3     200句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蛙生る蝌蚪より小さく見えにけり 森理和 あを 200606
酒飲みに磨きのかかる夕蛙 淵脇護 河鹿 200606
指先の冷えてきし夜の遠蛙 藤井昌治 200606
ひと鳴きのあとの風なり初蛙 浜口高子 火星 200607
くくるくくる曲り屋裏の昼蛙 伊藤白潮 200607
初蛙競ひ鳴きゐて小町井戸 徳丸峻二 風土 200607
牛蛙腓返りの足引きつ 浜口高子 火星 200607
遠蛙子には子の道ありにけり 有島夛美 河鹿 200607
谷戸の田に水引けば鳴く昼蛙 大西八洲雄 万象 200608
大粒の雨となりゐる牛蛙 畑絹枝 馬醉木 200608
蛙とぶ本所深川繪圖の中 小澤克己 塩竃 200608
土下座せし蛙の届く神のこゑ 丸井巴水 京鹿子 200608
点滴は妻の命脈蛙の夜 関根初男 馬醉木 200608
牛蛙湖震はせて声届く 渡辺玄子 酸漿 200609
牛蛙ただいまマイクのテスト中 寺嶋育子 四葩 200609
保護色の将外となる蛙の眼 達山丁字 200609
父の白湯すぐに沸きけり遠蛙 城孝子 火星 200609
汝より大き沼あり牛蛙 和島出 遠嶺 200609
今も鳴くは帝に供奉の蛙かや 有働亨 馬醉木 200609
旅暮れて蛙の声の中にゐる 塙告冬 ホトトギス 200609
ふるさとにコンビニ身近か遠蛙 中島英子 八千草 200610
両手つき我慢蛙の背日和 丸山冬鳳 京鹿子 200610
里は夜の眠りに入れり遠蛙 伊藤セキ 酸漿 200610
蛙面被り雨乞はじまれり 内海良太 万象 200611
高麗郷は棲みよし蛙とぶことよ 酒本八重 200611
直哉忌の蛙跳んでは考へる 中田みなみ 200612
水澄むや川砂色の蛙ゐて 岡本敬子 万象 200612
朝には鳥夕べには遠蛙 須藤美智子 風土 200701
妻子など打つちやらかして蛙釣 市場基巳 200702
畦道に足をとられし蛙かな 稲畑汀子 ホトトギス 200704
動かざる蛙の目あり動きけり 稲畑汀子 ホトトギス 200704
跳び出せしものが蛙と分るまで 稲畑汀子 ホトトギス 200704
試歩の径コロコロコロと初蛙 本藤みつ 200705
ドロップの缶の蓋しめ牛蛙 百瀬七生子 海光 200705
湖の北は蛙の声なりき 山田六甲 六花 200706
淡海(あはうみ)の蛙を借りて啼く夜かな 山田六甲 六花 200706
鍬掛けの松へ田蛙はやしけり 田村愛子 万象 200706
蛙鳴く夜のあいさつを交はし去る 瀧春一 200706
墓前てふ淋しさに居り昼蛙 金田きみ子 200706
糞船の人に聞かれし初蛙 瀧春一 200706
遠蛙供養の酒に酔ひにけり 丸山敏幸 200706
淡々と浮ぶ生駒や夕蛙 山村修 酸漿 200707
玉簾のとばしり絡む初蛙 山本とく江 万象 200707
蛙啼く告ぐる人なき一人の夜 岡野ひろ子 200707
蛙のこゑ時折絶えて小雨の夜 椿和枝 200707
夕蛙もつと遠くに夕蛙 定梶じょう あを 200707
木の間より沼のちらちら昼蛙 田村玲子 200707
減反は先祖の水田夕蛙 関まさを 酸漿 200707
山蛙鳴くやぬた場の水ほとり 谷村祐治 雨月 200708
水張るや闇を深めて蛙鳴く 森山暁湖 万象 200708
