毛 虫 2       122句

匍ひかけてまた掃かれたる毛蟲哉    仇兎

作品
作者
掲載誌
掲載年月
尻押して毛虫と遊ぶペンの先 大山里 200408
浦島草毛虫太りてをりにけり 堀義志郎 火星 200408
木の屑に交じつて黒き毛虫這ふ 西野通代子 築港 200408
目に力こめて毛虫を焼いてをり 橘澄男 山景 200408
金婚の筈の日独り毛虫焼く 石岡祐子 200409
美しき明日にむかひて毛虫はふ 中村重雄 百鳥 200409
渺茫の沖へ毛虫をぶら下げる 松本鷹根 京鹿子 200409
固まつて毛虫の陰謀何あるべし 淵脇護 河鹿 200409
曼陀羅の線描なぞり毛虫這ふ 藤田かもめ ぐろっけ 200409
雀来てつついてゐるよ黒毛虫 市場基巳 200410
幼子に褒められてゐる毛虫かな 高倉恵美子 200410
毛虫焼く株式欄に火をつけて 土屋利之 ぐろっけ 200410
毛虫焼く火色のしどろもどろかな 長田等 200412
飄然と毛虫が下がる朝の森 遠塚青嵐 200501
妖艶な君の如くに毛虫這ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200507
毛虫這ふ一族絶えし墓標かな 長戸喜久男 百鳥 200508
園児等に袖這ふ毛虫見せてをり 仲村洋子 百鳥 200508
大毛虫処分せし日の気の重く 庄野房女 築港 200508
火の毛虫われに救ひを求めたる 中杉隆世 ホトトギス 200509
毛虫はふ禍々しくも美形なり 中尾公彦 200509
大毛虫通行止の柵くぐる 渡辺清子 200509
毛虫焼く和尚の種火しづかなり 辻兎夢 200509
川音のしづかに毛虫だらけの木 戸栗末廣 火星 200510
割箸にはさんで捨てし毛虫かな 谷本まさ子 万象 200510
喧噪の輪の中に居る毛虫かな 瀬下るか 200510
ぞはぞはとふるふる焼かれゐる毛虫 飛鳥由紀 200510
大毛虫己が重さに落ちにけり 山下とし子 万象 200511
もこもこと歩む毛虫の一途もて 落合由季女 雨月 200511
金毛虫いまさら生き方変へずとも 山元志津香 八千草 200512
方位盤上を毛虫のさまよへる 江崎成則 栴檀 200512
豊作や毛虫の糞を笑ひつつ 黒田咲子 200601
僧一人しづかに老いて毛虫焼く 坊城俊樹 ホトトギス 200602
女木島の毛虫の記憶甦る 稲畑汀子 ホトトギス 200605
わけもなき殺意の靴が毛蟲逐ふ 瀧春一 瓦礫 200606
断末魔毛蟲の貌の口ばかり 瀧春一 瓦礫 200606
牙鳴らす毛蟲たちまち抹殺す 瀧春一 瓦礫 200606
毛虫までつけ来し菜とは知らず茹で 稲畑汀子 ホトトギス 200607
火の舌に追はれて毛虫立ちあがる 長田等 200607
ロココ調の玄関に這ふ毛虫かな 杉谷文江 200607
しばらくは這はせておいて毛虫焼く 岬雪夫 200607
植物園つーいと毛虫目の前に 篠田純子 あを 200607
明日香路やぶらんこ毛虫鼻先に 山下佳子 200608
妻病みて網戸の毛虫怖がれり 今井梔子 200608
殺生を厭ふも毛虫例外なり 山本漾子 雨月 200608
毛虫焼き報いの腫れか顔に手に 西村しげ子 雨月 200608
毛虫踏み新調の靴重くなる 泉田秋硯 200609
地に落ちて怖づこと知らぬ大毛虫 大信田梢月 万象 200609
おとうとの裾に毛虫の青き染み 吉田明子 200609
隣家の毛虫侵入し来る気配 久保晴子 雨月 200609
毛虫とて這はん山河襟帯に 豊田都峰 京鹿子 200609
雨意兆す結界越ゆる毛虫かな 生方義紹 春燈 200610
毛虫焼く焔しづかに起ち上り 木内憲子 200610
毛虫焼く私の中の罪と罰 桑原泰子 八千草 200612
毛虫焼く人に見られぬやうに焼く 荒井千佐代 200612
プライド高しこの金毛虫松毛虫 山元志津香 八千草 200701
金装いぶらんこ毛虫京の路地 中野英歩 八千草 200701
忍者似のぶらんこ毛虫着地何処 中野英歩 八千草 200701
青き火をまとひて毛虫焼かれをり 樋口みのぶ 200704
そんなこと言うたら毛虫つけたろか 稲畑廣太郎 ホトトギス 200706
毛虫出づ去年と同じ威し紋 太田実 ぐろっけ 200706
逃げながら糞を落とせる毛虫かな 山田六甲 六花 200707
