北 風 2   200句

北風やあをぞらながら暮れはてゝ    芝不器男


作品
作者
掲載誌
掲載年月
妻のさびしき顔を北風に連れありく 渡邊友七 あを 200905
肌をさす北風がよし鰺開く 荒木常子 200906
飛魚北風や男を待てる力石 柴田佐知子 垂直 200907
飛魚北風や夕日を足して魚乾く 木村公子 花貝母 200911
北風や縄跳びの子ら散り散りに 八木久江 馬醉木 201001
仏前にホットコーヒー北風吹く日 中川すみ子 201001
推敲の音を絞れば北風小僧 禰寝瓶史 京鹿子 201002
北吹くや岩屋の楔錆びにける 前田美恵子 201002
北吹くやナナハンで来る三四郎 相良牧人 201002
次々弟北風小僧の寒太郎 貝森光洋 六花 201002
年金の話へ北風の割り込めり 松井志津子 201002
荒北風に地軸傾げる心地して 岡佳代子 201002
雨止むと水郷に北風吹くといふ 岩木茂 風土 201002
太陽の塔なほ泰然と北風まかせ 川井秀火 ろんど 201002
絡みあふ朝鳥のこゑ大北風 水野あき子 遠嶺 201003
すさまじき鳥葬白き骨に北風 泉田秋硯 201003
北風の耳打つ伝法院角に 大島英昭 やぶれ傘 201003
北風のロック座の角サンバ鳴る 藤井美晴 やぶれ傘 201003
帆綱鳴るけふは北風の弦となる 田中貞雄 ろんど 201003
強北風に母まざまざと逝かすまじ 小澤克己 遠嶺 201004
北風吹いて干物の眼窪みけり 久本久美子 春燈 201004
北風や道に輪止めの人力車 渡邉孝彦 やぶれ傘 201004
北風の棲む厨にガスの華咲ける 中島ひろし 末黒野 201004
北風の街タクシーの黒ばかり 那須淳男 馬醉木 201004
北風が北風を呼ぶかくれんぼ 松本圭司 201004
母危篤なりけり背戸に北風強し 小澤克己 遠嶺 201004
北風強し妻に足湯を使はする 小川玉泉 末黒野 201005
北風に雨雲退りゆく夜空 稲畑汀子 ホトトギス 201011
北風に出そびれてゐし朝かな 稲畑汀子 ホトトギス 201012
傘とられたるは北風なりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201012
荒北風や橋桁に鳴る工事幕 紀川和子 201102
北風吹く夜弔辞にもらふ熱きもの 千田敬 201102
北風を吸ひて電車を待ちにけり 白石正躬 やぶれ傘 201102
下り坂ペダル踏む児を北風が押す 高橋大三 ぐろっけ 201102
残生の祈願北風さけられず 中山皓雪 201103
北風の攫ふものなし細り月 松平菩提子 京鹿子 201103
北風の六区や極彩色のきもの吊り 千田百里 201103
磯馴松北風吹く方へ順へり 中本吉信 201103
枯れもせず北風受くる川柳 小川玉泉 末黒野 201104
魞を挿す湖北風情の夫婦舟 中川すみ子 201104
外濠の城壁に鳥北風を避け 久保晴子 雨月 201104
北風や人群れ通す雷門 橋本之宏 風土 201104
北風や鬼子母神への石の道 橋本之宏 風土 201104
北風に碑は城郭の構へかな 横井博行 万象 201104
北吹くやメモしつかりと小買物 渋谷ひろ子 酸漿 201104
白鳥の相寄る北風のつのる中 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
河馬は寝るただ北風のぴーぷーと 安藤久美子 やぶれ傘 201106
朝北風に体操仲間肩を組み 大日向幸江 あを 201112
丸の内高層ビルを縫うて北風 稲畑廣太郎 ホトトギス 201201
靡くもの北風に従ひをりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201201
北風や湖北の駅の小座布団 辻知代子 201201
北風に霊峰いよよくつきりと 稲畑廣太郎 ホトトギス 201201
北風にスカイツリーの磨かれて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201201
北風の 海礁 いくり に波の伸びあがる 久保東海司 201202
北風逃れ声取り戻す車内かな 中本吉信 201203
北風に吹落されて地下酒場 片山博介 春燈 201203
荒北風やみやらび句碑の小石飛ぶ 伊舎堂根自子 万象 201203
北風に揺れる木の影硝子窓 湯本実 やぶれ傘 201204
外つ国の人の饒舌北風に乗る 赤座典子 あを 201204
北風に向かう羽毛と空気着て 永塚尚代 ぐろっけ 201204
部活の子北風(きた)向く先頭交代し 福田かよ子 ぐろっけ 201204
また北風の強まる鼓動遠あかり 大豆生町耕一 ろんど 201204
大北風や人寄せつけぬ荒磯海 松本信子 かさね 201205
北吹くや遅れ遅れの特急車 渡辺安酔 201205