牛蛙鳴けば水面に風生る 渡辺安酔 200708
傾いて点る神灯遠蛙 米澤光子 火星 200708
殿様蛙の目玉に寄するさざれ波 奥太雅 万象 200708
古池の唯我独尊牛蛙 上田繁 遠嶺 200709
身障者手帖申請昼蛙 山崎靖子 200709
夜蛙の語りの尽きぬ遠野かな 櫨木優子 200709
夜の蛙闇広げたり縮めたり もりおかともこ ホトトギス 200709
俳縁といふ奇なるもの夜の蛙 小山田子鬼 200709
合唱のバスとソプラノ夕蛙 山口順子 200709
闇に襞つくりて蛙鳴きにけり もりおかともこ ホトトギス 200709
勤行に和す山寺の牛蛙 齋部千里 ぐろっけ 200710
牛蛙池眠さうにしてしまふ 湯川雅 ホトトギス 200710
牛蛙出羽天水の暮れ残り 伊藤ふみ 馬醉木 200710
蛙鳴き止みたる水の暗みけり 杉浦典子 火星 200710
蛙にも戒名欲しや雨しとど 高野幸次 200710
推し量る沼の深さや牛蛙 堤京子 馬醉木 200710
これよりの気迫うながす牛蛙 半澤正子 馬醉木 200712
石蛙にいにしへ問はな初時雨 大谷茂 遠嶺 200803
「極楽極楽」躑躅籠りに鳴く蛙 林翔 200805
抱接の蛙四つの目浮べをり 天田美保子 酸漿 200805
堀り出さるるも蛙のじつと動かざる 鍋田もと枝 200806
山里の落暉大きや蛙鳴き 杉本綾 200806
田蛙の雨の道路を渡りけり 山田六甲 六花 200806
田に水を平らに集め蛙鳴く 浅田光喜 絵巻物 200806
雨音の煙る赤城山(あかぎ)へ初蛙 上原重一 200806
雨蛙跳んで飛鳥の史をたどる 鈴鹿仁 京鹿子 200807
なまぬるき夜の雨となり蛙なく 小林和子 風土 200807
星の息ふかぶかと吸ひ牛蛙 梶浦玲良子 六花 200807
星々を呼び出してゐる蛙かな 近藤喜子 200807
初蛙枯木のごとき老母訪ふ 渡邉友七 あを 200807
蛙聞く一枚脱ぎし気安さに 高橋澄子 200807
夕富士や苗代蛙こゑ澄みて 木下ふみ子 馬醉木 200807
寝ねがてのふるさとの夜や遠蛙 木下ふみ子 馬醉木 200807
牛蛙オーケストラに加へむか 大橋晄 雨月 200807
古池の闇の深さを牛蛙 山本千里 200807
追伸に「もう啼いてます」遠蛙 三川美代子 200808
昼蛙さかんな田圃ゐぬ田圃 高橋道子 200808
雨蛙にはそれなりののど袋 亀田虎童子 200808
喪の家の石や草木や雨蛙 浜福恵 風土 200808
青蛙雲をしぼるや一二滴 小堀寛 京鹿子 200808
笹の葉に手足たたみて初蛙 田所洋子 雨月 200808
牛蛙日なか間のびし声交す 森理和 あを 200808
蟇蛙苦しき時の疣頼み 貝森光洋 六花 200808
留守番の僧の案内や枝蛙 瀬島洒望 やぶれ傘 200808
溜池は雨音あつめ牛蛙 根橋宏次 やぶれ傘 200808
葉がくれに息をひそめて青蛙 綿谷美那 雨月 200808
観音の千手にひびく遠蛙 鷹羽狩行 200808
牛蛙鳴けば沼地の水面震へ 渡辺安酔 200808
遠蛙記憶に響く夜更けかな 宮田香 200808
雨降れり泣く子と雨蛙には勝てず 貝森光洋 六花 200808
雨しとど蓮の浮葉に雨蛙 綿谷美那 雨月 200808
雨蛙向きあふ吾に居をただす 川崎良平 雨月 200808
