬがせけり 石田厚子 馬醉木 201305
花こぶし宙へ心を放つべく 七田文子 201305
じやんけんの「ぐー」で始まる花辛夷 宮内とし子 201305
芽吹き初めし辛夷に触れてみたきかな 植田利一 春燈 201305
雑念は空に溶けゆく花辛夷 安田とし子 ぐろっけ 201305
辛夷咲きコンクラーベの白けむり 北川英子 201305
青空に辛夷きは立ちゴッホ展 松田洋子 201305
青空や白雲のごと辛夷咲く 柳田晧一 かさね 201305
まさをなる空をひきしめ辛夷の芽 森清堯 末黒野 201306
天を指す枝々なべて辛夷の芽 鈴木石花 風土 201306
半世紀のホ句の絆や辛夷咲き 隅田恵子 雨月 201306
花辛夷空の青さへ溢れけり 青野安佐子 201306
花辛夷脇参道のぬかるみて 渡邊孝彦 やぶれ傘 201306
小走りに戻る夜道や花辛夷 川村亘子 末黒野 201306
沼廻る八千七十六歩辛夷咲く 鈴木石花 風土 201306
記念樹の辛夷の咲くを見にゆかん 谷村幸子 201306
辛夷咲き少年逢ふ度違ふ顔 小西和子 201306
辛夷咲き白の世界を満喫す 佐藤健伍 201306
一斉に咲きし辛夷の白さかな 青木英林 かさね 201306
空までが明るくなりぬ花辛夷 山村幸苑 馬醉木 201306
古民家の太き柱や花辛夷 塩路五郎 201306
満開の辛夷の下で鬼ごっこ 水上貞子 ぐろっけ 201307
朗笑のはじめは山の花辛夷 松川悠乃 ろんど 201309
花辛夷石切山のてつぺんに 瀧春一 花石榴 201312
棟上や辛夷冬芽のぬかりなし 田中貞雄 ろんど 201401
名は知らず辛夷の家とおぼえけり 五十嵐章子 201401
冬空に万才をせる辛夷の芽 大日向幸江 あを 201402
産毛ゆたかに冬芽びつしり幣辛夷 松本三千夫 末黒野 201402
出漁の明日をうらなふ幣辛夷 柴田近江 201402
青き空辛夷大樹に蕾満つ 宮川みね子 風土 201402
ひとり身を問はれてをりぬ夕辛夷 久保久子 湖心 201402
天を指す希望のかたちこぶしの芽 望月晴美 201404
花辛夷の色とんでくる山の声 山田六甲 六花 201404
潭身の闇もて開く白辛夷 能村研三 201404
青空のなほ青々とこぶしかな 田尻勝子 六花 201404
校庭に響くオルガン花辛夷 上原重一 201405
子規庵のひかりの礫こぶしの芽 小林成子 火星 201405
良く笑ふ少女の晧歯花辛夷 鈴木良戈 201405
みちのくへ行くをためらふ辛夷の芽 荒木甫 201406
日当たりて産毛たてたる辛夷の芽 井浦美佐子 201406
緋桜と隣りて競ひ幣辛夷 小川玉泉 末黒野 201406
膨らみのほどよき頃や辛夷の芽 有本南陵 ろんど 201406
辛夷見て伎芸天見てけふ足りし 戸田春月 火星 201406
辛夷咲き全山動く気配あり 熊川暁子 201406

 悼・俊介さん

君偲ぶ辛夷の天の青さにも

安立公彦 春燈 201406
一本の白き道あり辛夷咲く 村田岳洋 ろんど 201407
バスを待つ正面辛夷咲初むる 橘正義 春燈 201407
日暮れには踊り出しけり姫辛夷 廣畑育子 六花 201407
暮れなづむ後山や風の花辛夷 久布白文子 馬醉木 201407
満開の辛夷に風の自在かな 紅谷芙美江 万象 201407
花辛夷ひかりひとひらづつ零す 上野紫泉 京鹿子 201407
面影は幣のこぶしのくれなゐに 岡山敦子 京鹿子 201407
藁屋根のやさしき反りや花辛夷 成田美代 201407
辛夷咲き中洲持ち上げゐたりけり 住田千代子 六花 201407
交番の脇のこぶしの開きけり 松村光典 やぶれ傘 201407
ひらくより風のとりこの花こぶし 太田昌子 馬醉木 201407
辛夷咲く茅葺の家夕餉時 藤波松山 京鹿子 201408
峡泊り辛夷明かりの長廊下 吉田きみえ 末黒野 201408
空青し足場の下の花辛夷 松川悠乃 ろんど 201408
こぶし咲く神慮の白をふたつ三つ 佐瀬晶子 ろんど 201408
辛夷の芽煙のごとき雨過ぎぬ 田代貞枝 201410
花辛夷入院患者たちも来る 嶋田一歩 ホトトギス 201411
湧きてまた流れる雲や花こぶし 上田由姫子 京鹿子 201501
魁の力を誇張こぶしの芽 坂上香菜 201504
辛夷咲く真昼の池を暗くして 高橋泰子 201504
花辛夷遠くに望み里ごころ 笠井敦子 201505
電線の交叉する街辛夷咲く きくちきみえ やぶれ傘 201505
ヘッドライトに花びら動く辛夷かな きくちきみえ やぶれ傘 201505
花辛夷極上の空たまはりぬ 本多俊子 201506
花辛夷白き伊吹と向ひ合ふ 平居澪子 六花 201506
荒壁に吊す竹籠花辛夷 福島せいぎ 万象 201506
花辛夷見馴れし町を見直せり 名和政代 万象 201506
たましひはみな上を向く花こぶし 杉本薬王子 風土 201506
咲満ちて朝の光の辛夷かな 小山繁子 春燈 201506
母の忌を待たで辛夷の傷み初む 松本三千夫 末黒野 201506
花辛夷たかまる谷戸の水の音 吉田きみえ 末黒野 201506
南より雲開きゆく花辛夷 古川夏子 201506
大辛夷ま昼の空のシャンデリア 熊川暁子 201507
花こぶし村に一つのネオンかな 宮ア高根 201507
旧友の便り短し花辛夷 和田紀夫 201507
一途とは山ふところの花辛夷 江澤弘子 201507
鬨の声秘するごとくに花辛夷 成田美代 201507

