4     200句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
青蛙道に跳び出て捕へらる 神蔵器 風土 200911
青蛙川の速さを過ぎゆけり 五十嵐紀子 200911
牛蛙孫に聞かせる一語欲し 松本鷹根 京鹿子 200911
いつからか蛙の鳴かぬ町に住み 川鍋明子 200911
馴れぬ地に耳聡くなる遠蛙 木村公子 花貝母 200911
よく見ればよき面構へ青蛙 足利徹 はらから 200911
模型船作りの小屋へ雨蛙 小宮寿子 遠嶺 200912
清澄寺森青蛙なきかはす 大内恵 酸漿 201001
夕蛙山裾の灯を田に映し 村上幸子 京鹿子 201001
寺寂ぶや水より昏く牛蛙 荒川美邦 京鹿子 201001
茅葺の大きな影の蛙月夜 豊田都峰 土の唄 201002
畝立ての土のぬくもり初蛙 鈴木礼子 末黒野 201004
出稼ぎの隣りの田へと呼ぶ蛙 中島玉五郎 201005
葉に透けて尻とんがれる雨蛙 山田六甲 六花 201005
夕蛙鳴き出し鍬を洗ふなり 武井美代子 万象 201005
田圃減り道は舗装路遠蛙 稲畑汀子 ホトトギス 201005
雨音と競ふ蛙の昼下り 長崎桂子 あを 201006
初蛙田の面にゆるみなかりけり 浜口高子 火星 201006
憚らぬ蛙合戦法の池 森清堯 末黒野 201006
又視線外れてしまふ雨蛙 稲畑汀子 ホトトギス 201006
疲れ身に眠気を誘ふ遠蛙 青野安佐子 201006
田蛙の声それきっり闇甘き 小澤菜美 201006
抽斗になにか詰まるや夜の蛙 中村恭子 201006
雨蛙微動だにせず疲れたり 布川直幸 201007
雨を呼ぶ鳴きゐて見えぬ青蛙 塩路五郎 201007
牛蛙遠くに聞いて明日香の夜 須賀敏子 あを 201007
初蛙屋根の摩詞迦羅(まはから)大笑ひ 庄司久美子 201007
暈まとふ月に田蛙声高め 内海良太 万象 201007
蛙鳴く闇ふかぶかと人嫌ひ 宮崎紗伎 春燈 201007
蓮の葉に乗りそこねたる蛙かな 石脇みはる 201007
目を洗ふ水なまぬるし枝蛙 竹内弘子 あを 201007
わが饒舌蛙ひばりを凌ぐらし 田中藤穂 あを 201007
雨蛙通夜の帰りをひそひそと 長崎桂子 あを 201007
潤む日を映す川面や遠蛙 中野久雄 末黒野 201008
丁雨忌の暮れて鳴き出す田の蛙 田中臥石 末黒野 201008
雨蛙其角の墓のうしろより 内藤静 風土 201008
青蛙五郎太の上を飛び越えて 安永圭子 風土 201008
青蛙雨の葉裏に隠れをり 田所昌代 201008
蛙鳴く田に望郷の瞼閉づ 田中臥石 末黒野 201008
夕さればソロにはじまる雨蛙 水原春郎 馬醉木 201008
かげりたる棚田一隅初蛙 乗光雅子 雨月 201008

 木下仁司句集『青蛙』序句

木の上で鳴けば下にも雨蛙

鷹羽狩行 201008
手足だらり流れに任す初蛙 久世孝雄 やぶれ傘 201008
鳴く蛙街中にふと一枚田 渡邉友七 あを 201008
忘るなとここに出会へる牛蛙 和田政子 201008
風に乗る風のありけり遠蛙 川下明子 雨月 201008
飛んで跳ね蛙の恋の水しぶき 小林正史 201008
妻連れてピエロめく夜ぞ蛙鳴く 渡邉友七 あを 201008
左利きの左が掴み青蛙 杉浦典子 火星 201008