雨蛙予報は予報日がのぞく 禰寝瓶史 京鹿子 200808
五月闇牛蛙鳴く駅に着く 藤井美晴 やぶれ傘 200809
丹念に地下足袋洗ふ蛙の夜 滝浪紀久子 万象 200809
葦間出づるや沖天の牛蛙 朝日正人 200809
園丁の肩にとまれり青蛙 広瀬俊雄 万象 200809
石門の残る母校や雨蛙 塩見治郎 雨月 200809
牛蛙鳴く倒木の辺りとも 國保八江 やぶれ傘 200809
牛蛙鳴くこの村むかし四十戸 水谷靖 雨月 200809
牛蛙相づち下手の一本気 橋本光乃 京鹿子 200809
牛蛙ほむらとなりて鳴きつづく 犬塚芳子 200809
緩急を自在に利かせ雨蛙 武田美雪 六花 200809
舟石の客となりゐし雨蛙 宮川瘤太 炎環 200809
夜蛙や細きうどんを啜りゐて 白石正躬 やぶれ傘 200809
夜なよなのコーラスしげし田の蛙 杉本綾 200809
木道にポンと飛び出す青蛙 吉成美代子 あを 200809
木を伝ふ雨水に雨蛙かな 山田六甲 六花 200809
叱らるる心地ときどき牛蛙 長谷川智弥子 炎環 200809
牛蛙都会の人に鳴きにけり 吉田康子 火星 200809
猫か否蛇に呑まるる蛙(あ)の声か 関根誠子 炎環 200809
まへうしろ日照雨けぶるや山蛙 渡邉友七 あを 200809
隠沼や声ひそやかに青蛙 高橋宏行 遠嶺 200809
一言主の神にひびきて蛙鳴く 内山芳子 雨月 200809
雨聞ける金の瞼の雨蛙 佐藤史づ代 雨月 200809
男子あり蛙の王と称へらる 竹内弘子 あを 200810
青蛙手のひら蹴って草へ跳ぶ 鎌倉喜久恵 あを 200810
闇よりの意表突く声牛蛙 荒木常子 200810
指揮者ゐるごとし蛙の大合唱 河村泰子 ぐろっけ 200810
森青蛙池へとメレンゲを飛ばす 島純子 ぐろっけ 200810
遠蛙仏はゆるく目を瞑り 浅井敦子 万象 200810
藤棚の幹の洞より青蛙 山形悦子 万象 200810
停電の夜の只管打坐遠蛙 陳錫恭 春燈 200811
みぎなりたみち夕蛙くくくくく 伊藤白潮 200811
牛蛙日照雨止みしをころあひに 大島英昭 やぶれ傘 200811
遠蛙水辺にこども呼びにけり 鈴木直充 素影 200811
冬ぬくし台湾の夜店蛙売る 勝原文夫 ペン皿 200811
田の神の遊心くすぐる蛙かな 勝原文夫 ペン皿 200811
隠沼のいよいよ濁る夏蛙 坪井洋子 200811
神南備を映す水田の蛙かな 渡辺玄子 酸漿 200812
目の玉を水より空へ秋蛙 荒木甫 200812
一仏の如く蛙の睡蓮に 竹下陶子 ホトトギス 200812
繁栄の夢見て蛙冬眠す 岡田由季 炎環 200902
眠りたり山の夜蛙聞きながら 滝沢伊代次 万象 200903
青蛙草に現れ草に消ゆ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
距離を置き蛙二疋が池の縁 森理和 あを 200906
夕蛙遠の家々灯しあひ 定梶じょう あを 200906
湧水の岩間石間に蛙啼く 森理和 あを 200906
風そよぐ芹田に蛙声しきり 星アヤ 酸漿 200906
子の手より子の手に渡る雨蛙 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
音沙汰のなきもまた良し遠蛙 乗鞍三彦 春燈 200906