あるがまま毛虫も笑ふ樹木園 斉藤裕子 あを 200707
益荒男の母たり毛虫焼いてをり 高久清美 200708
毛虫にも嫌いな葉っぱあるやうな 鎌倉喜久恵 あを 200708
もつさもつさ道のまなかを急く毛虫 上原重一 200709
毛虫焼く執行猶予なかりけり 友田直文 200709
茶毒蛾の毛虫の列に威嚇さる 北村香朗 京鹿子 200709
毛虫焼く夫へ助太刀つかまつる 田村園子 200709
碑をなぞる毛虫に「狂」の彫り深し 品川鈴子 ぐろっけ 200709
刑場跡くの字に曲がり毛虫落つ 石橋萬里 ぐろっけ 200709
遁走の大き毛虫に未来あり 田原陽子 200710
行く先の決めてあるらし大毛虫 市川十二代 ぐろっけ 200710
越冬の毛虫のくぐる四脚門 工藤ミネ子 風土 200711
道に出て毛虫どこまで行くつもり 高倉恵美子 200711
隣家の毛虫越境して来る 和田崎増美 雨月 200802
こがね虫寡黙に毛蟲饒舌に 岡本眸 200806
一日は毛虫退治に庭師来る 稲畑汀子 ホトトギス 200807
乾からびし去年の毛虫の風に散り 奥村鷹尾 京鹿子 200807
毛虫這ふ刑場あとの苔地蔵 品川鈴子 ぐろっけ 200807
朝より毛虫あやめて水打つて 渡邉美保 火星 200808
早すぎる毛虫の艀化に手順替え 岡野峯代 ぐろっけ 200808
糸振子毛虫くぐまり風あふる 勝野薫 ぐろっけ 200808
楠公さん参りて毛虫貰ひくる 唐鎌光太郎 ぐろっけ 200808
毛虫焼いてけがれし眼洗ひけり 北尾章郎 200809
基督をこころに招き毛虫焼く 遠藤若狭男 200809
隣人に見られつつ焼く毛虫かな 遠藤若狭男 200809
道端の毛虫に群れる蟻千匹 福島ゆき子 ぐろっけ 200810
毛虫焼く手筈本気になりてをり 青山正生 200810
人影にすさる毛虫のありにけり 荒井和昭 200810
太りたる毛虫が行手阻みけり 井口初江 酸漿 200811
パンフレットを毛虫が歩む天台寺 野沢しの武 風土 200902
聖堂の垣に白黒伊達毛虫 品川鈴子 龍宮の客 200904
だんだらの毛虫に垣の枝撓ふ 品川鈴子 龍宮の客 200904
混むバスに上着の襟を這ふ毛虫 品川鈴子 ぐろっけ 200906
尼寺や深閑として毛虫焼く 神蔵器 風土 200907
毛虫焼く不退転てふ頬かぶり 菅谷たけし 200907
美しく雨を弾いて毛虫這ふ 菅谷たけし 200907
毛虫毛虫急げ向かひはパラダイス 須藤トモ子 200908
尼寺跡の毛虫を踏んでしまひけり 大信田梢月 万象 200908
遠きより妻の見守る毛虫焼 橋本貞二 酸漿 200908
朝風や肥満の毛虫枝を落つ 前田鋭子 春燈 200908
怏々と夜を太りゆく梅毛虫 竹内弘子 あを 200908
亭主より憎くなけれど毛虫焼く 河口仁志 200909
焼くほうが悲鳴をあげて毛虫焼く 貝森光洋 六花 200909
石段をゆるゆる過る毛虫かな 渡邊孝彦 やぶれ傘 200910
毛虫焼く爪染め膠もなき顔に 江木紀子 雨月 200910
ころころと丸まり毛虫焼かれけり 井田実代子 雨月 200910
生垣の長き生家や毛虫焼く 高倉恵美子 200910
ふと思ふ我が身の火葬毛虫焼く 辰巳比呂史 200911
毛虫とて神の与へし生命持ち 安本恵子 201007
道草の毛虫同行二人かな 雨村敏子 201007
庭草が命の糧の毛虫の子 仁平則子 201007
一草を抜けばころりと大毛虫 仁平則子 201007
下がりきし毛虫に子等の無口なり 米山喜久子 201007
ふさふさと毛虫只今横断中 松岡和子 201009
毛虫焼く時に気丈な母となり 志野蕗子 201009
一張羅着たる毛虫の急ぎをり 山尾玉藻 火星 201009
掃き寄せて毛虫のいろの栗の花 杉浦典子 火星 201009
聖人のごとく黙せる毛虫焼く 大西まりゑ 酸奬 201009
胃閊へて夢も毛虫の蠢ける 品川鈴子 ぐろっけ 201102
わけありに石塀攀じる大毛虫 布川直幸 201105
たむろして謀議さなかの毛虫どち 布川直幸 201105
毛虫 →3      

 

2021年6月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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