遠蛙箱の植田の水澄めり 和智秀子 酸漿 201008
此岸より彼岸へ消えし青蛙 石田厚子 馬醉木 201008
堰音や棚田の蛙昼を鳴く 鈴木一三 末黒野 201008
雨蛙渇きしのどを鳴らしけり 竹下昌子 201008
田蛙や秀衡街道水の中 古川中利 ろんど 201009
前うしろある庭石や青蛙 柴田久子 風土 201009
節電の一つに早寝遠蛙 三崎千恵子 ろんど 201009
青蛙膝を正してをりにけり 岡野ひろ子 201009
胸痛の夜のいねやらず遠蛙 池田倶子 雨月 201009
牛蛙闇の奥処を見させけり 泉田秋硯 201009
牛蛙とび込む水の凹みけり 笹村政子 六花 201009
水かける風呂場の鏡枝蛙 きくちきみえ やぶれ傘 201009
北国の古刹に聞くや初蛙 土屋喜美代 酸漿 201009
夜ひかる田水に土佐の蛙鳴く 大崎紀夫 やぶれ傘 201009
青蛙鳴けば不思議や雨どつと 荻龍雲 201009
雨蛙柱四本の車寄せ 下山田美江 風土 201009
雨蛙ねむり呆ける地の乾き 池元道雄 馬醉木 201009
田蛙の俄か網戸のほつれかな 浜口高子 火星 201010
尻馬にのりてわめくや牛蛙 さのれいこ 春燈 201010
癌の身のこころすこやか青蛙 遠藤若狭男 201010
龍之介のも爪ほどなりや青蛙 高橋大三 ぐろっけ 201010
夕月は空に蛙の声は田に 瀬島洒望 やぶれ傘 201010
宿下駄で覗く古井戸蛙鳴く 樋口みのぶ 201010
夜蛙のやんやの喝采ありにけり 瀬川公馨 201010
明石城武蔵の池の牛蛙 高橋大三 ぐろっけ 201010
雨蛙罷り越したる狂言師 宮崎左智子 201010
照り降りは神の意志なり牛蛙 松岡和子 201011
掌にのれば仏頂面の青蛙 樋口みのぶ 201011
山道や据ゑたるさまに青蛙 饗庭悳子 末黒野 201011
ゆるゆると沼へゆく道枝蛙 大崎紀夫 やぶれ傘 201011
読点をどこに打たうか夜の蛙 児玉寛幸 馬醉木 201012
身に合ひし水音立てり牛蛙 志方章子 六花 201101
奥津城に今日もきてゐる雨蛙 滝川あい子 雨月 201102
一声は蛙にあらむ冬に入る 前川明子 201102
鍬洗ふ四方の水田の夕蛙 鈴木俊孝 末黒野 201104
昼蛙せせりて杉菜丈のばす 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
蛙田に近き一燈発止と点く 伊藤白潮 201105
白昼の鍬先を跳ぶ蛙かな 水谷靖 雨月 201105
うつ伏せの眠りの浅し昼蛙 蘭定かず子 火星 201106
雨蛙跳ぶ態勢のととのひし 稲畑汀子 ホトトギス 201106
田蛙を背にし螢を待ちゐたる 山田六甲 六花 201106
牛蛙池番人の強おもて 和田郁子 201106
きざはしを天につなぎて雨蛙 稲畑汀子 ホトトギス 201106
蛙の夜ああ勉強をもて余し 貝森光洋 六花 201106
快晴の朝かしこまる雨蛙 稲畑汀子 ホトトギス 201106
夕蛙ぽつりとともる茅葺家 豊田都峰 京鹿子 201106
日曜の寝坊嗤はれ初蛙 松岡和子 201106
田の蛙湖(みうみ)の蛙の鳴き交はす 山田六甲 六花 201106
調べよき蛙の合唱聴く夜かな 岡野ひろ子 201107
昼を鳴く三浦城址の蛙かな 松本三千夫 末黒野 201107
古池の月光に棲む蛙かな 西村純太 201107