 植村幸北逝く

全きを保つ辛夷の花に逝く

鴨下昭 201507
夕闇を拒んでゐたる花辛夷 笹倉さえみ 雨月 201507
辛夷咲き安曇野の里暮れなづむ 蒲田雅子 雨月 201507
咲き満ちて風に応ふる花辛夷 武生喜玖乃 雨月 201507
夕闇に辛夷舞ひたる白さかな 佐藤晴子 万象 201507
蒼天へ花を広げて辛夷咲く 杉浦一子 万象 201507
妖精の乱舞や風の花こぶし 鈴木静恵 花こぶし 201508
つり橋の下は清流花辛夷 遠山のり子 201508
野外ミサ辛夷は百の花掲げ 岡淑子 雨月 201508
花辛夷夕べは空が軽くなり 祐宗千代子 雨月 201508
辛夷咲き夜空明るくしてをりぬ 赤川誓城 ホトトギス 201510
農具市立ち喝采の花辛夷 森岡正作 201605
残心の白と思へり花辛夷 七田文子 201605
百名山踏破は遥か花辛夷 柳橋繁子 201606
花辛夷健気な嘘をつき通す 吉武美子 201606
花辛夷無住寺の空覆ひけり 藤沢秀永 201606
白雲と粉ふばかりの辛夷かな 山内洋光 201606
街路樹の辛夷や街を楽しくす 井上春子 春燈 201606
野良着乾す庭に辛夷の咲き始む 松本鷹根 京鹿子 201606
あの光る一つに賭ける花辛夷 高木晶子 京鹿子 201606
村人の守れる古寺幣辛夷 山田由利枝 雨月 201606
教会のクルスの影に花辛夷 蒲田豊彦 雨月 201606
外湯への暗がり百歩山辛夷 福永みち子 馬醉木 201606
遠比叡や辛夷あかりの虫籠窓 河前隆三 馬醉木 201607
道問へば辛夷の横と答へ呉れ 大石喜美子 雨月 201607
連らなれる嶺を明るく花辛夷 多方清子 雨月 201607
辛夷咲き山の水音高まりぬ 遠藤逍遙子 風土 201607
谷戸奥の要となりぬ花辛夷 森清堯 末黒野 201607
野暮用の区役所前や辛夷咲く 小沼ゑみ子 末黒野 201607
家訪へば辛夷咲く角曲れよと 矢野百合子 201607
魔羅くろき若き立像辛夷咲く 渡邊孝彦 やぶれ傘 201608
焼きたてのパン買ふ予後や花辛夷 森俊人 201608
純子句碑山に辛夷の花あふれ 福島せいぎ 万象 201610
杖を止め見下ろす坂の花辛夷 小川玉泉 末黒野 201704
山路来て辛夷は遠く見る花か 石井秀一 風土 201705
三叉路に空き地空き地に花辛夷 きくちきみえ やぶれ傘 201705
青空の辛夷の花がくづれけり 藤井美晴 やぶれ傘 201705
点描の光木の間に花辛夷 田所節子 201705
祈りとは白一斉の幣辛夷 大沢美智子 201705
花辛夷美濃の古老の話好き 井上正子 春燈 201705
せせらぎの光に咲くや花辛夷 黒滝志麻子 末黒野 201705
蒼天へ弾く児の声花辛夷 松橋輝子 末黒野 201706
みちのくの山裾濃なり辛夷咲く 広渡敬雄 201706
森深く消ゆる道あり辛夷咲く 吉田順子 201706
夕月に千の帆を張る花辛夷 鈴木漱玉 馬醉木 201707
罐蹴りの缶青空へ花辛夷 栗山恵子 雨月 201707
拾い読む賢治の詩集花辛夷 間島あきら 風土 201706
魁けてわが家の辛夷咲きたるや 野沢しの武 風土 201706
ぎんいろの雲薄墨の花辛夷 内藤静 風土 201706
やはらかき風に傷みし花辛夷 笹村政子 六花 201707
一斉に空押し上げて花辛夷 押田裕美子 201706
花辛夷峡の青空広がれり 吉野美智子 万象 201707
辛夷咲く一家六人トタン屋根 平井奇散人 船団 201707
花辛夷風の形に開きたる 矢野百合子 201707
纔か枝見せて満開幣辛夷 園部蕗郷 春燈 201708
緑蔭や辛夷の青き実を握り 田中臥石 末黒野 201710
花辛夷めき裸木に残る雪 はしもと風里 201803
和毛めく辛夷の花芽緩びをり 山口郁子 末黒野 201804
山峡の水の滾りに咲く辛夷 松本鷹根 京鹿子 201805