雨蛙とは保護色に目が二つ 稲畑汀子 ホトトギス 200906
ひととせはたやすく過ぎぬ初蛙 岩木茂 風土 200907
とりとめもなき長電話遠蛙 中原敏雄 雨月 200907
蛙鳴くや家の暗きに月昇る 渡邉友七 あを 200907
蛙田に枕を近くして睡る 大西八洲雄 万象 200907
蛙の目幾多の山河越えてなほ 石黒一憲 200907
夕やみに浮かぶ弥彦や初蛙 山田春生 万象 200907
帰郷して聞く夜蛙のなつかしき 堀井英子 雨月 200907
遠蛙聞き入る我に気づきしか 中原敏雄 雨月 200907
遠くまで歩きて小田の初蛙 青木陽子 酸漿 200907
右鳴けば左が応ふ雨蛙 有元洋剛 200907
雨の日の読書三昧遠蛙 三川美代子 200907
雨の日の読書三昧遠蛙 三川美代子 200907
雨蛙緑の便りに誘われて 貝森光洋 六花 200907
ひた鳴けり牛蛙とし生れきて 西山美枝子 酸漿 200908
呼ばるるは蛙はたまた父の声 伊東和子 200908
待ち合せ蛙に耳を貸しながら 平野千江 200908
牛蛙過疎の沼池に隠れ棲む 山本千里 200908
蟇蛙出でし寿限無寿限無と鳴いてをる 中島陽華 200908
耳を噛む蛙の戯画や朝薄暑 伊藤無迅 炎環 200908
余呉人に夜の底ありぬ牛蛙 蘭定かず子 火星 200908
手を握るのみの見舞や遠蛙 間宮あや子 馬醉木 200908
柊の垣根やはらか雨蛙 早崎泰江 あを 200908
何処へか田圃とび出す雨蛙 早崎泰江 あをかき 200908
牛蛙声の重なり合うて来し 笹村政子 六花 200908
青蛙四肢のびきつて枝移る 亀田やす子 万象 200908
遠蛙こなた向き啼く目覚めぐせ 渡邉友七 あを 200908
雲低き由布の二峰や雨蛙 藤見佳楠子 200908
エコキュート夜に入る工事遠蛙 疋田雪子 炎環 200908
この杜のぐらりと暮るる牛蛙 戸栗末廣 火星 200909
青蛙這ふ菜園の忘れ杭 金子隆吉 200909
青蛙幾たび跳べば山に着く 原口頌子 ろんど 200909
青蛙の太き声する交差点 宮崎みゆき 万象 200909
星赤し森青蛙孵る夜か 西村博子 馬醉木 200909
人恋ふは漂ふに似て遠蛙 柴田佐知子 200909
森青蛙青田に卵散らしをり 家塚洋子 酸漿 200909
初蛙はや輪唱を会得せり 佐藤玲華 ろんど 200909
夜蛙が占めて峡の田波打てり 湯橋喜美 200909
夕蛙鳴きふる里を引き寄する 園多佳女 雨月 200909
初蛙いま置きし鍵見失ふ 柳生千枝子 火星 200909
山の宿闇の奥より牛蛙 森美代子 200909
一雨に声一際の雨蛙 岡本迪郎 200909
雨蛙目が合うてより黙しけり 和田恭子 200909
吾にまだ伸びしろあるか雨蛙 島内美佳 ぐろっけ 200910
軒下に唐箕その外遠蛙 淺場英彦 万象 200910
睡蓮の葉に身じろがぬ青蛙 中里カヨ 酸漿 200910
豆腐屋のラッパ湯宿に蛙鳴く 有賀昌子 やぶれ傘 200910
降りに降る天をよろこび雨蛙 井上浩一郎 ホトトギス 200910
遣り水に豆粒ほどの蛙跳ね 吉田もと子 200911
蛙 →4      

 

2021年4月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。