疎開とふいにしへありて遠蛙 田中清子 雨月 201107
青蛙葉陰から空仰ぎけり 加納淳子 六花 201107
青蛙につられてジャンプ夫の背 石川かおり 201107
牛蛙大きく息を呑み込みぬ 山田六甲 六花 201107
里の風呂蛙あまたの声を聞き 山崎里美 201107
夜蛙や山また山の浮き上がる 近藤喜子 201107
新造の庭に雨得て初蛙 年森恭子 ぐろっけ 201107
下校児の声と重なる初蛙 年森恭子 ぐろっけ 201107
製材所昏れても桧の香牛蛙 小澤菜美 201107
故郷の墓所の辺りの夕蛙 廣瀬義一 雨月 201107
ふるさとに一夜を泊り遠蛙 乙坂きみ子 末黒野 201107
雨欲しと離島古池蛙鳴く 難波篤直 201107
雨蛙干しある傘に呆けをり 山田六甲 六花 201107
長靴の三和土に二足青蛙 柿沼盟子 風土 201108
ひと跳びの蛙の波が田を走る 浜口高子 火星 201108
雨蛙鳴いて丹波は闇の底 加藤千春 春燈 201108
桂郎の酒欲り刻や雨蛙 神蔵器 風土 201108
シーソーの一端にのり雨蛙 定梶じょう あを 201108
青蛙跳び出す野菜道の駅 塩路五郎 201108
青蛙さみしき時は跳びにけり 林いづみ 風土 201108
牛蛙対角線に太き声 田中佳子 ぐろっけ 201108
人の灯の見えて鳴きだす雨蛙 中山純子 万象 201108
がれき山いつ除かると遠蛙 仲田眞輔 ぐろっけ 201108
葉の落ちし音か小蛙とぶ音か 田中藤穂 あを 201108
夜蛙に弓矢を番へゐたりけり 瀬川公馨 201108
閻魔坐す堂に参禅雨蛙 川端郷思 雨月 201108
さみどりの蛙の守る童女墓 松井洋子 ぐろっけ 201108
鳥の声聴くべう来り蛙声聞く 杉山瑞恵 雨月 201108
雨蛙声綻びてをりにけり 外川玲子 風土 201108
故郷を夜ごと威して牛蛙 柴田佐知子 201109
飲食の眼とどけり枝蛙 瀬戸悠 風土 201109
牛蛙包みこみたる闇夜かな 黒滝志麻子 末黒野 201109
進路選び行きつ戻りつ青蛙 福島松子 ぐろっけ 201109
潭身の一歩を跳んで雨蛙 雲所誠子 風土 201109
梵鐘に応ふる声や牛蛙 新実貞子 201109
蛙鳴くこゑの日暮れてきたりけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201109
墓碑銘の「家」に棲みたる雨蛙 吉井潤 ぐろっけ 201109
臆病に一世を過ごし雨蛙 大橋晄 雨月 201109
王陵の闇の深さを牛蛙 中島霞 ぐろっけ 201109
一水の翳に動かず雨蛙 藤岡紫水 京鹿子 201109
跳ぶ度に三つ指の礼青蛙 中本吉信 201110
昼も夜もよく寝る赤子遠蛙 小林朱夏 201110
単調に心底鳴くよ牛蛙 荒木甫 201110
畦草の色へ逃るる青蛙 山本雅子 馬醉木 201110
青蛙窓に張りつく呼吸かな 竹内悦子 201110
牛蛙夜の空気を振わせて 水野弘 ぐろっけ 201110
牛蛙鳴きて茶会は雨模様 三橋早苗 ぐろっけ 201110
野仏の肩に坐禅の雨蛙 野崎昭子 春燈 201110
雨上りはじめましての青蛙 小菅礼子 春燈 201110
ふるさとに苗代蛙の一夜かな 柴田志津子 201110
かたはらに蛙来てゐる魂迎 川端俊雄 火星 201111
天地創造しんがりに雨蛙 河内桜人 京鹿子 201111