辛夷咲く人の気配の無き夕べ 上谷昌憲 201805
生も死もこの世のならひ辛夷咲く 柴崎英子 201805
辛夷咲く花の向うに赤城山 廣瀬雅男 やぶれ傘 201805
ぬか雨の辛夷を見たり道すがら 渡邊孝彦 やぶれ傘 201805
白面の羽生結弦や花辛夷 森なほ子 あを 201805
山なかの宿は辛夷の夜明けかな 井上石動 あを 201805
谷川の淵のみどりに辛夷の芽 升田ヤス子 六花 201806
辛夷咲く標高五百友の故郷 平居澪子 六花 201806
俎板を日に干す山の辛夷晴 宮坂恒子 201806
雨あとの今日の日和や花辛夷 大沼遊色 201806
曇る日はくもる明るさ花辛夷 菊地光子 201806
夕映えの河口の要花辛夷 小形博子 201806
さよならの五時が明るい花辛夷 火箱ひろ 201806
辛夷咲き村のくまなく動き出す 川田好子 風土 201806
みどり児の手より大きく花辛夷 黒滝志麻子 末黒野 201806
落日の空に紛れず花辛夷 森清信子 末黒野 201806
湖の上に月あり花辛夷 岡本尚子 風土 201807
辛夷散つて空の高さの戻りけり 小山田子鬼 201807
天界に散華のごとく花辛夷 藤田美耶子 201808
祈りとは白一斉の幣辛夷 大沢美智子 旬日 201808
朝な朝な空へ白増す辛夷かな 佐々木あつ子 やぶれ傘 201808
青空の奥へ奥へと花辛夷 贄田俊之 やぶれ傘 201808
はつはつと辛夷は白をふやしゆく 小原芙美子 風土 201811
花辛夷愁眉をひらくロダン像 酒井たかお 201902
大空へ晴れ晴れと咲く辛夷かな 山田邦彦 201902
ビルとビルの狭間の空に辛夷の芽 大山夏子 201902
辛夷咲くや書家ひたすらに墨をする 中澤弘 春燈 201905
日の暮や白を汚さず花辛夷 片桐紀美子 風土 201905
遠富士に朝雲の浮き花辛夷 片桐紀美子 風土 201905
辛夷咲く雨の明るく降りにけり 谷口一献 六花 201905
花辛夷うすうすと山連なりぬ 佐久間敏高 201905
リフォームの終はりし家や辛夷咲く 須賀敏子 あを 201905
トンネルの東口白辛夷かな 小林のり人 春燈 201906
雲去りて満開と知る辛夷かな 高木嘉久 201906
辛夷咲くドラムの響く港町 陽山道子 船団 201906
辛夷咲く雨の綺麗に上がりけり 谷口一献 六花 201906
一雨の辛夷見上げて昼の月 大内幸子 六花 201906
満を持し一気に開く辛夷かな 高木邦雄 末黒野 201906
池の辺の白き茶寮や幣辛夷 福田禎子 末黒野 201906
若き日の捨てきれぬ夢花辛夷 堀江久子 末黒野 201906
飛ぶさまに辛夷の花の百あまり 野村重子 末黒野 201907
満月に触るるばかりや花辛夷 新井八重子 末黒野 201907
青空を喜びすぎて花辛夷 涌羅由美 ホトトギス 201908
祖谷渓に家の四五軒辛夷咲く 泉一九 やぶれ傘 201908
はね返す力をためて辛夷の芽 安食哲朗 201910
雀かと思ふ辛夷の枯葉落ち 藤井美晴 やぶれ傘 202002
辛夷咲くいつもの道を通り来し 稲畑汀子 ホトトギス 202004
辛夷咲きいつもの道とならざりし 稲畑汀子 ホトトギス 202004
一片も散らぬ辛夷の三日目に 稲畑汀子 ホトトギス 202004
枝々に辛夷の莟昼の月 渡邉孝彦 やぶれ傘 202005
夕暮れて辛夷の花の浮かび咲く 加倉井たけ子 202005
慈渓比響信女たりとや辛夷咲く 木村嘉男 202005
岳麓の風荒あらと花辛夷 稲葉三惠子 馬醉木 202005
一村に減りし土蔵や花辛夷 栗山よし子 馬醉木 202005
辛夷咲くちりめん街道蚕絲神 延川五十昭 六花 202006
姫辛夷一枝手折りて姑の客 大内幸子 六花 202006
辛夷 →7      

2015年4月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
15/04/07