回転ドア一緒に入りし北風吠ゆる 嶋田摩耶子 ホトトギス 201206
なほ強く君とつなぐ手北風の中 宮田香 故郷 201207
北風に煽られ縋るかづら橋 橋本靖子 201301
元気犬北風小僧に叩かれよ 前田玲子 ぐろっけ 201302
うしろより北風が耳吹く除幕式 野上杳 201302
北風を行くわれらに命一つづつ ほんだゆき 馬醉木 201302
北風激しにはかに湧きし鳥柱 和田照海 京鹿子 201302
北風吹いて童話のやうに衿合はす 国包澄子 201302
北風を美山の母の声と聞き 山崎里美 201302
北風を脱ぎつつ宴の座を得たり 豊田都峰 京鹿子 201302
北風や尼僧の耳のうひうひし 宮崎左智子 201302
北風に手を出すものの怒髪なる 豊田都峰 京鹿子 201302
北風に骨身を晒す白樺 丸山酔宵子 かさね 201302
大北風や巖を砦の磯馴松 不破幸夫 馬醉木 201303
大北風や漁師殺しと聞かさるる 相良牧人 201303
金堂の列柱北風を振分けて 渡会昌広 馬醉木 201303
北風や自転車の稚児眉八の字 斉藤裕子 あを 201303
北風吹くや考批は胸に還りくる 神田恵琳 跫音 201303
北風吹きて湯屋の暖簾の「ゆ」の揺らぎ 笹井康夫 201303
北風を物ともせずに美脚の娘 斉藤裕子 あを 201303
北風の尖りさらりと招き猫 鈴鹿仁 京鹿子 201303
北風がいつでも止まる精神科 松田都青 京鹿子 201303
みちのくの北風に抗ひ杖をひく 味村志津子 雨月 201303
空を飛ぶビニール袋北風吹けり 坂上香菜 201402
北風を両手広げて抱ふる児 黒住康晴 201402
北風吹く厨に道了尊の札 大日向幸江 あを 201402
北風吹くや両毛の山彫り深め 高橋あさの 201402
北風や透き通る水槽川魚 長崎桂子 あを 201402
北風や窓をひとつに昨日今日 豊田都峰 京鹿子 201402
北風や三輪車の児へ容赦無く 土井久美子 201402
北風に真向かふ馬上の晋作像 梅村すみを 201402
自動ドア出てより北風に打たれたる 国包澄子 201402
父の声なほ耳にあり北風吹かば 宮越久子 201402
不二彩雲北風の歌沸きおこる あかさか鷹乃 ろんど 201402
高階を鎧ふ総玻璃北風去なす 千田敬 201402
灯台や北風の碧さを鳶の舞 堺昌子 末黒野 201403
北風吼えて峻拒の構へ東尋坊 山崎青史 ろんど 201403
北風の雑木林に入りし音 白石正躬 やぶれ傘 201403
北風が吹き抜けて行く高架駅 西田史郎 201403
北風が呼ぶから高速バスに乗る 火箱ひろ 201403
小柄の身更に縮めて北風に 久保晴子 雨月 201403
大方はすぢ雲北風となりにけり 大島英昭 やぶれ傘 201403
北風を背に太陽を真向かひに 松村光典 やぶれ傘 201404
北風の中ペンギン嬉々と遊びける 坂根宏子 野山の道 201404
日本が好きで北風やつてきし 高橋将夫 201404
北風に古り雨風に古る家もわが家 石坂比呂子 ろんど 201405
北風強きカフェのテラスの二人かな 佐藤喜仙 かさね 201405
北風やちぢめたる身に入り来る 中堀倫子 201405
北風に向かうて力得たやうな 岩村惠子 ホトトギス 201405
北風に吹き上げられし昼の月 大久保白村 ホトトギス 201406
ふるさとは北風さへも心地よく 大久保白村 ホトトギス 201406
北風に向かふ着陸一とゆらぎ 稲畑汀子 ホトトギス 201412
東京は北風に荒るると着陸す 稲畑汀子 ホトトギス 201412
飛魚北風や波止場に古りし塩倉庫 荒井千佐代 201501
北風に舞ひて競馬のはづれ券 鈴木セツ 201501
富士壺の船の横腹北風鳴れり 山本耀子 火星 201501
新北風 ミーニン や痣のみどりの古びゆく 前田貴美子 万象 201501
北風の鵯がとらへし槻の枝 水原秋櫻子 馬醉木 201501
北風にのりて届きぬ忌の知らせ 大日向幸江 あを 201502
星は宝石つくば北風に研ぎ出され 千田百里 201502
北風の打擲受くる岬径 加藤富美子 201502
北風やレーダーとなる猫の耳 鈴木セツ 201502
北風や雑魚投げ捨つる帰漁船 荒井千佐代 201503
北風や愚痴はこぼさぬ覚悟して 野村鞆枝 京鹿子 201503
北風と闘ふ/大丈夫か私 おーたえつこ 201503
荒海を撮る夫に蹤き北風の中 西村梛子 馬醉木 201503
北風が荒ぶばかりや高架駅 西田史郎 201503
立止まる辻に北風容赦なく 野中圭子 京鹿子 201504
北風や駅の灯りにほつとする 布川孝子 京鹿子 201504
橋よりの声を微塵に北吹けり 生田作 風土 201504
北風を右から受けて翁塚 上辻蒼人 風土 201504
北風やびりびりと鳴るレジ袋 小山陽子 やぶれ傘 201504