鍬洗ふ四方の水田の夕蛙 鈴木俊孝 末黒野句集 201203
これ全部蛙になつてどうすんの 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
初蛙加はる聖歌グレゴリオ 中村恭子 201205
牛蛙鳴いて日暮を深めけり 大森道生 春燈 201206
蠢いて命を繋ぐ初蛙 長崎桂子 あを 201206
花の雨蛙のやうに甃 森理和 あを 201206
雲切れし月の零せし雨蛙 稻畑汀子 ホトトギス 201206
羽後の峰きみどりに蛙生れにけり 藤原冬人 火星 201206
大雨を降らす予告の雨蛙 荻龍雲 201207
はかどらぬ齢となりぬ遠蛙 柴田佐知子 201207
畦径を蛙の声と歩みけり 高橋明 末黒野 201207
掻い掘りのあと蛙見る古き池 田島昭久 かさね 201207
みちのくの田圃に蛙鳴きをるや 加藤良子 春燈 201207
世の外に声をだしけり牛蛙 山田六甲 六花 201207
田蛙のいつせいに鳴く山の墓 中山純子 万象 201207
舂くや蛙合戦なほ止まず 石黒興平 末黒野 201207
夫の忌や墓を離れぬ青蛙 辻知代子 201207
蛙鳴く魚板の吊らる翁堂 中村洋子 風土 201207
老医師の今も自転車蛙鳴く 藤見佳楠子 201207
夜蛙やもう他郷とはおもふまじ 村上すみ子 201207
蛙鳴くみんな岡本太郎の目 柴田久子 風土 201207
風に雨気つかみとつたる雨蛙 布川直幸 201207
水鏡合唱輪唱青蛙 長崎桂子 あを 201207
穴掘れば蛙ひよつこり春待てり 橋本修平 かさね 201207
医王山蛙の声のよく通り 田中佐知子 風土 201207
臼塚噴水小さき蛙の目玉かな 芝宮須磨子 あを 201207
なぞりても読めぬ道標蛙鳴く 吉@野美智子 万象 201208
青蛙青きものより離れざり 椿和枝 201208
せせらぎと合唱のごと蛙鳴く 荒井貞子 末黒野 201208
いっせいに田より跳び出す青蛙 早崎泰江 あを 201208
風蒼く森青蛙染めて過ぐ 坂根宏子 201208
色姿良しと畦に雨蛙 柳田晧一 かさね 201208
青蛙玻璃にうたた寝してゐたる 椿和枝 201208
川越や小田の蛙の鳴くことよ 辻直美 201208
庭師の守る森青蛙泡の房 長濱順子 201208
一村は棚田に埋れ夕蛙 高野春子 京鹿子 201208
一村を制覇するかに青蛙 宮崎左智子 201208
雨の日は手足きゃくきゃく雨蛙 貝森光洋 六花 201208
雨蛙ちよこつと揺るる草の上 柳田晧一 かさね 201208
捨田幾枚野太き声の昼蛙 田中佐知子 風土 201208
鳥羽絵より出で来よ蛙田植終ふ 藤井明子 馬醉木 201209
打ち水に陶の蛙も歩きさう 塩千恵子 201209
青蛙跳んでや畦の芭蕉の碑 北崎展江 くりから 201209
西行の戻しの松や蛙鳴く 北崎展江 くりから 201209
牛蛙鳴いて池中動きけり 田尻勝子 六花 201209
牛蛙のひと声に山退りけり 浜口高子 火星 201209
蛙声湧き出す植田小屋傾ぐ 福田かよ子 ぐろっけ 201209
里山の彩となりけり青蛙 半田稜 ろんど 201209
蛙 →5      

 

2021年4月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。