北風に蕎麦屋の幟はためいて 松村光典 やぶれ傘 201504
野良二匹寄り添ひ北風を遣り過す 森理和 あを 201504
黒北風の海の歳月東北忌 遠藤真砂明 201505
北風に衿の狐の毛立ちけり 落合由季女 雨月 201508
北風吹いて波止越え来たる濤蒼し 関桂二 201508
大北風や吃水深く漁船着く 原田達夫 箱火鉢 201511
強北風のこんがらがつて尾根を越ゆ 布川直幸 201512
北風や軒の雀の二羽足らぬ 篠田純子 あを 201601
頬染めし思ひ北風さらひけり 久保夢女 201602
テロリスト北風吹く蝉の穴あまた 佐藤喜孝 あを 201602
北風吹きて袋小路の落葉色 赤座典子 あを 201602
北風や目だけ出したる自転車乗り 斉藤裕子 あを 201602
北風や木々のうしろの虚言癖 佐藤きょうこ あを 201602
北風や幼稚園まで手を繋ぎ 田中藤穂 あを 201602
大北風や本音洩らさぬ意地つ張り 荒井千瑳子 201603
神木の樟のさわめき大北風 谷村祐治 雨月 201603
映画見て泣き北風に泣きにけり 根岸善行 風土 201603
だんだんに北風吹く午後となりにけり 大島英昭 やぶれ傘 201603
強北風に顔真っ直ぐと友来る 大日向幸江 あを 201603
北風を自在に鳶の恋飛行 岡田桃子 201604
風筋といふがありけり北風とても 河野美奇 ホトトギス 201605
韻をなす如く北風鳴りづめの宿 久保東海司 201605
北風に向く全身が音となる 山本素竹 ホトトギス 201607
烏瓜揺らす北風小僧かな 伊藤紫水 風土 201612
北風や離陸着陸一とゆらぎ 稲畑汀子 ホトトギス 201612
北風に現れ電飾に吸はれゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
雨やんで川辺は北風の来る気配 白石正躬 やぶれ傘 201701
北風の待ち伏せてゐるビルの角 高橋あさの 201702
北風は右顧左眄せず吹き抜ける 高橋将夫 201702
極彩の廟は眠らず北風強し 柿沼盟子 風土 201702
北風に行く一人の歩み信なくば 野中圭子 京鹿子 201702
強北風や拉致の浜より砂礫 大内和憲 万象 201702
島裏に北風はとどかず鳶の笛 小川玉泉 末黒野 201702
北風やトパーズ色の雲連らね 片桐帆一 万象 201703
北風吹けば白波砕け烏帽子岩 黒滝志麻子 末黒野 201703
大北風や海と競へる空の紺 加藤静江 末黒野 201703
大北風の槙高垣に力ぬく 加藤峰子 201704
韻をなすごとく北風鳴りづめの宿 久保東海司 201704
北風や姉さん被り屹度する 長崎桂子 あを 201703
北風に堪へし千年磨崖仏 岩田洋子 201705
北風に向ひ歩くと言ふ自由 数長藤代 201705
耳立てて北風遣り過ごす寒立馬 石黒興平 末黒野 201705
北風が中洲の森に来てをりぬ 兵藤惠 201801
大川の流れは北風に逆らはず 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
人類を葬るごとく北風荒ぶ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
噴水のしどろもどろに本北風 上谷昌憲 201802
濯ぎもの預け北風喜ばす 上野進 春燈 201802
北風に幟はためくラーメン屋 松村光典 やぶれ傘 201803
北風やタオルを首に作業員 永田万年青 六花 201803
北風や夕の街中背を丸め 秋山文子 末黒野 201803
北風に立ち向かふ人晶子なれ 大橋晄 雨月 201804
もう水を汲まぬ水車よ北風絡む 山中志津子 京鹿子 201804
蒼天や白き鳥居の北風に建ち 前原マチ 末黒野 201804
北風を避けてさ迷ふ地下迷路 布施由岐子 末黒野 201804
北風に幟はためくラーメン屋 松村光典 やぶれ傘 201804
残る葉は震へて北風(きた)の吹き止まず 小池一司 やぶれ傘 201804
北風とアンパンマンとタケちやんと 中島陽華 201805
吹き渡る北風のうなりや千枚田 森清信子 末黒野 201805
糶終へし築地市場に北風荒ぶ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201901
北風の折る太き煙や富士裾野 柿沼盟子 風土 201902
御明りの絶えぬ奥宮北風の中 川村欽子 雨月 201902
喫茶さぼうる北風に晒して赤電話 篠田純子 あを 201902
竹やぶに北風道にからす立ち 大崎紀夫 やぶれ傘 201903
北風と電車が通過する風と 大崎紀夫 やぶれ傘 201903
北風→ 3

 

2020年12月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。